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古
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いにしえ
ふりがな文庫
“
古
(
いにしえ
)” の例文
しかしもし大胆なる想像を許さるれば、
古
(
いにしえ
)
の連歌俳諧に遊んだ人々には、誹諧の声だけは聞こえていてもその正体はつかめなかった。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「王政の
古
(
いにしえ
)
に復することは、
建武中興
(
けんむちゅうこう
)
の昔に帰ることであってはならない。
神武
(
じんむ
)
の創業にまで帰って行くことであらねばならない。」
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今日の軍人政治家が未亡人の恋愛に
就
(
つ
)
いて執筆を禁じた如く、
古
(
いにしえ
)
の武人は武士道によって自らの又部下達の弱点を抑える必要があった。
堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
千三百年の
古
(
いにしえ
)
、太子が
寵
(
こも
)
らせ
給
(
たも
)
うた御姿を想像し、あの
暗澹
(
あんたん
)
たる日に美しい黎明を祈念された太子が、長身に剣をしかと握りしめ
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
みずから自我の衣を脱いで、世界を吹き渡る多衆的熱情の衣をまとう、
古
(
いにしえ
)
の楽詩人に見るような、生きたる客観主義であるべきだった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
この
諫
(
いさ
)
めようのよきこと
古
(
いにしえ
)
もさるためし多し。ふさがりたる処を知らずして、いかに
忠
(
ちゅう
)
をつくして
諫
(
いさ
)
むとも、聞き用いざれば益なし
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そして駅には
古
(
いにしえ
)
もかわらぬ
可哀
(
かあい
)
い女がいただろうから、そこで、「妹が
直手
(
ただて
)
よ」という如き表現が出来るので、実にうまいものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
特
(
こと
)
に
癇癖
(
かんぺき
)
荒気
(
あらき
)
の大将というので、月卿雲客も怖れかつ
諂諛
(
てんゆ
)
して、あたかも
古
(
いにしえ
)
の木曾
義仲
(
よしなか
)
の都入りに出逢ったようなさまであった。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
古
(
いにしえ
)
から最近のものまでの文献が、番号をうってずらりと並べてあり、そして各項について読後の簡単な批評と要点とが書きこんであった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『五山ノ称ハ
古
(
いにしえ
)
ニ無クシテ今ニアリ。今ニアルハ何ゾ、寺ヲ
貴
(
とうと
)
ンデ人ヲ貴バザルナリ。古ニ無キハ何ゾ、人ヲ貴ンデ寺ヲ貴バザルナリ。』
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
いわんや後進は先進に
優
(
まさ
)
るべき約束なれば、
古
(
いにしえ
)
を空しゅうして比較すべき人物なきにおいてをや。
今人
(
こんじん
)
の職分は大にして重しと言うべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「わははは、何を戸惑うて。——これ両人、きょうは
古
(
いにしえ
)
の
鴻門
(
こうもん
)
の会ではないぞ。いずくんぞ
項荘
(
こうそう
)
、
項伯
(
こうはく
)
を用いんや、である。のう
劉皇叔
(
りゅうこうしゅく
)
」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古
(
いにしえ
)
より忠は宦成に
怠
(
おこた
)
り病いは小
癒
(
ゆ
)
に加わり、
禍
(
わざわ
)
いは
懈惰
(
けだ
)
に生じ孝は妻子に衰うという、また
礼記
(
らいき
)
にも、
狎
(
な
)
れてしかしてこれを愛すといえり
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
古
(
いにしえ
)
は兵農一致と論じたのは有名なことであるが、人によってはこれを平時に武士が下人を指揮して、農業を営んでいたというだけに解して
家の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
古
(
いにしえ
)
より、武力を以て人の国を侵略したという国の結果は
何時
(
いつ
)
も
宜
(
よ
)
いことはない。
露西亜
(
ロシア
)
が無闇に侵略をする。この侵略に日本が反対をした。
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それわが国
古
(
いにしえ
)
より教あり、天然の教という。その法、人をして
自
(
おのずか
)
ら
本然
(
ほんぜん
)
の性に
復
(
かえ
)
らしむるものにして、すなわち誠心の一なり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
古
(
いにしえ
)
は
曾子
(
そうし
)
のいわく「
以
(
もっ
)
て六尺の孤を託す
可
(
べ
)
し、以て百里の命を寄す可し、大節に臨んで奪う可からず、君子人か君子人
也
(
なり
)
」と。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「見えるわ。見えるわ。瓜、一面の瓜だ。」見覚えのあるような所と思ったら其処は
古
(
いにしえ
)
の
昆吾氏
(
こんごし
)
の
墟
(
あと
)
で、成程到る処累々たる瓜ばかりである。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
いつか使に来た
何如璋
(
かじょしょう
)
と云う支那人は、横浜の宿屋へ泊って日本人の夜着を見た時に、「
是
(
これ
)
古
(
いにしえ
)
の
寝衣
(
しんい
)
なるもの、
此邦
(
このくに
)
に
夏周
(
かしゅう
)
の
遺制
(
いせい
)
あるなり。」
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
古
(
いにしえ
)
の歌を歌ひしのみならず、今の歌も歌ふなり。日本の歌を歌ふのみならず、支那西洋その他あらゆる国の歌は皆歌ふなり。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
右に畝傍山・香久山、左に
耳無山
(
みみなしやま
)
、その愛らしい小丘の間を汽車は
駛
(
は
)
せて行く。
古
(
いにしえ
)
の藤原の京、飛鳥の京の旧跡は指呼の間に横たわっていた。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
古
(
いにしえ
)
から美女は京都を主な生産地としていたが、このごろ年ごとに彼地へ行って見るが、美人には一人も
逢
(
あ
)
わなかったといってよいほどであった。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そしてその裏に
古
(
いにしえ
)
のキリスト信者の標徴であった所の、魚の形を見つけました。が形や模様が普通に見出されるものとはかなり異っていました。
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
皇室御親政の
古
(
いにしえ
)
にかえすという力が動いていたので、摂関家に抑えられていた反対勢力が、院の御所の事務長官である院
別当
(
べっとう
)
などを頭に立てて
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
古
(
いにしえ
)
の三人の美の女神に加えて第四の憂愁の女神というのがあり、しかもそれがほほえんでいるのだとすれば、彼女はまさしくそれであったろう。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
古豪族 の事で、この種族はその名のごとく
古
(
いにしえ
)
の豪農あるいは豪商らの子孫であって、今なお多くの財産土地を持って地方において権力がある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
古
(
いにしえ
)
のギリシャにあこがれの誠をいたすにつれ、今のギリシャの悲境を見るに見かねて、これが救済に
馳
(
は
)
せ向かわんとした情熱の人詩人バイロンに
茶の本:01 はしがき
(新字新仮名)
/
岡倉由三郎
(著)
女子は殖産と小児の養育とのために忙殺せられて、最早
古
(
いにしえ
)
の如く男子と協力して戦闘に従事することは不可能であった。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
が、要するに容易に説明のできるところになんの大教理が存しよう。
古
(
いにしえ
)
の聖人は決してその教えに系統をたてなかった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
イヴに禁断の果実を与えた楽園の蛇の故事に呼応して、東洋の
古
(
いにしえ
)
にも次の
箴言
(
しんげん
)
がある。曰く「智慧出でて大偽あり」と。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
勝永も涙を面に
泛
(
うか
)
べ「さり
乍
(
なが
)
ら、今日の御働き、大軍に打勝れた武勇の有様、
古
(
いにしえ
)
の名将にもまさりたり」と称揚した。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
未だ見ぬ東邦諸国の
古
(
いにしえ
)
へと夢のような
憧憬
(
あこがれ
)
を懐かしめたものであったが、ちょうど、ああ言ったような気持……何から何まで、見るもの聞くものが
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
夢見
(
ゆめみ
)
の
里
(
さと
)
とも
申
(
もうす
)
べき Nara la Morte にはかりよんの
音
(
おと
)
ならぬ
梵鐘
(
ぼんしょう
)
の声あはれに
坐
(
そぞ
)
ろ
古
(
いにしえ
)
を思はせ候
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
我が日常目睹している事実の点からいえば陳腐な事実である。しかし
古
(
いにしえ
)
よりこの事実を取って俳句にした者はない。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
この恐しい
山蛭
(
やまびる
)
は
神代
(
かみよ
)
の
古
(
いにしえ
)
からここに
屯
(
たむろ
)
をしていて、人の来るのを待ちつけて、永い久しい間にどのくらい
何斛
(
なんごく
)
かの血を吸うと、そこでこの虫の
望
(
のぞみ
)
が
叶
(
かな
)
う
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰来
(
きらい
)
急に『六国史』を取ってこれを読み、
古
(
いにしえ
)
の聖君英主海外蛮夷を
懾服
(
しょうふく
)
したるの雄略を観て、慨然として曰く、「
吾
(
われ
)
今にして皇国の皇国たる所以を知れり」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
つぎに、「文武忠臣良弼ありて、又臣民の心に、順逆の理を
弁
(
わきま
)
え、大義を知れる故に、
古
(
いにしえ
)
の制度に復しぬ。」
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
支那の鱷は只今アリガトル・シネンシスとクロコジルス・ポロススと二種知れいるが、地方により、多少の変種もあるべく、また
古
(
いにしえ
)
ありて今絶えたもあろう。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
古
(
いにしえ
)
の人は
顎
(
あご
)
の下まで影が薄い。一本ずつ吟味して見ると先生の髯は一本ごとにひょろひょろしている。小野さんは
鄭寧
(
ていねい
)
に帽を脱いで、無言のまま
挨拶
(
あいさつ
)
をする。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
燭台の光が
煌々
(
こうこう
)
とかがやき渡って、
金泥
(
きんでい
)
の
襖
(
ふすま
)
に何かしら
古
(
いにしえ
)
の物語めいた百八つの影を躍らせているのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今日の芸術家はかの
古
(
いにしえ
)
のブロメシヤスの如く絶へず経済的必迫の巖上に縛せらるるが故に自由なる創造に従事することが出来ないのであると一般に云はれてゐる。
少数と多数
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
我らは中国がこの際唐朝以前の
古
(
いにしえ
)
に
復
(
かえ
)
り正しき国民軍隊を建設せん事を東亜のために念願するのである。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
古
(
いにしえ
)
のギリシアやローマにおけるが如く、わが英国にももし公共の恩人に対して彫像を贈る法令が発布されるならば、この輝ける市民は確かにそれを受けるであろう。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
この
僅
(
わず
)
か一、二の例から
古
(
いにしえ
)
にまで遡って一律に取り扱うことは、大胆な推断のようであるが、暗黙の間に事想の一脈相通ずるものがあることは誰しも認めるであろう。
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
これを
甜
(
な
)
めて
蝗
(
いなご
)
をたべてたとすれば
古
(
いにしえ
)
のユダヤの予言者は決して粗食だったとはいえないであろう。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
本名を
内海文三
(
うつみぶんぞう
)
と言ッて静岡県の者で、父親は旧幕府に仕えて
俸禄
(
ほうろく
)
を
食
(
はん
)
だ者で有ッたが、幕府倒れて王政
古
(
いにしえ
)
に
復
(
かえ
)
り
時津風
(
ときつかぜ
)
に
靡
(
なび
)
かぬ
民草
(
たみぐさ
)
もない明治の
御世
(
みよ
)
に成ッてからは
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
... あまとあるは、海に潜る海女にてはなく、
古
(
いにしえ
)
は海辺の遊女の異名であった
蜑
(
あま
)
を指したもので」。刀自殿は
異
(
い
)
な顔をして「それまた、変った御説よの」と乗出してこられた。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
古
(
いにしえ
)
の武者修行者のやり方にしたがって、簡潔単純な一騎打ちによろうと思ったにちがいない。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
この、討つ、討たれつが、
古
(
いにしえ
)
からの武門の慣い、武士の辛いところじゃ——お前は、恋のために、武士を捨てよと申すであろうが、わしは、恋も完うし、武士も完うしたい。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
女の来るのを待ちあぐねている
古
(
いにしえ
)
の貴公子のようにわれとわが身を描いたりしながら。……
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“古”を含む語句
古家
中古
古人
往古
古本屋
反古
太古
古代
古木
古城
古昔
古井
古瓦
古婆
稽古
蒙古
古渡
古市
古文書
古典
...