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芭蕉
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ばせを
ふりがな文庫
“
芭蕉
(
ばせを
)” の例文
蕉門
(
せうもん
)
に
龍象
(
りゆうざう
)
の多いことは言ふを待たない。しかし誰が最も
的的
(
てきてき
)
と
芭蕉
(
ばせを
)
の
衣鉢
(
いはつ
)
を伝へたかと言へば恐らくは
内藤丈艸
(
ないとうぢやうさう
)
であらう。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
汀
(
なぎさ
)
に
裂
(
さ
)
けし
芭蕉
(
ばせを
)
の
葉
(
は
)
、
日
(
ひ
)
ざしに
翳
(
かざ
)
す
扇
(
あふぎ
)
と
成
(
な
)
らずや。
頬
(
ほゝ
)
も
腕
(
かひな
)
も
汗
(
あせ
)
ばみたる、
袖
(
そで
)
引
(
ひ
)
き
結
(
ゆ
)
へる
古襷
(
ふるだすき
)
は、
枯野
(
かれの
)
の
草
(
くさ
)
に
褪
(
あ
)
せたれども、うら
若
(
わか
)
き
血
(
ち
)
は
燃
(
も
)
えんとす。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
庭
(
には
)
の
芭蕉
(
ばせを
)
のいと
高
(
たか
)
やかに
延
(
の
)
びて、
葉
(
は
)
は
垣根
(
かきね
)
の
上
(
うへ
)
やがて
五尺
(
ごしやく
)
もこえつべし、
今歳
(
ことし
)
はいかなれば
斯
(
か
)
くいつまでも
丈
(
たけ
)
のひくきなど
言
(
い
)
ひてしを
夏
(
なつ
)
の
末
(
すゑ
)
つかた
極
(
きは
)
めて
暑
(
あつ
)
かりしに
唯
(
たゞ
)
一日
(
ひとひ
)
ふつか
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
芭蕉
(
ばせを
)
の
草鞋
(
わらじ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
又
猿簔
(
さるみの
)
を読む。
芭蕉
(
ばせを
)
と
去来
(
きよらい
)
と
凡兆
(
ぼんてう
)
との連句の中には、波瀾老成の所多し。
就中
(
なかんづく
)
こんな所は、
何
(
なん
)
とも云へぬ心もちにさせる。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
喟然
(
きぜん
)
として
私
(
わたし
)
は
歎
(
たん
)
じた。
人間
(
にんげん
)
は
斯
(
そ
)
の
徳
(
とく
)
による。むかし、
路次裏
(
ろじうら
)
のいかさま
宗匠
(
そうしやう
)
が、
芭蕉
(
ばせを
)
の
奧
(
おく
)
の
細道
(
ほそみち
)
の
眞似
(
まね
)
をして、
南部
(
なんぶ
)
のおそれ
山
(
やま
)
で、おほかみにおどされた
話
(
はなし
)
がある。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
庭の
芭蕉
(
ばせを
)
のいと高やかに延びて、葉は
垣根
(
かきね
)
の上やがて
五尺
(
ごしやく
)
もこえつべし。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
僕はいつか
小宮
(
こみや
)
さんとかういふ
芭蕉
(
ばせを
)
の句を論じあつた。
子規居士
(
しきこじ
)
の考へる所によれば、この句は
諧謔
(
かいぎやく
)
を
弄
(
ろう
)
したものである。僕もその説に異存はない。
文章と言葉と
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二階
(
にかい
)
が、また
二階
(
にかい
)
が
見
(
み
)
える。
黒
(
くろ
)
い
柱
(
はしら
)
に、
煤
(
すゝ
)
け
行燈
(
あんどん
)
。
木賃
(
きちん
)
御泊宿
(
おとまりやど
)
——
内湯
(
うちゆ
)
あり——と、
雨
(
あま
)
ざらしに
成
(
な
)
つたのを、
恁
(
か
)
う……
見
(
み
)
ると、
今
(
いま
)
めかしき
事
(
こと
)
ながら、
芭蕉
(
ばせを
)
が
奧
(
おく
)
の
細道
(
ほそみち
)
に……
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
芭蕉
(
ばせを
)
の「奥の細道」もやはり又この例に洩れない。殊に冒頭の一節はあの全篇に
漲
(
みなぎ
)
つた写生的興味を破つてゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
然
(
しか
)
も
刈萱
(
かるかや
)
の
蓑
(
みの
)
いつしかに
露
(
つゆ
)
繁
(
しげ
)
く、
芭蕉
(
ばせを
)
に
灌
(
そゝ
)
ぐ
夜半
(
よは
)
の
雨
(
あめ
)
、やがて
晴
(
は
)
れて
雲
(
くも
)
白
(
しろ
)
く、
芙蓉
(
ふよう
)
に
晝
(
ひる
)
の
蛬
(
こほろぎ
)
鳴
(
な
)
く
時
(
とき
)
、
散
(
ち
)
るとしもあらず
柳
(
やなぎ
)
の
葉
(
は
)
、
斜
(
なゝめ
)
に
簾
(
すだれ
)
を
驚
(
おどろ
)
かせば、
夏痩
(
なつや
)
せに
尚
(
な
)
ほ
美
(
うつく
)
しきが、
轉寢
(
うたゝね
)
の
夢
(
ゆめ
)
より
覺
(
さ
)
めて
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まづたのむ椎の木もあり夏
木立
(
こだち
)
」——
芭蕉
(
ばせを
)
は二百余年
前
(
ぜん
)
にも、椎の木の気質を知つてゐたのである。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ものを
較
(
くら
)
べるのは
恐縮
(
きようしゆく
)
だけれど、むかし
西行
(
さいぎやう
)
でも
芭蕉
(
ばせを
)
でも、
皆
(
みな
)
彼処
(
あすこ
)
では
腹
(
はら
)
を
疼
(
いた
)
めた——
惟
(
おも
)
ふに、
小児
(
こども
)
の
時
(
とき
)
から
武者絵
(
むしやゑ
)
では
誰
(
たれ
)
もお
馴染
(
なじみ
)
の、八
幡
(
まん
)
太郎義家
(
たらうよしいへ
)
が、
龍頭
(
たつがしら
)
の
兜
(
かぶと
)
、
緋縅
(
ひおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
で、
奥州合戦
(
おうしうかつせん
)
の
時
(
とき
)
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕はああ云ふ風流を
弄
(
もてあそ
)
びたくない。僕の尊敬する東洋趣味は、(前の東洋種と混合してはいけない)
人麻呂
(
ひとまろ
)
の歌を生み、
玉畹
(
ぎよくゑん
)
の蘭を生み、
芭蕉
(
ばせを
)
の句を生んだ精神である。
東西問答
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
行暮
(
ゆきく
)
れて
一夜
(
ひとよ
)
の
宿
(
やど
)
の
嬉
(
うれ
)
しさや、
粟
(
あは
)
炊
(
かし
)
ぐ
手
(
て
)
さへ
玉
(
たま
)
に
似
(
に
)
て、
天井
(
てんじやう
)
の
煤
(
すゝ
)
は
龍
(
りう
)
の
如
(
ごと
)
く、
破衾
(
やれぶすま
)
も
鳳凰
(
ほうわう
)
の
翼
(
つばさ
)
なるべし。
夢
(
ゆめ
)
覺
(
さ
)
めて
絳欄碧軒
(
かうらんへきけん
)
なし。
芭蕉
(
ばせを
)
の
骨
(
ほね
)
巖
(
いはほ
)
の
如
(
ごと
)
く、
朝霜
(
あさしも
)
敷
(
し
)
ける
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
に、
鴛鴦
(
ゑんあう
)
の
眠
(
ねむり
)
尚
(
な
)
ほ
濃
(
こまやか
)
なるのみ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
七、
軽井沢
(
かるゐざは
)
に
芭蕉
(
ばせを
)
の
句碑
(
くひ
)
あり。「馬をさへながむる雪のあしたかな」の句を刻す。これは
甲子吟行
(
かつしぎんかう
)
中の句なれば、名古屋あたりの作なるべし。それを何ゆゑに刻したるにや。
病牀雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
寧
(
むし
)
ろ
人麻呂
(
ひとまろ
)
以来の短歌であり、
芭蕉
(
ばせを
)
以来の俳句である。それを小説や戯曲ばかり幅を
利
(
き
)
かせてゐるやうに
誣
(
し
)
ひられるのは少くとも善良なる僕等には甚だ迷惑と言はなければならぬ。
変遷その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一時は
放蕩
(
はうたう
)
さへ働けば、一かど芸術がわかるやうに思ひ
上
(
あが
)
つた連中がある。この頃は道義と宗教とを談ずれば、
芭蕉
(
ばせを
)
もレオナルド・ダ・ヴインチも
一呑
(
ひとの
)
みに呑みこみ顔をする連中がある。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たつた十七字の活殺なれど、
芭蕉
(
ばせを
)
の自由自在には恐れ入つてしまふ。西洋の詩人の詩などは、日本人故わからぬせゐか、これ程えらいと思つた事なし。まづ「
成程
(
なるほど
)
」と云ふ位な感心に過ぎず。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
芭
漢検準1級
部首:⾋
7画
蕉
漢検準1級
部首:⾋
15画
“芭蕉”で始まる語句
芭蕉翁
芭蕉布
芭蕉扇
芭蕉実
芭蕉葉
芭蕉庵
芭蕉亭
芭蕉忌
芭蕉紙
芭蕉布地