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親父
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おやじ
ふりがな文庫
“
親父
(
おやじ
)” の例文
織娘の中で心掛けの善いおくのと云うが有りまして、
親父
(
おやじ
)
の
鑑識
(
めがね
)
でこれを茂之助に添わせると、
宜
(
よ
)
いことには
忽
(
たちま
)
ち子供が
出産
(
でき
)
ました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
親父
(
おやじ
)
に巾着切りの
古疵
(
ふるきず
)
があるとも知らぬ清純さ、それを見るのを唯一の楽しみに、彦兵衛は本当に真っ黒になって働き続けたのです。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
店の大半、表へまで芋俵が積まれ、
親父
(
おやじ
)
さんは三つ並べた四斗樽のあきで、ゴロゴロゴロゴロ、泥水の中の
薩摩芋
(
さつまいも
)
を棒で
掻廻
(
かきま
)
わした。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
深田でもたいへん惜しがって、省作が出たあとで
大分
(
だいぶ
)
揉
(
も
)
めたそうだ、
親父
(
おやじ
)
はなんでもかでも面倒を見ておけというのであったそうな。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「左様ですな。趣向は至極賛成です。だが、いよいよやるとなると、問題は金ですね、
金銭
(
かね
)
次第だ。
親父
(
おやじ
)
に一つ話してみましょう」
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
その時自分は「岡田君この
呉春
(
ごしゅん
)
は
偽物
(
ぎぶつ
)
だよ。それだからあの
親父
(
おやじ
)
が君にくれたんだ」と云って
調戯
(
からかい
)
半分岡田を怒らした事を覚えていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さようさようそうだそうです。
親父
(
おやじ
)
を生かして返してくれ、それが出来なかったら財産を渡せ——こう云って
強請
(
ゆす
)
ったということで」
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
僕の
親父
(
おやじ
)
は、僕をいつも数学がわからないといって軽蔑した。僕は愛と自由とをしか知らないんだ。僕はいい児のグランテールだ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「しかたがない。これ、
忰
(
せがれ
)
。死人の首でも取ッてごまかして功名しろ」と腰に弓を張る
親父
(
おやじ
)
が水鼻を
垂
(
た
)
らして軍略を皆伝すれば
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
セオソフィストたるタウンゼンド氏はハムレットに興味を持たないにしても、ハムレットの
親父
(
おやじ
)
の幽霊には興味を持っていたからである。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『およしなさい新之助さん、おまえさんはここのお高と、仲がいいって噂だが、あんな
親父
(
おやじ
)
を持って御覧じ、今に
後悔
(
こうかい
)
しますぜ』
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あのがんこ
者
(
もん
)
の
親父
(
おやじ
)
が
死
(
し
)
ねば、
息子
(
むすこ
)
が
井戸
(
いど
)
を
掘
(
ほ
)
らせてくれるそうだがのオ。だが、ありゃ、もう二、三
日
(
にち
)
で
死
(
し
)
ぬからええて。」
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
するとその時に
廿歳
(
はたち
)
になっていた
忰
(
せがれ
)
の友太郎も、
親父
(
おやじ
)
が行くならというので
艫櫓
(
ともろ
)
を受持ってくれたから吾輩、ホッと安心したよ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
親子二人暮しの
親父
(
おやじ
)
が死んだのですから、息子の奴可哀相に、泣顔で棺の側へついて行きましたよ。親父に似合わない、あいつは弱虫ですね
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暫
(
しばら
)
くするとモボは紙包みの中から一束の古ぼけた写真を取り出して女に見せるのだ。「あれが
俺
(
お
)
れの
親父
(
おやじ
)
でこれがお母さんや」
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
親父
(
おやじ
)
の顔のひろい下町の場末へ手をまわして、見つかり次第、健康さえ取れれば、顔はそんなによくなくても取ることにした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
平常のこの考えがKと向かい合っても頭から離れないので、君は思わず「
親父
(
おやじ
)
にも兄貴にもすまない」と言ってしまったのだ。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
巡査
(
おまわり
)
さんに咎められましたのは、
親父
(
おやじ
)
今がはじめてで、はい、もうどうなりますることやらと、人
心地
(
ごこち
)
もござりませなんだ。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勧めるね。……
親父
(
おやじ
)
はもう心を和らげまい。グリューネバウムたちはたいへん怒ってる。……気長い話じゃないんだ。女を追っ払っちゃったよ。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「おふくろさまの云いつけで、おまえの
跛
(
ちんば
)
の治るよう、
親父
(
おやじ
)
さまの災難
除
(
よ
)
けも兼ねて代参してくれろ、と頼まれて来た」
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
宝沢のところの射的屋の
親父
(
おやじ
)
が露店の間にテーブルを据え、
赤毛布
(
あかゲット
)
を敷いた小高い壇に四角な箱を載せ、自分はその脇で大声に口上を述べていた。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
(間)
親父
(
おやじ
)
さんも、まま母も、てんから知らん顔で通しています。それどころか、方々に見張りをおいて、一歩も屋敷へ近づけない算段なんです。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
怺
(
こら
)
えつつ春琴の門に通っていたところある日撥で頭を打たれ泣いて家へ
逃
(
に
)
げ帰ったその
傷痕
(
きずあと
)
が
生
(
は
)
え
際
(
ぎわ
)
に残ったので当人よりも
親父
(
おやじ
)
がカンカンに腹を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「誰があんな
慾張
(
よくば
)
り
親父
(
おやじ
)
を救けるもんか、さあこげ、ボートがあの巣につくまでに、俺の計画をすっかり話してやらあ」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お
鍋
(
なべ
)
とはよく
名
(
な
)
をつけたと、おいらァつくづくあいつの、
親父
(
おやじ
)
の
智恵
(
ちえ
)
に
感心
(
かんしん
)
してるんだが、それと
違
(
ちが
)
っておせんさんは、
弁天様
(
べんてんさま
)
も
跣足
(
はだし
)
の
女
(
おんな
)
ッぷり。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
母親を無くした小供が、ある
夜
(
よ
)
、ふと眼を覚ました。その
室
(
へや
)
は二階で、傍には
親父
(
おやじ
)
をはじめ二三人のものが寝ていた。
炭取り
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それまでは
親父
(
おやじ
)
の家、それも大家族の、純日本式の家の六畳一間に住んでいたんだもの、すべての他人の目や物音から遮断された、
鍵
(
かぎ
)
のかかる部屋
お守り
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
親父
(
おやじ
)
も弁公も昼間の激しい労働で熟睡したが文公は熱と
咳
(
せき
)
とで終夜苦しめられ、明け方近くなってやっと寝入った。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「実は君には逢わずに国へ立ってしまおうと思ったのだ。ところが、
親父
(
おやじ
)
に
暇乞
(
いとまごい
)
に来て聞けば、君がいるというので、つい逢いたくなって遣って来た」
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
仕方がない? 平さん! きみの
親父
(
おやじ
)
は内地からはるばると、難儀をしにこんなところまで来たのかい? 子供を牧場の安日当取りにしようと思って
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
親父
(
おやじ
)
には絶えず
怒
(
おこ
)
られて
叱責
(
しっせき
)
され、
親戚
(
しんせき
)
の年上者からは監督され、教師には
鞭撻
(
べんたつ
)
され、精神的にも行動的にも、自由というものが全く許されてなかった。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
実際買おうと思って見渡す時に、自分が安心してこれならと思う品がまことに少ない。こんな
親父
(
おやじ
)
を持った子供らは不仕合わせでないかと思う事もある。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「しかし武男なんざ
親父
(
おやじ
)
が何万という身代をこしらえて置いたのだから、頑固だッて正直だッて好きなまねしていけるのだがね。
吾輩
(
ぼく
)
のごときは腕一本——」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
親父
(
おやじ
)
やおふくろを旧式な人間に見られるのがあたりまえのようになっているが、しかし、いくら今の時世だといったところで、年寄りの親父の髪をつかんで
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「
折詰
(
おりづめ
)
をぬすんだやつ、豆腐をぬすんだやつ、学校を追いだされたやつ、そのやつの
親父
(
おやじ
)
は阪井猛太だ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
いまは、
人
(
ひと
)
をだましても
悪
(
わる
)
いと
思
(
おも
)
わなければ、
飲
(
の
)
んでその
薬
(
くすり
)
がきかなくて
死
(
し
)
んでも、
毒
(
どく
)
にさえならなければかまわぬといった
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
です。
私
(
わたし
)
の
親父
(
おやじ
)
も
薬取
(
くすりと
)
りでした。
手風琴
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
車を横に押し
親父
(
おやじ
)
を勘当しても女房に持つ覚悟
極
(
き
)
めて
目出度
(
めでたく
)
婚礼して見ると自分の
妄像
(
もうぞう
)
ほど
真物
(
ほんもの
)
は面白からず、
領脚
(
えりあし
)
が
坊主
(
ぼうず
)
で、乳の下に焼芋の
焦
(
こげ
)
た
様
(
よう
)
の
痣
(
あざ
)
あらわれ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ところが、その子供の
親父
(
おやじ
)
が怒ること、怒ること、むきになって怒るから、こっちも相手が悪いと思って、平あやまりにあやまったが、先方がどうしてもきかねえ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わしがもしあの『衰頽』とか『終焉』とかいうことを、家内の
親父
(
おやじ
)
に話したら、きっとわしと同様、親父もあんたを正式に告訴するぞ。そりゃもう請け合っていいよ。
トリスタン
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
どこの家も
長閑
(
のどか
)
な
団欒
(
だんらん
)
の晩景で、晩酌に坐った
親父
(
おやじ
)
が将軍の面をかむってみて家族の者を笑わせたり、一つの面を皆なで順々に手にとりあげて
出来栄
(
できば
)
えを批評したり
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
ところが私の
親父
(
おやじ
)
は半面
森春濤
(
もりしゅんとう
)
門下の漢詩人で晩年には「北越詩話」という本を三十年もかかって書いており、家にいるときは書斎にこもったきり顔をだすことがなく
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
文麻呂 人目を忍ぶ
旅衣
(
たびごろも
)
と云う奴さ。でも、
親父
(
おやじ
)
、あれで内心東国にはとても抱負があるらしいんだ。まあ、別れる時は割合に二人共さっぱりしてて、気が楽だったよ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
山本はルパシュカを着たり、モーニングを着たり、貧乏人の娘と結婚したり、政治屋として成功した
親父
(
おやじ
)
を軽蔑したりする様なニヒリストだったが、地主の家に育っただけに
歩む
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
ただ一撃ちに
羽翼締
(
はがいじ
)
めだ。
否
(
いや
)
も応も言わせるものか。しかし彼の容色はほかに得られぬ。まずは珍重することかな。
親父
(
おやじ
)
親父。親父は必ず逃がさんぞ。あれを巧く説き込んで。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
一体その娘の死んだ
親父
(
おやじ
)
というのが恐ろしい道楽者で自分一代にかなりの
身上
(
しんしょう
)
を奇麗に飲み
潰
(
つぶ
)
してしまって、後には借金こそなかったが、随分みじめな中をお
母
(
ふくろ
)
と二人きりで
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
親父
(
おやじ
)
も俳諧は好きでした。自分の生きているうちに翁塚の一つも建てて置きたいと、口癖のようにそう言っていました。まあ、あの親父の
供養
(
くよう
)
にと思って、わたしもこんなことを
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わたしも
親父
(
おやじ
)
と一緒に横川で汽車を下りて、
碓氷
(
うすい
)
峠の旧道をがた馬車にゆられながら登って下りて、荒涼たる軽井沢の宿に着いたときには、実に心細いくらい寂しかったものです。
木曽の旅人
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
親父
(
おやじ
)
が死んでから春木町を去って小石川の
富坂
(
とみざか
)
へ別居した。この富坂上の家というは
満天星
(
どうだん
)
の
生垣
(
いけがき
)
を
繞
(
めぐ
)
らした
頗
(
すこぶ
)
る風雅な構えで、
手狭
(
てぜま
)
であったが
木口
(
きぐち
)
を選んだ凝った
普請
(
ふしん
)
であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
親父
(
おやじ
)
が小僧を連れまして仕入れにまいったのでございますが、雨ばかりよく降りました年で、夏の終り頃から、毎日雨がビショビショと降り続いていたように記憶いたしております。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「悪いというても、
清
(
せい
)
ちゃんのような鍛冶屋の
倅
(
せがれ
)
には、わかるまいけんどな。この車に積んどる蜜柑を、今日、問屋で、言い値で引きとらなんだら、破産じゃと、
親父
(
おやじ
)
がいうとった」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
“親父”の解説
親父(おやじ)とは複数の意味があり、実父の意味を持つ呼称、親しい店の経営者や職場の上長に対するくだけた呼称、単に他人の年配男性に対する呼称にも用いるものの、親父ギャグなど侮蔑や嘲笑の意味を含むことがある。現代での使用頻度は少ないが、北海道に生息するヒグマの俗称(山おやじ)や、江戸時代に廻船乗組員として船内作業に従事した奉公人を呼んだ。
(出典:Wikipedia)
親
常用漢字
小2
部首:⾒
16画
父
常用漢字
小2
部首:⽗
4画
“親父”で始まる語句
親父様
親父橋
親父儀
親父殿