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化
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ばけ
ふりがな文庫
“
化
(
ばけ
)” の例文
実は、その——貴女にとって不運なお
化
(
ばけ
)
が、僕に詩想を作ってくれました。これがもし春ならば、あの辺は花粉と匂いの海でしょう。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
修理
化
(
ばけ
)
るわ化るわ。御城の
瑞兆
(
ずいちょう
)
、天人のごとき鶴を御覧あって、殿様、鷹を合せたまえば、鷹はそれて
破蓑
(
やれみの
)
を投落す、……言語道断。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
博士
(
はくし
)
は物わかりのいい人だったし、頭の慟きのするどい人だったので、
姿
(
すがた
)
の見えないほうたいの
化
(
ばけ
)
ものの
言葉
(
ことば
)
に
真実
(
しんじつ
)
のあることを見ぬき
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
が、「謹厳」のお
化
(
ばけ
)
のような先生は尾州人という条、江戸の藩邸で江戸の御家人化した父の子と生れた江戸ッ子であったのだ。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
知って居る話ばかり聞いてくれればよいけれどもそうでないと
化
(
ばけ
)
の皮が顕われますからあまりむこうから尋ね掛けないように機先を制して
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
お
化
(
ばけ
)
や幽霊を怖がらなかった二人も、流石にこの生人形には胸が悪くなった。お互の顔色が青くなっていることを認め合った。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すべて
天狗
(
てんぐ
)
に
限
(
かぎ
)
らず、
幽界
(
ゆうかい
)
の
住人
(
じゅうにん
)
は
化
(
ばけ
)
るのが
上手
(
じょうず
)
でございますから、あなた
方
(
がた
)
も
何卒
(
どうぞ
)
そのおつもりで、
私
(
わたくし
)
の
物語
(
ものがたり
)
をきいて
戴
(
いただ
)
き
度
(
と
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
見舞人か患者に
化
(
ばけ
)
て、この病院の中に紛れ込んでいたもので、出て行きがけには、明け放しになっていた屋上庭園から、玄関の露台に降りて
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
振返ってみると、なるほど、梅ヶ谷のような
大女
(
おおおんな
)
、顔を
真白
(
まっしろ
)
に塗立てた
人
(
じん
)
三
化
(
ばけ
)
七が、
頻
(
しき
)
りに手招きしながら追っ掛けて来る。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
ここの名物の
化
(
ばけ
)
地蔵が口を利いてくれたら、ゆうべの秘密もすぐに判ろうものを、石の地蔵尊は冷たく黙っておわします。
慈悲心鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それに私の考へでは、お
化
(
ばけ
)
といふものは、口の
利
(
き
)
けない
獸
(
けもの
)
の身體を借りるかも知れないけれど、普通の人間の姿を借りることは到底出來ないのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
併
(
しか
)
し余り一箇所で遣て
化
(
ばけ
)
の皮が
顕
(
あらわ
)
れるとイカヌから、今夜は道頓堀で
遣
(
や
)
ろう、
順慶町
(
じゅんけいまち
)
で遣ろうと云て遣たこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
まるで
化
(
ばけ
)
ものあつけえに、物珍しげにあっちから眺めたり、こっちから眺めたり、明け方までつき合せやあがって、あげくの果てが、二十五両包一ツ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ずいぶん甘ったれているけれども、ともかく、いつか、
化
(
ばけ
)
の皮がはげて、裸にされ、毛をむしられて、突き落される時を忘れたことだけはなかったのだ。
私は海をだきしめていたい
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
狐や狸は
化
(
ばけ
)
るものであるとか、世の中に
種々
(
いろいろ
)
ある
怪物
(
ばけもの
)
の詮索をするのを
止
(
や
)
めて
先
(
ま
)
ず我々人間が一番大きな
怪物
(
ばけもの
)
で
神変
(
しんぺん
)
不思議な能力を持っていると
喝破
(
かっぱ
)
し
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
王羲之にしないと古い妙な感じが起らない。本堂を右手に左へ廻ると墓場である。墓場の入口には
化銀杏
(
ばけいちょう
)
がある。ただし
化
(
ばけ
)
の字は余のつけたのではない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、どうも。びっくりしたとたんに、
化
(
ばけ
)
の
皮
(
かわ
)
がはがれるとは、われながら大失敗でありました。はははは」
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは驚いたな、お染さん。
併
(
しか
)
し、たつたそれだけの話なら岡つ引へ來るより、醫者を頼むのが順當ぢやあるまいかネ。私にお
化
(
ばけ
)
を縛らせるより、蟲下しを
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さうすると、いろんなお
化
(
ばけ
)
が出て来て、追ひかへさうとするから、そのときにはまるめろの枝でなぐつてやれば、お化はみんなおそれてにげてしまひます。
湖水の鐘
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
五百も余り棠の美しさを
云々
(
うんぬん
)
するので、陸は「お
母
(
か
)
あ様の
姉
(
ね
)
えさんを褒めるのを聞いていると、わたしなんぞはお
化
(
ばけ
)
のような顔をしているとしか思われない」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「もしか、お人形が、
人買
(
ひとかい
)
に連れてゆかれたらどうしましょう。それともお
化
(
ばけ
)
が出てきて食べないかしら」
博多人形
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「二人とも……か。お
化
(
ばけ
)
を見た者が二人あれば、お化がほんとにいることになる、そういうことかい。」
霧の中:――「正夫の世界」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
あたしは何の気もなく
蔵前
(
くらまえ
)
にいって、階段に足をかけながら振りむくと——
正
(
しょう
)
のもののお
化
(
ばけ
)
かと思った。
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
僕だってそんな
化
(
ばけ
)
の皮が、永久に
剥
(
は
)
げないとは思っていない。が、剥げるまでは、その化の皮を大事にかぶっていたいんだ。この心もちは君に通じないだろうな。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
せぬ故に果して
化
(
ばけ
)
の
皮
(
かは
)
を
顯
(
あら
)
はし
今
(
いま
)
捕押
(
とりおさ
)
へたるは
能
(
よき
)
氣味なりと咄すを聞て家内の者共
然樣
(
さやう
)
の御連にてありしか何にしても不屆な
奴
(
やつ
)
引
(
ひき
)
ずり出して
叩
(
たゝ
)
きのめせと
立騷
(
たちさわ
)
ぐを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
評判になったのでお
化
(
ばけ
)
も引込んじまったのか、と軽い失望を感じながら、踵を返して帰りかけようとした時、ふらりと路傍樹の蔭から出て来た一人の男を見ました。
機密の魅惑
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「ところが僕はここに来ると人間の
化
(
ばけ
)
の皮が見えてくるんだ、それぞれに小細工をして生かしているのを見ると、金魚の方がよほどありのまま生きているようだ。」
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
原品は東海道
亀山
(
かめやま
)
お
化
(
ばけ
)
とて張子にて飛んだりと同様の製作にて、江戸黒船町辺にて
鬻
(
ひさ
)
ぎをりしを後
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
を斜に背負い、その頃よく来た
托鉢僧
(
たくはつそう
)
のような
饅頭笠
(
まんじゅうがさ
)
を深々と
冠
(
かぶ
)
り、手縫いの草履袋を提げた私の姿は、よほど妙であったらしく、兄たちは
菌
(
きのこ
)
のお
化
(
ばけ
)
だとか
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
もっともあの女、貴様のような男に、どこがよくて惚れたのか知らんが、一通り男を食い散らすと、かえって貴様みたいな
人
(
にん
)
三
化
(
ばけ
)
七がありがたくなるものと見えるな。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
新「じゃア申しますが実は
私
(
わたくし
)
はその、殺す気も何もなく
彼処
(
あすこ
)
へ参りますと、あれがその、お
化
(
ばけ
)
でな」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アアミンガアドは、その場で
危
(
あぶな
)
く声を立てるところでした。見渡したところ、室内には誰もいないので、セエラはお
化
(
ばけ
)
と話していたのかと、アアミンガアドは思ったのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
けれどもなんとか始末をしなくちゃあならねえ、せっかくここまで漕ぎつけたところで、ここで
化
(
ばけ
)
の
皮
(
かわ
)
が剥げたんじゃあ、宝の山へ入って馬の皮を持たせられるようなものだ。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
羅摩
化
(
ばけ
)
の皮を現わし、また妻の不貞を疑い、再び林中に追いやらんとするを諸王
宥
(
なだ
)
め止む。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
イエスが浪の上を歩かれたとて「お
化
(
ばけ
)
だ」などと驚いたのは面目ない次第であるが、あまりにも前の大奇蹟が自然に行なわれ、しかも自分らみずから奇蹟中の人物であったため
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
時とすると
轆轤首
(
ろくろくび
)
、時とすると一本足の
唐傘
(
からかさ
)
のお
化
(
ばけ
)
が出て路を
塞
(
ふさ
)
ぐので、気の強い者も、それには
顫
(
ふる
)
えあがって、魚は元より魚籃も釣竿もほうり出して逃げて来ると云われていた。
おいてけ堀
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかしながら彼の本国に行って聞いたら、先生だいぶ
化
(
ばけ
)
の皮が現われた。かの国のある学者が、クラークが植物学について口を
利
(
き
)
くなどとは不思議だ、といって笑っておりました。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この兇漢が
一旦
(
いったん
)
自分が罪に陥し入れた岩見を、夜分に
又復
(
また/\
)
刑事に
化
(
ばけ
)
るような危険を冒して、岩見を連れ出したのは何のためでしょうか。それは恐らく岩見のあとをつける為めです。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
一八五六年以降のお
化
(
ばけ
)
が国を売り大洋航路から追われて、上海をも含めた日本沿海航路をよたよたと稼がされるようになったころ、原始的蓄積会社の観がある維新政府の支持によって
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
まるで誤った議論でもなかなか
化
(
ばけ
)
の皮が現われず長く生命を保つことができる。
我らの哲学
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
「石部金吉の若殿をころりと
蕩
(
たら
)
した女だからの、それは美人に相違ないとも」「いやいや案外そうではあるまい。奇抜好みの若殿だ、
人
(
にん
)
三
化
(
ばけ
)
七の
海千物
(
うみせんもの
)
を可愛がっておられるに違いない」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これ
山川
(
さんせん
)
風土
(
ふうど
)
氣候等
(
きこうとう
)
、
地理的關係
(
ちりてきくわんけい
)
の
然
(
しか
)
らしむる
所
(
ところ
)
であつて、
凡
(
すべ
)
てのものは
小
(
こ
)
じんまりとして
居
(
を
)
り、
隨
(
したが
)
つて
化物
(
ばけもの
)
も
皆
(
みな
)
小規模
(
せうきも
)
である。
希臘
(
ぎりしや
)
の
神
(
かみ
)
は
皆
(
みな
)
人間
(
にんげん
)
で
僅
(
はづか
)
にお
化
(
ばけ
)
はあるが、
怖
(
こわ
)
くないお
化
(
ばけ
)
である。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
日本の文学にはしばしば未熟の狐とか、
化
(
ばけ
)
損
(
そこな
)
いの狐とかいうものが出て来る。妖気を伴うべき狐魅談に愛敬を生じ、滑稽が生れるのは全くこういう未熟な、化損いの徒が介在するためである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
其儘
(
そのまま
)
お
化
(
ばけ
)
にも成り兼ねない眼をして
睨
(
にら
)
み付け乍ら、
独語
(
ひとりごと
)
の様に云った。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
そんな鳥のお
化
(
ばけ
)
みたいな、おかしな馬なんてありゃしませんよ!
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
こんなに世が開けたのに、テエゲルにはお
化
(
ばけ
)
が出る。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「何で
化
(
ばけ
)
の皮を引きむいてやらんのだ!」
氷河
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
化
(
ばけ
)
さうな
傘
(
かさ
)
かす寺の
時雨
(
しぐれ
)
かな
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
いとおそろしき
化
(
ばけ
)
ものと
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
昔 お
化
(
ばけ
)
が出た井戸だ
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
“化”の解説
化(か)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
化
常用漢字
小3
部首:⼔
4画
“化”を含む語句
化粧
変化
道化
變化
教化
化物
孵化
所化
文化
道化師
消化
薄化粧
造化
化学
勧化
化膿
化生
化鳥
道化役
化転
...