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繃帯
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ほうたい
ふりがな文庫
“
繃帯
(
ほうたい
)” の例文
旧字:
繃帶
仕方がありませんから私の口に綿を一パイに詰めて、上から
繃帯
(
ほうたい
)
をしまして、針で縫うた傷がいつまでも治らないように見せました。
オシャベリ姫
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
かぐつちみどり
(著)
そして彼はその
謎
(
なぞ
)
を解かんとせず、
瘡痍
(
そうい
)
を
繃帯
(
ほうたい
)
せんとした。万物の恐るべき光景は、彼のうちにやさしき情をますます深からしめた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
イエはそれに気づくと眉を顰め、
一寸
(
ちょっと
)
お待ちなさいと云って階下へいったが、上ってきたのを見ると、
硼酸
(
ほうさん
)
液と
繃帯
(
ほうたい
)
を持っていた。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
巌は
繃帯
(
ほうたい
)
だらけの顔を
天井
(
てんじょう
)
に向けたままだまった、父と子はたがいに眼を見あわすことをおそれた。陰惨な沈黙が長いあいだつづいた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
甲州街道は大部分
繃帯
(
ほうたい
)
した都落ちの人々でさながら縁日のようでした。途中で
根
(
こん
)
竭
(
つ
)
きて首を
縊
(
くく
)
ったり、倒れて死んだ者もあります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
太夫元の白玉喬は、
繃帯
(
ほうたい
)
した片腕を首に
吊
(
つ
)
り、足も少しビッコを曳いて、木戸口へかかって来たが、ふと
幟竿
(
のぼりざお
)
の下の雷横を見るや
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから数日して、N大尉が海軍病院へ見舞に往くと、S中尉は
繃帯
(
ほうたい
)
の中から恐怖におびえた眼を見せて、墜落の原因を話した。
空中に消えた兵曹
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二人
(
ふたり
)
は、いつかその
病院
(
びょういん
)
の
病室
(
びょうしつ
)
へ
案内
(
あんない
)
されたのでした。
准尉
(
じゅんい
)
は、
白
(
しろ
)
い
衣物
(
きもの
)
のそでに
赤
(
せき
)
十
字
(
じ
)
の
印
(
しるし
)
のついたのを
被
(
き
)
て、
足
(
あし
)
を
繃帯
(
ほうたい
)
していました。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
顔全体を
繃帯
(
ほうたい
)
で巻いているために、それが果たしてその婦人なのか、別の女が変装しているのかわからないという興味を取り扱っている。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
喬介はそう言って、笑いながら右腕の
袖口
(
カフス
)
をまくし
挙
(
あ
)
げて見せた。手首の奥に白い
繃帯
(
ほうたい
)
、赤い血を薄く
滲
(
にじ
)
ませて巻かれてあった。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
右の腕を
繃帯
(
ほうたい
)
で釣るして左の足が義足と変化しても帰りさえすれば構わん。構わんと云うのに浩さんは依然として
坑
(
あな
)
から上がって来ない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やはりあのとき重傷を負った蟹寺博士が病院のベッドの上で
繃帯
(
ほうたい
)
をぐるぐる捲きつけた顔の中から細々とした声で語ったところによると
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
目はその間も
額縁
(
がくぶち
)
に入れた机の上の
玉葱
(
たまねぎ
)
だの、
繃帯
(
ほうたい
)
をした少女の顔だの、
芋畑
(
いもばたけ
)
の向うに
連
(
つらな
)
った
監獄
(
かんごく
)
の壁だのを眺めながら。……
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
陳列品の中で思ひがけなかつたのは、ミイラの
夥
(
おびただ
)
しい
蒐集
(
しゅうしゅう
)
であつた。非常に保存がよく、
繃帯
(
ほうたい
)
まで原態をとどめてゐるのも少なくなかつた。
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
繃帯
(
ほうたい
)
を取替へるとか、背をさするとか、足を
按摩
(
あんま
)
するとか、着物や蒲団の工合を善く直してやるとか、そのほか
浣腸
(
かんちょう
)
沐浴
(
もくよく
)
は言ふまでもなく
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
附添
(
つきそい
)
の看護婦は元気のよい人で、「御隠居様は大層経過がおよろしそうですが、どうも
繃帯
(
ほうたい
)
をおいじりになっていけません」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
子規の頃にはまだギブスがなかったとみえ、毎日
繃帯
(
ほうたい
)
を取換えている。繃帯を取換えるとき「号泣又号泣」と書いてある。
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いや、そうじゃないんだ、ヤグラをあげた(怒ってあばれた)はいいが、多勢に無勢でやられちゃったと、俺は
繃帯
(
ほうたい
)
をした手を隠すようにした。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
西洋の女学校では必ず看病学や
繃帯
(
ほうたい
)
の仕方を教えると聞いていますが私どもの理想に
良人
(
おっと
)
の怪我を手当するなんぞという事は夢にもありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そこで手早く
繃帯
(
ほうたい
)
を捲き、自分の口をすすぎ、手当をつくして、それから右の子供を背中に背負って急いで子供の家へ連れて行ってやりました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
靴紐
(
くつひも
)
や靴墨、
刷毛
(
はけ
)
が店頭の前通りに
駢
(
なら
)
び、
棚
(
たな
)
に製品がぱらりと飾ってあったが、父親はまだ
繃帯
(
ほうたい
)
も取れず、土間の仕事場で靴の底をつけていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は彼の部屋のドアの外側の
把手
(
とって
)
には、何故だか知らないけれど、ガアゼの
繃帯
(
ほうたい
)
が巻いてあったことを突然思い出した。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
投げ銭で額を割られて、少し
大袈裟
(
おおげさ
)
な
繃帯
(
ほうたい
)
はしておりますが、根が丈夫そうで、大した屈托もなく働いている様子です。
銭形平次捕物控:039 赤い痣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
旗艦『ケンタッキー』では、ヤーネル大将が、
艦橋
(
ブリッジ
)
で、がんばっている。負傷したのか頭に
繃帯
(
ほうたい
)
をぐるぐる巻いている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
もうすっかり
繃帯
(
ほうたい
)
は取れていたが、彼の顔色にはすぐれないものがあった。傷の
疼
(
いた
)
みは、いろいろな形で、彼の精神にもひびいたのかも知れない。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
使ったせいか、
繃帯
(
ほうたい
)
を外ずして来た左の眼がしきりに痛み出して涙がぽろぽろ出だした。わたしは
袂
(
たもと
)
からハンケチを取出して押えねばならなかった。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ぎりぎり
繃帯
(
ほうたい
)
をしていました、綿銘仙の
垢
(
あか
)
じみた
袷
(
あわせ
)
に、
緋勝
(
ひがち
)
な
唐縮緬
(
めりんす
)
と黒の打合せの帯、こいつを後生大事に
〆
(
し
)
めて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ボーイ長のまっ白の
繃帯
(
ほうたい
)
は、それでも血がにじんで来た。「
膿
(
うみ
)
が出るよりはいいね」と、ボーイ長は笑う元気が出た。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
看護卒は、負傷した少尉の脚に
繃帯
(
ほうたい
)
をした。少尉の傷は、致命的なものではなかった。だから、傷が
癒
(
い
)
えると、少尉から上司へいい報告がして貰える。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ところが、手に
腫物
(
はれもの
)
が出来て切開したばかりの大奥さんは、
繃帯
(
ほうたい
)
でぐるぐる
捲
(
ま
)
きにした手を眺めながら困った顔をして、むしろ頼むように私に言った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
膿
(
うみ
)
がしみ込んで黄色くなった
繃帯
(
ほうたい
)
やガーゼが散らばった中で黙々と重病人の世話をしている佐柄木の姿が浮かんで来ると、尾田は首を振って歩き出した。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
両眼に
繃帯
(
ほうたい
)
した人に向って、繃帯を通して眼をじっとこらすようにといくら元気づけたところで、その人はけっして何かを見ることはできませんからね。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
医者の
外
(
ほか
)
には佐助にさえも負傷の状態を示すことを嫌がり
膏薬
(
こうやく
)
や
繃帯
(
ほうたい
)
を取り
替
(
か
)
える時は
皆
(
みな
)
病室を追い立てられた。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かれの片眼をつつんでいる
繃帯
(
ほうたい
)
などは、なんの眼障りにもならなかった。そのときの
墨染
(
すみぞめ
)
は今の幸四郎であった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頸
(
くび
)
に
湿布
(
しっぷ
)
の
繃帯
(
ほうたい
)
をして、着流しの
伊達
(
だて
)
まきの上へ、
緋
(
ひ
)
の紋ちりめんの大きな帯上げだけをしょっている女は、掃き寄せを
塵取
(
ちりと
)
りにとったりして働いていた。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
肺炎と坐骨神経痛と風眼とが同時に起った時、彼は、眼に
繃帯
(
ほうたい
)
を当て、絶対安静の
仰臥
(
ぎょうが
)
のまま、
囁
(
ささや
)
き
声
(
ごえ
)
で「ダイナマイト党員」を口述して妻に筆記させた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
知識も道徳もなくて
叶
(
かな
)
わぬものであるが、本能的生活の
葛藤
(
かっとう
)
にあっては、智的生活の生んだ規範は、単にその傷を醜く
蔽
(
おお
)
う
繃帯
(
ほうたい
)
にすらあたらぬことを知るだろう
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼女は、
産婦
(
さんぷ
)
のように血の
気
(
け
)
が薄らいでいる。しかも一大危険を
冒
(
おか
)
したという得意さがつつみきれず、ていねいに
繃帯
(
ほうたい
)
を巻いた指を前のほうへ差し出している。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
眼をむいて、女房を怒鳴りつけようとしたが、
繃帯
(
ほうたい
)
している殴られた頭部の傷が、ピリピリとひきつる。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
私は一時ぼんやりしたように立って居たが、やがて気を取りなおしてとりあえず、ポケットから
手巾
(
ハンケチ
)
を取り出して、傷口を
繃帯
(
ほうたい
)
し、びっこをひき乍ら家に帰った。
犬神
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
その翌日のことでしたが、彼女の
家
(
うち
)
へ行って見ると、彼女は顔の半面を
繃帯
(
ほうたい
)
しているではありませんか。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
八日目の午後になって、春代が初めて見舞に来たが、その時には額の
繃帯
(
ほうたい
)
は既に除かれていたので、疵の
痕
(
あと
)
はその晩
路地
(
ろじ
)
で転んだことにいいまぎらしてしまった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この泥自ずから身毛に留まってこれに木生ぜしなりと。戦士の傷口に詰め込んだ土から麦が生えた話や、
繃帯
(
ほうたい
)
の上に帽菌が生えた譚もあれば、全く無根でもなかろう。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
右手に
繃帯
(
ほうたい
)
をしていられましたようですが、ふだんと何の変った御様子もあらせられず穏やかに微笑んでいらっしゃるのを見ました時には私共国民は、感激のあまり
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
まだ
眠
(
ねむ
)
らないで
南京虫
(
なんきんむし
)
と
戦
(
たたか
)
っている
者
(
もの
)
もあろう、
或
(
あるい
)
は
強
(
つよ
)
く
繃帯
(
ほうたい
)
を
締
(
し
)
められて
悩
(
なや
)
んで
呻
(
うな
)
っている
者
(
もの
)
もあろう、また
或
(
あ
)
る
患者等
(
かんじゃら
)
は
看護婦
(
かんごふ
)
を
相手
(
あいて
)
に
骨牌遊
(
かるたあそび
)
をしている
者
(
もの
)
もあろう
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
おぢいさんはきのふの晩から歯が痛くて仕方がないので、ほつぺたを
繃帯
(
ほうたい
)
してお医者に行かうとしましたが、おぢいさんは貧乏なものですから、一銭もお金がないのでした。
歯と眼の悪いおぢいさん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
いつかあたしが、足の親指の爪をはがした時、お母さんは顔を
真蒼
(
まっさお
)
にして、あたしの指に
繃帯
(
ほうたい
)
して下さりながら、めそめそお泣きになって、あたし、いやらしいと思ったわ。
冬の花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
上野の博覧会の仕事もあと二三日で終ると云う夕方、与一は頭中を
繃帯
(
ほうたい
)
で巻いて帰って来た。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
伝平はいつの間にか、幾種類かの薬品や、
繃帯
(
ほうたい
)
や脱脂綿などまで持っているのであった。部落の人達も、馬で困ることがあると、すぐ伝平のところへ相談に行くようになった。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
鋳物工の職工は、どれも顔にひッちりをこしらえたり、手に
繃帯
(
ほうたい
)
をしていた。砂型に鉄を注ぎ込むとき、水分の急激な発散と、それと一緒に起る鉄の火花で皆やけどをしていた。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
“繃帯(
包帯
)”の解説
包帯(ほうたい、en: bandage)は、傷や出血などの箇所に、包帯での圧迫によって出血を止めたり、吸水性の高い綿で血や膿などを吸収させたり、あるいは清潔を保つために当てる保護ガーゼを固定するガーゼ生地の布である。繃帯(繃は、つかねる、まく、つつむの意)とも表記される(そもそも「繃帯」は bandage の音訳)。
(出典:Wikipedia)
繃
漢検1級
部首:⽷
17画
帯
常用漢字
小4
部首:⼱
10画
“繃帯”で始まる語句
繃帯巻