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や
ふりがな文庫
“
野
(
や
)” の例文
十常侍の徒輩が、あまりにも賢を追い邪を容れて、目をおおうばかりな暴状に、官吏がいやになって、
野
(
や
)
に隠れていた者でございます
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ハヽヽヽ、士ですからね、私は。何時、官を退いて
野
(
や
)
に帰るかも知れませんよ、ハヽヽヽ、帰る、帰る、帰る……例へば、ですよ。」
鏡地獄
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
しかもこの戦争の影とも見るべき一片の周囲を
繞
(
めぐ
)
る者は万歳と云う歓呼の声である。この声がすなわち満洲の
野
(
や
)
に起った
咄喊
(
とっかん
)
の反響である。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
諸君は、先生が
野
(
や
)
に下られたことを少しも悲観されることはありませんぞ。天下の道義が地におちてすでに久しいものですが、天は、先生を
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
露西亜
(
ロシア
)
の東方経略を警戒した玄洋社の連中が、
生命
(
いのち
)
知らずの若い連中を満蒙の
野
(
や
)
に放って、恐支病と恐露病に陥っている日本の腰抜け政府を激励し
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
この年の十月には政府に大
更迭
(
こうてつ
)
があって、
大隈重信
(
おおくましげのぶ
)
が俄かに
野
(
や
)
にくだった。つづいて板垣退助らが自由党を
興
(
おこ
)
した。
有喜世新聞の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
野
(
や
)
にあって腕のムズ
痒
(
がゆ
)
さに堪えぬ
者共
(
ものども
)
を幕府が召し集めて、最も好むところの腕立てに任せる役目ですから、毒を以て毒を制すると
謂
(
いい
)
つべきものです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
われわれ東京の庶民が満洲の
野
(
や
)
に風雲の起った事を知ったのは其の前の年、昭和五六年の間であった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自分はしばしば思った、こんな日に武蔵野を大観することができたらいかに美しいことだろうかと。二日置いて九日の日記にも「風強く秋声
野
(
や
)
にみつ、
浮雲変幻
(
ふうんへんげん
)
たり」
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その道々の人が同じように世にある思いをしたのである。
野
(
や
)
に遺賢なしという形であった。順徳天皇は特に同じ御性質であったので、院と非常によく似通っておられる。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
色紙、短冊、扇面、紙本、立どころに、雨となり、雲となり……いや少し慎もう……竹となり、蘭となる。……情流既に枯渇して、今はただ
金慾
(
きんよく
)
、
野
(
や
)
を
燎
(
や
)
く髯だからね。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
相
(
そう
)
、
豆
(
ず
)
、
駿
(
すん
)
、
遠
(
えん
)
、
尾
(
び
)
、
濃
(
のう
)
の間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで
蔓延
(
まんえん
)
し、東は
房
(
ぼう
)
、
総
(
そう
)
、
常
(
じょう
)
、
野
(
や
)
、
武
(
ぶ
)
、
信
(
しん
)
の諸州にも
伝播
(
でんぱ
)
し、当年に至りては
奥
(
おう
)
州に漸入するを見る。
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
確立すべき土壌は前の時代を
措
(
お
)
いてはあり得ない、
野
(
や
)
の遺賢は貢士として集められ、集議院をつくっているのだ。
薩賊
(
さつぞく
)
討伐の
檄
(
げき
)
をとばした憎まれものの雲井竜雄さえその一員に迎えた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
と、五百台が五つ六つの縦隊をつくって、無人の
野
(
や
)
を走るように進んで来る。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
この書生輩の
行末
(
ゆくすえ
)
を察するに、専門には
不得手
(
ふえて
)
にしていわゆる事務なるものに長じ、
私
(
し
)
に適せずして官に適し、官に容れざれば
野
(
や
)
に煩悶し、結局は官私不和の
媒
(
なかだち
)
となる者、その大半におるべし。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
真白羽
(
ましろは
)
の七面鳥の夏すがたかがやかに小さし
野
(
や
)
を隔て見ゆ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雪の
野
(
や
)
の
路
(
みち
)
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
討匪
(
とうひ
)
将軍の
印綬
(
いんじゅ
)
をおびて、遠く
洛陽
(
らくよう
)
の王府から、黄河口の広宗の
野
(
や
)
に下り、五万の官軍を率いて軍務についていた中郎将
盧植
(
ろしょく
)
は
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一面に茶渋を流した様な
曠
(
こう
)
野
(
や
)
が
逼
(
せま
)
らぬ波を描いて続く間に、
白金
(
しろがね
)
の筋が
鮮
(
あざや
)
かに割り込んでいるのは、日毎の様に浅瀬を馬で渡した河であろう。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
説
(
と
)
くところ、指導するところは、昔の
野
(
や
)
に在る教育家の、事あれ主義を目標にした修養論と違って、何等の生命をも含まぬものばかりであった。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
愚痴なようだが、やはり
野
(
や
)
には下りたくないものだ。道を楽むの何のと云っても、官職を離れたが最後、世間の評価はすぐ変って来る。それが世の中というものだ。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
せっかく、訪ねて来たがんりきのために
野
(
や
)
を清めてしまったうえは、今夜の御定宿はひとつ、そのお代官邸のお部屋様のお座敷と、こういう寸法にきめてやろうじゃねえか——
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嘗
(
かつ
)
て、ものに
記
(
しる
)
して、
東海道中
(
とうかいだうちう
)
、
品川
(
しながは
)
のはじめより、
大阪
(
おほさか
)
まはり、
山陰道
(
さんいんだう
)
を
通
(
つう
)
じて、
汽車
(
きしや
)
から、
婀娜
(
あだ
)
と、しかして、
窈窕
(
えうてう
)
と、
野
(
や
)
に、
禽類
(
きんるゐ
)
の
佳人
(
かじん
)
を
見
(
み
)
るのは、
蒲田
(
かまた
)
の
白鷺
(
しらさぎ
)
と、
但馬
(
たじま
)
豐岡
(
とよをか
)
の
鶴
(
つる
)
ばかりである
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はなはだしきは「
野
(
や
)
に遺賢なし」と言いてこれを悦ぶ者あり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
腥風
(
せいふう
)
野
(
や
)
を
蔽
(
おお
)
うとはこの一瞬のことであった。宵はすでに暗く、死闘のおめきは、一声一声、血のにおいをふくんで天を
翔
(
か
)
ける風となった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「人を
屠
(
ほふ
)
りて
餓
(
う
)
えたる犬を救え」と雲の
裡
(
うち
)
より叫ぶ声が、
逆
(
さか
)
しまに日本海を
撼
(
うご
)
かして満洲の果まで響き渡った時、日人と露人ははっと
応
(
こた
)
えて百里に余る一大
屠場
(
とじょう
)
を
朔北
(
さくほく
)
の
野
(
や
)
に開いた。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また、曹操は北方の山をこえて、
淮南
(
わいなん
)
の
野
(
や
)
を真下にのぞみ、すでにその総司令部を寿春からほど遠からぬ地点まで押しすすめてきたという。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神の
代
(
よ
)
を空に鳴く
金鶏
(
きんけい
)
の、
翼
(
つばさ
)
五百里なるを一時に
搏
(
はばたき
)
して、
漲
(
みな
)
ぎる雲を下界に
披
(
ひら
)
く大虚の
真中
(
まんなか
)
に、
朗
(
ほがらか
)
に浮き出す
万古
(
ばんこ
)
の雪は、末広になだれて、八州の
野
(
や
)
を圧する勢を、左右に展開しつつ、
蒼茫
(
そうぼう
)
の
裡
(
うち
)
に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いま
彤雲
(
とううん
)
野
(
や
)
に起って、
朔風
(
さくふう
)
天に雪をもよおす。まさにわが計を用うべき時である。姜維は一軍をひきいて敵近く進み、予が
紅
(
くれない
)
の旗をうごかすのを
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老人は当人に代って、満洲の
野
(
や
)
に日ならず出征すべきこの青年の運命を余に
語
(
つ
)
げた。この夢のような詩のような春の里に、
啼
(
な
)
くは鳥、落つるは花、
湧
(
わ
)
くは
温泉
(
いでゆ
)
のみと思い
詰
(
つ
)
めていたのは間違である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
、そう悲観はしないつもりだが、今夜はがっかりしてしまった。——
野
(
や
)
に隠れ淵に潜むとも、いつか蛟龍は風雲を
捉
(
とら
)
えずにいないと信じていたが
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むしろこの際、
野
(
や
)
に隠れたる大人物を挙げ、これに
印綬
(
いんじゅ
)
を下し給うて、孔明をして窮せしめるに
如
(
し
)
く策はありません
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さなきだにもう心から漢朝を思う忠臣は、多くは
亡
(
な
)
き数に入り、或いは老いさらばい、または
野
(
や
)
に退けられて、骨のある人物というものは全くいなかった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野
(
や
)
に
遺賢
(
いけん
)
なしということばがありますが、いつの時代になろうが、かならず人の中には人がいるものです。ただ、それを見出す人のほうがいません。また、それを
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、
野
(
や
)
には
遺賢
(
いけん
)
だらけだ。あなたもこの旗の座にきてください。天に代って共に道を行いましょう」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師
法然
(
ほうねん
)
の
訃
(
ふ
)
を途上で聞いて、都へ
上洛
(
のぼ
)
るのを断念して、
野
(
や
)
へ去った親鸞の本願は、今こそ届いた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに、幸いにも、天、孔明を世に出し給うは、天なお漢朝を捨て給わぬしるしである。われ今勅を
畏
(
かしこ
)
み、忠勇なるわが蜀兵と、生死をちこうてここ
祁山
(
きざん
)
の
野
(
や
)
に出たり。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢守秀綱とか、土佐守卜伝とかは、たとえ
野
(
や
)
に在っても、土地の豪族なので、弟子郎党など四、五十人も召連れて、小姓の
拳
(
こぶし
)
に鷹をすえさせ、
乗更馬
(
のりかえうま
)
など美々しく
曳
(
ひ
)
かせて遊歴した。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師の日野民部
忠経
(
ただつね
)
は、元
南家
(
なんけ
)
の
儒生
(
じゅせい
)
で、儒学においては、
朝
(
ちょう
)
に
陰陽師
(
おんみょうじ
)
の安倍
泰親
(
やすちか
)
、
野
(
や
)
に日野民部といわれるほどであったが、
磊落
(
らいらく
)
な
質
(
たち
)
で、名利を求めず、里にかくれて、児童たちの教育を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうしてさう斷定できるかといへば、數千年の社會の變革によつて、前に述べたやうな、無數の祖先は、
朝
(
てう
)
にあつて權を執つたこともあらうし、
野
(
や
)
に下つて庶民の下層にかくれたこともあらう。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
この一戦に、荊州の軍勢はみだれて、孫堅の
旗幟
(
きし
)
は十方の
野
(
や
)
を圧した。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とはいえ、かりそめにも、小野次郎右衛門を、その次席に登用したことは、けだし
野
(
や
)
に
遺賢
(
いけん
)
なからしむる意味で、北条安房守そのほかの幕臣にしてみれば、かなりな勇断と破格を示したものであった。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
緑林
(
りょくりん
)
の
徒
(
と
)
の涙を見て、
史進
(
ししん
)
、彼らを再び
野
(
や
)
へ放つこと
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野
(
や
)
に
真人
(
しんじん
)
あり
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“野”の意味
《名詞》
(の)農耕や営林といった経済的活動にほとんど利用されていない、比較的平坦な土地。
(ヤ)政権を握っていない立場。
(出典:Wiktionary)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
“野”を含む語句
上野
曠野
野猪
小野
野面
荒野
野合
野宿
吉野
大野
野生
田野
野球
印南野
新野
野原
野路
野郎
高野
広野
...