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双手
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もろて
ふりがな文庫
“
双手
(
もろて
)” の例文
旧字:
雙手
宗三が、不平らしくなじるのを聴きながら、京子は自分の部屋へ入ったかと思うと、ピアノの鍵盤を、
双手
(
もろて
)
でヤケにたたき鳴らした。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と、三之助はまた、
刎
(
は
)
ね起きてかかってくる。それをまた、武蔵は、つかみ寄せて、高々と、日輪の中へ
双手
(
もろて
)
で差し上げながら
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
畜生
(
ゴッデム
)
‼」と叫びながら、ふいを
喰
(
くら
)
って倒れる奴、おかせず
飛掛
(
とびかか
)
ったが、なにしろ相手は大男の毛唐、
双手
(
もろて
)
で龍介君の首を掴むと見る間に
危し‼ 潜水艦の秘密
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
力自慢の金太が、
双手
(
もろて
)
を戸に掛けてグイと引くと、ぬれた雨戸は何んの手答えもなく、油でも引いたようにスルリと開きます。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾輩
双手
(
もろて
)
を挙げて賛成するね。お互いに福岡生れだから、こうした青年の気持ちがよくわかるんだよ。とにかく
生命
(
いのち
)
がけのスゴイ奴に違いない。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
そこへ持ってきて当の三遊派の家元で圓朝取り立ての師匠たる二代目圓生が、
双手
(
もろて
)
を挙げてその打倒論へと賛意を表した。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
この地にてなし
能
(
あた
)
わずんばさらにかの地に行くというような、いわば天下を家として随所に青山あるを信ずる北海人の
気魄
(
きはく
)
を、
双手
(
もろて
)
を挙げて讃美する者である。
初めて見たる小樽
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
五名の賊は、
双手
(
もろて
)
を高くあげてうしろをふりかえった。機銃を構えて猫背の肥満漢が茶色の大きな眼鏡をかけて、人をばかにしたような顔で、にこついていた。
暗号の役割:烏啼天駆シリーズ・4
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
紅葉を焚いて、ふすふすと白うくすぼる煙のかげで、
温
(
あつた
)
かいぞと私が
蹲
(
かが
)
めば、妻も
双手
(
もろて
)
をかざして蹲む。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
清兵衛は、大地にふり積もった雪を、
兜
(
かぶと
)
の中にかきこみ、火をたくにも
薪
(
たきぎ
)
がなかったので、自分の
双手
(
もろて
)
をつっこみ、手のひらのあたたかみでもんで水にとかして
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
早速、会議が開かれて、討論が始まったが、事が、事だけに、無論、
双手
(
もろて
)
をあげて賛成する者はいない。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
段通に
双手
(
もろて
)
をかけて力任せに引き剥ぐと、ちょうど象の背中の
稜
(
みね
)
からすこし下ったあたりに、ひとが一人はいるくらいの大きさに胡粉の色が変ったところがある。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
刀の
柄頭
(
つかがしら
)
を胸へあて、肩を縮めたも一刹那、うむと突き出した
双手
(
もろて
)
突き、
極
(
きま
)
った! まさしく! 敵の咽喉へ! だがその間に敵の一人、右手から
颯
(
さっ
)
と切り込んで来た。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
双手
(
もろて
)
にわらんべをかい抱いて、日頃の如く肩へのせると、例の太杖をてうとついて、岸べの青蘆を押し分けながら、嵐に狂ふ夜河の中へ、胆太くもざんぶと身を
浸
(
した
)
いた。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
咄
(
とつ
)
! 奇怪! ——怪しの駕籠の中から、二本の腕がぬっと出るやいっしょで、きりきりと
双手
(
もろて
)
さばきの半弓が満月に引きしぼられたかと思われましたが、ヒュウと
一箭
(
いっせん
)
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
二人で
懇談
(
こんだん
)
を重ねた結果、具体案を作って寄付者に提示したところ、先方では、その根本方針に
双手
(
もろて
)
をあげて賛成し、
一切
(
いっさい
)
を田沼さんの自由な処理に
委
(
ゆだ
)
ねたばかりでなく
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
重吉は夢中で怒鳴った、そして門の
閂
(
かんぬき
)
に
双手
(
もろて
)
をかけ、総身の力を入れて引きぬいた。門の
扉
(
とびら
)
は左右に開き、喚声をあげて突撃して来る味方の兵士が、そこの
隙間
(
すきま
)
から遠く見えた。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
慢心和尚が
双手
(
もろて
)
を挙げて賛成したものですから、百姓弥之助も大いによろこびました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三の露国革命党員とも交際して
渠
(
かれ
)
らの苦辛や心事に相応の理解を持っていても、
双手
(
もろて
)
を挙げて渠らの革命の成功を祝するにはまた余りに多く渠らの陰謀史や虐殺史を知り過ぎていた。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
喇叭
(
らつぱ
)
ある
人
(
ひと
)
は
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹奏
(
なら
)
し、
何物
(
なに
)
も
無
(
な
)
き
人
(
ひと
)
は
双手
(
もろて
)
を
擧
(
あ
)
げて、
聲
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
帝國萬歳
(
ていこくばんざい
)
!
帝國海軍萬歳
(
ていこくかいぐんばんざい
)
を
連呼
(
れんこ
)
せられよ、だん/″\と
近
(
ちか
)
づく二
隻
(
そう
)
の
甲板
(
かんぱん
)
、
巡洋艦
(
じゆんやうかん
)
の
縱帆架
(
ガーフ
)
に、
怪艇
(
くわいてい
)
の
艇尾
(
ていび
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
良寛
(
りょうかん
)
が否認する料理屋の料理とか、書家の書歌
詠
(
よ
)
みの歌の意は、
小生
(
しょうせい
)
、
双手
(
もろて
)
を挙げて同感するが、世人は一向反省の色を見せない。世人の多くは真剣にものを考えないとしか考えられない。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
捨て
皈
(
かへら
)
んも
惜
(
をし
)
ければその所にいたり柴の枝に手をかけ引上んとするにすこしも
動
(
うごか
)
ず、落たる
勢
(
いきほひ
)
に
撞
(
つき
)
いれたるならん、さらば
重
(
おもき
)
かたより引上んと
匍匐
(
はらばひ
)
して
双手
(
もろて
)
を
延
(
のば
)
し一声かけて上んとしたる時
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その
趣味
(
しゆみ
)
の
澁
(
しぶ
)
い
例
(
れい
)
を
擧
(
あ
)
げると、
三上
(
みかみ
)
がその
著名
(
ちよめい
)
なる
東京市内出沒行脚
(
とうきやうしないしゆつぼつあんぎや
)
をやつて、
二十日
(
はつか
)
も
歸
(
かへ
)
つて
來
(
こ
)
ないと
時雨
(
しぐれ
)
さんは、
薄暗
(
うすぐら
)
い
部屋
(
へや
)
の
中
(
なか
)
で
端座
(
たんざ
)
して、たゞ
一人
(
ひとり
)
双手
(
もろて
)
に
香爐
(
かうろ
)
を
捧
(
さゝ
)
げて、
香
(
かう
)
を
聞
(
き
)
いてゐる。
長谷川時雨が卅歳若かつたら
(旧字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
それの駆使については、阿賀妻以外に人は無いと思われた。彼らの家中も
双手
(
もろて
)
をあげて推挙した。是非とも成功して
貰
(
もら
)
わねばならぬ——と、しかしそう思うこと、邦夷ほど切実なものはないのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
カソリック教会堂の裏庭は
崖
(
がけ
)
になっていて、そこに
洞窟
(
どうくつ
)
があり、等身より稍々小さいマリアの像が安置されていた。
所謂
(
いわゆる
)
受苦聖母という像で、
双手
(
もろて
)
をあわせながら眼を天へ向けて祈っている姿である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
双手
(
もろて
)
振り歩み初めし児を獄窓のかなあみの日のひとつにみたり
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
「寒いね、」と私は
双手
(
もろて
)
を火の上に翳して暖まろうとした。
烏帽子岳の頂上
(新字新仮名)
/
窪田空穂
(著)
枯木と一緒に
双手
(
もろて
)
を振っている女房子供の目の底には
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「大いによろしい。
双手
(
もろて
)
をあげて賛成だな」
破門
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
君が
双手
(
もろて
)
はわが手を取りて
扶
(
たす
)
けしものを。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
何分にも
双手
(
もろて
)
を懷中に突つ込んで、だらしのない彌造を二つ拵へて居たので、水中の働き思ふに任せず、船頭に襟髮を取つて引揚げられた時は
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「わかってはいたが、ああ強いとは思わなかったよ。
双手
(
もろて
)
で薄がねの
鞭
(
むち
)
をつかい、そばへ寄りつくこともできねえ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの、あの豚ども、わしは破滅だあの虫けらの泥棒のいかさま師のごろつきの破廉恥漢めら、ああわしは破滅だ」蓑賀殿は
双手
(
もろて
)
で空をたたきめされる
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「二刀を使うのは、片手でも
双手
(
もろて
)
と同様に働かせるための練習である」
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
怒
(
いか
)
つて
刀身
(
たうしん
)
を
双手
(
もろて
)
に
握
(
にぎ
)
ると、
水兵
(
すいへい
)
は
焦
(
いらだ
)
つて
其
(
その
)
胸先
(
むなさき
)
を
蹴上
(
けあ
)
げる、
此
(
この
)
大奮鬪
(
だいふんとう
)
の
最中
(
さいちう
)
沈着
(
ちんちやく
)
なる
海軍士官
(
かいぐんしくわん
)
は
靜
(
しづ
)
かに
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
つて、
二連銃
(
にれんじう
)
の
筒先
(
つゝさき
)
は
猛狒
(
ゴリラ
)
の
心臟
(
しんぞう
)
を
狙
(
ねら
)
ふよと
見
(
み
)
えしが、
忽
(
たちま
)
ち
聽
(
きこ
)
ゆる
一發
(
いつぱつ
)
の
銃聲
(
じうせい
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
今を盛りの梅花の影を
双手
(
もろて
)
とりて
歩
(
ある
)
かせば歩くこの児がかはゆさ
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼等は喜悦に堪えないで
双手
(
もろて
)
を挙げて躍り狂うのでありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
久慈たちは
双手
(
もろて
)
をあげて、
凱歌
(
がいか
)
をあげた。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
双手
(
もろて
)
突き! 全く同じだ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
中ではあの氣むづかしさうな板屋主水、涙を流しながら、疊に
双手
(
もろて
)
を突いて、障子の隙間から、御用聞風情の平次の後ろ姿を拜んで居るのでした。
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「戦場は
輿
(
こし
)
にかぎる。乱軍となれば、
双手
(
もろて
)
に剣もつかえるし、敵の槍を
奪
(
と
)
って、突き返すことも自在。ただし、進退の駈引は、まことにままにならぬが」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぬくぬくと
双手
(
もろて
)
さし入れ別れゆくマフの毛いろの黒き雪の日
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「田村小路がまず
双手
(
もろて
)
をあげた」
末っ子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
気丈らしい老母加世も、打ち明けて話した気の
緩
(
ゆる
)
みに、畳の上に
双手
(
もろて
)
を突いたまま、ポロポロと涙をこぼすのです。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて遠く、
長篠
(
ながしの
)
の城が
彼方
(
かなた
)
に見えた。五百の戦友がたて
籠
(
こも
)
っている城。——その白壁を微かに見たとき、彼は思わず
双手
(
もろて
)
をあげたい程、心の奥で叫んだ。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
羅物
(
うすもの
)
を涼しく着て、板敷に
双手
(
もろて
)
を突いた姿、縮れた赤い毛をたった一つ難にして、このまま、
中条姫
(
ちゅうじょうひめ
)
や、
照手姫
(
てるてひめ
)
の絵巻物の中に納められそうな姿です。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや出るが早いか、
鎧櫃
(
よろいびつ
)
には必ず付いている
荷担革
(
にないがわ
)
に
双手
(
もろて
)
をさしこみ、それを背に負ったと思うと、もう例の
破風
(
はふ
)
を
足
(
あし
)
がかりとして、大屋根の天ッ辺に立ち
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松藏は膝に
双手
(
もろて
)
を置いたまゝ、ボロボロと涙をこぼすのです。日光と土とに荒された、
澁紙
(
しぶがみ
)
色の頬を傳はつて、その涙は胸から膝小僧まで落ちるのです。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし呼延灼の
双手
(
もろて
)
から噴き出す二タ筋の
薄刃金
(
うすはがね
)
の
鞭
(
むち
)
に対しては、とても敵であろうはずもない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松蔵は膝に
双手
(
もろて
)
を置いたまま、ボロボロと涙をこぼすのです。日光と土とに荒らされた、
渋紙
(
しぶがみ
)
色の頬を伝わって、その涙は胸から膝小僧まで落ちるのです。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“双手”の意味
《名詞》
双 手(そうしゅ、もろて)
両手。
(出典:Wiktionary)
双
常用漢字
中学
部首:⼜
4画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“双”で始まる語句
双
双六
双生児
双方
双眸
双子
双眼鏡
双親
双肌
双児