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姑
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しゅうとめ
ふりがな文庫
“
姑
(
しゅうとめ
)” の例文
道で、彼はやはり帰りの
姑
(
しゅうとめ
)
に偶然追いついた。声をかける前に、
少時
(
しばらく
)
行一は姑を客観しながら歩いた。家人を往来で眺める珍しい心で。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
恋しく思う人の字でなく、見なれた昔の
姑
(
しゅうとめ
)
の字であるのに興味が持てず、そのまま中将は置き放しにしたことであろうと思われる。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
二月
(
きさらぎ
)
初旬
(
はじめ
)
ふと引きこみし
風邪
(
かぜ
)
の、ひとたびは
瘥
(
おこた
)
りしを、ある夜
姑
(
しゅうとめ
)
の胴着を仕上ぐるとて急ぐままに
夜
(
よ
)
ふかししより再びひき返して
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
細君は顔色を変えて
怖
(
おそ
)
れた。王成は老婆に
義侠心
(
ぎきょうしん
)
のあることを説明して、
姑
(
しゅうとめ
)
として
事
(
つか
)
えなければならないといったので、細君も承知した。
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
いくら
姑
(
しゅうとめ
)
の気に入らない嫁でも、忰が好きなものならば、出る筈もないし出せる訳もない、やっぱりあれは庄造に飽かれたからだと云う。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
年よりも
遙
(
はる
)
かにもの識らずだった彼女は、恐怖と苦痛と不眠とで、数日のうちに驚くほど
憔悴
(
しょうすい
)
した。松室には病身の
姑
(
しゅうとめ
)
がいた。
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この、
老
(
おい
)
たる婿と、
舅
(
しゅうと
)
と
姑
(
しゅうとめ
)
が、どうした事か、毎日の、どんな
些少
(
ささい
)
な交渉でもみんな私のところへ、一々もってくるのだった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
姑
(
しゅうとめ
)
の意地の悪い奴、叔母さんか御隠居さんかが
在
(
あ
)
って、
拗
(
ひね
)
った事を云って、そうお茶をつぐからいけねえの、そうお菓子を盛てはいけねえ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下町育ちらしい束髪の細君が、胸を
披
(
はだ
)
けて
萎
(
しな
)
びた乳房を三つばかりの女の子に
啣
(
ふく
)
ませている傍に、切り髪の
姑
(
しゅうとめ
)
や大きい方の子供などもいた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
植松のお婆さんはそういう人だ。琴もひけば、歌の話もする。あの人を
姑
(
しゅうとめ
)
に持つんだから、お粂もなかなか
気骨
(
きぼね
)
が折れようぜ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
千穂子は今は一日が長くて、住み
辛
(
づら
)
かった。
姑
(
しゅうとめ
)
の
膳
(
ぜん
)
をつくって
奥
(
おく
)
へ持って行くと、姑のまつは
薄目
(
うすめ
)
を明けたまま
眠
(
ねむ
)
っていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
また、
舅
(
しゅうと
)
も、
姑
(
しゅうとめ
)
も、かわいがってはくれましたけれど、
聟
(
むこ
)
という
人
(
ひと
)
は、すこし
低能
(
ていのう
)
な
生
(
う
)
まれつきであることがわかりました。
海ぼたる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ものわかりのよい
姑
(
しゅうとめ
)
であろうとする登代の忍耐と努力。二人の子もちだというところから出る体の弱いつや子の落つきかた。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
廉子ときけば、
后町
(
きさきまち
)
の
局々
(
つぼねつぼね
)
、あまたな
寵姫
(
ちょうき
)
も、みなお
姑
(
しゅうとめ
)
のようにおそれ
憚
(
はばか
)
っているのである。それに内侍はいつか帝のおたねをやどしていた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そう気が付いたところで、親の金を持出した道楽息子や、嫁に
苛
(
いじ
)
められて身投げの場所を見に来た
姑
(
しゅうとめ
)
を、往来でつかまえるわけには行くまい」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一人の夫や両人の
舅
(
しゅうと
)
姑
(
しゅうとめ
)
や自分の生んだ子供に対する心掛などは、その場に臨めば大抵の女に自然会得が出来るものです。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
これからはじめて会う、
舅
(
しゅうと
)
、
姑
(
しゅうとめ
)
、小姑達にしても、この義兄の蔭に身を寄せたらばと、そう考えられるのであった。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
そして
姑
(
しゅうとめ
)
といっしょに暮らしていた。彼女らはだれにも会わなかった。その家の借主たちのうちで、クリストフともっとも交渉の少ない人たちだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
二年ばかり前に一度日本橋の商家の若
旦那
(
だんな
)
と結婚したのであるが、口やかましい
姑
(
しゅうとめ
)
と、それに対して全く彼女をかばってくれない夫とに愛想をつかして
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
義弟の方は申分ないけれど、
姑
(
しゅうとめ
)
がむずかしいものだから、郁子は泣いてばかりいる。僕だって鼻を咬まれるような騒ぎだから、これから先が思いやられる
村一番早慶戦
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今までの経験で一度ならず気づいた事ですが、
姑
(
しゅうとめ
)
というものは
聟
(
むこ
)
にとって、あまり面白くないのが常ですからね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
女性間の
嫉視
(
しっし
)
反目(
姑
(
しゅうとめ
)
と嫁、妻と小姑の関係はいうまでもあるまい。私はよく婦人から同性中に心を許し合うことの出来る友人のないことを聞かされる)
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
やや長ぜしものは
姑
(
しゅうとめ
)
などがあって
見守
(
みまもり
)
してくれるとか、家政上の事は別に面倒を見る人などがある事等である。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
オババサマとは彼の妻の母であって、名義上、小泉家の養子たる彼にとっては、
姑
(
しゅうとめ
)
の義母に当る老婦人である。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
御当家
(
おうち
)
へ迷惑は
懸
(
かけ
)
ないから、帰るまでああして
蔵匿
(
かくまっ
)
て置いて下さらないか、
衣服
(
きもの
)
に血が
附
(
つい
)
てたり、おどおどしている処を見ると、
邪慳
(
じゃけん
)
な
姑
(
しゅうとめ
)
にいびられる嫁か。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえば昔あったような
姑
(
しゅうとめ
)
と嫁の争いである。姑は「姑」を宣伝し、嫁は「嫁」を宣伝するために、一家に風波が立つ。双方互角である場合はまだ幸いである。
神田を散歩して
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この穢れし霊の一騒ぎがあった後、イエスは会堂を出られたその足で、すぐにシモン、アンデレ兄弟の家に入られたところ、シモンの
姑
(
しゅうとめ
)
が熱を病んで
臥
(
ね
)
ていた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
目上の人に仕うるのは女の道であるから一旦他家へ嫁いだ後はその家の
舅
(
しゅうと
)
、
姑
(
しゅうとめ
)
に従順に仕うることはもちろん、夫には最も親切になお夫の兄姉等にもよく仕え
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼女らは、
姑
(
しゅうとめ
)
に仕え、子を育て、主として、男の親に孝に、わが子に忠に、亭主そのものへの愛情に
就
(
つい
)
てはハレモノにさわるように遠慮深く教育訓練されている。
悪妻論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
嫁が
姑
(
しゅうとめ
)
に仕えるもただヘイヘイといって働くばかりでなくお姑さんのお悦びになりそうな食物を拵えて差上げるようにしたら一層その仲が睦まじくなりましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
が、
姑
(
しゅうとめ
)
と嫁との間は余り面白くないらしく、嫁はいつもおどおどと小さくなっていた。それを夫が、陰になり
日和
(
ひなた
)
になりして
庇
(
かば
)
っているのは誰の眼にもわかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
このとおり、
舅
(
しゅうと
)
姑
(
しゅうとめ
)
のないアメリカには、そのかわりに「お母さんのプディング」によって、若いお嫁さんは紅涙をしぼらせられなければならないことになっている。
字で書いた漫画
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一
夫
(
それ
)
女子
(
にょし
)
は成長して他人の家へ行き
舅
(
しゅうと
)
姑
(
しゅうとめ
)
に
仕
(
つか
)
ふるものなれば、
男子
(
なんし
)
よりも親の教
緩
(
ゆるがせ
)
にすべからず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
上総
(
かずさ
)
の
雄蛇
(
おんじゃ
)
の池などでも、若い嫁が
姑
(
しゅうとめ
)
ににくまれ、機の織り方が気に入らぬといっていじめられた。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ところが、嫁ぎ先の寺田屋へ着いてみると
姑
(
しゅうとめ
)
のお定はなにか思ってかきゅうに頭痛を触れて、
祝言
(
しゅうげん
)
の席へも顔を見せない、お定は寺田屋の後妻で新郎の伊助には継母だ。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
おしゃべりはともかくも小供のためにあの仲のよい
姑
(
しゅうとめ
)
と嫁がどうして衝突を、と驚かれ候わんかなれど決してご心配には及ばず候、これには奇々妙々の
理由
(
わけ
)
あることにて
初孫
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も夢中で御婚礼を
済
(
すま
)
せて、一日二日は、夜さえ眠ったのやら眠らなかったのやら、
舅
(
しゅうと
)
姑
(
しゅうとめ
)
がどの様な方なのか、召使達が幾人いるか、
挨拶
(
あいさつ
)
もし、挨拶されていながらも
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
内では轎の中にいた夫人が老婆の前で物語らしい書物を読んでいた。老婆は
姑
(
しゅうとめ
)
らしかった。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
養母と
姑
(
しゅうとめ
)
が死んだ翌年の寛政五年、
剃髪
(
ていはつ
)
した妻瑚璉を携へて京都へ上つたときは、養母の残りものなど売り払つて、金百七両持つてゐたといふがそれもまたたく間に無くなり
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
カヤノは茶の間の火鉢のそばに坐りこんだままぷすっとして、いつものように
姑
(
しゅうとめ
)
が何とかいったとか、
躯
(
からだ
)
の具合が悪いだとか、そんな口実を洩さず黙って頬をふくらしていた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
こういう処へ嫁に来るには、この娘ならばちょうど好くはないか。相当苦労もしていれば、貧乏世帯を張っても、また病人の
姑
(
しゅうとめ
)
に対しても相当に
旨
(
うま
)
くやり切って行くかも知れない。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
わが家金富町より一番町に移りし頃久斎は病みて世を去り、その妻しんといへるもの、わが家に来りて
炊爨
(
すいさん
)
浣滌
(
かんでき
)
の労を取り、わづかなる給料にて老いたる
姑
(
しゅうとめ
)
と幼きものとを養ひぬ。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それも母親さんのようにこんな気楽な家へお嫁に往かれりゃアともかくもネー、
若
(
も
)
しヒョッと先に
姑
(
しゅうとめ
)
でもある
所
(
とこ
)
へ
往
(
いく
)
んで御覧、なかなかこんなに
我儘
(
わがまま
)
気儘をしちゃアいられないから
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そして、謙蔵は
舅
(
しゅうと
)
や
姑
(
しゅうとめ
)
に対する義理合から、お延は姉のお民に対する思わくから、老夫婦は、次郎本人に対する愛と俊亮に対する面目から、それぞれあと一年を我慢することにした。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
ただ
敬太郎
(
けいたろう
)
は偶然にも自分の前に並んだ三人が、ありのままの今の姿で、現に似合わしい夫婦と
姑
(
しゅうとめ
)
になり
終
(
おお
)
せているという事にふと思い及んだ時、彼らを世間並の形式で
纏
(
まと
)
めるのは
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから重吉は茶の間の隣りにやはり床に就いている
姑
(
しゅうとめ
)
のお鳥を見舞うのだった。お鳥は玄鶴の寝こまない前から、——七八年前から腰抜けになり、便所へも通えない体になっていた。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
姑
(
しゅうとめ
)
や隣組や
嫂
(
あによめ
)
や兄たちに
小衝
(
こづ
)
かれてゆくうちに、多少ものの裏表もわかって来た。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
一時
(
ひととき
)
立つ。
二時
(
ふたとき
)
立つ。もう
午
(
ひる
)
を過ぎた。食事の支度は女中に言いつけてあるが、
姑
(
しゅうとめ
)
が食べると言われるか、どうだかわからぬと思って、よめは聞きに行こうと思いながらためらっていた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
姑
(
しゅうとめ
)
の虐遇に堪えで身を投げたるところにして、その一頃の波脈々としてサワ立てるは、今も亡者の怨魂がその水底をカキ回して寒たく写れる眉月を砕くに似たり、彼は淵に臨んで嘆ぜり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
十日の御書状拝見
仕
(
つかまつり
)
候。庭の模様がへ、北村のおくりし朝顔の事など
承
(
うけたまわり
)
候。おきみさんより同日の書状まゐり候。家事(
姑
(
しゅうとめ
)
に仕へ子を育つるなど)のため何事(文芸など)も出来ぬよしかこち
来
(
きたり
)
候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
“姑”の意味
《名詞》
(しゅうとめ)夫の母親。
(出典:Wiktionary)
姑
漢検準1級
部首:⼥
8画
“姑”を含む語句
舅姑
小姑
姑娘
嫁姑
姑女
慈姑
因循姑息
姑獲鳥
藐姑射
姑御
山慈姑
姑様
舅姑御
藐姑射山
外姑
水慈姑
姑媳
姑息
姑蘇
慈姑頭
...