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候
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そうら
ふりがな文庫
“
候
(
そうら
)” の例文
昔は戦略のためにいらざる娘を内室にいたし
候
(
そうら
)
いしが、今もなお商略のために、娘を売買することを見
候
(
そうろう
)
まことに罪になることに
候
(
そうろう
)
。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
「おえいは日々雪のつもる山に
葛
(
くず
)
をほりに行き
候
(
そうろう
)
みなしてかせぎためろぎん出来
候
(
そうら
)
えば其身にあいに参り候たのしみいてくれられよ」
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
梶原
(
かじわら
)
申しけるは、
一歳
(
ひととせ
)
百日
(
ひゃくにち
)
の
旱
(
ひでり
)
の
候
(
そうら
)
ひけるに、
賀茂川
(
かもがわ
)
、
桂川
(
かつらがわ
)
、
水瀬
(
みなせ
)
切れて流れず、
筒井
(
つつい
)
の水も絶えて、
国土
(
こくど
)
の悩みにて候ひけるに、——
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おのおののやまと歌、から歌、さらに道理にかない
候
(
そうら
)
わず、ただおもしろくもありがたくも聞こえはべるは、黄金にてぞはべる。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
恐れあることには
候
(
そうら
)
えども、召させたもう
御鎧直垂
(
おんよろいひたたれ
)
と、
御
(
おん
)
物の具とをたまわって、
御諱
(
おんいみな
)
の字
冒
(
おか
)
させくださるべし、御命に代わり申すべし!
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
実はかく申す
生
(
せい
)
も数年前までは『古今集』崇拝の一人にて
候
(
そうら
)
いしかば、今日世人が『古今集』を崇拝する
気味合
(
きみあい
)
はよく
存申
(
ぞんじもうし
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
総て功利の念を
以
(
もっ
)
て物を
視
(
み
)
候
(
そうら
)
わば、世の中に
尊
(
とうと
)
き物は無くなるべし、ましてやその方が持ち帰り候伽羅は早速
焚
(
た
)
き試み候に
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
子を思う親の心は上下みな一つと存じ
候
(
そうろう
)
。お取り上げこれなきをさらさらお恨みには存ぜず
候
(
そうら
)
えどもご政道に
依怙
(
えこ
)
のお
沙汰
(
さた
)
あるときは天下乱る。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
昨日
(
さくじつ
)
父より帰国しろという手紙を受取り候う時は、とっさにはぼんやり
致
(
いた
)
し
居
(
お
)
り
候
(
そうら
)
いしかど、ようやくにして悲しさ申しわけなさに泣き申し候う。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
まことにつまらぬ一場の夢記には
候
(
そうら
)
えども、万一御研究の御材料にも相成り候わば大幸と存じ、大略左に申し述べ候。
妖怪報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「押しかけ女房というは、これあり
候
(
そうら
)
えども、押しかけ亭主も、また
珍
(
ちん
)
に候わずや。いずれ近日、ゆるゆる推参、道場と萩乃どのを申し受くべく
候
(
そうろう
)
」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もし天にして小生に才能を与えたまいしならんには、小生は学士院(科学院)会員テナル男爵となり得
候
(
そうら
)
いしものを、ついにしからずして終わり
候
(
そうろう
)
。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一筆
(
ひとふで
)
示し
※
(
まいらせそろ
)
、さても時こうがら日増しにお寒う相成り
候
(
そうら
)
えども御無事にお勤め
被成
(
なされ
)
候や、それのみあんじくらし※、
母事
(
ははこと
)
もこの頃はめっきり年をとり
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一、当今天下の形勢晋代
五胡
(
ごこ
)
雑居の姿にも相成る可く、
左
(
さ
)
候
(
そうら
)
はゞ堂々たる皇国も
羶腥
(
せんせい
)
に汚され歎かはしき事なり。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
関東では弓矢の名家です、この三楽斎が秀吉の前に出て申すことには、城中の松田尾張守の陣中に返り忠の模様が見える、手を入れてごらん
候
(
そうら
)
え——とある。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
およそ昔も今も真虫海より打ち上げらるる事は伊勢国に
候
(
そうら
)
わず、
件
(
くだん
)
の蛇海より来り寄す云々と見ゆ。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
已に当市社交界の立物T氏K氏その他十数名の賛成を得居り
候
(
そうら
)
えば、必ず御列席下され
度
(
たく
)
、御帰着の時間には小生停車場に出迎え、その場より宴会場へ御伴い申す手筈に
候
(
そうろう
)
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
椎の大木のそばたちたる蔭の、ささやかなる宿をおたずね下され
候
(
そうら
)
わば、そなたさまのみ恋い明かし申しおり候、あわれなる女のすがたをこそ、お見いだしなさるべく候。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
但しこの際、ぜひぜひ
枉
(
ま
)
げて御承知願いたき一事これ有り、余の儀にはこれ無く
候
(
そうら
)
えども、明日拝顔の際にはロジオン・ロマーヌイチの御同席なきよう、御
取計
(
はから
)
い下されたく候。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
エート東京
辺
(
へん
)
は追々暖気に向い
候
(
そうら
)
えども
御地
(
おんち
)
はいまだ寒さ
烈
(
はげし
)
き
御事
(
おんこと
)
と
存候処
(
ぞんじそろところ
)
御両親様始め御本家の伯父上伯母上お代どのまで御一同御無事に
御暮
(
おんくら
)
し
被遊候由
(
あそばされそろよし
)
何よりの御事と
奉賀候
(
がしたてまつりそろ
)
。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
今はわれ
貴嬢
(
きみ
)
に願うべき時となりぬ。
貴嬢
(
きみ
)
はわが願いを入れ、忍びて事の成り行きを見ざるべからず、しかも
貴嬢
(
きみ
)
、事の落着は遠くもあるまじ、次を見
候
(
そうら
)
え。——手荒く窓を開きぬ。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
女の弱き心につけ入りたもうはあまりに
酷
(
むご
)
きお心とただ恨めしく存じ参らせ
候
(
そろ
)
妾
(
わらわ
)
の運命はこの船に結ばれたる
奇
(
く
)
しきえにしや
候
(
そうら
)
いけん心がらとは申せ今は過去のすべて未来のすべてを
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そのおつもりにて、準備、お手配、抜かりなく、筑前の到るをお待ちうけ
候
(
そうら
)
え
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
茶は飲んでしまい、短冊は
失
(
な
)
くしてしまうとは、余りと申せば……とまた端書に書いて来た。そうしてその冒頭には依然として拝啓失敬申し
候
(
そうら
)
えどもという文句が規則通り繰り返されていた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして用いられる言葉も、ごく古い和語であって、今も
候文
(
そうろうぶん
)
がそのまま活きた会話であります。「
候
(
そうら
)
え」とか「はべれ」とかいう言葉で今も語り合うのは、もうこの沖縄だけとなりました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「ずいぶん骨が折れ
候
(
そうら
)
えども、仕事はかなり細かきつもりに
御座候
(
ござそうろう
)
。ちなみに見本の皿破片全部別送
仕候
(
つかまつりそうろう
)
あいだ、なにとぞ新品とお
較
(
くら
)
べのうえ御満足をもって御嘉納下さるよう願上げ候。頓首。」
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
時刻は
正午
(
ひる
)
間近なので、朝飯の不足に腹が減って堪らず、ここは掛茶家ではないが、一同は御免
候
(
そうら
)
えと腰を下し、何か食う物は無いかと聴くと、何も食う物は無いが、焼酎に漬物位なら有るという。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
追い追い伝聞いたしおり申すべく
候
(
そうら
)
えども、
上方辺
(
かみがたへん
)
の騒動容易ならざる事にこれあり、右残党諸所へ散乱いたし候につき、御関所においてもその取り締まり方、御老中より御話し相成りし次第に候。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
むそうにしておわし候わば、それこそまことの御心にて
候
(
そうら
)
え…………
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
得ず
候
(
そうら
)
え共お辰様身の上につき御
厚情
(
こうせい
)
相掛
(
あいかけ
)
られし事承り及びあり難く
奉存候
(
ぞんじたてまつりそうろう
)
さて今日貴殿
御計
(
おんはからい
)
にてお辰婚姻取結ばせられ候由
驚入申
(
おどろきいりもうし
)
候
仔細
(
しさい
)
之
(
これ
)
あり御辰様儀婚姻には私
方
(
かた
)
故障御座候故従来の御礼
旁
(
かたがた
)
罷
(
まか
)
り出て
相止申
(
あいとめもうす
)
べくとも
存
(
ぞんい
)
候え
共
(
ども
)
如何
(
いか
)
にも場合切迫致し
居
(
お
)
り
且
(
かつ
)
はお辰様心底によりては私一存にも参り
難
(
がたく
)
候
様
(
よう
)
の義に至り候ては
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
吐く煙筒などいうものは昔はなかりしほどに、世の中は桜も、藤も、美しく見物いたし
候
(
そうろう
)
が、煙のある今日は花も、紅葉も、みな煙り
候
(
そうら
)
え
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
定めし
御聞込
(
おんききこみ
)
の事とは存じ
候
(
そうら
)
へども、杵屋
御
(
おん
)
家元様は
御
(
ご
)
死去
被遊候
(
あそばされそろ
)
。
夫
(
それ
)
に
付
(
つき
)
私共は
今日
(
こんにち
)
午後四時
御
(
ご
)
同所に
相寄候事
(
あいよりそろこと
)
に御坐候。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
小生、大いに驚き、家内を呼び寄せ、「
汝
(
なんじ
)
らの不注意より、事のここに至りしぞ」と
叱咤
(
しった
)
すれば、これぞ、この夜(十一月十九日)一場の夢にて
候
(
そうら
)
いし。
妖怪報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「菜摘川のほとりにて、いずくともなく女の
来
(
きた
)
り
候
(
そうら
)
いて、———」と、謡曲ではそこへ静の
亡霊
(
ぼうれい
)
が現じて、「あまりに
罪業
(
ざいごう
)
のほど悲しく候えば、一日経書いて
賜
(
たま
)
われ」
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女ちと打笑うて、
嬉
(
うれ
)
しや候。さらば
御桟敷
(
おんさじき
)
へ参り
候
(
そうら
)
わんと云いて、
跡
(
あと
)
に付きてぞ歩みける。
羅綺
(
らき
)
にだも
不勝姿
(
たえざるすがた
)
、
誠
(
まこと
)
に
物痛
(
ものいたわ
)
しく、まだ一足も土をば
不蹈人
(
ふまざるひと
)
よと覚えて、南無妙。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
試みに想い
候
(
そうら
)
え、十蔵とは
奸
(
よこしま
)
なる妻のために片目を失いし十蔵なり、妻なく子なく兄弟なく言葉少なく気重く心怪しき十蔵なり。二郎とはすなわち
貴嬢
(
きみ
)
こそよく知りたもう二郎なり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ぎょうてんつかまつりさっそくに八方心当たりを捜し求め
候
(
そうら
)
えども、いずれへ参りしものかさらに行くえしれず、親の身として心痛ひとかたならず候につき、書面をもってお訴え申し上げ候。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「みどり殿、遠慮してはいけない、さあ、この札をよく見て、それから自分の前へ
斯様
(
かよう
)
なあんばいに並べてお置きなされ、よいか、あれにて神尾殿が読み上げたなら、遠慮なく拾い取り
候
(
そうら
)
え」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「さ
候
(
そうら
)
えば、ゆめ、怪しき者どもではございません。なにとぞ、ご安心のうえ、刑部殿よりおさし向けの駒の背へお移りあって、われらどもの案内に、しばしお身おまかせ願わしゅう存じまする」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「妖怪の正体見現わしたるぞ! 方々今こそ出合い
候
(
そうら
)
え!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大慈大悲のきょうようにて
候
(
そうら
)
え。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「大阪のごとく、煙の立ちこむる都にてはいみじく美しき恋は遂げらるべくもこれなく
候
(
そうろう
)
。恋の煙るをただただ怖れ
候
(
そうら
)
え」
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
元和七年三斎公致仕遊ばされ候時、父も剃髪いたし
候
(
そうら
)
えば、某二十八歳にて
弥五右衛門景吉
(
やごえもんかげよし
)
と名告り、三斎公の御供いたし候て、豊前国興津に参り候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「仰せのとおり好きには
候
(
そうら
)
えども、下手にて
候
(
そうろう
)
」と例の卑下の言葉に、「下手とありても江戸衆のことなれば、さはあるまじ。われらお相手つかまつるべし」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
同寺より届けいでこれあり
候
(
そうら
)
えども、いささか不審にたえざる節々これあり候えば、火急にご
詮議
(
せんぎ
)
くだされたく、南町奉行所のほうへは当所よりしかるべくごあいさついたしおくべく候あいだ
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「出合い
候
(
そうら
)
えッ」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
某
(
それがし
)
儀
(
ぎ
)
今年今月今日切腹して
相果
(
あいはて
)
候
(
そろ
)
事いかにも
唐突
(
とうとつ
)
の
至
(
いたり
)
にて、弥五右衛門
奴
(
め
)
老耄
(
ろうもう
)
したるか、乱心したるかと申候者も
可有之
(
これあるべく
)
候
(
そうら
)
えども、決して左様の事には
無之
(
これなく
)
候
(
そろ
)
。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
急ぎ
参
(
さん
)
じ
候
(
そうら
)
え
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その上で言ひたい事をも申すべしと存じ
候
(
そうら
)
ひしには
違
(
ちがい
)
なく、かやうな悪しき心を持ち候ひし事、今更申すも恥しく候、さて女の
性
(
しょう
)
は悪しきものと我ながら驚き候は
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
笑
(
わら
)
い
候
(
そうら
)
え
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“候”の意味
《動詞》
高貴な人のそばに仕える。
(出典:Wiktionary)
“候”の解説
侯
候(コウ、そうろう、グ)
(出典:Wikipedia)
候
常用漢字
小4
部首:⼈
10画
“候”を含む語句
申候
居候
有之候
斥候
徴候
存候
伺候
時候
御座候
仕候
候間
無之候
相成候
致候
候人
被下候
被存候
兆候
被下度候
候処
...