“追々:おいおい” の例文
“追々:おいおい”を含む作品の著者(上位)作品数
夢野久作8
永井荷風7
岡本かの子4
吉川英治4
大阪圭吉3
“追々:おいおい”を含む作品のジャンル比率
自然科学 > 動物学 > 鳥類66.7%
哲学 > 倫理学・道徳 > 人生訓・教訓12.5%
自然科学 > 植物学 > 植物学8.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
然し其前彼女は実家に居る時から追々おいおいに金を信州へ送り、千曲川の辺のうちも其れで建てたと云うことであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はじめはマッチ、つぎにたばこと逆なところに、これも後日追々おいおい判然したんだが、愛すべきリンピイの狡才があった。
それだけにまた娘の、世馴よなれて、人見知りをしない様子は、以下の挙動ふるまい追々おいおいに知れようと思う。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山は追々おいおい深くなる。しかし、龍耳りゅうじ老人、壮者そうしゃにまけない足どりで、何かぶつぶつ言っていた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この雑誌の読者は何万人とあるはずだから、その中から追々おいおいに跡を継いで話をすることにしたらにぎやかでよかろうと思う。
『何、よろこんで死んだわさ。貴様も、内匠頭様の中小姓とまでなって、追々おいおいと、お覚えもよいと聞いてな……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現在の住居は寺の堂か、お宮の軒の下などに限られているかと思うが、これだけでは追々おいおいに来なくなるだろう。
さらに、その後、玄明の手によって、貞盛が常陸で何を企んでいるかという輪郭は、追々おいおいに、明らかになった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おっしゃる通りこの鞄の中にあるのがその金ですが、どうして私の手に入ったかはこれから追々おいおいお話しますよ。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ゆえ追々おいおいに各地に固定するのみならず、またつとめて大勢に迎合げいごうせんとするのである。
関東の地震はほぼ周期的に起こるものであって、追々おいおいその時期が近づきつつあるとの学説を伝え聞いたのは、もう十年ほども前であった。
地異印象記 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
追々おいおいと世の中が世智辛せちがらくなって来たら、こうした正札一点張りの無言の商売が大流行おおはやりをするようになりはすまいか。
追々おいおい心がけては集めるのでしたが、形も小さく価格もそれほどでないので、入手しやすいのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
年は若いが、なまやさしい奴じゃないんだよ彼奴あいつは……追々おいおいわかるがね……ウン。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
否々、しまひには自分の男の児が女として育つてり、自分の女の児が男として育つて居ることさへ追々おいおい忘れて仕舞つたかのやうでありました。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
と述べたが、天国に行かずとも、同じ地球の表面においてすらも、時の移るとともに人の勝敗しょうはいを定める標準が追々おいおい違って来るかと思われる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
肥料もかゝるが、一反八十円から百円にもなるので、雑木山は追々おいおい孟宗藪に化けて行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
するとその音色ねいろの面白さには、悪者の土蜘蛛も、追々おいおい我を忘れたのでしょう。
犬と笛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたし追々おいおいに取る年だ。世間の取沙汰のしずかになるのを待っているうちには大方眼も見えず筆を持つ手も利かなくなろう……。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかしこの幸福は世間一般が不景気になるに従って追々おいおいに破壊せられるようになった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
全く男ばかりの行列なんだそうですが、その理由も追々おいおいとわかって来るでしょう。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
宗右衛門はこの苦痛の為めに、追々おいおい娘達の部屋を訪れなくなつたのであつた。母の無いのちの一層たよりない娘達をかえつて訪ねて来なくなつたのであつた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
この冬の寒気はこの風俗をその筋の取締以上に厳重に禁止した事であろう。しかし追々おいおいと近付く春のぬくみは、又もやこの醜態を東京市の内外に復活するであろう。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
病中は括枕くくりまくら坐蒲団ざぶとんか何かをくくって枕にして居たが、追々おいおい元の体に恢復かいふくして来た所で、ただの枕をして見たいと思い
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「土地の繁昌は結構だが、銀山の鉱夫などが大勢入込いりこんで来たので、怪しげな料理屋などが追々おいおい殖えて来るのはちっと困る。」と、安行は苦笑いした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
が、それは追々おいおい話が進むに従って、自然と御会得ごえとくが参るでしょう。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
校長は時計を出して見て、追々おいおいゆるりと話すつもりだが、まず大体の事をみ込んでおいてもらおうと云って、それから教育の精神について長いお談義を聞かした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
みんなは追々おいおい彼のこの言葉に何か神秘めくもののあるのに気を付け出した。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それが追々おいおい笑って済ませなくなるまでには、——この幽鬱な仮面かめんに隠れている彼の煩悶はんもんに感づくまでには、まだおよそ二三箇月の時間が必要だったのです。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
翌十四日の朝は護持院原一ぱいの見物人である。敵を討った三人の周囲へは、山本家の親戚が追々おいおいせ附けた。三人に鵜殿家からすし生菓子なまがしとを贈った。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「ハイ、それは追々おいおい御話し申上げる心算つもりでございます」
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
当時を顧ると、時世の好みは追々おいおい芸者を離れて演劇女優に移りかけていたので、わたくしは芸者の流行を明治年間の遺習と見なして、その生活風俗を描写して置こうと思ったのである。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ふもとのほうから、追々おいおいとかけあつまってきた人数をがっして、かれこれ三、四十人、やり太刀たちを押ッとって、忍剣のきょをつき、すきをねらって斬ってかかる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし若林博士の手腕が、如何に卓抜恐るべきものがあるかという事は、まだまだこれから追々おいおいとお解りになりますので、今迄のところはホンの皮切かわきりに過ぎないので御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それが近年は土地利用の型が変って、人里近くにも遊ばせてある場処が出来、それも底土を切ったりくつがえしたりするゆえに、追々おいおいと彼等の進出が始まり、少くとも都会の周囲では
「そいつは判らん。だが追々おいおいわかってくるだろう」
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は実にその身の如何に落着するかを知らず、ただその友人に向って、「天下の事追々おいおい面白く成るなり。くじけるなかれ、くじける勿れ、神州は必ず滅びざるなり」と言い贈れり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そうしてロオラも追々おいおいとわたしになついて来ます。
オカアサン (新字新仮名) / 佐藤春夫(著)
追々おいおい分つて来たらばいよいよ面白いに違ひない。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
正三君は安斉先生が追々おいおいこわくなくなってきた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
追々おいおい私は倦怠けんたいを覚え始めた。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
真紀 まだまだあるねえ。追々おいおい分かる。
みごとな女 (新字新仮名) / 森本薫(著)
トウ/\手足もかなわぬと云う程になって、追々おいおい全快するがごとく全快せざるが如くして居るあいだに、右の手は使うことが出来ずに左の手に筆をもって書くと云うような容体ようだい
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかしてゲーテ崇拝すうはいの念の増すのは、さきの某文士のげんによれば、あるいはみずか俗化ぞっかして理想の光明こうみょう追々おいおいうすらぐのそしりを受けるかも知れぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
追々おいおい快方に赴き、初めてお辰は我身のためにあらゆる神々に色々の禁物たちものまでして平癒せしめ玉えといのりし事まで知りて涙く程うれしく、ト月あまりにおとろえこそしたれ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
われは東京市中の閑地あきち追々おいおい土木工事のためにり開かるべきことを憂ひて止まざるものなれば、やがては矢筈草生ずる土手もなくなるべしと思ひ、その一束ひとたばをわがの庭に移し植ゑぬ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
センチメンタルな気風はセンチと呼んで唾棄だき軽蔑けいべつされるようになったが、世上せじょう一般にロマンチックな気持ちには随分ずいぶんあこがれを持ち、この傾向は追々おいおい強くなりそうである。
増して年も追々おいおい六十に迫り候老体の事に御座候へば、いづれにも致せ、余命のほどは最早やいくばくも無之事と観念致をり候間、せめて今の中懺悔ざんげのあらまししたため置きたく右の通り書き続け申候也。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
渇しては敵の血を飲まんとするまで修羅しゅらちまた阿修羅あしゅらとなって働けば、功名トつあらわれ二ツあらわれて総督の御覚おんおぼえめでたく追々おいおいの出世、一方の指揮となれば其任いよいよ重く
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
震災当時、四五人の不良が集まって、どこからか拾って来たラムプを取り捲きながら仕事の相談をしたのが始まりで、追々おいおい人数が殖えて来ると、そのラムプの形を知っているものは団員に相違ないと認める組織になっていたという。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
これは蓄音機の関係から、総て短尺物で、「ドラマ」を主としていて、今日流行しているような長いものはなかったが、これが追々おいおい進歩発達したならば、頗る面白いと思っていた所、ついそのままで姿を隠してしまったのは残念である。
活動写真 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
ゆうからけんへのうつりかわりの仕事しごとはまことに困難こんなんで、ながなが歳月としつきようやくのことでモノになったのじゃ。くわしいことはあと追々おいおいはなすとして
浅草の興行街は幸に空襲の災難をまぬかれていたので映画の外に芝居やレビューも追々おいおい興行されるようになったから、是非にも遊びに来るようにと手紙をもらうことも度々になったので、去年の正月も七草ななくさを過ぎたころ、見物に出かけた
裸体談義 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
比叡の権僧正ごんのそうじょうである弟を除くと、兄弟親族はみなほとんど兵部ひょうぶに関係した職についていたが、泰文だけは異例で、若いころから数理にすぐれて、追々おいおい、大学寮の算博士さんはかせも及ばないような算道の才をあらわした。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ええ、そうなんです。……練出すときはさほどでもなかったが、追々おいおい陽がのぼるにつれて、象の胎内はせっかえるような暑さになった。ひっくり返えられては困ると思って、師匠大丈夫か、と交るがわる声をかけると、里春は、その都度つど、あいよ、大丈夫。
そちこち、気長きなが金子かねにして、やがて船一そう古物ふるものを買い込んで、海から薪炭まきすみの荷を廻し、追々おいおい材木へ手を出しかけ、船の数も七艘までに仕上げた時、すっぱりと売物に出して、さて、地面を買う、店を拡げる、普請ふしんにかかる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
君に充分その肉を食われたら牛の三頭ぶりも使わねばなるまい」小山も笑いながら「大原君少し気をつけ給え、君の大食を節減させるというのが唯一の条件で中川君も承諾された。お登和さんの料理法で君が追々おいおい物の味を覚えたら自然と大食がむだろうという評議だよ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
人間社会では一度ある手段によって、一定額の財産を造っておきさえすれば、自分の一代はもとより未来永劫幾百代の末までも働かずに食うてゆくことができて、なおその上に財産が追々おいおい殖えるということを、他の動物らが聞き知ったならば、いかに不可思議に感ずるであろうか。
動物の私有財産 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
一昨二十八日兵庫ひょうご着港、昨日十一番会社(オリエンタル・バンクのこと)ロッセル、ゴロンビー両人に面会したところ、造幣寮開設後追々おいおい外国人から地金を差出し、新旧政府から発行の一分銀三百十一個を以て新金百円に引換くれるよう願出ているが、造幣寮規制に照せば
明治の五十銭銀貨 (新字新仮名) / 服部之総(著)
歩きながらも、安吉を包む秘密への不審と不安は、追々おいおい高まって、安吉の云った「とてつもない恐ろしい陰謀」が影もなく浮上ったかと思うと、丸辰の「鯨の祟り」が思い出されたりして、それらが一緒になって、今度は今のままの安吉の体へ、直接の不安を覚えるようになって来た。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そう遊ばしたならば、あなた様と私とは、かように両親のみめかたちを取りかえた姿になっておりますままに、もしか致しますとその間には、何の血すじのつながりもあり得ませぬことをハッキリと証拠立てられるようにもなっております事が、追々おいおいとおわかりになるで御座いましょう。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それについては追々おいおい申し上げるとして、さて、生理学総論に於て、私たちは、前述の人工アメーバや人工心臓のように、凡ての生活現象なるものは、それがたといどんなに複雑なものであっても、純機械的に説明しるものであるということを繰返し繰返し説ききかされたのであります。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
あんまりではありませぬ。儼然げんぜんたる事実に相違ないのです。その事実は追々おいおいと、おわかりになる事と思いますが、正木先生は、そうした虐待を受けている憐れな狂人の大衆を救うべく、非常な苦心をされました結果、遂に精神科学に関する空前の新学説をてられる事になったのです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一体どんな風にやるんです」「まあ初めは古人の作からはじめて、追々おいおいは同人の創作なんかもやるつもりです」「古人の作というと白楽天はくらくてん琵琶行びわこうのようなものででもあるんですか」「いいえ」「蕪村ぶそん春風馬堤曲しゅんぷうばていきょくの種類ですか」「いいえ」「それじゃ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
エー。皆様オナジミの珍優、ノド自慢の馬吉、一言御挨拶申上げます。当劇団も追々おいおいとお引立てを蒙り細々ながら経営をつゞけておりますところ、座長、幹部俳優ともなりますれば、ゴヒイキは有難いもの、物資不足の当節にも拘らず、色々と差入れがありまして、小菅こすげの大臣なみに幸せを致しております。
退歩主義者 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
その辺のところを十分に御斟酌しんしゃく下すって、お聴き取りを願いましたならば、このお話がヨタか、ヨタでないか……精神病患者のスバラシイ幻想イリュウジョンか、それとも正気の人間が告白する、明確な事実ものがたりかということは、話の進行に連れて、追々おいおいとおわかりになる事と思いますからね。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
全く、悪いことは続けて起るとはうまいことを云ったもので、今度のような世にも兇悪無惨な惨事がもちあがる以前から、もう既に赤沢脳病院の朽ちかけた板塀の内には、まるで目に見えぬ瘴気しょうきの湧きあがるように不吉な空気が追々おいおい色を深め、虫のついた大黒柱のように家ぐるみひたむきに没落の道をたどっていたのだった。
三狂人 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それにあなたのお生れになった月日から見ますと、遊魂巽風ゆうこんせんぷうの卦に当ります。これは一時お身の上に変った事が起っても、その変った事が追々おいおい元の形に立戻るという卦であります。この卦から考えて見ますと、現在のお身の上は一時変った事の起った後、追々もとのようになって行こうという間のように思われます。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あんな事は獣性と人間性の矛盾を錯覚した、一種の痴呆患者のする事です……で……そのリヤトニコフと私とは、何ということなしに心をかれ合ってひまさえあれば宗教や、政治や芸術の話なぞをし合っているのでしたが、二人とも純な王朝文化の愛惜者であることが追々おいおいとわかって来ましたので、涙が出るほど話がよく合いました。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おやおや、白骨しらほねまでおいでになるのですか、これから、このかんに向おうとする時分に……それはそれは大変なことでございます、あちらでは追々おいおい、お湯をとざして、大野や松本へ出てまいりまする時分に、あなた方はあちらへおいでになる……そうして冬籠ふゆごもりをなさる、いやそれほどの御辛抱がおありになれば、いかなる難病でもなおらぬということはございますまいが……それにしても、まあ、途中だけでも容易なものではございませんよ……いっそ、この浅間の温泉で御養生をなすったらいかがでございますか。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)