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追々
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おいおい
ふりがな文庫
“
追々
(
おいおい
)” の例文
関東の地震はほぼ周期的に起こるものであって、
追々
(
おいおい
)
その時期が近づきつつあるとの学説を伝え聞いたのは、もう十年ほども前であった。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「
私
(
わたし
)
も
最
(
も
)
う
追々
(
おいおい
)
に取る年だ。世間の取沙汰の
静
(
しずか
)
になるのを待っている
中
(
うち
)
には大方眼も見えず筆を持つ手も利かなくなろう……。」
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
追々
(
おいおい
)
心がけては集めるのでしたが、形も小さく価格もそれほどでないので、入手しやすいのです。折々『装剣奇賞』などを見ていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
詳
(
くわ
)
しいことは
後
(
あと
)
で
追々
(
おいおい
)
話
(
はな
)
すとして、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
人間
(
にんげん
)
は
竜神
(
りゅうじん
)
の
子孫
(
しそん
)
、
汝
(
そち
)
とても
元
(
もと
)
へ
溯
(
さかのぼ
)
れば、
矢張
(
やは
)
りさる
尊
(
とうと
)
い
竜神様
(
りゅうじんさま
)
の
御末裔
(
みすえ
)
なのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と述べたが、天国に行かずとも、同じ地球の表面においてすらも、時の移るとともに人の
勝敗
(
しょうはい
)
を定める標準が
追々
(
おいおい
)
違って来るかと思われる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
「土地の繁昌は結構だが、銀山の鉱夫などが大勢
入込
(
いりこ
)
んで来たので、怪しげな料理屋などが
追々
(
おいおい
)
殖えて来るのは
些
(
ちっ
)
と困る。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
衆人
追々
(
おいおい
)
支那欧亜の唱歌を聴き、韻踋に一段の妙趣あることを知り得ば、その趣に
傚
(
なら
)
い、邦語をもって新曲を製すること、また難からざるべし。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
否々、しまひには自分の男の児が女として育つて
居
(
お
)
り、自分の女の児が男として育つて居ることさへ
追々
(
おいおい
)
忘れて仕舞つたかのやうでありました。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
この雑誌の読者は何万人とあるはずだから、その中から
追々
(
おいおい
)
に跡を継いで話をすることにしたら
賑
(
にぎ
)
やかでよかろうと思う。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
筍
(
たけのこ
)
の出さかりで、
孟宗藪
(
もうそうやぶ
)
を有つ家は、朝々早起きが
楽
(
たのしみ
)
だ。肥料もかゝるが、一反八十円から百円にもなるので、雑木山は
追々
(
おいおい
)
孟宗藪に化けて行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
なおその上に財産が
追々
(
おいおい
)
殖えるということを、他の動物らが聞き知ったならば、いかに不可思議に感ずるであろうか。
動物の私有財産
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
はじめはマッチ、つぎにたばこと逆なところに、これも後日
追々
(
おいおい
)
判然したんだが、愛すべきリンピイの狡才があった。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
比叡の
権僧正
(
ごんのそうじょう
)
である弟を除くと、兄弟親族はみなほとんど
兵部
(
ひょうぶ
)
に関係した職についていたが、泰文だけは異例で、若いころから数理にすぐれて、
追々
(
おいおい
)
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これが
追々
(
おいおい
)
進歩発達したならば、頗る面白いと思っていた所、ついそのままで姿を隠してしまったのは残念である。
活動写真
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
追々
(
おいおい
)
と世の中が
世智辛
(
せちがら
)
くなって来たら、こうした正札一点張りの無言の商売が
大流行
(
おおはやり
)
をするようになりはすまいか。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
まるで目に見えぬ
瘴気
(
しょうき
)
の湧きあがるように不吉な空気が
追々
(
おいおい
)
色を深め、虫のついた大黒柱のように家ぐるみひたむきに没落の道をたどっていたのだった。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
藪
(
やぶ
)
医者の薬も
瑠璃光薬師
(
るりこうやくし
)
より尊き
善女
(
ぜんにょ
)
の手に持たせ玉える
茶碗
(
ちゃわん
)
にて
呑
(
の
)
まさるれば何
利
(
きか
)
ざるべき、
追々
(
おいおい
)
快方に赴き
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『何、よろこんで死んだわさ。貴様も、内匠頭様の中小姓とまでなって、
追々
(
おいおい
)
と、お覚えもよいと聞いてな……』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが
追々
(
おいおい
)
笑って済ませなくなるまでには、——この幽鬱な
仮面
(
かめん
)
に隠れている彼の
煩悶
(
はんもん
)
に感づくまでには、まだおよそ二三箇月の時間が必要だったのです。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おっしゃる通りこの鞄の中にあるのがその金ですが、どうして私の手に入ったかはこれから
追々
(
おいおい
)
お話しますよ。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は実にその身の如何に落着するかを知らず、ただその友人に向って、「天下の事
追々
(
おいおい
)
面白く成るなり。
挫
(
くじ
)
ける
勿
(
なか
)
れ、
折
(
くじ
)
ける勿れ、神州は必ず滅びざるなり」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
敵を討った三人の周囲へは、山本家の親戚が
追々
(
おいおい
)
馳
(
は
)
せ附けた。三人に鵜殿家から
鮨
(
すし
)
と
生菓子
(
なまがし
)
とを贈った。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一昨二十八日
兵庫
(
ひょうご
)
着港、昨日十一番会社(オリエンタル・バンクのこと)ロッセル、ゴロンビー両人に面会したところ、造幣寮開設後
追々
(
おいおい
)
外国人から地金を差出し
明治の五十銭銀貨
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
校長は時計を出して見て、
追々
(
おいおい
)
ゆるりと話すつもりだが、まず大体の事を
呑
(
の
)
み込んでおいてもらおうと云って、それから教育の精神について長いお談義を聞かした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
トウ/\手足も
叶
(
かな
)
わぬと云う程になって、
追々
(
おいおい
)
全快するが
如
(
ごと
)
く全快せざるが如くして居る
間
(
あいだ
)
に、右の手は使うことが出来ずに左の手に筆を
持
(
もっ
)
て書くと云うような
容体
(
ようだい
)
。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それだけにまた娘の、
世馴
(
よな
)
れて、人見知りをしない様子は、以下の
挙動
(
ふるまい
)
で
追々
(
おいおい
)
に知れようと思う。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
追々
(
おいおい
)
旗色
(
はたいろ
)
が悪くなって来るようだから退却としよう。もうソロソロ杉山さんが見える時分だ」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お登和さんの料理法で君が
追々
(
おいおい
)
物の味を覚えたら自然と大食が
止
(
や
)
むだろうという評議だよ。牛肉屋の二階でビフテキを食べるように五人前もお
更
(
かわ
)
りをされて溜まるものか。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
当劇団も
追々
(
おいおい
)
とお引立てを蒙り細々ながら経営をつゞけておりますところ、座長、幹部俳優ともなりますれば、ゴヒイキは有難いもの、物資不足の当節にも拘らず、色々と差入れがありまして
退歩主義者
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そのほか、風俗言語の上に、なほいろいろと変つた事があるやうであるが、よくよく研究せねばわれわれには分らぬ事が多い。
追々
(
おいおい
)
分つて来たらばいよいよ面白いに違ひない。(五月二十七日)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
白骨
(
しらほね
)
までおいでになるのですか、これから、この
寒
(
かん
)
に向おうとする時分に……それはそれは大変なことでございます、あちらでは
追々
(
おいおい
)
、お湯をとざして、大野や松本へ出てまいりまする時分に
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それについては
追々
(
おいおい
)
申し上げるとして、さて、生理学総論に於て、私たちは、前述の人工アメーバや人工心臓のように、凡ての生活現象なるものは、それがたといどんなに複雑なものであっても
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「ハイ、それは
追々
(
おいおい
)
御話し申上げる
心算
(
つもり
)
でございます」
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうしてロオラも
追々
(
おいおい
)
とわたしになついて来ます。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
追々
(
おいおい
)
分かる。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
しかしてゲーテ
崇拝
(
すうはい
)
の念の増すのは、さきの某文士の
言
(
げん
)
によれば、あるいは
自
(
みずか
)
ら
俗化
(
ぞっか
)
して理想の
光明
(
こうみょう
)
が
追々
(
おいおい
)
に
薄
(
うす
)
らぐの
譏
(
そし
)
りを受けるかも知れぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
……練出すときはさほどでもなかったが、
追々
(
おいおい
)
陽がのぼるにつれて、象の胎内は
蒸
(
む
)
せっかえるような暑さになった。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
追々
(
おいおい
)
人数が殖えて来ると、そのラムプの形を知っているものは団員に相違ないと認める組織になっていたという。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
宗右衛門はこの苦痛の為めに、
追々
(
おいおい
)
娘達の部屋を訪れなくなつたのであつた。母の無いのちの一層たよりない娘達を
却
(
かえ
)
つて訪ねて来なくなつたのであつた。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
現在の住居は寺の堂か、お宮の軒の下などに限られているかと思うが、これだけでは
追々
(
おいおい
)
に来なくなるだろう。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ただ、そのわたくしが、年とともに
追々
(
おいおい
)
違って来るのを感じるのである。青年、壮年期のわたくしには、どうしても
旺
(
さか
)
んなる功利や欲情が
交
(
ま
)
じって燃える。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然し其前彼女は実家に居る時から
追々
(
おいおい
)
に金を信州へ送り、千曲川の辺の
家
(
うち
)
も其れで建てたと云うことであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「まあ初めは古人の作からはじめて、
追々
(
おいおい
)
は同人の創作なんかもやるつもりです」「古人の作というと
白楽天
(
はくらくてん
)
の
琵琶行
(
びわこう
)
のようなものででもあるんですか」「いいえ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
○東京市内から西洋人の姿の
追々
(
おいおい
)
稀
(
まれ
)
になって行ったのは、日露戦役の頃からであろう。官省会社等に顧問として雇われていた西洋人は
大方
(
おおかた
)
任を解かれるようになった。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
病中は
括枕
(
くくりまくら
)
で
坐蒲団
(
ざぶとん
)
か何かを
括
(
くく
)
って枕にして居たが、
追々
(
おいおい
)
元の体に
恢復
(
かいふく
)
して来た所で、
只
(
ただ
)
の枕をして見たいと思い、その時に私は中津の倉屋敷に兄と同居して居たので
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その計画については、
追々
(
おいおい
)
に知らせることにしよう。毎日人目のない折を見計らって、出来る丈け度々土蔵の下へ来て下さい。昼間でもここへは滅多に人も来ないから大丈夫です。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
喬介は直ちに手袋をはめると、比較的
新
(
あた
)
らしい鉄屑の
傍
(
そば
)
へ腰を
屈
(
かが
)
めて、ごそごそとさばき始めた。暫く一面に
掻
(
か
)
き廻していたが、
何
(
な
)
んの変化も見られない。
追々
(
おいおい
)
私は
倦怠
(
けんたい
)
を覚え始めた。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
正三君は安斉先生が
追々
(
おいおい
)
こわくなくなってきた。それはこの老人の信任がダンダンましてきたからである。時々学監室へ呼びこまれるが、
註文
(
ちゅうもん
)
を承った後で、いつもねぎらってもらえる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
するとその
音色
(
ねいろ
)
の面白さには、悪者の土蜘蛛も、
追々
(
おいおい
)
我を忘れたのでしょう。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
明
(
あけ
)
ても
暮
(
くれ
)
ても
肘
(
ひじ
)
を
擦
(
さす
)
り
肝
(
きも
)
を焦がし、
饑
(
うえ
)
ては敵の肉に
食
(
くら
)
い、渇しては敵の血を飲まんとするまで
修羅
(
しゅら
)
の
巷
(
ちまた
)
に
阿修羅
(
あしゅら
)
となって働けば、功名
一
(
ひ
)
トつあらわれ二ツあらわれて総督の
御覚
(
おんおぼ
)
えめでたく
追々
(
おいおい
)
の出世
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
追
常用漢字
小3
部首:⾡
9画
々
3画
“追”で始まる語句
追
追従
追剥
追分
追掛
追手
追憶
追付
追駈
追蒐