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他愛
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たあい
ふりがな文庫
“
他愛
(
たあい
)” の例文
彼の人が来れば仕事の有る時は、一人
放
(
ほう
)
って置いて仕事をし、暇な時は寄っかかりっこをしながら
他愛
(
たあい
)
もない事を云って一日位座り
込
(
こ
)
んで居る。
秋風
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
からくりをぶちまければ、
他愛
(
たあい
)
もないことなのさ。砲弾が、ものをいったのは、砲弾の中に、小型の
受信機
(
じゅしんき
)
がついていて、わしの声を放送したんだ
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それっきりじゃ、
余
(
あん
)
まり
他愛
(
たあい
)
が無さ過ぎる。そりゃ残念な事をした、僕も見ればよかったぐらい義理にも云うがいい」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ウラニウムって、どんなものか知らないけど、あの抜け目のない叔母が、そんな
他愛
(
たあい
)
のない話に乗るでしょうか」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし、なお細かい鑑定のために入院させる必要が御座るというので、この精神科へ連れてくる手筈が、今からチャンときまっているから
他愛
(
たあい
)
ないね。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
なにか
他愛
(
たあい
)
なく輿の
周
(
まわ
)
りで
噪
(
さわ
)
ぎ合う風だった。兼好はそれに思い出して、ふところや袂をさぐった。雀がいない。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに立つてゐるのは、間のぬけた顔をした男で、
涎
(
よだれ
)
をくり/\何か
他愛
(
たあい
)
もないことをいつてゐた。よく聞いてみると、
頤
(
おとがひ
)
がはづれて困つてゐるといふのだつた。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ちょっと客も
途絶
(
とだ
)
えたので、番頭と小僧が
店頭
(
みせさき
)
の
獅噛火鉢
(
しがみひばち
)
を抱き合って、何やら
他愛
(
たあい
)
もないはなしに笑いあってると、
凍
(
い
)
てついた土を踏む跫音が
戸外
(
そと
)
に近づいて
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何の
他愛
(
たあい
)
もない
一些事
(
いちさじ
)
に過ぎない。だが、神経過敏になっている二郎には、ただ事とは思えなかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
(あゝ、あゝ、)と
濁
(
にご
)
つた
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
白痴
(
あはう
)
が
件
(
くだん
)
のひよろりとした
手
(
て
)
を
差向
(
さしむ
)
けたので、
婦人
(
をんな
)
は
解
(
と
)
いたのを
渡
(
わた
)
して
遣
(
や
)
ると、
風呂敷
(
ふろしき
)
を
寛
(
ひろ
)
げたやうな、
他愛
(
たあい
)
のない、
力
(
ちから
)
のない
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
シューラは
急
(
いそ
)
いでポケットの中から、この
年頃
(
としごろ
)
の男の子につきものになっている
他愛
(
たあい
)
のない
品々
(
しなじな
)
を、すっかり出して見せた——それから
両方
(
りょうほう
)
のポケットもひっくり
返
(
かえ
)
した。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
これと較べると、周三を邪魔物とした辰つアんなどはまだ
他愛
(
たあい
)
がなかつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
ヂョオジアァナは一時間毎に彼女のカナリアに
他愛
(
たあい
)
もないことを
喋
(
しや
)
べつてゐて、私を振り向きもしなかつた。しかし私はすることや
樂
(
たの
)
しみがなくて
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
に見えないやうにしようと決心してゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ありし
雛遊
(
ひなあそ
)
びの
心
(
こゝろ
)
あらたまらず
改
(
あらた
)
まりし
姿
(
すがた
)
かたち
気
(
き
)
にとめんとせねばとまりもせで
良
(
りやう
)
さん
千代
(
ちい
)
ちやんと
他愛
(
たあい
)
もなき
談笑
(
だんせふ
)
に
果
(
は
)
ては
引
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
す
喧嘩
(
けんくわ
)
の
糸口
(
いとぐち
)
最早
(
もう
)
来玉
(
きたま
)
ふな
何
(
なに
)
しに
来
(
こ
)
んお
前様
(
まへさま
)
こそのいひじらけに
見合
(
みあは
)
さぬ
顔
(
かほ
)
も
僅
(
はつ
)
か
二日目
(
ふつかめ
)
昨日
(
きのふ
)
は
私
(
わたし
)
が
悪
(
わ
)
るかりし
此後
(
このご
)
は
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いつかこの
他愛
(
たあい
)
のない雰囲気にくるまれると、馬春堂のごとき男すら、身は十か九ツの子供に立ち帰って、そぞろ昔、手をひいて歩いてくれた母や姉が
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにつれて
家
(
うち
)
ではどうしても解けなかった問題が、スラスラと
他愛
(
たあい
)
もなく解けて行くので、彼はトテモ愉快な気持になって時間の
経
(
た
)
つのを忘れていることが多かった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
父
(
ちゝ
)
の
死
(
し
)
んだ
時
(
とき
)
、
東京
(
とうきやう
)
で
逢
(
あ
)
つた
小六
(
ころく
)
を
覺
(
おぼ
)
えてゐる
丈
(
だけ
)
だから、いまだに
小六
(
ころく
)
を
他愛
(
たあい
)
ない
小供
(
こども
)
位
(
ぐらゐ
)
に
想像
(
さうざう
)
するので、
自分
(
じぶん
)
の
代理
(
だいり
)
に
叔父
(
をぢ
)
と
交渉
(
かうせふ
)
させ
樣抔
(
やうなど
)
と
云
(
い
)
ふ
氣
(
き
)
は
無論
(
むろん
)
起
(
おこ
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、毒瓦斯なんて、
他愛
(
たあい
)
もないものじゃ。ウィスキーになると、そうはいかん」
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何とかして
高飛車
(
たかびしや
)
に出てやらうと、
幾度
(
いくたび
)
か
下腹
(
したばら
)
に力を入れてみたが、その都度お爺さんが自慢さうに扱いてゐる銀のやうな長い髯が目につくので、
他愛
(
たあい
)
もない詰らぬ事を言つてしまつて
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其処
(
そこ
)
で、
人形
(
にんぎやう
)
やら、おかめの
面
(
めん
)
やら、
御機嫌取
(
ごきげんとり
)
に
拵
(
こしら
)
へて
持
(
も
)
つて行つては、
莞爾
(
につこり
)
させて
他愛
(
たあい
)
なく
見惚
(
みと
)
れて
居
(
ゐ
)
たものでがす。はゝゝ、はじめの
内
(
うち
)
は
納戸
(
なんど
)
の
押入
(
おしいれ
)
へ
飾
(
かざ
)
つての、
見
(
み
)
るな
見
(
み
)
るな、と
云
(
い
)
ふ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ここの侍女たちと、遠くのお部屋で、はや
双六
(
すごろく
)
遊びなどに、
他愛
(
たあい
)
もない御様子にございまする」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
代助は相手の
快
(
こゝろ
)
よささうな調子に釣り込まれて、
此方
(
こつち
)
からも
他愛
(
たあい
)
なく追窮した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
全
(
まつた
)
く
未来
(
みらい
)
でも
添
(
そ
)
へるのでせうか。』と
他愛
(
たあい
)
のない
言
(
こと
)
を
新婦
(
しんぷ
)
が
言
(
い
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
くらって
他愛
(
たあい
)
なく沈没してしまったというあれかね
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ホホホホ、雲助なんて、何という
他愛
(
たあい
)
がないんだろう……」お綱は見送って明るく笑った。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余
(
あまり
)
の
他愛
(
たあい
)
なさに、
効無
(
かひな
)
い
殺生
(
せつしやう
)
は
留
(
やめ
)
にしやう、と
発心
(
ほつしん
)
をした
晩
(
ばん
)
、これが
思切
(
おもひき
)
りの
網
(
あみ
)
を
引
(
ひ
)
くと、
一面
(
いちめん
)
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
の
水
(
みづ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、
大四手
(
おほよつで
)
が
張裂
(
はりさ
)
けるばかり
縦
(
たて
)
に
成
(
な
)
つて、ざつと
両隅
(
りやうすみ
)
から
高
(
たか
)
く
星
(
ほし
)
の
空
(
そら
)
へ
影
(
かげ
)
が
映
(
さ
)
して
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思いきって、こういってのけてみたものの、もし弦之丞が承知したら、なんと間が悪いことだろう、道中も
洒々
(
しゃしゃ
)
として歩けはしない、などとお綱は
他愛
(
たあい
)
もない取り越し苦労までする。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
陽
(
ひ
)
あたりのわるい堂上では、ややもすると、物の
怪
(
け
)
だとか、
穢
(
けが
)
れだとか、やれ
吉瑞
(
きちずい
)
の
凶兆
(
きょうちょう
)
のと、のべつ
他愛
(
たあい
)
ないおびえの中で暮しているが、おれたち、陽あたりのいい土壌の若者には
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女の
他愛
(
たあい
)
なさを、他愛なく笑ったのである。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
他愛
(
たあい
)
がありません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
他
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
“他”で始まる語句
他
他人
他所
他人事
他家
他処
他事
他国
他目
他所行