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塊
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かたま
ふりがな文庫
“
塊
(
かたま
)” の例文
そうして、人馬の悲鳴が高く一声発せられると、河原の上では、
圧
(
お
)
し
重
(
かさ
)
なった人と馬と板片との
塊
(
かたま
)
りが、沈黙したまま動かなかった。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
疑いの
塊
(
かたま
)
りをその日その日の
情合
(
じょうあい
)
で包んで、そっと胸の奥にしまっておいた奥さんは、その晩その包みの中を私の前で開けて見せた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
塊
(
かたま
)
りになってる群集は、ちょっと
隙間
(
すきま
)
を開いて二人を通し、そのあとからまたすぐ隙間をふさいだ。クリストフは愉快がっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お濱は語り終つて
吐息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
きました。何か娘心では脊負ひ切れない、大きな恥の
塊
(
かたま
)
りをおろして、ホツとしたやうな心持でせう。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生徒達は、
忽
(
たちま
)
ちドヤ/\とその周囲に
塊
(
かたま
)
つて、順々に機械を覗いた。そして少年の澄んだ声でひとり/\感嘆詞を発して行つた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
▼ もっと見る
中流の水はとてつもない大きな
塊
(
かたま
)
りであった。ごろんごろんと転げるように動いていた。もくりと崩れる渦巻が強い波紋をひろげていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
大きな
護謨毬
(
ごむまり
)
を投げ付ける様に、
後
(
うしろ
)
からぶつかって来る風の
塊
(
かたま
)
りがあっても、鼠色のソフトを飛ばすまいと頭に手を
遣
(
や
)
ったり
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
と思うまもなく、ちらちらと、消えてはゆれて、無数の
提灯
(
ちょうちん
)
の灯が、五六人ずつ
塊
(
かたま
)
った人影に守られ乍ら、岸のあちらこちらに浮きあがった。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それから、今度は二羽ずつ抱き合ったまま、みんな一緒に集まり、ごちゃごちゃに
塊
(
かたま
)
って、空の青地の上へ、べったりインクの
汚点
(
しみ
)
をつける。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そして、
束
(
たば
)
ねたような無数の槍の穂だけが、ぎらぎらと陽を
刎
(
は
)
ね
返
(
かえ
)
し、その
燦光
(
さんこう
)
で武者たちの
塊
(
かたま
)
りもけむるばかり、ただ、にらみ合っていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
海岸開きの花火は、原色に澄切った
蒼空
(
あおぞら
)
の中に、ぽかり、ぽかりと、夢のような一
塊
(
かたま
)
りずつの煙りを残して
海面
(
うなも
)
に流れる。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それから母親は近所で氷の
塊
(
かたま
)
りを
頒
(
わ
)
けてもらって来た。氷があったので彼は
吻
(
ほっ
)
と救われたような気がした。氷は
硝子
(
ガラス
)
の器から妻の唇を潤おした。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
と、白い行衣、白い髪に、月の光がこぼれているので、雪の
塊
(
かたま
)
りか卯の花の
叢
(
くさむら
)
、そんなように見える鬼火の姥が、ひそめた物々しい声で云った。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
恐ろしい勢で顔にぶつかって来る、大きな真赤な何かの
塊
(
かたま
)
りを意識して、ハッと飛びしさって、道を開いたからである。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どす黒い臭とどす黒い色とを持つたその特有の煙、それは馬鹿げた感激の後に来る重い気分に似た煙が、一度にどつと
塊
(
かたま
)
つてさもけだるげに昇つた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
その部屋のなかには白い布のような
塊
(
かたま
)
りが明るい燈火に照らし出されていて、なにか白い煙みたようなものがそこから細くまっすぐに立ち
騰
(
のぼ
)
っている。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
だが、そのとき、この野心の
塊
(
かたま
)
りのやうな若い医者に前もつてたゝみこまれてゐたさまざまな思案が頭をもたげた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
落下する大きな
塊
(
かたま
)
りが、
途中
(
とちゅう
)
でこなごなにくだけ散りました。それはグリーンランドらしい、美しい夏の夜でした。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
右の鱗片が
相擁
(
あいよう
)
して
塊
(
かたま
)
り、球をなしているその球の下に
叢生
(
そうせい
)
して
鬚状
(
ひげじょう
)
をなしているものが、ユリの本当の根である。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
例えばコロッケの
塊
(
かたま
)
りなどには決して手をつけないでその周囲のお添えものばかり食べるのであった、それは多分、食慾がないからの事かと思っていた
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
彼は
闇
(
やみ
)
の中をじっと見つめている。レンズがなかなか合わない。その間、たださまざまな色彩の
塊
(
かたま
)
りがぼんやり白い布の上にさまよっているばかりである。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この
鳥
(
とり
)
は
食物
(
しよくもつ
)
の
中
(
なか
)
で
不消化
(
ふしようか
)
なものがあれば
嗉嚢
(
そのう
)
の
中
(
なか
)
でまるめて、
口
(
くち
)
から
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
すから、
巣
(
す
)
の
下
(
した
)
には、かならず、さうした
團子
(
だんご
)
のような
塊
(
かたま
)
りが
積
(
つも
)
つてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
内裏
(
だいり
)
、室町殿、それに相国寺の塔が一基のこっておりますだけ、その余は
上京
(
かみぎょう
)
下京
(
しもぎょう
)
おしなべて、そこここに黒々と民家の
塊
(
かたま
)
りがちらほらしておりますばかり
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
私は或る百姓家の戸口で、一
塊
(
かたま
)
りの冷たい
粥
(
かゆ
)
を豚の
飼料槽
(
かひばをけ
)
の中に捨てようとしてゐる小さな
娘
(
こ
)
を見た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そして大きな石をあげて見る、——いやはや惡魔共が居るわ/\、
塊
(
かたま
)
り合つてわな/\ぶる/\慄へてゐる。それをまた婆さんが
引掴
(
ひつつか
)
んで行つて、一層ひどくコキ使ふ。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
と、また、男達のほうでも、ボクサアは、
喰
(
く
)
いつきそうな形相で、サンドバッグを叩いていますし、レスラアは、筋肉の
塊
(
かたま
)
りにみえる、すさまじさで、ブリッジの練習。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
(第六回、打製類の
條
(
くだり
)
及び第八回、貝殼器の條を見よ。)繪具の原料と
思
(
おも
)
はるる
赤色
(
あかいろ
)
物質の
塊
(
かたま
)
り
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
母は、
笊
(
ざる
)
を片付けながら、
塊
(
かたま
)
りの粟飯を頬張って云った。私はロスケの喰うものだと聞いて、すぐ
止
(
よ
)
した。そして、ロスケの残飯まで喰わなければならないのかと思った。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
昼は賃仕事に肩の張るを休むる間なく、夜は
宿中
(
しゅくじゅう
)
の
旅籠屋
(
はたごや
)
廻
(
まわ
)
りて、元は
穢多
(
えた
)
かも知れぬ
客達
(
きゃくだち
)
にまで
嬲
(
なぶ
)
られながらの
花漬売
(
はなづけうり
)
、
帰途
(
かえり
)
は一日の苦労の
塊
(
かたま
)
り銅貨
幾箇
(
いくつ
)
を酒に
易
(
か
)
えて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼ははなはだ巧妙だった。アメリカや支那からきた珍しい貴重な
灌木
(
かんぼく
)
を培養するために小さな石南土の
塊
(
かたま
)
りを作ることにおいては、スーランジュ・ボダンにもまさっていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
窃
(
そっ
)
と
後
(
うしろ
)
から出て参り、與助の髻を取って後の方へ引倒すと、何をしやアがるといいながら、手に障った石だか土の
塊
(
かたま
)
りだか分りません、それを取って
突然
(
いきなり
)
お賤の顔を打ちました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雪
(
ゆき
)
に
覆
(
おほ
)
はれたその
切
(
き
)
り
崩
(
くづ
)
しの
斜面
(
しやめん
)
に、
獸
(
けもの
)
の
足跡
(
あしあと
)
が、
二筋
(
ふたすぢ
)
についてゐるのは、
犬
(
いぬ
)
か
何
(
なに
)
かゞ
驅
(
か
)
け
下
(
お
)
りたのであらう、それとも、
雪崩
(
なだれ
)
になつて
轉
(
ころ
)
げ
下
(
お
)
りて
來
(
き
)
た
塊
(
かたま
)
りの
走
(
はし
)
つた
跡
(
あと
)
でもあらうかと
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
声を揚げて
皆
(
みんな
)
笑った……小さいのが
二側
(
ふたかわ
)
三側
(
みかわ
)
、ぐるりと黒く
塊
(
かたま
)
ったのが、変にここまで間を
措
(
お
)
いて、思出したように、
遁込
(
にげこ
)
んだ饂飩屋の滑稽な図を笑ったので、どっというのが、一つ
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不意におのおのの体内で何か重い
塊
(
かたま
)
りがどしんと落ちたような気がした。現にその音が耳の中に鳴り渡ったようであった。その不意の不思議な感覚に向って三人の全精神が引き込まれた。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『ハア然うですか。』と挨拶はしたものゝ、総身の血が何処か
一処
(
ひとところ
)
に
塊
(
かたま
)
つて了つた様で、右の手と左の手が交る/″\に一度宛、発作的にビクリと動いた。色を変へた顔を上げる勇気もない。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いゝえ、これから毛を刈られるのです。ジヤツクは羊の足を持つて、台の上に乗せると、大きな鋏で、パサ、パサ、パサと羊の毛を刈り始めました。少しづつ、毛は一と
塊
(
かたま
)
りになつて落ちて来ました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
一ツ
塊
(
かたま
)
りになるまで
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
六本木の停留所の灯が二人の前へさして来て、その下に
塊
(
かたま
)
っている二三の人影の中へ二人は立つと、電車が間もなく坂を昇って来た。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
すぐあの二百尺もあろうという
崖
(
がけ
)
の上から、岩の上へ落ちて、めちゃくちゃな血だらけな
塊
(
かたま
)
りになって御覧に入れます。と答えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
樹と樹のあいだに
菰
(
こも
)
を張った即席の屋根から、
溜
(
たま
)
った雨水がごぼりと落ちた。灰かぐらを立て、ひと
塊
(
かたま
)
りのおきを黒くした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
散らばつた新築の借家が、板目に残りの日をうけて赤々と
映
(
は
)
えてゐる。それを取り囲んで方々の
生垣
(
いけがき
)
の
檜葉
(
ひば
)
が、地味な浅緑で
凝
(
じ
)
つと
塊
(
かたま
)
つてゐる。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
しかし、武蔵の姿は泥の
塊
(
かたま
)
りのように山畑を駈けて跳び、またたく間に彼らとは、約半町ほどな距離をつくってしまった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎の物を信じ易い心にも、
四方
(
あたり
)
の贅沢な空気と対照して、主人の言葉の
曖昧
(
あいまい
)
さが、大きな謎の
塊
(
かたま
)
りになるのでした。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ポツポツと燈火のともっている、城下町の方へ人の
塊
(
かたま
)
りが、何かを宙へ捧げながら、走って行くのが絵のように見えた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
カラーは古風な折目のない固いのを使用しているが、そのカラーの上に一団の毛髪の
塊
(
かたま
)
りが乗っかっている様に見える。熊浦氏はそれ程毛深いのだ。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その沈黙は非難と
軽蔑
(
けいべつ
)
的な
憐憫
(
れんびん
)
との
塊
(
かたま
)
りだった。
親戚
(
しんせき
)
の方はさらにひどかった。ただに弔慰の言葉を寄せないばかりでなく、
苦々
(
にがにが
)
しい非難を寄せてきた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
なるべく、実物の全体を大まかに描き初め、眼、鼻等の造作を決して気にかけず大きな
塊
(
かたま
)
りとして見るべき事。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
今までは、血管の中を、氷の
塊
(
かたま
)
りが、溶けながらぐるぐる廻っていたのだ。それが、こうしていると、その着物や手足は油汗をかいているとしか思えない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
内裏
(
だいり
)
、室町殿、それに相国寺の塔が一基のこつてをりますだけ、その余は
上京
(
かみぎょう
)
下京
(
しもぎょう
)
をおしなべて、そこここに黒々と民家の
塊
(
かたま
)
りがちらほらしてをりますばかり
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
落着のないクラスの生徒たちは、この風が吹きまくるとき、ことに騒々しかった。彼はときどき教壇の方から眼を運動場のはてにある遠い緑の
塊
(
かたま
)
りに
対
(
む
)
けていた。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
塊
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“塊”を含む語句
土塊
一塊
肉塊
石塊
凝塊
氷塊
二塊
岩塊
塊的
血塊
磊塊
塊然
雪塊
結塊
金塊
山塊
根塊
団塊
節塊立
黒塊
...