“生涯:しょうがい” の例文
“生涯:しょうがい”を含む作品の著者(上位)作品数
夏目漱石26
寺田寅彦18
ロマン・ロラン10
紫式部7
島崎藤村6
“生涯:しょうがい”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語42.3%
文学 > 文学 > 文学理論 作法5.1%
文学 > 日本文学 > 戯曲2.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
人によると、生涯しょうがいに一度も無我の境界に点頭し、恍惚こうこつの域に逍遥しょうようする事のないものがあります。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あなたはずっと前にあなたの生涯しょうがいの運命をきめるあぶない時に、今と同じ別れ道にお立ちなされたのではありませんか。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
人間の生涯しょうがいでも六十年前の自分と六十年後の自分とはまず別人であり、世間の状態でも六十年たてばもう別の世界である。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
とりわけわたくし生涯しょうがいなどは、どなたのよりも一そうつまらない一しょうだったのでございますから……。
「そうら!……あんたはもう無茶苦茶よ。では私は、一生涯しょうがいあんたといっしょになってなけりゃならないもんなの?」
それは彼女らの生涯しょうがい中の一瞬にすぎないし、快楽の最初の眼覚めざめにすぎなくて、凋落ちょうらくはほど近い。
それは、彼がかかる災厄に堪え得る、生涯しょうがい中の唯一の時期——彼が絶望に陥りきることを許されない、唯一の時期だった。
彼女はその生涯しょうがいをどうしたのだろうか? だれがそれを奪い取ったのだろうか?……彼女はオリヴィエを恨みだした。
ためになる敵こそありがたいものだ。僕は生涯しょうがいのうちで、害になる友からよりも彼らからいっそう多くの益を受けてきた。
貴方あなたは一生涯しょうがいだれにも苛責かしゃくされたことはく、健康けんこうなることうしごと
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
でも、その時わたしが味わったような至福の感じは、わたしの生涯しょうがいにもはや二度と再び繰返くりかえされなかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「頭ばかりじゃない。世の中には頭のいい豆腐屋が何人いるか分らない。それでも生涯しょうがい豆腐屋さ。気の毒なものだ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もし想像の論理を許すならば、この条件のもとに与えられたる一個の柿は、生涯しょうがい喰っても喰い切れる訳がない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
齷齪あくせくとした生涯しょうがい塵埃ほこり深いちまたに送っているうちに、最早もう相川は四十近くなった。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
生涯しょうがいいいすてし句、ことごとくみな辞世であるといった芭蕉の心境こそ、私どもの学ぶべき多くのものがあります。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
しかしベルナールに言わせると彼の理論と目的とが矛盾していたために生涯しょうがい仕上げができなかったというのである。
自画像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この銀座ぎんざの冬の夜の記憶が、どういうものかひどく感傷的な色彩を帯びて自分の生涯しょうがいにつきまとって来た。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
結論だけを言うならば、それはく簡単で、ただ、吾々が生涯しょうがい従事し得る立派な職業であると私は考えて居るのだ。
昔からのことが眠れないままに次々に思い出される浮舟は、自分は悲しいことに満たされた生涯しょうがいであったとより思われない。
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
家長たちがそれぞれ、最後の一枚の白紙へ、自分の名前と、生涯しょうがいの重要な日付、誕生や結婚や死亡などを、書き込んでいた。
二人はそういう人々の生涯しょうがいを詳しく知っていて、彼らが受けた苦しみを思うと、しみじみと愛情を覚えさせられた。
道江みちえ生涯しょうがいの幸福のために?——なるほど、自分は心のどこかで、そんなことを考えていないのではない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「それじゃあ生涯しょうがいありつけまいぜ。源吉とやら、みずからは、とあの姫様ひいさまが、言いそうもないからね」
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
例えば思想の乏しい人の送る内生涯しょうがいと云うものも色における吾々と同じく、気の毒なほどあわれなものです。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
名前はまだつけてくれないが、欲をいっても際限がないから生涯しょうがいこの教師のうちで無名の猫で終るつもりだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし主人の考えでは一年持ち、二年持ち、五年持ち十年持った以上は生涯しょうがい持たねばならぬと思っているらしい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仰山ぎょうさんに言うと一時間の意識はその人の生涯しょうがいの意識を包含していると云っても不条理ではありません。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかる上は、もはら皇国の道を尊信いたし、最も敬神の儀怠慢いたすまじく、生涯しょうがい師弟の儀忘却つかまつるまじき事。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その床の上に七十年の生涯しょうがいを思い出して、自己おのれ黄昏時たそがれどきをながめているような人である。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もういい加減に、枯れてもいい年ごろだと言われる半蔵が生涯しょうがいの奥に見つけたのは、こんな位置にあるところだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
過ぐる三十年が二度と私の生涯しょうがいに来ないように、あの叢書そうしょに入れるはずの私の著作も二つとは私にないものである。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私が火事を起す。私の生涯しょうがいにそんなおそろしい事があろうとは、幼い時から今まで、一度も夢にさえ考えた事が無かったのに。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
親が満足に産みつけてくれた身体からだにもし生涯しょうがい人前に出ることの出来ないような不具な顔にでもなったら、どうしよう。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
お銀を妻とするについても、女をよい方へ導こうとか、自分の生涯しょうがいおもうとかいうような心持は、大して持たなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
——おそらく彼は生涯しょうがいこのわかりきったようで、しかも永久に解く事のできないなぞを墓の中まで持ち込むかもしれなかった。
球根 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
男は砂埃すなほこりでざらつきそうな赤い毛と、日に焼けて生涯しょうがいめっこない強い色をっていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、その部屋部屋に、ぼくの生涯しょうがい戦利品せんりひんが、ちゃんと分類して陳列してあるってわけだよ。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
無事、無為に、赤穂の片田舎に、暮してしまえば、こういうめた生涯しょうがいの一ときは、思えばなかった筈である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
可愛想に、もし赤シャツがここへ一度来てくれなければ、山嵐は、生涯しょうがい天誅を加える事は出来ないのである。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すさまじき喰い違い方が生涯しょうがいに一度起るならば、われは幕引く舞台に立つ事なくしておのずからなる悲劇の主人公である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう宮様のお話はいっさいすまい。不幸で短命な生涯しょうがいに続いて、その執着が残るために未来をまた台なしにすると思うのがつらい。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
したがって一面識めんしきだもなき人に自分の生涯しょうがいを左右する職業の選定を相談しても、けっして満足な返事は得られぬと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
『ワルシャワこそきみせにゃならん、ぼくが五ねん幸福こうふく生涯しょうがいおくったところだ。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「お前は器量望みで貰われたのを、生涯しょうがい自慢にする気なんだろう」と云ってやりたい事もしばしばあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それを記念する意味からも、おまんは自分の忘れがたい旦那と生涯しょうがいを共にしたこの青山の家をそう粗末には考えられないとしていた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そんなことで妻は生涯しょうがい心から打ち解けてくれなかったのだなどと、源氏は悔やむのであるが今はもう何のかいのある時でもなかった。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
生涯しょうがい憂苦の連続であるこのあわれな落伍らくご者を見ながら、わが友よ、私はこう考えたのです。
たとえなおっても、あるいは眼がつぶれたり、あるいはあばたが残って、一生涯しょうがい、その人はいやな思いをしなければなりません。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
普通の場合において、個人の性格中のある特性が、その個人の生涯しょうがいを貫ぬいている事は事実であります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
遺伝と一口に云うとすこぶる単純なようであるがだんだん調べて見ると複雑な問題で、これだけ研究していても充分生涯しょうがいの仕事はある。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は先代半六のあとを追って、妻子や孫たちにとりまかれながら七十一歳の生涯しょうがいをその病床に終わった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたくしは一生涯しょうがいその懐剣かいけん自分じぶんたましいおもって肌身はだみけてたのでした。
私は、一生を神にささげた巫女の生涯しょうがいのさびしさが、なんとなく私の心をひきつけるような気がした。
日光小品 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
生徒の生涯しょうがいを貫ぬいてその魂を導き引き立てるような貴いありがたい影響はどこにもなくなるだろう。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
最後にどこまで進んでいたかはわからないが、ただ彼の短い生涯しょうがいが決してそれほど短いものでなかったという事だけは言えるように思う。
亮の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それ以来彼の生涯しょうがいは、許すべからざる「運命」の獰猛どうもうさにたいするたえざる争闘となった。
いまひとりの「忠良ちうりゃう臣民しんみん」が、こゝに愚劣ぐれつ生涯しょうがいえた
今更元文の年号がいつの時代であるかを説き、静御前の生涯しょうがいについて吾妻鑑あずまかがみや平家物語を引き合いに出すまでもあるまい。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「いいえ生涯しょうがいのうちでいつか一度じゃないのよ。近いうちなの。もう少ししたらのいつか一度なの」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかしあなたの生涯しょうがいは過去にあるんですか未来にあるんですか。君はこれから花が咲く身ですよ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして、中学校から高等学校へ移るまぎわに立ったときに、なんの躊躇ちゅうちょもなく生涯しょうがいの針路を科学のほうに向けたのであった。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その古い色を見ると、木村の父のふとぱらな鋭い性格と、波瀾はらんの多い生涯しょうがい極印ごくいんがすわっているように見えた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それよりも自分の生涯しょうがいの上にはこんな事件が思いのほかに大きな影響を及ぼしたのかもしれない。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この夫婦の境界きょうがいにある人は、いくらきまりを悪るがる性分しょうぶんでも、きまりをわるがらずに生涯しょうがいを済ませる事が出来る。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
五十余年の生涯しょうがいの中で、この吉左衛門らが記憶に残る大通行と言えば、尾張藩主の遺骸いがいがこの街道を通った時のことにとどめをさす。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いかに繁劇はんげき生涯しょうがいを送る人でも、折々いわば人生より退しりぞいて黙想するの必要あることは、たがいの経験で明らかであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
綻びた下から醜い正体が、それ見た事かと、現われた時こそ、身のさび生涯しょうがい洗われない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
本当に嬉しかった、本当にありがたかった、本当にたっとかったと、生涯しょうがいに何度思えるか、勘定かんじょうすれば幾何いくばくもない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このような「薄志弱行」はいつまでも私の生涯しょうがいに付きまとって絶えず私に「損」をさせている。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
御二方の生涯しょうがいは、畢竟ひっきょうそのため燃焼しつくされたのだと申しても過言であるまい。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
ちょうどわしが修行に出るのをして孤家ひとつやに引返して、婦人おんな一所いっしょ生涯しょうがいを送ろうと思っていたところで。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
病気で熱の出た時、牛肉を食わなかったから、もう生涯しょうがいロースのなべはしを着けちゃならんぞと云う命令はどんな御大名だって無理だ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物思いの連続といってよい自分の生涯しょうがいの中に、いまだ今度ほど苦しく思ったことはなかった。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
一度師範学校にはいれば、生涯しょうがいパンの心配はいらないし、未来は意のままになるはずだった。
この心持ちも自分の生涯しょうがい中にあって新らしいものであるから、ついでにここに書いて置く。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は自分の考えることをこの子にも言って置きたいと思って、一生他人にたよるようなこれまでの女の生涯しょうがいのはかないことなどを話し聞かせた。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
母は生涯しょうがい父から着物をこしらえて貰った事がないという話だが、はたして拵えて貰わないでもすむくらいな支度したくをして来たものだろうか。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とにかくあすの会見の次第に依っては、僕の生涯しょうがいの恩師が確定されるかも知れないのだ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
お心よしで多少ぼんやりしてるこの男は、生涯しょうがいかつて大して気をもんだことがなかった。
そのとき、この勝利の感情は長い生涯しょうがいのあいだ一つの拠りどころを与えてくれるように彼には思われたが、それもまったくばかげたことではなかった。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
メンデルスゾーンはその短き生涯しょうがいを通して、音楽家としては珍しきまでに幸福であった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
実際今でも世界じゅうには生涯しょうがい一冊の書物も所有せず、一行の文章も読んだことのない人間は、かなりたくさんに棲息せいそくしていることであろう。
読書の今昔 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
帰朝後いよいよ東京へ落ち着かれたころは、西片町にしかたまちへんにしばらくおられて、それから曙町あけぼのちょう生涯しょうがいの住居を定められた。
田丸先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「もうおしまいだ。それなのに私はほんとうに生きたこともなかった。この二十年間を私はどうしたのだろう? 自分の生涯しょうがいを私はどうしたのだろう?」
この岩かどに頭を打ちつければ、この悪夢のようなわしの生涯しょうがいは閉じるのではないか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
事によると今日の日記は生涯しょうがい忘れることのできない思い出になるのではないかと思う。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これは多くはその一人一人の生涯しょうがい特に年少時代において体験した非常に強烈な印象に帰因するものであって、特に性的な関係のものが多いという話である。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのために、一ツ橋家の指南番までゆきながら、たびたび御前ごぜんていをしくじっては、禁酒と謹慎とを、生涯しょうがいに何度となく繰り返して終わっている。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊那丸いなまるは、遠くへ向かってを合わせた。空をやく焔は、かれのひとみに、生涯しょうがいわすれぬものとなるまでやきついた。すると、不意だった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
就中此の夫人の、びしい、しょざいない、泣くにも泣かれない孤独な生涯しょうがいおもうと、事実こう云う顔つきをしていたらしい気もするのである。
平田門人としての自分らは——ことに後進な自分らは、彼真木和泉が生涯しょうがいを振り返って見て、もっと自分らの進路を見さだむべき時に到達したと言ってある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
教育者の手首が堅くてはせっかくの上等な子供の能力の弦線も充分な自己振動を遂げることができなくて、結局生涯しょうがい本音を出さずにおしまいになるであろう。
「手首」の問題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この関所の越え方のいかんで多くの人の生涯しょうがいはきまると言ってもいいくらいだ。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そうして最も純潔な尼僧の生活から、一朝つまらぬ悪漢に欺かれて最も悲惨な暗黒の生涯しょうがいに転落する、というような実験を、忠実に行なった作品があるとする。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この古びた学校のがっしりした壁に取りまかれて、私は、それでも退屈もせずいやにもならず、自分の生涯しょうがいの十歳から十五歳までの年月を過したのである。
ただ、彼は五十五歳でありコゼットは八歳であったから、彼が生涯しょうがいのうちに持ち得たすべての情愛は、一種の言うべからざる輝きのうちに溶け込んでしまった。
この二人ふたり夫婦ふうふは、それからのちながあいだ子供こどもというものがなく、さびしい生涯しょうがいおくったのであります。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どんなことがあっても、生涯しょうがい刀はくまい、刀はしていても手をかけまい! 地蔵菩薩じぞうぼさつの愛の体得たいとくをけっしてわすれまい!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたかも往来おうらいは歩くにえん、戸外はいるにしのびん、一刻も早く屋根の下へ身を隠さなければ、生涯しょうがいの恥辱である、かのごとき態度である。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これらの人々の追憶をいつかは書いておきたい気がする、しかしそれを一々書けば限りはなく、それを書くという事はつまり自分の生涯しょうがいの自叙伝を書く事になる。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)