何時迄いつまで)” の例文
ああ、お祖母ばあさんは先刻さっき穴へ入って了ったが、もう何時迄いつまで待ても帰って来ぬのだと思うと、急に私は悲しくなってシクシク泣出した。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
しかし何時迄いつまでもみているのは莫迦々々ばかばかしくなって、ぼくと柴山はその場をはずし、なんとなくそこらを散歩してから歩いて帰りました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
あゝ、老いたくない、ちたくない、何時迄いつまでも同じ位置と名誉とを保つて居たい、後進の書生輩などにかぶとを脱いで降参したくない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
伏拜ふしをがむこそ道理なれ又長兵衞夫婦は川崎宿まで送らんと同道なしけるに後藤も其志操のあつきをかん何時迄いつまで名殘なごりつきねどもまた跡々あと/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何時迄いつまでも君に具有している特権ではないのだぞ。ああ、それはほんの短い期間だ。その期間をこそ大事になさい。必ず自身を汚してはならぬ。
心の王者 (新字新仮名) / 太宰治(著)
生暖なまあたゝかいかぜく日であつた。くもつた天気が何時迄いつまで無精ぶせうそら引掛ひつかゝつて、中々なか/\れさうにない四時過からうちて、あに宅迄たくまで電車で行つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうそう此方こっちの勝手な時に呼び出されては、困るだろう。知栄だってお前がいないもんだから何時迄いつまでもねやしないし。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
名探偵木島刑事が楽園に泊り込み、日夜探偵に努力していたけれど、何時迄いつまで経っても何の手掛かりさえ掴めなかった。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
併し捨松は棒か杭のように、人波に押されても押されても、それに屹然と反抗しながら、何時迄いつまでも同じ場所に、立っていた。思案に暮れているのである——。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
事態いよ/\迫るれはいよ/\るに違いないと鑑定かんていして、内の方の政府を見れば何時迄いつまでも説が決しない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
歩兵ほへいたりかしこしと、『わたし何時迄いつまで何時迄いつまでも、毎日々々まいにちまいにち此處こゝすわつてればいンだ』と繰返くりかへしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それじゃア貸してもろうが、何時迄いつまでもぐず/″\してもられめえから、何か商法をひらき、悪い事をめて女房にょうぼでも持たんければいかんぜ、早く身を定めなさい
問、足下そくかは尚ほ何時迄いつまで著述ちよじゆつ従事じうじせれんとする乎(基督信徒きりすとしんとに他人の仕事しごとにする者おほし)。
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
飽きるって。そりゃどうだか、分りませんね。貴方あなたのように、敏感な方なら、直ぐに飽きるでしょうが、彼等のように鈍い感じしか持っていない人達は、何時迄いつまで同じことを
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そんなり方では運動を何時迄いつまでも大衆化することが不可能であることが分ったのである。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
併し花房一郎は何時迄いつまで経っても芦名兵三郎を縛りそうもありません。そればかりでなく、二三日経つと何もも忘れてしまったように、芦名と談笑して居ることさえありました。
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
あはれ何時迄いつまで狂氣きやうきでも有まじ其内には正氣しやうきに成るべしとてつれ歸り是も隱居所いんきよじよへ入置つかはせしに追々おひ/\正氣に相成あひなりければ又々以前の如く産婦さんぷ取揚とりあげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また地面ぢめん? 何時迄いつまでもあのことばかりかんがへてらつしやるのね。だつて、貴方あなた萬事ばんじよろしくねがひますと、叔父をぢさんにおつしやつたんでせう」とふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一次方程式、二次方程式、簡単なのは如何どうにかなっても、少し複雑のになると、エービーとが紛糾こぐらかって、何時迄いつまでってもエッキス膠着こびりついていて離れない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
どうして何時迄いつまでも過去を夢見て——あった日の貧弱な全盛にがって、獅噛しがみついてなんかいるのだろう?
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お前さんは如何して又此処に来たと云うようなけで、大変好都合であった。ソコで横浜に来たけれども、このまま何時迄いつまでもこの船の中に居られるものでない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
娘は怖いと思いましたから、思わず知らず飛退とびのはずみで、新吉の手へすがりましたが、蛇が居なくなりましたから手を放せばよいのだが、其の手が何時迄いつまでも放れません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自分も亦た変つた。独り変らないのは、馬鹿々々と呼ばれる斯人ばかり。斯う丑松は考へ乍ら、斯の何時迄いつまで児童こどものやうな、親戚も無ければ妻子も無いといふ鐘楼の番人に長の別離わかれを告げた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なに叔母をばさんのはうぢや、此方こつち何時迄いつまで貴方あなたことはふしたまんま、かまはずにくもんだから、それであゝおつしやるのよ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あつさて相談さうだんに及ぶは此度このたび不※はからづも感應院の横死わうしせしが子迚ことても無ればあと相續さうぞくさすべき者なしさりとて何時迄いつまでも當院を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その「型」の中で微動しながら創作をつづけて行くときはまずあぶな気がありません。一通りのものは作れます。そいつを何時迄いつまでもつづけていると作が生気を失います。
其頃の事をたれに聞いても、皆阿母おっかさんは能く辛抱なすったとばかりで、其他そのたに何も言わぬから、私の記憶に残る其時分の母は、何時迄いつまでっても矢張やっぱり手拭を姉様冠あねさまかぶりにして
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
末になると黄色くなってぱら/\落ちますから捨てゝ、今度は秋草がいと云った所が、此れもそう何時迄いつまでも保ちは致しません、すぐしおれてしまいますから揷 さしかえるというように
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
不実ふじつ性質たちではないから、大丈夫だけれども、何時迄いつまでも遊んでたべてゐる訳には行かないので、安否のわかる迄は仕方がないから、さとへ帰つてまつてゐるつもりだ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
源「これは槍で突かれました、手強てづよい奴と思いのほかなアにわけはなかった、しか此処こゝ何時迄いつまでこうしてはられないから、両人ふたりで一緒に何処いずくへなりとも落延おちのびようから、早く支度をしな」
この忙がしい日没時を、一人悠々と歩いているのは、考古学者のドイルス氏だけで、博士は葉巻をふかしながら、道で拾った蜥蜴とかげの化石を、かず何時迄いつまでも眺めつつ遅々として歩いているのであった。
木乃伊の耳飾 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ねつ普通ふつう風邪かぜよりも餘程よほどたかかつたので、はじめ御米およねおどろいたが、それは一時いちじことで、すぐ退いたには退いたから、これでもう全快ぜんくわいおもふと、何時迄いつまでつても判然はつきりしなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つまり、貴方あなただつて、何時いつか一度は、御奥さんをもらつもりなんでせう。いやだつて、仕方がないぢやありませんか。其様さう何時迄いつまでも我儘を云つた日には、御父おとうさんにまない丈ですわ。だからね。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「だから何時迄いつまでりて置いてやれと云つたのに。余計な事をして年寄には心配を掛ける。宗八さんには御談義をされる。是位これくらい愚な事はない」と丸で自分から事が起つたとはみとめてゐない申分である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)