曰く穀物の用達、曰く貨幣の用達これなり。穀物の用達なるものはただちに生産者より穀物を購買せず、政府の代官よりこれを購買す。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
神田から下谷の竜泉寺前まで用達に行った半七は、七ツ半(午後五時)頃に先方の家を出ると、帰り路はもう薄暗くなっていた。
半七捕物帳:09 春の雪解 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「おつねさん。師匠はまだ、なかなか起きそうにもねえから、あっしゃ一寸並木まで、用達に行って来るぜ」
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭 (新字新仮名) / 林不忘(著)
茶話:04 大正七(一九一八)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
わがクシュンコタンの貨物倉庫二棟切り破られた場所を発見せり、念のため在庫品をしらべしところ、浜の倉庫に於て狐皮五十枚、御用達和右衛門並びに彦兵衛の荷物全部紛失
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと (新字新仮名) / 高村光雲(著)
少し用達を
トニオ・クレエゲル (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
根岸お行の松 因果塚の由来 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
茶話:02 大正五(一九一六)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
今や彼のいちばん大きな喜びは、母が一日雇われて出かけてゆく時か、町に用達に出かける時かであった。彼は階段を降りてゆく足音に耳を傾ける。足音は早くも表に出で、しだいに遠ざかってゆく。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
途中で二軒ほど用達をして、家へ帰って夕食を食って、それから近所の湯へ行くと、その留守に善八が来ていた。
半七捕物帳:57 幽霊の観世物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)