“寔:まこと” の例文
“寔:まこと”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治24
谷崎潤一郎4
永井荷風4
北村透谷3
佐左木俊郎2
“寔:まこと”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史40.0%
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学14.3%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗習慣・民俗学・民族学8.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
まことに結構なお言菜で、お家万歳のきざしと有難く存ずる次第でありますが……」と、一寸眼をあげて殿様の顔を見た。
とばかり飲んで騒ぐことを例としていたが、その顔ぶれとすこし違って、今夜の彼のお連れは、まことにおとなしやかな人品だった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
マリウチアとペツポとのわが身を爭ひて、わが全く寄邊よるべなき身の上となりしは、まことに限なき不幸なりき。
ゼッフロア氏はこれを譬へて刀剣の反返そりかえりたる趣きありとなしたるはまことに言ひ得て妙なりといふべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
まことに知る、鏡を懸け珠を吐きたまひて、百の王相續き、劒ををろちを切りたまひて、萬の神蕃息はんそくせしことを
机の上には、一杯の水と花が供えてあるだけだったが、それも、一学自身の手でしたものと見ればまことにわびしい。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現代の社会研究としては、それも当然のことと言ってよいであろうが、いわゆる史前学の範囲においては、是はまことに忍び難い不利である。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
舅の仇を報いんともせざるはまことに武門の耻辱にこそと思はれけれども、則重公近頃の容態にては中々に力およばず
だからこういう人というものはまこと厄介やっかいなもので、世の中の人と歩調を共にすることは出来ない。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この点において北斎はまことに泰西人の激賞するが如く不覊自由ふきじゆうなる独立の画家たりしといふべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼の美き友を択ぶはもとよりこの理に外ならず、まことに彼の択べる友は皆美けれども、ことごとくこれ酒肉の兄弟けいていたるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
アジアの大陸、ヨーロッパの大陸、アメリカの大陸等にくらべたらまことびょうたる島であります。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「ただ今、仰せ出しの——洲股すのまたに御築城のお企て、まことに、御智略ごちりゃくにはござりますが、ちと、無謀かとも存ぜられます」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だのといって、例の石垣坂の閉まっている門を無益に叩く者が、まことくびすを接して来るのである。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしも、退屈せまい為じゃ。野菊の花を捜しに出た。しかし、この山には、まことに菊が少ないとみゆる」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御芳志はまことにありがたい。さりながら、この衣裳の紋から仕立てよう、玄蕃允盛政が晴着としては、気に入り申さず。……お返しおき願いたい」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに恐れ入りますが、もう少々お待ちを願います、と言われて見れば詮方無く、不承不承命じられた所に腰を下ろして、暫時合図を待つ事に致しました。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
武田家におあずけしておくのは、わが家におくより気安う存じていたが、かくまで御養育の上、お送り返し賜わるとは、四郎勝頼の温情、まことに忘れ難い。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやよく聞かせてくれた。城中に入る前に、そちに会ったのは、まことによい都合だった。すくなからず官兵衛の用意にも相成った。新七、礼をいうぞ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく、私を十五の歳まで育てたこの部落は、背後に畑地の多い丘陵があり、前面に水田が開けていて、農民小説にはまことに都合のいい舞台を形成している。
荒雄川のほとり (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
これはまことに些細の事であるが、さてさういふ些細の事から時々大きい事が起るものである。
些細なやうで重大な事 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まこと初冬はつふゆの朝初めて火鉢見るほど、何ともつかず思出多き心地するものはなし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「きのうは終日ひねもす、山をあるき、昨夜は近来になく熟睡した。そのせいか、きょうはまことに気分がよい。風邪かぜも本格的になおったとみえる」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新たに進出せんとする我々の一国民俗学にとっても、是はまことに容易ならぬ試練であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おん目にかゝらんことは、まことに喜ばしき限なれど、かく強ひて迎へまつらんこと本意ほいなく、二たび三たび止めしに、ベルナルドオの君聽かれねば是非なし。
まことに泰平の盛事である。やがて群臣の小舟をつらねて、浜御殿へ休憩に上がり、数寄屋すきやで茶をのむ。茶事が終ってまた、広芝の浜座敷にくつろいだ。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「左馬介どのか。今ほどはまことにお見事であった。よい語草かたりぐさをおのこしなされたぞ。はや最期のお支度と察しるが、此方に物申したいとはいかなる儀か」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お客さまは昨夜ゆうべ、藤六どんの所へお泊りでございましたな。藤六どんには、てまえも長年、お世話になっておりますよ。ご夫婦ともまことによくできたお人で」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まこと唐突とうとつだが、当寺の客、伊勢守どのには、まだ御逗留であろうか」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本の神社と寺院とはその建築と地勢と樹木とのまことに複雑なる綜合美術である。
令史れいしすくなからず顛動てんどうして、夜明よあけて道士だうしもといた嗟歎さたんしてふ、まことのなすわざなり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
がその事は秀吉が常に仲に立って、よく双方を融和ゆうわしてくれるし、「ああしたご気性」というものを話してくれるので、官兵衛にとっては、まことに気が楽だった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、ある。まことに幼稚なはなしだが、初めてその人の別号がわかったわけだが、同時に井川氏の手紙には、簡略ながら東寔の略伝を何かから索いて親切に書き添えてくれた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、陽気にしてしまう清盛が、わけてもこの頃はご機嫌なのであるから、六波羅一かくのことしの正月こそは、まことに、初春はるらしい陽気にちあふれていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(——まことに人を人臭しとも思われぬ和子君わこぎみおわすでなあ)
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに彼はさも思へらんやうにいさみ、喜び、誇り、楽める色あり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
自棄酒やけざけの味も忘れかねつつ、ついに今日、変り果てし醜骸しゅうがいをお目にふれ候こと、まことに天の冥罰みょうばつ、そら怖ろしと酔心をひやし候といえども
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浮世絵はその木板摺もくはんずりの紙質と顔料がんりょうとの結果によりて得たる特殊の色調と、その極めて狭少なる規模とによりて、まことに顕著なる特徴を有する美術たり。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ウム。……まこと、今が、つかめと与えられた機会かもしれぬ。では」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時、急迫の場合の措置として、まことに、止むを得なんだのである。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
房枝の情夫が女形であると言うのはまことに解せない話であります。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
まことに以上の二書簡は、一部の女子教訓にして、家庭の金誡なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「それにしては、まこと謙譲けんじょうなお人がらではある」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家すじも、中村の百姓だとしか聞かないし、現在も、士分のうちでは一番下の軽輩だし、顔は、猿に似ているし、風采といったらまことにあがらない小柄なほうだ。取柄とりえといったらただ、
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「国民之友」つて之を新題目として詩人に勧めし事あるを記憶す、まことに格好なる新題目なり、彼の記者の常に斯般しはんの事に烱眼けいがんなるは吾人のひそかに畏敬する所なれど
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
わが再遊を試みたるもまことに彼を見んが為なりしなり。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
まことに……もうにくいのでございますが」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おやじ、まことに相済まぬ頼みだが、実は、鳥目を一銭も持ち合せておらぬ。——と申しても、無心を頼むわけではない、此方このほうが持ち合せておる品物を、その価として取っておいてくれまいか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たゞ今は実に有益なご講演をまことに感謝いたします。何もございませんがいさゝか歓迎のしるしまで一献さしあげたいと存じます。ご迷惑は重々でございませうがどうかぢきそこまで御光来を願ひたう存じます。」
税務署長の冒険 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
彼慨然として答えて曰く、「時宗、秀吉はまことに及びやすからず、しかれども義律エリオット伯麦ブレマ馬里遜モリソン陋夷ろういの小才のみ、何ぞともかくするに足らんや」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
してみると、その笛は、彼女に取っては、まことに、将来ゆくすえ、自分の血液のつながりを捜し求める唯一の手がかりでもあるし、また、こうしてまだ相見ぬうちは、笛こそ親の姿であり、笛こそ親の声でもある。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あざやかで穏かでまことに宜い。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
吾人は能楽に於て同様の精神を見る、更に又た木偶劇に於て一層顕著なる精神を見る、而して是等はまことに我が普通劇の父たり母たるものにてあれば、吾人は此の精神の甚だ深く我が劇の中心に横はれるを知るに苦まず。
劇詩の前途如何 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
まことにお手数てかずで……』
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其刀にて介錯かいしやくせられし也、まことに昔は因果の程をつゝしめよ、あるひは其因果孫彦まごひこむくふか、或子に報か、或其身にむくふかなど、云しぞかし、しかは云ど、今は皿のはたを廻り侍るよと
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「お宅様でも、どんなにお驚きなすったことかと、まことにはや、きもがつぶれました。旦那様にも、即日、赤穂へお立ちとやら……。御内儀ごないぎ様の御心痛のほども、ほんとに、心から、お察し申しておりまする」
まことに短い期間であった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——にもかかわらず、かくの如き武勇凛々りんりんたる子弟を、時代の真っ先に送り出していることは、まことに文武両道の家なればこそ、父なればこそと、子のために、その親たる人まで、大いに称揚しょうようされた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ウむ。まことに、寔に」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取りあえず六日の晩に、幸子の代筆として貞之助が書面をしたため、又々延期と云うことはまことに申しにくいのだけれども、生憎あいにくな時に妻が風邪で熱を出したので、何とも勝手ながら、さしあたり八日は日延べを願いたい
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
まことに」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、旦那え。エヘヘヘ、まことに申しかねますが、なにしろ裸商売、こちとらあまだ、朝飯も喰べておりません。夕方までにゃあ、きっと、お尋ねのお人を突き止めますから、半日の日雇い賃と、わらじ銭とを、ちっとばかりやっておくんなさいませんか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——敵なき国は亡ぶという。或いはかえってこのために、越後の弓矢もゆるむかも知れぬ。とはいえ、信玄ほどな大才を敵として、それに敗られまじ、それに打克うちかたんと不断に己れを磨く目標はいまやこの世になくなった。惜しい。まことにさびしい」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに、畏れ多いことだ。旅の徒然つれづれなどのひまに、犬千代、藤吉郎などが、君前において、あけすけに寧子のことどもをお物語いたしたらしい。その果てに、然らば、因幡が仲立ちして、藤吉郎が望みをかなえてとらせよ、とお声があったものと察しられる」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「多事、これからの多事多端、世のうつり変りは、まことに、思いやらるるばかりです。……大きな変革期かわりめのさかいにある今の日本。……生きられるものなら、半兵衛ごときも、生きてそのゆくてを見とどけたい。真実、左様に存じますれど……天寿、いかんともなし得ません」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
之も歩兵が射出うちだした鉄砲の為に、焼かれてしまつた、其れから中堂、此の中堂は金がかかつて居た、欄干は総朱塗で、橋があつて之を天馬ばし、一名虹の橋と云つて、まことに結構なもので、其れを正月の十六日と、盆の十六日には小僧の宿下りの日といふので、此の橋を渡らせる
下谷練塀小路 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
そして、黄金を見て、早速結婚をする気になったこの近代的お姫さまから生まれたのが、金売吉次かねうりきちじだというのでありますが、これは単なる伝説のようでありまして、どこまで信じていいかわかりませんけれども、東北地方を金産地としての伝説としては、まことに面白い話であります。
ただ、僕等としましては、蒔岡家では何か格式と云うようなものにとらわれて、恰好かっこうな縁談があっても皆断ってしまうと云う風に、世間から思われておりますらしいのがつらいのでして、………決してそんな意味ではない、今度のことはまことむを得ない事情なのだと云うことを
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「重々、済まぬこととは心得ていたが、一身の危急、つい前後を顧みているいとまもなく、お船の内へ隠れ込んだ。——その上にも、まことに無理なお願いであるが、どうか拙者をこのままかくまって、かすみうら常陸岸ひたちぎしか、鹿島かしまの辺まで便乗させてもらえまいか」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あなたのようによわい八十になん/\としてなお矍鑠かくしゃくたる元気を保ち、壮者をしのぐ趣がおありになるのは羨しい次第である。国に斯様かような朝臣があるのはまことにめでたい限りであるから、何卒どうか此の上とも体を大切にされて、一日でも多く長生きをして下さるように」と
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
まことに、寔に、過分なおことばやら恩賞のお約束やら、何と申してよいか、お礼のことばもない。毛利家より日頃頂戴のろくは正直七千石に足らないものを。ましてや老齢に近いこの田舎いなか侍をば。——いやありがたいことでござる。お志だけはくれぐれもかたじけのう存ずる。忝う存じ奉る」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しからば(何故なぜそんなに東北地方が好きか?)と申されますと、これは理窟ではなく感情なのでありますからまことに困るのでありますが、私は何故か、優秀な文芸作品から受けると同じような、熱情的なものや、素朴なものや、思考的なものや、真実なものや、純情的なものなどの、陰影を感じさせられるからであります。