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華奢
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きやしや
ふりがな文庫
“
華奢
(
きやしや
)” の例文
その爲に武士を
棄
(
す
)
てたといふひどい
跛者
(
ちんば
)
で、身體も至つて
華奢
(
きやしや
)
、町人のやうに腰の低い、縞物などを着た、至つて碎けた人柄です。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だから彼女の
華奢
(
きやしや
)
な薔薇色の踊り靴は、物珍しさうな相手の視線が折々足もとへ落ちる度に、一層身軽く
滑
(
なめらか
)
な床の上を
辷
(
すべ
)
つて行くのであつた。
舞踏会
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一方
華
(
はな
)
やかな通りを近くの劇場へと驅る馬車の群を眺めてゐると、その時、美しい二頭の英吉利産の馬をつけた
華奢
(
きやしや
)
な箱馬車がやつて來ました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
その細い幹は鮮かな青緑で、その葉は
華奢
(
きやしや
)
でこまかに動く。たつた一本の竹、竹は天を直観する。而も此竹の感情は凡てその根に沈潜して行くのである。
月に吠える:02 月に吠える
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その細い幹は鮮かな青緑で、その葉は
華奢
(
きやしや
)
でこまかに動く。たつた一本の竹、竹は天を直観する。而も此竹の感情は凡てその根に沈潜して行くのである。
月に吠える:01 序
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
忽ち奧さんが白い
華奢
(
きやしや
)
な手を伸べて、夜着を跳ね上げた。奧さんは頭からすつぽり夜着を被つて寢る癖がある。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この
歸途
(
かへり
)
に、
公園
(
こうゑん
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
で、
小枝
(
こえだ
)
に
首
(
くび
)
をうなだれた、
洋傘
(
パラソル
)
を
疊
(
たゝ
)
んだばかり、バスケツト
一
(
ひと
)
つ
持
(
も
)
たない、
薄色
(
うすいろ
)
の
服
(
ふく
)
を
着
(
つ
)
けた、
中年
(
ちうねん
)
の
華奢
(
きやしや
)
な
西洋婦人
(
せいやうふじん
)
を
視
(
み
)
た。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
広重、文晁に限らず、たいていの絵の富士は、鋭角である。いただきが、細く、高く、
華奢
(
きやしや
)
である。
富嶽百景
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
彼
(
かれ
)
の
襟
(
えり
)
の
白
(
しろ
)
かつた
如
(
ごと
)
く、
彼
(
かれ
)
の
洋袴
(
づぼん
)
の
裾
(
すそ
)
が
奇麗
(
きれい
)
に
折
(
を
)
り
返
(
かへ
)
されてゐた
如
(
ごと
)
く、
其下
(
そのした
)
から
見
(
み
)
える
彼
(
かれ
)
の
靴足袋
(
くつたび
)
が
模樣入
(
もやういり
)
のカシミヤであつた
如
(
ごと
)
く、
彼
(
かれ
)
の
頭
(
あたま
)
は
華奢
(
きやしや
)
な
世間
(
せけん
)
向
(
む
)
きであつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かの
)
シバルリイは朝廷との関係浅からずして、其
華奢
(
きやしや
)
麗沢も自からに王気を含みたり、而して我平民社界には之に反して、政権に抗し、威武に敵する
気禀
(
きひん
)
あるシバルリイを成せり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
華奢
(
きやしや
)
な指に握らせるには痛々しいと思はれるほどの、太い鐵作りの火箸を取り上げた。
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
全体に細長い胴体はスマートで一見
華奢
(
きやしや
)
のやうに見えるが、その実しんなりと硬く強靱で、あの細腹にしてからが棒切れぐらゐで引きちぎらうとしてもさう簡単に引きちぎれるものではない。
ジガ蜂
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
華奢
(
きやしや
)
な
男女
(
だんぢよ
)
も
忙
(
せは
)
しない車馬も一切が
潮染
(
うしほぞめ
)
の様な
濡色
(
ぬれいろ
)
をして
其
(
その
)
中に動く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
唾も吐きかねざる
華奢
(
きやしや
)
の風俗なりし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
すべてに
華奢
(
きやしや
)
を好みしとよ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夜目
(
よめ
)
なればこそ
未
(
ま
)
だしもなれ
晝
(
ひる
)
はづかしき
古毛布
(
ふるげつと
)
に
乘客
(
のりて
)
の
品
(
しな
)
も
嘸
(
さぞ
)
ぞと
知
(
し
)
られて
多
(
おほ
)
くは
取
(
と
)
れぬ
痩
(
やせ
)
せ
田
(
だ
)
作
(
づく
)
り
米
(
こめ
)
の
代
(
しろ
)
ほど
有
(
あ
)
りや
無
(
な
)
しや
九尺二間
(
くしやくにけん
)
の
煙
(
けぶり
)
の
綱
(
つな
)
あはれ
手中
(
しゆちゆう
)
にかゝる
此人
(
このひと
)
腕力
(
ちから
)
おぼつかなき
細作
(
ほそづく
)
りに
車夫
(
しやふ
)
めかぬ
人柄
(
ひとがら
)
華奢
(
きやしや
)
といふて
賞
(
ほ
)
めもせられぬ
力役
(
りきえき
)
社會
(
しやくわい
)
に
生
(
お
)
ひ
立
(
た
)
つた
身
(
み
)
とは
請取
(
うけと
)
れず
履歴
(
りれき
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吹けば飛ぶやうな、恐ろしく
華奢
(
きやしや
)
な身體と、情熱的な表情的な大きな眼が、その多い髮と、小さい唇と共に、恐ろしく印象的です。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
脣
(
くちびる
)
も時時ひき
攣
(
つ
)
るらしい。その上ほのかに
静脈
(
じやうみやく
)
の浮いた、
華奢
(
きやしや
)
な
顳顬
(
こめかみ
)
のあたりには薄い汗さへも光つてゐる。……
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
唯
(
ト
)
、
席
(
せき
)
に
着
(
つ
)
くと、
袖
(
そで
)
から
散
(
ち
)
つたか、あの
枝
(
えだ
)
からこぼれたか、
鍋
(
なべ
)
の
蓋
(
ふた
)
に、
颯
(
さつ
)
と
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
が
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
華奢
(
きやしや
)
な
細
(
ほそ
)
い
蕋
(
しべ
)
が、
下
(
した
)
のぬくもりに、
恁
(
か
)
う、
雪
(
ゆき
)
が
溶
(
と
)
けるやうな
薄
(
うす
)
い
息
(
いき
)
を
戦
(
そよ
)
がせる。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
細そりした
華奢
(
きやしや
)
な普請の階子段から廊下に、大きな身體を一杯にして、ミシ/\音をさせながら、頭の支へさうな低い天井を氣にして、源太郎は二階の奧の方の鍵の手に曲つたところへ
鱧の皮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
彼女は、まつたくの子供で、おほかた、七つか八つ位だらう、蒼白い、
華奢
(
きやしや
)
な、顏立のほつそりとした身體つきで、ありあまる程の髮がくる/\と
捲毛
(
まきげ
)
になつて腰のあたりまで垂れてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
顫へる
如
(
やう
)
に白い
華奢
(
きやしや
)
な身を
竦
(
すく
)
め、背を聳て、ただぢつと青い射光の一点を見上げたまま、
退
(
の
)
くにも
退
(
の
)
かれず、全身の悲哀と恐怖とをたつた二つの金色の瞳に集めて、吸入るやうに
前肢
(
まへあし
)
をそろへた
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「主人の金兵衞の女房のお作——四十近い、名前だけは野暮な女だが、病身で
華奢
(
きやしや
)
で、大きな聲で物も言へない癖に、妙に惱ましい女で」
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
華奢
(
きやしや
)
な片手には、——これが最後の
御定
(
おきま
)
りだが、——竹の鳥籠がぶらついてゐる。その中には小さい茶色の鳥が、何時でも驚いたやうな顔をしてゐる。
パステルの竜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此
(
こ
)
の
華奢
(
きやしや
)
なのを、あの
唇
(
くちびる
)
の
厚
(
あつ
)
い、
大
(
おほき
)
なべろりとした
口
(
くち
)
だと
縱
(
たて
)
に
銜
(
くは
)
へて
呑
(
の
)
み
兼
(
か
)
ねまい。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
細そりした
華奢
(
きやしや
)
な
普請
(
ふしん
)
の階子段から廊下に、大きな身体を一杯にして、ミシ/\音をさせながら、頭の
支
(
つか
)
へさうな低い天井を気にして、源太郎は二階の奥の方の鍵の手に曲つたところへ
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
華奢
(
きやしや
)
な指さき
濃青
(
こあを
)
に
染
(
そ
)
めて
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
申すまでもなく當人もそのつもりで、へエ、綺麗な娘で御座いました。細面の、少し
華奢
(
きやしや
)
な、何んとか小町と言はれたきりやうで、へエ。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頸
(
くび
)
は顔に比べると、
寧
(
むし
)
ろ
華奢
(
きやしや
)
すぎると評しても好い。その頸には白い
汗衫
(
かざみ
)
の襟が、かすかに香を焚きしめた、菜の花色の
水干
(
すゐかん
)
の襟と、細い一線を
画
(
ゑが
)
いてゐる。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
石入
(
いしいり
)
の指輪の輝く
華奢
(
きやしや
)
な兩手を合はして暫く
祈念
(
きねん
)
した。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
華奢
(
きやしや
)
な半老人の忠兵衞では手がつけられず、さうかと言つてモノがモノだけに、奉公人任せで、土藏へ運ぶこともならなかつたのでせう。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
のみならず火の気のない部屋の寒さは、床に敷きつめた石の上から、次第に彼女の
鼠繻子
(
ねずみじゆす
)
の靴を、その靴の中の
華奢
(
きやしや
)
な足を、水のやうに襲つて来るのであつた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
煙管を拔いて見ると、吸口だけは銀を張つた、これも
華奢
(
きやしや
)
なものですが、雁首にはチヤンと、刻みの細かい良い煙草が詰めてあるのです。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、彼女は
華奢
(
きやしや
)
な手に彼の
中折
(
なかをれ
)
を持つた儘、黙つて微笑したばかりであつた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
谷口金五郎は五十そこ/\、脂ぎつた身體には、まだ若さが殘つて居りますが、手足は思ひの外
華奢
(
きやしや
)
で、血を失つた顏は蒼くさへ見えます。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
太つて力のありさうな五郎助が、痩せて
華奢
(
きやしや
)
らしく見える貫六を膝の下に引据ゑ、滅茶々々に毆つて居るところだつたのです。
銭形平次捕物控:263 死の踊り子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
年の頃四十五六、骨と皮ばかりの
華奢
(
きやしや
)
な男ですが、算數が
長
(
た
)
けてゐるのと、恐ろしく忠實なので、庄司家はお蔭で内福だといはれてをります。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
色白の
華奢
(
きやしや
)
な男で、この男は力づくでは
逞
(
たく
)
ましい横井源太郎を殺せる筈はありませんが、何となく才氣走つて、油斷のならぬ感じを與へます。
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少し
華奢
(
きやしや
)
ですが、腰繩を打たれて
萎
(
しを
)
れた姿は、歌舞伎芝居の二枚目のやうで、浪人の娘お茂世と、何彼の噂が立つたのも無理のないことです。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
蒼白い
華奢
(
きやしや
)
な若者で、成程好い男振りには違ひありませんが、決して
頼母
(
たのも
)
しさうではなく、痛々しい感じさへするのです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは女持らしい
拵
(
こしら
)
への
華奢
(
きやしや
)
な短刀で、
蝋塗
(
ろぬ
)
りの鞘は少し光澤を失つて居り、拔いて見ると切尖に錆が浮いて、血潮の跡などは一つもありません。
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小綺麗な
平常
(
ふだん
)
着らしい木綿物の
袷
(
あはせ
)
、帶もきちんと締めて、
華奢
(
きやしや
)
な肩を落したまゝ、やゝ蒼白い顏をうな垂れてをります。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは、十七になつたばかりの
華奢
(
きやしや
)
な若者で、傷は背後から一とつき、心の臟を破られて、血の氣を失つた顏は、青白く氣高くさへ見えるのです。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三十五にしては少し若造りで、色の白い、
華奢
(
きやしや
)
な男、斯んな肉の薄い眼の大きい男に、飛んだ激情家のあることを、平次の經驗が教へてくれます。
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お前とお玉の仲がよくなると、若樣の有馬之助がお玉を殺す氣になつた。あの刀は
華奢
(
きやしや
)
で、贅澤で大旗本の馬鹿息子でもなきや差さない
代物
(
しろもの
)
だ」
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二十二といふ立派な男、少し
華奢
(
きやしや
)
ではあるが、背が高くて色が淺黒くて、派手で豊麗でさへあつた許嫁のお絹とは、申分のない一對だつたでせう。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お關は濡れた肩を落して、疊の上へ
華奢
(
きやしや
)
な手を突くのでした。美しい眼が少しうるんで意氣な
鬘下
(
かつらした
)
が心持顫へます。
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少し
華奢
(
きやしや
)
で弱々しく見えますが、多い毛の緑も、細面の眞珠色も、此世のものとも思へぬ氣高さ——『よくもこんな美しいものを生んだことかな』と
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
色の淺黒い
華奢
(
きやしや
)
な男で、正直さうではありますが、ずゐぶん出入りのお屋敷の大奧の女中方からは騷がれさうです。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伊丹屋の大身代を
繼
(
つ
)
いだばかり、まだ若旦那で通つてゐる駒次郎は、平次の顏を見ると、上がり
框
(
かまち
)
から起ち上がりました。少し
華奢
(
きやしや
)
な、背の高い男です。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
華
常用漢字
中学
部首:⾋
10画
奢
漢検1級
部首:⼤
12画
“華奢”で始まる語句
華奢立
華奢造
華奢姿
華奢贅沢