をか)” の例文
しのぶをか」は上野谷中の高台である。「太郎稲荷」はむかし柳河藩主立花氏の下屋敷に在つて、文化のころから流行はやりはじめた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
見わたすをかの若葉のかげ暗う、過ぎゆきけんかげも見えぬなん、いと口惜くちをしうもゆかしうもたゞ身にしみてうちながめられき。
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天皇、御歳一百六十八歳ももぢあまりむそぢやつ、(戊寅の年の十二月に崩りたまひき。)御陵は、やまみちまがりをか一九にあり。
山續やまつゞきに石段いしだんたかく、木下闇こしたやみ苔蒸こけむしたるをかうへ御堂みだうあり、觀世音くわんぜおんおはします、てら觀藏院くわんざうゐんといふ。
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をかの方の木の並んでゐる下から、水がわき出てゐるので、さらふのにかへつてつがふがよいのでした。
ふしぎな池 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
わがをか龗神おかみひてらしめしゆきくだけ其処そこりけむ 〔巻二・一〇四〕 藤原夫人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
少しはなれしをか小松こまつの根がたを犬のほりし跡よりあらはれ出たるが其者は藤枝宿ふぢえだじゆく馬丁うまかた松五郎と申者の由是亦同村の者ども申立たり然すれば九郎兵衞親子おやこ奸計かんけいにて右の死骸しがいへ惣内夫婦の衣類いるゐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吾が同郡どうぐんをかまち旧家きうか村山藤左ヱ門はむこの兄なり。此家に先代より秘蔵ひさうする亀の化石くわせきあり、つたへていふ、ちか山間さんかんの土中より掘得ほりえしといふ、じつに化石の奇品きひんなり、こゝあげ弄石家ろうせきかかんまつ
をかにのぼりてをよべど
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
をかの草こそ青むなれ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かたをか
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
酒折さかをりみや山梨やまなしをか鹽山ゑんざん裂石さけいし、さし都人こゝびとみゝきなれぬは、小佛こぼとけさゝ難處なんじよして猿橋さるはしのながれにめくるめき、鶴瀬つるせ駒飼こまかひるほどのさともなきに
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私は毎年の秋たけだいに開かれる絵画展覧会を見ての帰り道、いつも市気しき満々まん/\たる出品の絵画よりも、むかうをか夕陽せきやう敗荷はいかの池に反映する天然の絵画に対して杖をとゞむるを常とした。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ゆきはあはになりそ吉隠よなばり猪養ゐがひをかせきなさまくに 〔巻二・二〇三〕 穂積皇子
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
身請して妻と致し右妻の古郷へ夫婦連にて罷越まかりこし途中とちう大井川のはたにて何者の所業しわざ共知れず殺され其くび下伊呂しもいろ村のをかにていぬがくはへあらそひ居たりしを見付しと安五郎申たり又今一人男のくびは同所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
村はづれのをかのふもとの、八まん様のわきの池で、片がはは木がこんもりとしげり、もう片一方は、草の生えた土手です。その池には、ひとりでにわき出る水が、いつも、きれいにすんでゐます。
ふしぎな池 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
吾が同郡どうぐんをかまち旧家きうか村山藤左ヱ門はむこの兄なり。此家に先代より秘蔵ひさうする亀の化石くわせきあり、つたへていふ、ちか山間さんかんの土中より掘得ほりえしといふ、じつに化石の奇品きひんなり、こゝあげ弄石家ろうせきかかんまつ
て、たびといへば、うちにゐて、哲理てつりをかぼれのことにばかりつてゐないで、たまにはそとたがよい。よしきり(よしはらすゞめ、行々子ぎやう/\し)は、むぎ蒼空おほぞら雲雀ひばりより、野趣やしゆ横溢わういつしてしたしみがある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この天皇、御年五十七歳いそぢあまりななつ、御陵はつるぎいけなかをかの上にあり。
私はをかけ上がる。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
二人ふたりさくらをかのぼりていま櫻雲臺をううんだい傍近そばちかときむかふより五六りようくるまかけこゑいさましくしてるを、諸人しよにん立止たちどまりてあれ/\とふ、れば何處いづこ華族樣くわぞくさまなるべき、わかひたるぜに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
九郎兵衞始めへ申きかせよと有に安五郎ハツト答て其儀は先日せんじつよりも申上し通り故郷こきやうへ參る途中とちうつま白妙を馬士まごうばはれ其後首ばかりを下伊呂村のをかにてひろかみ新田村の無量庵へ頼みはうむりしとの手續きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
天皇、御年五十六歳いそぢまりむつ。御陵は菅原すがはら伏見ふしみをか一四にあり。
宿は岬の松のをか
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
雲雀ひばりのあがる麥生むぎふなゝめに見渡みわたしながらをかのすみれを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)