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牝
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めす
ふりがな文庫
“
牝
(
めす
)” の例文
「
牡
(
おす
)
と
牝
(
めす
)
と」ふたりの雇い人がいた。新しい雇い人がやって来る時には、ジルノルマン氏は新たに洗礼名をつけてやるのを常とした。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と、洞穴の外で異様な
唸
(
うな
)
り声がした。わが
棲家
(
すみか
)
のうちの怪しき気ぶりに鏡のような眼を
研
(
と
)
ぎすまして帰って来た小虎の親の
牝
(
めす
)
だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牝
(
めす
)
の狐の作った歌である。うらみくずの葉というところ、やっぱり畜生の、あさましい恋情がこもっていて、はかなく、悲しいのである。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「勘や見當で下手人をきめられてたまるものか。——それより、主人の寅五郎が殺される前に、
牝
(
めす
)
犬が一匹死んだ筈だ。それはどうしたんだ」
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
虎はここで彼女を下ろしたので、どうするのかと思ってよく視ると、そこには一頭の
牝
(
めす
)
の虎が難産に苦しんでいるのである。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
が、Yahoo の
牝
(
めす
)
を軽蔑したスウィフトは狂死せずにはいなかったのである。これは女性の
呪
(
のろ
)
いであろうか? 或は又理性の呪いであろうか?
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
このパリーのきれいな人たちは、
牡
(
おす
)
が自分を裏切った
牝
(
めす
)
を殺そうとする畜生的な本能にたいして、いろいろ抗弁して、寛大な理性を説くんですね。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
其處
(
そこ
)
へあの、
牝
(
めす
)
の
黒猫
(
くろねこ
)
が、
横合
(
よこあひ
)
から、フイと
乘
(
の
)
りかゝつて、お
君
(
きみ
)
のかいた
歌
(
うた
)
の
其
(
そ
)
の
懷紙
(
ふところがみ
)
を、
後脚
(
あとあし
)
で
立
(
た
)
つてて
前脚
(
まへあし
)
二
(
ふた
)
つで、
咽喉
(
のど
)
へ
抱
(
かゝ
)
へ
込
(
こ
)
むやうにした。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
上品ぶった
面
(
つら
)
はしているが、ひと皮
剥
(
む
)
けばこいつらは
牝
(
めす
)
だ、色と欲で固まった牝にすぎない。彼はこれまでに知った女たちの、幾人かを思いだした。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自由に相手を選んでゐた
境涯
(
きやうがい
)
から、狭い
囚
(
とら
)
はれのをりの中で、あてがはれた
牝
(
めす
)
をせつかちに追ひまはすやうな、空虚な心が、ゆき子との接吻のなかに
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「此奴も奇抜な意匠だ。左右少し面相の
異
(
かわ
)
っているのは
牝
(
めす
)
牡
(
おす
)
の積りなんだろう。君、用心し給え。
掏摸
(
すり
)
がいるぜ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「明日、
牝
(
めす
)
をのぞいた残りを全部
殺
(
や
)
るというんだ。人道的な方法というからには、アカスガの毒を使うだろう」
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ピオニーと云うのは前から飼っているコリー種の
牝
(
めす
)
で、去年の五月に神戸の犬屋から買った時にちょうど花壇に咲いていた
牡丹
(
ぼたん
)
に
因
(
ちな
)
んで名をつけたのだが
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「天国には女が居ませんて——」娘は
軍鶏
(
しやも
)
の
牝
(
めす
)
のやうに
屹
(
きつ
)
となつて顔をあげた。「違ひますよ、先生、そんな
理由
(
わけ
)
で天国に結婚が無いんぢやございますまい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
家畜の宰領をしているラファエレに、現在の頭数を聞いて見たら、乳牛三頭、
犢
(
こうし
)
が
牝
(
めす
)
牡
(
おす
)
各一頭ずつ、馬八頭、(ここ迄は聞かなくても知っている。)豚が三十匹余り。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これをチベットでヤクと言って居りますがこの獣は西洋にもないものですから翻訳が出来ぬものと見えてやはり英語でも「ヤク」といって居る。その
牝
(
めす
)
をリーといいます。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ゴリラが多くの
牝
(
めす
)
を連れて生活しおるのは、原始人の生活と同様であるといわれる。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
牝牡
(
めすをす
)
同
(
おなじ
)
く
穴
(
あな
)
に
蟄
(
こも
)
らず、
牝
(
めす
)
の子あるは子とおなじくこもる。其
蔵蟄
(
あなごもり
)
する所は大木の
雪頽
(
なだれ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
朽
(
くち
)
たる
洞
(
うろ
)
(なだれの事下にしるす)又は
岩間
(
いはのあひ
)
土穴
(
つちあな
)
、かれが心に
随
(
したがつ
)
て
居
(
を
)
る処さだめがたし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「どうも内の狆が
牝
(
めす
)
だもんですから、いろんな犬が来て困ります」と云って置いて、「畜生々々」と顧み
勝
(
がち
)
に出て行く犬を叱っている。狆は帳場から、よそよそしい様子をして見ている。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
どこの動物園へ行って見ても、猛獣の檻には大てい
牡
(
おす
)
と
牝
(
めす
)
とがお揃いでいるものだわ。あたし、もう
先
(
せん
)
から、あんたにお嫁さんをお世話しなけりゃと思って、いろいろ心がけていたのよ。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
別になんでもないので、ところで、アトスでは、お聞き及びでしょうが、女性の訪問が禁制になっとるばかりか、どんな生物でも
牝
(
めす
)
はならん、牝鶏でも、牝の七面鳥でも、牝の
犢
(
こうし
)
でも……
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「捨犬でしょう。」お婆さんは一寸調べるように見ていたが、「
牝
(
めす
)
ですね。」
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
斯の狆の種を得たいと言つて、同じやうな美しい毛並の
牝
(
めす
)
を引連れて来る人もあつた。時とすると狆は人の習慣を無視する動物の本性に反つて、殆んど本能的に私のまはりを狂つて歩いた。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
況
(
ま
)
して僕等の先輩が、生物を善用して比較解剖をしたればこそ、成熟期に達した人間の女に月經があると同時に、猿の
牝
(
めす
)
にも月經があるといふ、宇宙の一大事件が發見されたのぢやないか。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「お浜、
牡
(
おす
)
にばかり親切するのでなかど。
牝
(
めす
)
にもオカラをやってくれよ」
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
栗毛の、片眼で老いた
牝
(
めす
)
の馬が、ある晩遅く、若い頃
博労
(
ばくろう
)
をやったことのある祖父と、父と二人して、
挽
(
ひ
)
っぱられてきた。そして長屋の背後に、小さい
掘立
(
ほったて
)
小屋が作られて、馬は
其処
(
そこ
)
に入れられた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「この
牝
(
めす
)
はずか/\肥えるじゃないかいや。」
電報
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
体重
牡
(
おす
)
で一一〇
封度
(
ポンド
)
、
牝
(
めす
)
で八〇封度まで
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
... 買って料理に使いますが犢の肉もやっぱり一週間位
置
(
お
)
けますか」お登和嬢「イイエ犢の肉は牛肉よりも
食頃
(
たべごろ
)
が速いので
極
(
ご
)
く寒い時でも
屠
(
ほふ
)
ってから三、四日目位でございます」妻君「犢の肉はやっぱり
大牛
(
おおうし
)
のように
牝牛
(
めうし
)
の方がいいのでしょうか」お登和嬢「犢の時は
孰方
(
どちら
)
も同じ事ですが大概
牡
(
おす
)
ばかりで
牝
(
めす
)
は
滅多
(
めった
)
に
屠
(
ほふ
)
りません。 ...
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「見苦しいのは、あなたという人間の行いではありませんか。あんな
牝
(
めす
)
の
獣
(
けだもの
)
のような
白粉
(
おしろい
)
の女たちを、五人も六人も飼いちらして」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし
夫
(
そ
)
れ私
一人
(
ひとり
)
の好みを云へば、やはり、犬よりは狼が
可
(
い
)
い。子供を育てたり裁縫したりする優しい
牝
(
めす
)
の
白狼
(
はくらう
)
が
可
(
よ
)
い。
世の中と女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かねてから
私
(
わし
)
も知っとる、お孝はなお孝はな、……それがために、
牝
(
めす
)
、われが身になって、食いものねだりの無理非道よりも泣かされたぞ、に、に。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひとりはほほえんでる恐ろしいジョンドレット、また片すみには
牝
(
めす
)
の
狼
(
おおかみ
)
のようなジョンドッレットの女房、それから壁の後ろには、人に見えない所にたたずんで
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
馬は
牝
(
めす
)
の事を考へてにやにやしてゐた。ふと気が附くと、直ぐ眼の前を美しい女が歩いてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「それなら分る。両方に鬚があるなり……か。成程、面白い。猫は確かに
牝
(
めす
)
でも鬚がある」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「だって小父さん、
牝
(
めす
)
牡
(
おす
)
ならば
喧嘩
(
けんか
)
しないって云うじゃありませんか」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此
(
ここ
)
に
怜悧
(
りこう
)
な
観世物師
(
みせものし
)
があったら、
直
(
ただち
)
に前代未聞と吹聴すべき
山𤢖
(
やまわろ
)
なるものの正体は
抑
(
そも
)
何
(
ど
)
んなであったか。
勿論
(
もちろん
)
、彼等にも
牝
(
めす
)
牡
(
おす
)
はあろうが、今ここに屍体となって現われたのは、
確
(
たしか
)
に女性であった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
うつゝなき
夫
(
せ
)
の鼻先に尻を向けこれも眠れり
牝
(
めす
)
のライオン
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「
牝
(
めす
)
が一匹に、男が一人さ」
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女は今も信輔にはその為に美しさを伝えている。
若
(
も
)
しそれ等に学ばなかったとすれば、彼は或は女の代りに
牝
(
めす
)
ばかり発見していたかも知れない。…………
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そっちの
牝
(
めす
)
も
髷
(
まげ
)
の
鬢
(
びん
)
が、頬先に
渦毛
(
うずげ
)
を巻いとる、見しゃれ。人間の言葉が通ずるうちに、よう聞け、よう聞けや。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
するとたちまち、あたりは暗くなり、雲のごとき気流のうちから、数千の
豼貅
(
ひきゅう
)
(大昔、中国で飼い馴らして戦場で使ったという猛獣のこと、
豼
(
ひ
)
は
雄
(
おす
)
、
貅
(
きゅう
)
は
牝
(
めす
)
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女房は
狼
(
おおかみ
)
の
牝
(
めす
)
が
牡
(
おす
)
に従うように、うなりながらその言葉に従った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
赤黒きタンクの如く並びゐる河馬の
牝
(
めす
)
牡
(
をす
)
われは知らずも
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「
牝
(
めす
)
が一匹に、男が一人さ」
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども橙色の人間獣の
牝
(
めす
)
は何か僕を引き寄せようとしてゐる。かう云ふ「野性の呼び声」を僕等の中に感ずるものは僕一人に限つてゐるのであらうか?
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
年久しく十四五年を経た
牝
(
めす
)
が、
置炬燵
(
おきごたつ
)
の上で長々と寝て、
密
(
そっ
)
と薄目を
睜
(
みひら
)
くと、そこにうとうとしていた
老人
(
としより
)
の顔を伺った、と思えば、張裂けるような
大欠伸
(
おおあくび
)
を一つして
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ええ、この
牝
(
めす
)
の獣め」と、年景が、こんどは平手を
拳
(
こぶし
)
にして、もう一つ、頬へ加えると
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
膃肭獣
(
おっとせい
)
と云うやつは、
牡
(
おす
)
が一匹いる所には、
牝
(
めす
)
が百匹もくっついている。まあ人間にすると、牧野さんと云う所です。そう云えば顔も似ていますな。だからです。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ト
此
(
こ
)
の
團右衞門方
(
だんゑもんかた
)
に
飼猫
(
かひねこ
)
の
牡
(
をす
)
が一
疋
(
ぴき
)
、これははじめから
居
(
ゐ
)
たのであるが、
元二
(
げんじ
)
が
邸内
(
ていない
)
へ
奉公
(
ほうこう
)
をしてから
以來
(
いらい
)
、
何處
(
どこ
)
から
來
(
き
)
たか、むく/\と
肥
(
ふと
)
つた
黒毛
(
くろげ
)
で
艶
(
つや
)
の
好
(
い
)
い
天鵝絨
(
びろうど
)
のやうな
牝
(
めす
)
が
一
(
ひと
)
つ
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“牝”の意味
《名詞》
(めす)動物のうち、卵又は子を産む性。
(出典:Wiktionary)
“牝(
雌
)”の解説
雌(メス、牝 en: Female)は、雄と対比される動物の性別。主に人間以外の動物を指す際に使われ、人間の女性に相当する。動物の中で、子供や卵を産む方を言う。記号として、手鏡をかたどったギリシャ文字「♀」が使われる。
(出典:Wikipedia)
牝
漢検準1級
部首:⽜
6画
“牝”を含む語句
牝馬
牝鶏
牝牡
牝牛
牝犬
牝猫
牝鹿
牝豹
牝豚
牝獅子
牝鷄
成牝
牝羊
牝雞
玄牝
牝虎
牝驉
牝驢
牝鵞
牝驢馬
...