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奴隷
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どれい
ふりがな文庫
“
奴隷
(
どれい
)” の例文
ときどき手を合せて拝みたい気もちのするのも、
悪
(
あ
)
しき情慾の
奴隷
(
どれい
)
となって、のたうち廻った思い出のなせる
仕業
(
しわざ
)
とのみはいえまい。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「
公用
(
こうよう
)
と
私用
(
しよう
)
を一つにするばかもないものだ。
自分
(
じぶん
)
からこのんで、
奴隷
(
どれい
)
になろうとしている。」と、
歎息
(
たんそく
)
していたこともありました。
兄の声
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
また、卑劣な人もあり、生きている人にはらう卑劣な服従と下等な
奴隷
(
どれい
)
根性のうらみを、すでに死んだ有名な人に晴らして喜ぶのだ。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
生命力の弱いものに対しては肉親でも
奴隷
(
どれい
)
のやうに
虐
(
しいた
)
げて使つてしまふ親譲りのエゴイズムとが、異様で横暴な形を採つて兄に迫つた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
家も国土も
蹂躙
(
じゅうりん
)
され掠奪
凌辱
(
りょうじょく
)
のうき目にあうはいうまでもなく、永く呉の
奴隷
(
どれい
)
に落され、魏の牛馬にされて、こき使わるるは知れたこと。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
自分がどんな
奴隷
(
どれい
)
だか知らずに、働けば楽になると思って働く。労働者たちは、皆この感受性を
麻痺
(
まひ
)
させられてしまったのだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
自分がいくらかは人間の力ではどうにもできない境遇の
奴隷
(
どれい
)
であったということを、私は世の人々に信じてもらいたいのだ。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
モコウは両親もなき
孤児
(
こじ
)
で船のコックになったり、
労役
(
ろうえき
)
の
奴隷
(
どれい
)
になったりしていたが、富士男の父に救われてから幸福な月日をおくっている。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あるとすれば、
奴隷
(
どれい
)
としての連帯感だけだ。それ以外には何もない。それはあの精神科病室の四人(五郎も含めて)のつながり方に似ている。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
此故
(
このゆゑ
)
に
当世
(
たうせい
)
の
文学者
(
ぶんがくしや
)
は
口
(
くち
)
に
俗物
(
ぞくぶつ
)
を
斥罵
(
せきば
)
する事
頗
(
すこぶ
)
る
甚
(
はなは
)
だしけれど、
人気
(
じんき
)
の
前
(
まへ
)
に
枉屈
(
わうくつ
)
して其
奴隷
(
どれい
)
となるは
少
(
すこ
)
しも
珍
(
めづ
)
らしからず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
しかし恋の
楽欲
(
ぎょうよく
)
を
先
(
ま
)
づ了解したのは
寧
(
むし
)
ろ花子であつた。彼女は自分の肉体が女王に、自分の精神が
奴隷
(
どれい
)
になり果てるのを急激に経験し理解した。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
基督
(
キリスト
)
の道徳は
奴隷
(
どれい
)
の道徳であると罵つたのは正にニーチエであると同時に、ビスマークを憎みトライチケを侮つたのもニーチエであるとすると
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは同時に、強権に対しては
奴隷
(
どれい
)
のごとく従順な民衆の心から、強権に対する
畏怖
(
いふ
)
を取りのぞこうということだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「早く直した者は、
奴隷
(
どれい
)
からゆるされるのですか。自由の身にして、かえしてくれるのですか。それはほんとうですか」
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
コゼットのそばにいる時彼は、自分の幸福、自分の所有物、自分の専制君主、自分の
奴隷
(
どれい
)
のそばにいるような気がした。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この
奴隷
(
どれい
)
の
境涯
(
きやうがい
)
がつく/″\
呪
(
のろ
)
はしくなりました、そしてそれが身を
焦
(
こが
)
すほどの憎惡にまで成長して行つたのです。
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
言ふにも及ばない事、
奴隷
(
どれい
)
の恥も、
苦
(
くるし
)
みも、孫一は、其の座で
解
(
と
)
けて、娘の
哥鬱賢
(
こうつけん
)
が
贐
(
はなむけ
)
した其の鸚鵡を肩に
据
(
す
)
ゑて。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは、
獨
(
ひと
)
り
讀書
(
どくしよ
)
の
上
(
うへ
)
ばかりではない。
何
(
な
)
んでも、
自己
(
じこ
)
に
腰
(
こし
)
を
据
(
す
)
ゑて
掛
(
かゝ
)
らなければ、
男
(
をとこ
)
でも
女
(
をんな
)
でも、一
生
(
しやう
)
、
精神上
(
せいしんじやう
)
の
奴隷
(
どれい
)
となつて
死
(
し
)
んで
行
(
ゆ
)
く
他
(
ほか
)
は
無
(
な
)
いのだ。
読書の態度
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
徳化県
(
とくかけん
)
の県令をしていた
張
(
ちょう
)
という男は、任期が満ちたのでたくさんの
奴隷
(
どれい
)
を
伴
(
つ
)
れ、悪いことをして蒐めた莫大な金銀財宝を小荷駄にして都の方へ帰っていた。
賭博の負債
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
機械人形のように、
柔順
(
じゅうじゅん
)
になったのだ。
奴隷
(
どれい
)
化したのだ。だから、本質との衝突が発生したものであろう。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
僕は多く不浄の
談
(
はなし
)
をならべるようではあるが、身を
縛
(
しば
)
られた例は
奴隷
(
どれい
)
制度の廃止された
今日
(
こんにち
)
、
娼妓
(
しょうぎ
)
をもって
例
(
たと
)
うるのほかなしと思い、ここに引例したのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
男子に圧伏せられてその
奴隷
(
どれい
)
たるがごとき境涯に落ちたればこそ、ついにかかる迷惑の役目をも背負わされたるなれ。天職などとは実によいつらの皮と言うべし。
婦人の天職
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
御覧になってもお分りの通り、全く家庭の
奴隷
(
どれい
)
に成り下り果てまして、世間は絶対に見られませんからね
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
縁起でもない
奴隷
(
どれい
)
の話なんか聞かされて、仰天してあなたのところへ飛び込んで、こんな馬鹿々々しい長話なんかして、僕は、まるでもう道化役者のようですね。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「恥をお知りなさい! 恥を! 妻ではございましても
奴隷
(
どれい
)
ではありませんよ。暴力を振うなんて。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
返す見込みのない金をどうして地主(華族)が貸すかといいますと、その子が大きくなった時にその家の
奴隷
(
どれい
)
にするのです。それを見込みに金を貸してやるのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
牝馬
(
めすうま
)
の腹に獣骨の管を
挿入
(
さしい
)
れ、
奴隷
(
どれい
)
にこれを
吹
(
ふ
)
かせて乳を
垂下
(
したた
)
らせる古来の
奇法
(
きほう
)
が伝えられている。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
僅
(
わず
)
かの月給の為めに腰を折ッて、
奴隷
(
どれい
)
同様な真似をするなんぞッて実に卑屈極まる……しかし……
待
(
まて
)
よ……しかし今まで免官に成ッて程なく復職した者がないでも無いから
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
長いあいだ動物が人間の
奴隷
(
どれい
)
であったけれども、それがあべこべになるときが来たのである。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
これから行って倉地にわびよう、
奴隷
(
どれい
)
のように畳に頭をこすり付けてわびよう……そうだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
明治新社会の形成をまったく男子の手に
委
(
ゆだ
)
ねた結果として、過去四十年の間一に男子の
奴隷
(
どれい
)
として規定、訓練され(法規の上にも、教育の上にも、はたまた実際の家庭の上にも)
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
そこでは親父も祖父さんも
奴隷
(
どれい
)
だった、台所へさえ通しちゃもらえなかった、その領地をわたしが買ったのだ。わたしが寝ぼけてるって、ただの夢だって、……気の迷いだって。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
唯々諾々
(
いいだくだく
)
としていられるのは、一方では親という絶対の
専制君主
(
せんせいくんしゅ
)
の下に生まれ落ちるから圧迫されて、極端に
奴隷
(
どれい
)
的の心持ちをやしなわれ、一方ではのんきなむかしの時代の人は
親子の愛の完成
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
燃
(
も
)
えたゝせたことか! なんと素晴しい感動をその光は私に與へたことだらう! そしてその新らしい感情が如何に私を
勵
(
はげ
)
ましたか! それは
宛
(
あたか
)
も殉教者や英雄が
奴隷
(
どれい
)
や犧牲者の側を
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
女の顔を見ると
無闇
(
むやみ
)
に優しくする人が妻を持ってから案外その妻に優しくなかったり、結婚の当座だけ妻を大切にして一、二年も過ぎると
奴隷
(
どれい
)
扱いにするような人物も
寡
(
すくな
)
くありません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
奴婢
(
ぬひ
)
は
奴隷
(
どれい
)
で主人の家に寄食するもの、後世の商家の例で云えば、家人は
通
(
かよ
)
い
番頭
(
ばんとう
)
、
奴婢
(
ぬひ
)
は住み込みお仕着せの奉公人という様な別があるのでありますが、これを通じては
奴婢
(
ぬひ
)
とも申した。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
万一、僕がその気になったら、たとえば茶色の
鶫
(
つぐみ
)
とか、ぴょいぴょい跳び回るおめかし屋の
鷽
(
うそ
)
とか、そのほかフランス中にいろいろいる鳥のどれかが、
奴隷
(
どれい
)
の境遇に落ち込んでしまうんだ。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
現時の不正なる勢力の
裡
(
うち
)
に取り囲まれて居なさるのです、
何故
(
なぜ
)
、姉さん、
貴姉
(
あなた
)
は之を打ち破つて、幾百万の婦女子を
奴隷
(
どれい
)
の境遇から救ふべき先導をなさいませんか、神聖なる愛情を殺して
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
元来
儂
(
のう
)
は我が国民権の拡張せず、従って婦女が古来の
陋習
(
ろうしゅう
)
に慣れ、
卑々屈々
(
ひひくつくつ
)
男子の
奴隷
(
どれい
)
たるを
甘
(
あま
)
んじ、
天賦
(
てんぷ
)
自由の権利あるを知らず
己
(
おの
)
れがために
如何
(
いか
)
なる弊制悪法あるも
恬
(
てん
)
として意に介せず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
婦女の
掠奪
(
りゃくだつ
)
や、
奴隷
(
どれい
)
の売買や、氏族外結婚制などにより、血の混交は
広汎
(
こうはん
)
に行われていたのであって、そもそも人種を区別する科学的標準というものは、今でもまだ確立されていないのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
それは
怜悧
(
れいり
)
な
奴隷
(
どれい
)
の享楽だと、言わば言うがいい。しかし世の中では結局奴隷となるのほかはない以上、同じ奴隷となるならば、自分の意志で奴隷となって、
滑稽
(
こっけい
)
無益な争闘を避けた方がよい。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
奴は
奴隷
(
どれい
)
で、女は
奴婢
(
ぬひ
)
であり、庶民より一階級下の賤民とされてゐた。
凡愚姐御考
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ずきんをかぶったやさしく
恭順
(
きょうじゅん
)
な
奴隷
(
どれい
)
ぶりの老女中が一人とである。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
日本人の
奴隷
(
どれい
)
になって
虐待
(
ぎゃくたい
)
されるのは
真平
(
まっぴら
)
だが、白人や黒人に使われるなら一向構わない。
桑港
(
サンフランシスコ
)
あたりのチャブ屋のボーイになるのもいゝ。アフリカの熱帯地へ行って、酋長の娘に仕えるのもいゝ。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その点で、君らは精神的にはまだ
奴隷
(
どれい
)
の域を一歩も
脱
(
だっ
)
していないということを証明している。いや、それどころか、君らはよりいっそうみじめな奴隷になることを希望しているとさえ私には思える。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
自由な貿易商としてよりも役人の
奴隷
(
どれい
)
扱いに甘んじたのが彼らだ。港の遊女でも差し向ければ、異人はどうにでもなる、そういう考えを役人に
抱
(
いだ
)
かせたのも、また、その先例を開かせたのも彼らだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こんな
不束
(
ふつつか
)
な者でも、同じに生れた人間
一人
(
いちにん
)
が、貴方の為には
全
(
まる
)
で
奴隷
(
どれい
)
のやうに成つて、しかも今貴方のお
辞
(
ことば
)
を
一言
(
ひとこと
)
聞きさへ致せば、それで死んでも惜くないとまでも思込んでゐるので御座います。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
然
(
さ
)
うよ、
奴隷
(
どれい
)
よりは自由民の方が
好
(
よ
)
いからな。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
汝もまた遂にはかの
奴隷
(
どれい
)
の群れに入るか。
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
あなたは不運な
奴隷
(
どれい
)
となっているのです。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
“奴隷”の解説
奴隷(どれい、英:slave)とは、人間でありながら人間としての名誉、権利・自由を認められず、他人の所有物として取り扱われる人のことである。所有者の全的支配に服し、労働を強制され、譲渡・売買の対象とされた。奴隷を許容する社会制度を特に奴隷制という。
1948年に国際連合で採択された世界人権宣言にて、下記のように宣言された。
何人も、奴隷にされ、又は苦役に服する事はない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。(第4条)
(出典:Wikipedia)
奴
常用漢字
中学
部首:⼥
5画
隷
常用漢字
中学
部首:⾪
16画
“奴隷”で始まる語句
奴隷的
奴隷主
奴隷使
奴隷制
奴隷市
奴隷制度
奴隷酷使者
奴隷廃止党員