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釣瓶
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つるべ
ふりがな文庫
“
釣瓶
(
つるべ
)” の例文
上窄
(
うへすぼま
)
りになつた桶の
井筒
(
ゐづゝ
)
、鉄の車は少し欠けてよく綱がはずれ、
釣瓶
(
つるべ
)
は一方しか無いので、釣瓶縄の一端を屋根の柱に
結
(
ゆ
)
はへてある。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
釣瓶
(
つるべ
)
は外してありますが、覗くと山の手の高台の井戸らしく、石を畳み上げて水肌から五六間、
苔
(
こけ
)
と虎耳草が一パイ
生
(
は
)
えております。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
上窄
(
うえすぼま
)
りになった
桶
(
おけ
)
の
井筒
(
いづつ
)
、鉄の
車
(
くるま
)
は少し
欠
(
か
)
けてよく綱がはずれ、
釣瓶
(
つるべ
)
は一方しか無いので、
釣瓶縄
(
つるべなわ
)
の一端を屋根の柱に
結
(
ゆ
)
わえてある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それがわからないなりに井戸の車の輪を見上げると、
釣瓶
(
つるべ
)
の一方が、車の輪のところへ食い上って逆立ちをしているように見えます。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
北側に密接してある台所では水瓶の水を更ふる音、茶碗、皿を洗ふ音漸く止んで、南側の垣外にある
最合
(
もあひ
)
井の
釣瓶
(
つるべ
)
の音まだ止まぬ。
夏の夜の音
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
家の南側に、
釣瓶
(
つるべ
)
を伏せた井戸があるが、十時ころになると、天気さえよければ、細君はそこに
盥
(
たらい
)
を持ち出して、しきりに
洗濯
(
せんたく
)
をやる。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
恐らく備忘録をつけるのであろう、平之助旦那はなにがなにやらわからず、
釣瓶
(
つるべ
)
へ手を掛けたまましばらくその後を見送っていた。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と言う処へ、しとやかに、
階子段
(
はしごだん
)
を下りる音。トタンに井戸端で、ざあと鳴ったは、柳の枝に風ならず、
長閑
(
のどか
)
に
釣瓶
(
つるべ
)
を
覆
(
かえ
)
したのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
或時長頭丸即ち
貞徳
(
ていとく
)
が公を
訪
(
と
)
うた時、公は
閑栖
(
かんせい
)
の
韵事
(
いんじ
)
であるが、
和
(
やわ
)
らかな日のさす庭に出て、
唐松
(
からまつ
)
の
実生
(
みばえ
)
を
釣瓶
(
つるべ
)
に手ずから植えていた。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
釣瓶
(
つるべ
)
を上げると、又八は、それへ、かぶりつくようにして水を飲んでいた。ついでに釣瓶を下において、ざぶざぶと顔の汗を洗う。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お仙は
襷
(
たすき
)
をかけて裏手の井戸へ水を汲みに出ると、春のゆう日は長い井戸綱を照して、
釣瓶
(
つるべ
)
からは玉のような水がこぼれ出した。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
無数の岩塊が跡からも跡からも止め度なく崩れて、谷の中は一しきり速射砲を
釣瓶
(
つるべ
)
打ちに放ったような音が鳴り止まずにいた。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
エジツが薄気味悪がるのも道理、昼さへ光の
射
(
さ
)
さぬ闇の底に更に深い泉が湧いて居る。其れを
轆轤仕掛
(
ろくろじかけ
)
の
釣瓶
(
つるべ
)
で汲むのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「気の毒気の毒」と思い
寐
(
ね
)
にうとうととして眼を覚まして見れば、
烏
(
からす
)
の
啼声
(
なきごえ
)
、雨戸を繰る音、裏の井戸で
釣瓶
(
つるべ
)
を
軋
(
きし
)
らせる
響
(
ひびき
)
。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二人はそれから
田圃
(
たんぼ
)
の中にある百姓家を訪れた。百姓家では薄汚い
女房
(
かみ
)
さんが、
裸足
(
はだし
)
のまゝ
井戸側
(
ゐどばた
)
で
釣瓶
(
つるべ
)
から口移しにがぶがぶ水を飲んでゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昔天人が降つて遊んだ松原のあたりに、月のよい夜時々天から大きな
釣瓶
(
つるべ
)
が
繩
(
なは
)
をつけて下ろされる、それは天人が風呂をたてる水を汲むのでした。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
染八の
首級
(
くび
)
は、
碇綱
(
いかりづな
)
のように下がっている
撥
(
は
)
ね
釣瓶
(
つるべ
)
の縄に添い、落ちて来たが、地面へ届かない
以前
(
まえ
)
に消えてしまった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
卯平
(
うへい
)
は
彼
(
かの
)
ぼんやりした
心
(
こゝろ
)
が
其處
(
そこ
)
へ
繋
(
つな
)
がれたやうに
釣瓶
(
つるべ
)
を
凝視
(
ぎようし
)
した。
彼
(
かれ
)
は
暫
(
しばら
)
くしてから
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
其
(
その
)
癖
(
くせ
)
の
舌
(
した
)
を
鳴
(
な
)
らしながら
釣瓶
(
つるべ
)
へ
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その蔭が地の上に落ち、はっきりと
刻
(
きざ
)
んだ。井戸の
釣瓶
(
つるべ
)
の縄はいつの間にか切れて、もはや水を上げる役にたたない。
抜髪
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
釣瓶
(
つるべ
)
うちに、百
雷
(
らい
)
の崩れおちるような物凄い大音響がした。パッと丸の内方面が明るくなったと思うと、毒々しい火焔がメラメラと立ちのぼり始めた。
空襲下の日本
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だから、あんな奴にと思うような男に多くの女がひっかかって、
恋猟人
(
ラブハンタア
)
の附け目となり、
釣瓶
(
つるべ
)
打ちにもされるのだ。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
こんなことをお延が言って、
年長
(
としうえ
)
の従姉妹を笑わせた。お俊は
釣瓶
(
つるべ
)
の水を分けて貰って
復
(
ま
)
たジャブジャブ洗った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それっというので若い者が
釣瓶
(
つるべ
)
を
手繰
(
たぐ
)
って苦もなく引揚げたが、井戸の縁まで上って来た女の屍骸を一眼見て、三次初め一同声も出ないほど
愕
(
おどろ
)
いてしまった。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
冷水摩擦が奨励されると毎朝衆に先んじて真つ裸になり
釣瓶
(
つるべ
)
の水を頭から浴びて見せる空勇気を自慢にした。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
知らぬ事とて
今朝
(
けさ
)
までも
釣瓶
(
つるべ
)
の縄の氷を
愁
(
つ
)
らがつたは
勿躰
(
もつたい
)
ない、学校ざかりの年に蜆を担がせて姉が長い着物きてゐらりようか、伯父さま
暇
(
いとま
)
を取つて下され
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ズバン! ズバン! バリバリバリバリババーン! と頭の上ではなく、空の横ッチョあたりのところから紫色の火花を散らして、
釣瓶
(
つるべ
)
打ちにして雷撃してくる。
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
第一の
釣瓶
(
つるべ
)
一杯をからにして、娘は更に二杯目を汲み、次に三杯目を汲んだ。そして庭中に水をやった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
裏が猛宗の竹薮で、前が石燈籠と
釣瓶
(
つるべ
)
井戸などのある広いお庭。ずゐぶん気分は出た事と思ひます。
父八雲を語る
(新字新仮名)
/
稲垣巌
(著)
それからまた庭に
這入
(
はい
)
って、
餅搗
(
もちつ
)
き用の
杵
(
きね
)
を撫でてみた。が、またぶらぶら流し元まで戻って来ると
俎
(
まないた
)
を裏返してみたが急に彼は
井戸傍
(
いどばた
)
の
跳
(
は
)
ね
釣瓶
(
つるべ
)
の下へ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
井戸の滑車が悲しげに
軋
(
きし
)
り、
釣瓶
(
つるべ
)
のぶつかる音もする。……クージカは身体一面に露を浴びて、睡くて
懶
(
だる
)
いらしい。馬車の中に坐って、のろくさと長上衣を着ている。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼のいた所からは見えなかったが、その仕掛ははね
釣瓶
(
つるべ
)
になっているらしく、汲みあげられて来る水は大きい木製の釣瓶
桶
(
おけ
)
に溢れ、樹々の緑が
瑞
(
みず
)
みずしく映っている。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
私ははじめて見る藁屋根や、破れた土壁や、ぎりぎり音のする
撥
(
は
)
ね
釣瓶
(
つるべ
)
などがひどく気にいつて伯母さんとそこへ菓子を買ひにゆくのが大きな楽しみのひとつになつた。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
源右衛門の家の背戸は、葉の落ちた
野茨
(
のいばら
)
、
合歓木
(
ねむのき
)
、うつぎなどの枝木で殆んど覆われている。家の腰を覆うて枯蘆もぼうぼうと生えている。はね
釣瓶
(
つるべ
)
の尖だけが見える。
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
古
釣瓶
(
つるべ
)
へ
薄
(
すすき
)
と野菊の投げいれ、わき床にはあしと柳の盆栽、別室にはお約束の灯心十余筋をいれた灯明皿を置いて型通りの道具立て、万端整ったところで場所柄だけに
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
夜半
(
よは
)
近くまでおくれし月は、その形白熱の
釣瓶
(
つるべ
)
のごとく、星を我等にまれにあらはし 七六—七八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「二階の下に飛石が三つばかり
筋違
(
すじかい
)
に見えて、その先に
井桁
(
いげた
)
があって、
小米桜
(
こごめざくら
)
が
擦
(
す
)
れ擦れに咲いていて、
釣瓶
(
つるべ
)
が触るとほろほろ、井戸の中へこぼれそうなんです。……」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目の上一杯にひろがっている夕空がみるみる言葉どおりの
釣瓶
(
つるべ
)
落としに暮れいろを深めそめ
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
自動車は、また、八寸置きに布片の目じるしをくゝりつけた田植縄の代りに木製の新案特許の
枠
(
わく
)
を持って来た。
撥
(
は
)
ね
釣瓶
(
つるべ
)
はポンプになった。
浮塵子
(
うんか
)
がわくと白熱燈が使われた。
浮動する地価
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
釣瓶
(
つるべ
)
だの、
手桶
(
ておけ
)
だの、
片
(
かた
)
手桶だの、
注口
(
そそぎくち
)
の附いたのや附かない木の酌器だの、
柄杓
(
ひしゃく
)
だの、白樺の皮でつくった
曲物
(
まげもの
)
だの、よく女が苧やいろんなくだらないものを入れる桶だの
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
鹿になった自分は窓から中庭にのがれて、アカシヤの木陰をかけぬけ、古い井戸の側に行って、
釣瓶
(
つるべ
)
から滴る水が身体の上に落ちると、自分はいつか
美
(
うるは
)
しい女になって歩いてゐる。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
古い井戸側は半分朽ちて、まっ青な
苔
(
こけ
)
が厚くついていて、その水のきれいなこと、
溢
(
あふ
)
れる水はちょろちょろ流れて傍の田圃へ這入ります。
釣瓶
(
つるべ
)
はなくて、木の
杓
(
しゃく
)
がついていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
一番日の永い頂上は申すまでもなく
夏至
(
げし
)
でありますが、前申した秋の日の
釣瓶
(
つるべ
)
落しというようにそのにわかに日の短くなった心持が冬の頂上よりもかえって秋において強いように
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
井戸端で足を洗っているらしく、
釣瓶
(
つるべ
)
の音や水のはじける音がし、それに交って何かひそかに話し合っている。納戸に寝ていたいねは
脹
(
は
)
れ物のひいたように初めて大きな息をした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ちょうどこの頃、ユミの家の井戸からも、追いかけるように
釣瓶
(
つるべ
)
の音が聞えてくる。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
ただ勝手口に、隣近所の男衆や女中達が代る代る水を
貰
(
もら
)
いに来るらしく、モーターが止ったので
釣瓶
(
つるべ
)
をばちゃんと落す音や、お秋やお花を相手に被害の
噂
(
うわさ
)
をしている声が折々聞えた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
釣瓶
(
つるべ
)
をツブレ、
蕪
(
かぶら
)
をカルバ、
汐平
(
しおひ
)
をヒオシという地方のあるのもまた同じことで、古くは
佐伯
(
さえき
)
を「
叫
(
さけ
)
び」の訛だと解し、近くはモスリンをメリンスの転音なども、また同一のものである。
サンカ者名義考:――サンカモノは坂の者
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
するとドーン、ドーンと
釣瓶
(
つるべ
)
打ちに大砲の音がしはじめ、客席がざわめき、観客が席をたち始めました。けれど私は晴れの初舞台ですから、そんなことに頓着せず、一生懸命にうたいました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
一日暑い盛りに門へ出たら、木陰で
桶屋
(
おけや
)
が
釣瓶
(
つるべ
)
や桶のたがをはめていた。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「や、拙者も同じく剣道の師匠の身の上を案じてだ。兎に角互いに急ごう。秋の日は
釣瓶
(
つるべ
)
落しとやら。暮れるに早いで、
責
(
せ
)
めて布川から布佐への本利根の渡しだけは、明るい間に越して置きたい」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「しかし、うちのだつて、もう
釣瓶
(
つるべ
)
が底につかへるんだらう。」
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
“釣瓶”の解説
釣瓶・釣る瓶(つるべ)とは、井戸において、水をくみ上げる際に利用される、綱等を取り付けた桶などの容器をいい、後に、それを引き上げる天秤状の釣瓶竿や滑車など機構の一切を指すようになった。
(出典:Wikipedia)
釣
常用漢字
中学
部首:⾦
11画
瓶
常用漢字
中学
部首:⽡
11画
“釣瓶”で始まる語句
釣瓶落
釣瓶打
釣瓶縄
釣瓶井戸
釣瓶撃
釣瓶形
釣瓶覆
釣瓶棹
釣瓶竿
釣瓶繩