まんま)” の例文
彦「御隠居さま、長らく御不快でさぞお困りでしょう、今おまんまを炊いた処が、こげが出来たから塩握飯しおむすびにして来ましたからおあがんなさい」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「こっちのお乳をおかずにして、こっちのおおきい方をおまんまにして食べるんだって、」とぐッとめ附けて肩をすぼめ、笑顔で身顫みぶるいをして
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
【パッポ、ディンディ】papro(=pane), dindi(=denari)小兒の語、邦語にてまんまぜぜといふにあたる。
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「なあ、お松ッ子。帰りにゃかんざしを買って来てやらあ。いい子だから、おまんまけたら、一人で喰べて、先に寝ていな、いいだろ」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりとてうっちゃって置けもせず、干乾しにしちゃア可哀そうだと、おまんまだけはおときのつもりで、三度三度供えてやってるのさ
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「俺ら一生、人の頭をいじって、おまんまを頂戴しなくっちゃならんし、人間さまざまだ。寺坂なんて人あ、百年に一人だ、羨むにゃあ当らねえ」
寺坂吉右衛門の逃亡 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
そうすると後で叔父さんにむかって、源三はほんとに可愛かわいい児ですよ、わたしが血の道で口が不味まずくっておまんまが食べられないって云いましたらネ
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
べらぼうめえ、そんなおあしがころがってたらば、だなあ——こちとら親子がな、おい、先生! 三日がところおまんまにありつけようというもんだ。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
まんまも洗濯も、私がする方が早いのだけれど、めんどうを見てお前にさせてやるのは、みんなお前の為を思ふから※だ。
小むすめ (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「たいそう立派な口をお利きだねえ正さん。労咳ろうがい病みの薬料から其の日其の日のおまんま、いったい誰のお蔭で口へ入るのかおまえ知っておいでかえ」
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「糞ッ止めて止まらぬぞ」ト独言ひとりごとを言いながら再びまさ取旁付とりかたづけに懸らんとすると、二階の上り口で「おまんまで御座いますヨ」ト下女の呼ぶ声がする。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
でもね、人間てものは、どうやらこうやらおまんまがいただけて、それできょうがすごしていけりゃあア、それでいいってもんじゃありませんからね。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
明かしてやるんだ。おっかあ、おめえ達もその時にゃ赤のまんまでも炊いて祝いねえ。鯛は商売物だから、世話はねえ。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ぢい今朝けさのおまんまつめたくつたつけべわすれてばりにつたのがよ、さうしたらぢいとつくねえのがんだもの
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
月々八九円はいるそうですが。それをへらしてはならないとって。なんでも毛糸編みをして。それで姉さんがおまんままで炊いて。その上この子の学資を……。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
それから、その綺麗きれいな若いお月様の小母さまに、みんながおまんまを見せびらかしたり、またいろんなものをせびつたりします。やはり子供の小母さまですから。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つめてえ、井戸水でつら洗って。もうおまんまはあ出来でっし、おつけも、この茄子せえ入れればいいのだから、早く食ってはあ。——片岡さ行ぐのに遅ぐなんべ。」
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
まんまの茶碗へ一人前なら八分目位前の晩から水へ漬けておいて朝起きると鍋へ入れて火にかけて食塩を
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
彼奴あいつらア人間はおまんま喰わねえでも生きてるもんだと思っていやがらア。昼鳶ひるとんび持逃もちにげ野郎奴。」
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
われは年来如意にょいと申す物を造るため牛角を伸ぶるにかかる小蛇の油を取ってするなり、若き男その如意は何にすると問うた、知れた事だおまんまと衣のために売るのだと答う
四十ちかいガチャ鉄と仇名される赤ら顔で大男のそこの主人は、三度の飯より喧嘩が好きで、一日にいっぺん往来で撲り合いをしないとおまんまが美味しくたべられない男だった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「いえ、もうおまんまも何もたくさん。さっきから遠慮なしに戴いて、お腹が一杯だから」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
「平田さんもまだおいでなさらないんですね」と、お梅は仲どんが置いて行ッた台の物を上の間へ運び、「おまんまになすッちゃアいかがでございます。皆さんをお呼び申しましょうか」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
其樣な處へ歸るに當るものかちつともおつかない事は無いから私が家に居なさい、皆も心配する事は無い何の此子位のもの二人や三人、臺所へ板を並べておまんまを喰べさせるに文句が入る物か
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「今まで一人で、こんな処で何をしておった、おまんまが出来たからわそうと思うてめよった、おかあも手伝いに往っておっても、お前のことばかり心配しよる、早うんでおまんまにしよう」
放生津物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
賢一郎 (やや不快な表情をして)おたあさんおまんまを食べましょう。
父帰る (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「せえじゃ、話が済んだら、おまんまにしようじゃなえの」
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ずいぶん、おまんまを喰ふぢやないか
殴る (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
三両にまけた、なんでまんまくわす?
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
鼬が おまんま 炊くだとさ。
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「さあ、おまんまが出来たよ」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
まんまの茶あ沸かしてくんな
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
お前さんのうちに一年でも半年でも置いて、おまんまも炊かせ、徳利を提げて買物にかれるようにして、多助さんの所へ嫁にやって下さいな
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一軒えりゃそいつが食ってくだけ、みんなが一杯ずつおまんまの食分が減るように周章あわてやあがって、時々なんです、いさくさは絶えやせん。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
清盛という豪傑さん、頼朝という豪傑さん、義時という英雄さん、尊氏という英雄さん、ろくろく人におまんまも食わせず、叱ってばかりいるようだなあ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぢいはどうしたつぺ、おまんまたべたんべか」おつぎはあへていひけるといふ態度たいどでもなく勘次かんじむかつていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それあひょんなことからこうしてお前さんの厄介になって、まだほんとの名前も明かさないあたしだけれど、一日だって一つ釜のおまんまを食べれあまんざら他人でもないはず。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三度のおまんまをいただいている仕事道具をこんなにされ、親方が精進潔斎しょうじんけっさいして彫った碑銘まで、あんなに土足で踏みにじられているのに……べら棒め、だまっていられるかってんだ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな処へ帰るに当るものかちつともおつかない事は無いからわたしうちに居なさい、みんなも心配する事は無い何のこの子位のもの二人や三人、台所へ板を並べておまんまを喰べさせるに文句が入る物か
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
落語家が誤魔化してやる講談ゆゑ「定めしお聴きにくからうが、あなた方にアクビなんかされた日にはそれこそおまんまの喰上げですから、どうか人助けとおもつて耳をふさいで聴いてて下さい」
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
おど! おらうちさ行ぐでは。おまんまく時分だからは……」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ずいぶん、おまんまを喰ふぢやないか
小熊秀雄全集-15:小説 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
喉にまんまがとほらない
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
あかまんまいやいや。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
自分でおまんまを焚いたり何かますそれで綺麗好だから毎朝表の格子を拭きますよ、其の時其の前をわっちが通り掛ったら、うだろう
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私はお米ばかりのおまんまいだり、いたりしたの。おじいさんは、甘鯛と、まぐろと買って、お酒を提げて戻ったんです。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さあ、おまんまだえ」うたさわぎもんで一どうくちからにはか催促さいそくた。女房等にようばうらみな給仕きふじをした。うち女房にようばう
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其樣そんところかへるにあたるものかちつともおつかないこといからわたしうちなさい、みんなも心配しんぱいすることなん此子このこぐらゐのもの二人ふたり三人さんにん臺所だいどころいたならべておまんまべさせるに文句もんくるものか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「お金におまんまにお酒を戴き、今朝方は有難うございました」
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まんまはいやいや。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)