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燦爛
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さんらん
ふりがな文庫
“
燦爛
(
さんらん
)” の例文
その薄明の中に、きわめて細かい星くずのような点々が
燦爛
(
さんらん
)
として青白く輝く、輝いたかと思った瞬間にはもう消えてしまっている。
詩と官能
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
本堂にはお説経の壇が出来て、
赤地錦
(
あかじにしき
)
のきれが
燦爛
(
さんらん
)
としている。広い場処に、
定連
(
じょうれん
)
の人たちがちらほらいて、低い声で
読経
(
どきょう
)
していた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
近代の仏詩は高踏派の名篇に
於
(
おい
)
て発展の極に達し、彫心
鏤骨
(
るこつ
)
の技巧実に
燦爛
(
さんらん
)
の美を
恣
(
ほしいまま
)
にす、今ここに一転機を生ぜずむばあらざるなり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
燦爛
(
さんらん
)
たる
火光
(
あかり
)
、千万の物音を合せた様な轟々たる都の響。其火光がお定を溶かして了ひさうだ。其響がお定を押潰して了ひさうだ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼女は
燦爛
(
さんらん
)
として輝いているが、しかも退屈な応接間からそっと忍び出て、小さな
惨
(
みじ
)
めな自分の部屋へ泣きにゆくこともしばしばあった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
▼ もっと見る
人が足に踏みにじり、炉のうちに投じ、溶解し、沸騰せしむる、あの
賤
(
いや
)
しき石くれも、やがては
燦爛
(
さんらん
)
たる結晶体となるであろう。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
否、塵芥は至粋を
駐
(
とゞ
)
むるの
権
(
ちから
)
なきなり、漁郎天人の至美を悟らずして、
徒
(
いたづ
)
らに天衣の
燦爛
(
さんらん
)
たるを
吝
(
をし
)
む、こゝに於てか天人に五衰の悲痛あり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
正面に
燦爛
(
さんらん
)
として輝くのは、二間ほどの大仏壇で、その前に端座して、何やらゴツゴツやっているのは、主人の正兵衛でした。
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この日、曹操は、七宝の金冠をいただき、
緑錦
(
りょっきん
)
の
袍
(
ひたたれ
)
を着、
黄金
(
こがね
)
の太刀を玉帯に佩いて、足には、一歩一歩
燦爛
(
さんらん
)
と光を放つ
珠履
(
しゅり
)
をはいていた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
入日の雲が真紅に紫にあるいは黄色に燃えて
燦爛
(
さんらん
)
の美を尽すのも今だ。この原の奇観の一つに
算
(
かぞ
)
えられている大旋風の起るのもこの頃である。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
とたんに、室中のものがハッと息をのみ、思わず土まみれのままの
燦爛
(
さんらん
)
たる光に……ダイヤ、しかも原石! と
唖然
(
あぜん
)
たる態。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
せんじ詰めるとこれだけであるが、そのこれだけが、非常にもっともらしい
口吻
(
こうふん
)
と
燦爛
(
さんらん
)
たる警句とによって前後二十七ページに延長している。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実際に我我のような平凡人でも、山頂に宿って
燦爛
(
さんらん
)
として且つ静粛な夜天の星群を望むと、心も身も共に浄まる気がする。
高きへ憧れる心
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
燦爛
(
さんらん
)
とした星の下を。昂奮と怖れと苦悶に圧せられながら。ひっそりとした暗い町を今人間の形をした苦悶が火照って行き過ぎるのではないか。
小さき良心:断片
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
その刹那から、己の目の前には、現実の世界が消えてしまって、
燦爛
(
さんらん
)
たる色彩と、
妖艶
(
ようえん
)
なる
女神
(
めがみ
)
と、
甘美
(
かんび
)
なる空気との世界ばかりが見えて居た。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
燦爛
(
さんらん
)
たる羅馬文化……しかも立派に完全したものを見たのでありますから、この駆逐艦乗組員一同の驚きもさこそと察し得られるのであります。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
夜明けの微光とともに開いて、夜の暗さとともに眠るのです。太陽の輝きが
燦爛
(
さんらん
)
たれば
燦爛
(
さんらん
)
たるほど元気で、曇れば福寿草も元気なく
項垂
(
うなだ
)
れます。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
壁には、象を料理するのじゃないかと思うほどの
大鉞
(
おおまさかり
)
や
大鋸
(
おおのこぎり
)
、さては小さい
青竜刀
(
せいりゅうとう
)
ほどもある
肉切庖丁
(
にくきりほうちょう
)
などが、
燦爛
(
さんらん
)
たる
光輝
(
ひかり
)
を放って掛っていた。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
電車の
軋
(
きし
)
る音、乱れ足で行き違う群集の影。たそがれの気を帯びて黒い一と塊りになりかけている広場を囲む町の家々に
燦爛
(
さんらん
)
と灯がともり出した。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかれどもさらに精密にこれを観察せば兵の太陽はその光輝
燦爛
(
さんらん
)
たるがごとしといえども
夕暉
(
せきき
)
すでに斜めに西山に入らんとする絶望的のものにして
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
仏間に這入ると、すでに、新しい
蝋燭
(
ろうそく
)
に火がともされていて、仏壇が
燦爛
(
さんらん
)
と光っていた。念仏の声が急に繁くなった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
これであるから余りに
鄭重
(
ていちょう
)
な供養を提出された時に、恵心が其の
燦爛
(
さんらん
)
たる膳部に対して「かくては余りに見ぐるし」と云ったのも無理はないことで
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
このとき、
占
(
うらな
)
い
者
(
しゃ
)
は
空
(
そら
)
を
仰
(
あお
)
ぎました。いつしか
空
(
そら
)
には、
金銀
(
きんぎん
)
の
砂
(
すな
)
をまいたように、
燦爛
(
さんらん
)
として
星
(
ほし
)
が
輝
(
かがや
)
いていました。
北海の白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すべては黒く、しかし
燦爛
(
さんらん
)
としていた、——ちょうどタータリアン
10
の文体が譬えられているあの黒檀のように。
群集の人
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
洪大尉の
石碣
(
せきけつ
)
を開いて一百八の魔君を走らせしも恐らくはこう言う所ならん。霊官殿、玉皇殿、四御殿など、皆
槐
(
えんじゅ
)
や
合歓
(
ねむ
)
の中に金碧
燦爛
(
さんらん
)
としていたり。
北京日記抄
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
で、居間に入って、ひとりでチビリチビリとやり出した時に、ようやく
鬱憤
(
うっぷん
)
が、酒杯の中へ
燦爛
(
さんらん
)
と散り、あらゆる
貪著
(
どんじゃく
)
がこの酒杯にかぶりつきました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
棺を
蓋
(
おお
)
うて定まる批評は
燦爛
(
さんらん
)
たる勲章よりもヨリ以上に沼南の一生の政治的功績を顕揚するに足るものがあった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それは真に一宗の開拓であった。光悦に続いて
宗達
(
そうたつ
)
、
光琳
(
こうりん
)
、乾山と
燦爛
(
さんらん
)
たる命脈が持続されたのも無理はない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
騎兵と歩兵と砲兵と、服色
燦爛
(
さんらん
)
たる数十万の狂人の大軍が林の中から、三色の雲となって層々と進軍した。砲車の
轍
(
わだち
)
の連続は響を立てた河原のようであった。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
孟宗
(
もうそう
)
の根竹に梅花を彫った
筆筒
(
ふでづつ
)
の中に乱れさす長い
孔雀
(
くじゃく
)
の尾は
行燈
(
あんどう
)
の
火影
(
ほかげ
)
に
金光
(
きんこう
)
燦爛
(
さんらん
)
として眼を射るばかり。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
河の向う岸では橋に近く光輝
燦爛
(
さんらん
)
たる花火が発射されつつあり、我々はこの舟の迷路の中で、衝突したり、後退したり、時に反対の方向に転じたりしながら
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
すなわち私共はその北の口からずっと入って見ますと実に
金碧
(
きんぺき
)
燦爛
(
さんらん
)
として何ともいえない感に打たれたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
生きながら彼はいま戒壇院を
睥睨
(
へいげい
)
しているわけである。ここのこの木牌室ほど県下で立派なものはないということだが、私も一度見た。金色
燦爛
(
さんらん
)
たる部屋である。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
博士 正史でなく、小説、
浄瑠璃
(
じょうるり
)
の中を見ましょうで。時の人情と風俗とは、史書よりもむしろこの方が適当でありますので。(金光
燦爛
(
さんらん
)
たる
洋綴
(
ようとじ
)
の書を
展
(
ひら
)
く。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
リボンの紫はおいおいに
褪
(
あ
)
せてゆくが、海神ネプチュヌの
金色
(
こんじき
)
燦爛
(
さんらん
)
たる名は、日光にもめげないでいる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
数寄屋橋
(
すきやばし
)
門内の夜の冬、雨
蕭々
(
せう/\
)
として立ち並らぶ電燈の光さへ、ナカ/\に
寂寞
(
せきばく
)
を添ふるに過ぎず、電車は燈華
燦爛
(
さんらん
)
として、時を
定
(
さだ
)
めて出で行けど
行人
(
かうじん
)
稀
(
まれ
)
なれば
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ある時は、
燦爛
(
さんらん
)
たる光に満ちた大空であって、九月の麗わしい夜に、一つ離れて滑り落ち静かに消えてゆく、見ても胸踊るばかりの星が一つ、そこに見えていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それと
同時
(
どうじ
)
に、
一旦
(
いつたん
)
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つた
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
は、
金
(
きん
)
モールの
光
(
ひかり
)
燦爛
(
さんらん
)
たる
海軍大佐
(
かいぐんたいさ
)
の
盛裝
(
せいさう
)
で、
一隊
(
いつたい
)
の
水兵
(
すいへい
)
を
指揮
(
しき
)
して、
屏風岩
(
べうぶいわ
)
の
下
(
した
)
なる
秘密造船所
(
ひみつざうせんじよ
)
の
中
(
なか
)
へと
進入
(
すゝみい
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
貧乏寺でもさすがにこればかりは
金色
(
こんじき
)
燦爛
(
さんらん
)
とした天蓋が、大藤の花の垂るるがごとく咲き垂れていた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
ところで、白い帽子の白詰め襟の老ボーイ、食堂の入口に現れるなり、
燦爛
(
さんらん
)
と、さて悲しげに笑ったが、左に
銅鑼
(
どら
)
、右に
撥
(
ばち
)
、じゃん、じゃららん、らんらんらんらん。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
特務曹長「ええ、
只今
(
ただいま
)
のは実は現在
完了
(
かんりょう
)
のつもりであります。ところで閣下、この好機会をもちまして
更
(
さら
)
に閣下の
燦爛
(
さんらん
)
たるエボレットを拝見いたしたいものであります。」
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
在来の雌雀老いて痛き目を見るを悲しんで烏の
窠下
(
かか
)
におり雨降るに気付かず、烏の窠中に色々に染めた布片あり、雨に溶けて老雀に滴り
燦爛
(
さんらん
)
たる五采孔雀のごとしと来た
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いま春の光りが
燦爛
(
さんらん
)
とこの姿を照らして、漆黒の全身がもえあがらんばかりに輝いてみえる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
三十三間堂では薄闇の中に
金色
(
きんしょく
)
燦爛
(
さんらん
)
として何列にも立ち並んでいる
千手観音
(
せんじゅかんのん
)
の数に驚いた。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
其傍に
光輝
(
こうき
)
燦爛
(
さんらん
)
たるものあるを
見
(
み
)
しものありと、此等の
迷霧
(
めいむ
)
を
霽
(
はら
)
さしめんとの
志
(
こころざし
)
は一行の胸中に
勃然
(
ぼつぜん
)
たり、
此挙
(
このきよ
)
や数年前より
県庁内
(
けんちやうない
)
に於て
行
(
おこな
)
はんとの
議
(
ぎ
)
ありしも
常
(
つね
)
に
其機
(
そのき
)
を得ず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
燦爛
(
さんらん
)
たる光耀を伴うような、神への尊崇と神への敬順を具象化したような宝玉や金属で飾られた寺院本、紋章や唐草や絡み模様などでけんらんと装われた貴族蔵本などは自ら過剰な
書籍の風俗
(新字新仮名)
/
恩地孝四郎
(著)
荒蕪地
(
こうぶち
)
の方は、ハリエニシダの花が満開中で、四月の太陽を受けて、黄金色に
燦爛
(
さんらん
)
としていた。私はその一つの茂みのかげの、道路の両端と、廃院の門とがよく見える位置に身をひそめた。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
外では猛烈な嵐が城をかすめて物凄い
千切雲
(
ちぎれぐも
)
を吹飛ばした。そしてこの細長い空の中に闇を投げ込んだ。その時師父ブラウンは、その小さな本を手にとって
燦爛
(
さんらん
)
と光るその
頁
(
ページ
)
をしらべ始めた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
司祭
(
しさい
)
の肩なる
鉤鈕
(
かぎぼたん
)
の如く、
色
(
いろ
)
燦爛
(
さんらん
)
たる
寶玉
(
ほうぎよく
)
を
鏤
(
ちりば
)
めたる
莊嚴
(
さうごん
)
に似たるを知る。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
雛店というと、目の前に描き出されるのは直ちに店一杯真赤な色をしている、その赤い中に、金色もあれば、青色もあり、紫色もあり、白色もあり、
紅紫
(
こうし
)
燦爛
(
さんらん
)
、人目を
眩
(
くらま
)
するような感じである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
燦
漢検準1級
部首:⽕
17画
爛
漢検1級
部首:⽕
21画
“燦”で始まる語句
燦
燦然
燦々
燦光
燦燗
燦燦
燦火
燦鬱
燦々会
燦々奕々