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長唄
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ながうた
ふりがな文庫
“
長唄
(
ながうた
)” の例文
私はもし何か、
長唄
(
ながうた
)
とか
清元
(
きよもと
)
、
歌沢
(
うたざわ
)
のお
稽古
(
けいこ
)
でも出来るようなのんきな時間があったとしたら、私はこのラッパの稽古がして見たい。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
さほどに懇意でない人は必ず私の母をば姉であろうと
訊
(
き
)
いた位でした。江戸の生れで大の芝居好き、
長唄
(
ながうた
)
が上手で
琴
(
こと
)
もよく
弾
(
ひ
)
きました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
子供のおり
富本
(
とみもと
)
を習った母よりも
長唄
(
ながうた
)
をしこんでもらっている私たちの方がすぐに覚えて、九連環なぞという小曲は、譜で弾けた。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
家内が
長唄
(
ながうた
)
を少しやるので、それで、
家
(
うち
)
でも母がチョイチョイ稽古をつけたりしましたのを私が聞いていて、どうもそう感じられました。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
富
(
ふ
)
の
字
(
じ
)
と
云
(
い
)
ふ
稱
(
な
)
からして
工面
(
くめん
)
のいゝ
長唄
(
ながうた
)
の
姉
(
ねえ
)
さんが、
煙管
(
きせる
)
を
懷劍
(
くわいけん
)
に
構
(
かま
)
へて、かみ
入
(
いれ
)
を
帶
(
おび
)
から
拔
(
ぬ
)
くと、
十圓紙幣
(
じふゑんしへい
)
が
折疊
(
をりたゝ
)
んで
入
(
はひ
)
つて
居
(
ゐ
)
る……
偉
(
えら
)
い。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
それから
豊前太夫
(
ぶぜんだいふ
)
が
来
(
き
)
ました。
富本
(
とみもと
)
上
(
じやう
)
るりに
庄
(
せう
)
五
郎
(
らう
)
が
来
(
き
)
ましたので、
長唄
(
ながうた
)
の
出囃
(
でばやし
)
が
有
(
あ
)
ります。岩「
成程
(
なるほど
)
これはえらい、ぢやア見に
行
(
い
)
きませう。 ...
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから
長唄
(
ながうた
)
か何からしいものが始まって、ガーガーいう歌の声とビンビン響く三味線の音で、すっかりわれわれの談話は
擾乱
(
じょうらん
)
されてしまった。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私が日本の俗曲では何といっても
長唄
(
ながうた
)
であると長唄礼讃を主張すると、長唄は奥さん向きの家庭音曲であると排斥して
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
またわたしの家の東隣りには望月太喜次さんという
長唄
(
ながうた
)
の女の師匠が住んでいて、わたしの姉もそこへ稽古に通った。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
免職の事を
吹聴
(
ふいちょう
)
したくも言出す
潮
(
しお
)
がないので、文三は余儀なく聴きたくもない
咄
(
はなし
)
を聞て
空
(
むな
)
しく時刻を移す内、
説話
(
はなし
)
は漸くに
清元
(
きよもと
)
長唄
(
ながうた
)
の優劣論に移る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
芝居で
長唄
(
ながうた
)
常磐津
(
ときわず
)
などの連中が舞台方に並んでいはゆる
出語
(
でがた
)
りなる者を
遣
(
や
)
る事があるが、それは能の囃方や地謡の舞台に並んで居るのと同じ趣である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
まだ興を
逐
(
お
)
うこの僻地に仮住する青年たちのために、有り合せの
毀
(
こわ
)
れギターをどうやら調整して、低音で
長唄
(
ながうた
)
の
吾妻八景
(
あずまはっけい
)
かなにかを弾いて聞かしている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
長唄
(
ながうた
)
のお
浚
(
さら
)
いにかかると、一時に五六番から十番も
弾
(
ひ
)
きつづけて
倦
(
う
)
むことを知らなかったが、宴会の席で浦島などを踊っても、
水際
(
みずぎわ
)
だった鮮かさがあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それはお雪ちゃんが、
名取
(
なとり
)
に近いところまでやったという
長唄
(
ながうた
)
でもない。好きで覚えた
新内
(
しんない
)
の一節でもない。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これを除いては、ここに数え挙げるのも
可笑
(
おか
)
しいほどの『
四
(
よ
)
つの海』という
長唄
(
ながうた
)
の本があるに過ぎない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのまた小えん自身にも、読み書きといわず
芸事
(
げいごと
)
といわず、何でも好きな事を仕込ませていた。小えんは
踊
(
おど
)
りも名を取っている。
長唄
(
ながうた
)
も
柳橋
(
やなぎばし
)
では指折りだそうだ。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
長唄
(
ながうた
)
の何か一くさりを弾いてお聴かせになったのでしょう。後でお医者の方たちはお兄様のお話を喜び、お姉え様の長唄を聴いた者は、その
音締
(
ねじめ
)
に感じ入ったのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
要は妻が
長唄
(
ながうた
)
仕込みで、この頃もよく人知れぬ憂さを紛らすために
弾
(
ひ
)
いているのが耳にあるせいか、まだあの
冴
(
さ
)
えた
撥
(
ばち
)
の音の方が淡いながらもなつかしく聞いていられた。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かつその変位の程度は
長唄
(
ながうた
)
においてはさほど大でないが、
清元
(
きよもと
)
および
歌沢
(
うたざわ
)
においては四分の三全音にも及ぶことがあり、野卑な
端唄
(
はうた
)
などにては一全音を越えることがある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
高木の母は
長唄
(
ながうた
)
の名手で現にお弟子さんに教えている
三味
(
しゃみ
)
の音が二階からきこえている。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私はその話を小供の時分から覚えていたが、ついぞそこにしまってあるという
噂
(
うわさ
)
の安兵衛が口を着けた枡を見たことがなかった。その代り娘の
御北
(
おきた
)
さんの
長唄
(
ながうた
)
は何度となく聞いた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの謡曲の「三井寺」や、
長唄
(
ながうた
)
の「娘
道成寺
(
どうじょうじ
)
」の一節に
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
さる名人の
長唄
(
ながうた
)
をきいたあとで、ふと心に浮かんだこと。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
芝居の噂や
長唄
(
ながうた
)
の会の話なぞをした後で
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それに薗八なぞは
長唄
(
ながうた
)
や
清元
(
きよもと
)
とはちがって今の師匠がなくなればちょっとその後をつぐべきものもないような始末ですから
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
藤間の大奴さんは長わずらいで世を去った。
長唄
(
ながうた
)
の師匠の望月太喜次さんはやはり東どなりに住んでいた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「あれはたしか、
長唄
(
ながうた
)
の
汐
(
しお
)
くみでしたっけかねえ。あの踊りはいいねえ、——
相逢傘
(
あいあいがさ
)
の末かけて……」
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
下谷
七軒町
(
しちけんちょう
)
酒井大学
(
さかいだいがく
)
という大名の屋敷に奉行をしていた婦人で、女芸一通り
能
(
よ
)
く出来(最も
長唄
(
ながうた
)
がお得意であった)、東雲師の妻として、好い取り合わせでありました。
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
『
四
(
よ
)
つの海』は抽斎の作った
謡物
(
うたいもの
)
の
長唄
(
ながうた
)
である。これは書と称すべきものではないが、前に挙げた『護痘要法』と
倶
(
とも
)
に、江戸時代に刊行せられた二、三葉の
綴文
(
とじぶみ
)
である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
踊りや
長唄
(
ながうた
)
を、そのころ愛人の
鹿島
(
かしま
)
と一緒に、本郷の講釈場の路次に
逼塞
(
ひっそく
)
し、辛うじて芸で口を
凌
(
しの
)
いでいた、かつての新橋の
名妓
(
めいぎ
)
ぽん太についてみっちり仕込まれたものだったが
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
音楽なども
長唄
(
ながうた
)
をのぞいては、むしろ日本のものより
傑
(
すぐ
)
れた西洋音楽を好みます。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
目を
煩
(
わず
)
らって、しばらく
親許
(
おやもと
)
へ、
納屋
(
なや
)
同然な二階借りで引き
籠
(
こ
)
もって、内職に、娘子供に
長唄
(
ながうた
)
なんか、さらって暮らしていなさるところへ、思い余って、細君が訪ねたのでございます。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僕は小学校へはいっていたころ、どこの
長唄
(
ながうた
)
の女師匠は亭主の
怨霊
(
おんりょう
)
にとりつかれているとか、ここの仕事師のお
婆
(
ばあ
)
さんは嫁の幽霊に責められているとか、いろいろの怪談を聞かせられた。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこへ
長唄
(
ながうた
)
の好きだとかいう
御母
(
おっか
)
さんが時々出て来て、
滑
(
すべ
)
っこい
癖
(
くせ
)
にアクセントの強い言葉で、
舌触
(
したざわり
)
の好い
愛嬌
(
あいきょう
)
を振りかけてくれる折などは、昔から
重詰
(
じゅうづめ
)
にして蔵の二階へしまっておいたものを
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのまま
長唄
(
ながうた
)
にしての独吟あり廻つて
河庄茶屋場
(
かわしょうちゃやば
)
となる
二幕目
(
ふたまくめ
)
は
竹本連中
(
たけもとれんじゅう
)
出語
(
でがたり
)
にてわれら聞馴れし
炬燵
(
こたつ
)
の
場
(
ば
)
引返
(
ひきかえ
)
して
天満橋太兵衛殺
(
てんまばしたへえごろし
)
の
場
(
ば
)
となる。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
となりの
長唄
(
ながうた
)
のお師匠さんの家では、日曜日でも
稽古三味線
(
けいこじゃみせん
)
の音がきこえた。来月の
七夕
(
たなばた
)
には何か色紙を書くのだと言って、女中は午後から一生懸命に手習いをしていた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
町の中ほどには
紅勘
(
べにかん
)
(小間物屋)があってこれも有名でした。紅勘で思い出すが、その頃、
鉦
(
かね
)
と
三味線
(
さみせん
)
で
長唄
(
ながうた
)
を歌って流して歩いた紅勘というものがあって評判でありました。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
末
(
すそ
)
の方へいって伴奏に三味線がはいるのを、
長唄
(
ながうた
)
研精会の
稀音家和三郎
(
きねやわさぶろう
)
が引きうけていた。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
次で陸は
本所
(
ほんじょ
)
亀沢町
(
かめざわちょう
)
に看板を懸けて
杵屋勝久
(
きねやかつひさ
)
と称し、
長唄
(
ながうた
)
の師匠をすることになった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
芸者の昼の時間もそう
閑
(
ひま
)
ではなく、主人の居間から自分たちの寝る処の拭き掃除に、
洗濯
(
せんたく
)
もしなければならず、お稽古も時には
長唄
(
ながうた
)
に
常磐津
(
ときわず
)
、小唄といったふうに、二軒くらいは行き
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もっとも父は
疳癖
(
かんぺき
)
の強い割に陰性な男だったし、母は
長唄
(
ながうた
)
をうたう時よりほかに、大きな声の出せない
性分
(
たち
)
なので、僕は二人の言い争そう現場を、父の死ぬまでいまだかつて目撃した事がなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自動車にも乗ろう。園遊会にも行こう。
浪花節
(
なにわぶし
)
も聞こう。女優の
鞦韆
(
ぶらんこ
)
も下からのぞこう。
沙翁劇
(
さおうげき
)
も見よう。洋楽入りの
長唄
(
ながうた
)
も聞こう。頼まれれば小説も書こう。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのあとが
馬場勝
(
ばばかつ
)
一派の
長唄
(
ながうた
)
——馬場は浅草橋の橋手前、
其処
(
そこ
)
に住む
杵屋
(
きねや
)
勝三郎といった長唄三味線の名人、
夜一夜
(
よひとよ
)
唄うにまかせ、狂うにまかせ、市中は明るい不眠症にかかって
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
なぜ奥さんを
伴
(
つ
)
れて来なかったのかとか、今の夫婦ものは浜の
生糸屋
(
きいとや
)
さんだとか、旦那が細君に毎晩義太夫を習っているんだとか、
宅
(
うち
)
のお
上
(
かみ
)
さんは
長唄
(
ながうた
)
が上手だとか、いろいろの問をかけると共に
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
云
(
い
)
ふのは、お
糸
(
いと
)
が
長唄
(
ながうた
)
の
稽古
(
けいこ
)
帰りに
毎朝
(
まいあさ
)
用もないのに
屹度
(
きつと
)
立寄
(
たちよ
)
つて見る、
其
(
そ
)
れをば
長吉
(
ちやうきち
)
は必ず待つてゐる
様子
(
やうす
)
で
其
(
そ
)
の時間
頃
(
ごろ
)
には
一足
(
ひとあし
)
だつて窓の
傍
(
そば
)
を去らない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
長唄
(
ながうた
)
でも、
富本
(
とみもと
)
でも、
清元
(
きよもと
)
でも、
常磐津
(
ときわず
)
でも、おしかさんは決して何処へでても負けはとらない腕
利
(
き
)
きで、大柄な、年の加減ででっぷりして来たが、若い時分にはさぞと思われる立派な
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
というのは、お糸が
長唄
(
ながうた
)
の稽古帰りに毎朝用もないのにきっと立寄って見る、それをば長吉は必ず待っている様子でその時間
頃
(
ごろ
)
には
一足
(
ひとあし
)
だって窓の
傍
(
そば
)
を去らない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
冬は朝早くから
寒
(
かん
)
ざらいといって
長唄
(
ながうた
)
のおさらいをする。
午後
(
おひる
)
っからもする。三味線の音がよく聞えるので、ソラおあぐさんはお
浚
(
さら
)
いだと私も三味線をもたされるので、その方角は鬼門だった。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
知人の婚礼にも葬式にも行かないので、歯の浮くような祝辞や
弔辞
(
ちょうじ
)
を傾聴する苦痛を知らない。
雅叙園
(
がじょえん
)
に行ったこともなければ洋楽入の
長唄
(
ながうた
)
を耳にしたこともない。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その時分ふとした話から旧友のヨウさんも
長唄
(
ながうた
)
哥沢
(
うたざわ
)
清元
(
きよもと
)
といろいろ道楽の
揚句
(
あげく
)
が薗八となり既に二
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“長唄”の解説
長唄(ながうた)は、近世邦楽の一ジャンル、三味線音楽の一ジャンル、江戸の音曲の一つであり、正式名称は江戸長唄(えど ながうた)という。
またこれとは別に、地歌の一分類として上方長歌(かみがた ながうた)がある。
(出典:Wikipedia)
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
唄
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“長唄”で始まる語句
長唄下方