“うしろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウシロ
語句割合
背後49.2%
35.3%
後方7.1%
3.9%
背面0.8%
後部0.8%
後背0.6%
脊後0.4%
背景0.2%
0.1%
後面0.1%
背部0.1%
後頭部0.1%
過去0.1%
屋後0.1%
屋背0.1%
彼方0.1%
後姿0.1%
後見0.1%
後頭0.1%
最後0.1%
有背後0.1%
肩後0.1%
背裏0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
西0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
庚申塚のある四辻を右の方に折れ曲ろうとすると、塚の背後うしろの根本に藁畔わらぐろをしてある禿榎ちびえのきの梢に止っていた一羽の烏がついと飛んだ。
(新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その時A操縦士がちらとうしろをふりかえった。風はますますはげしくなって、そのうえ雨さえ加わって来たので機体は無茶苦茶に揺れた。
飛行機に乗る怪しい紳士 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ああ!」とおかみさんがこたえた。「うち後方うしろにわにラプンツェルがつくってあるのよ、あれをべないと、あたしんじまうわ!」
二郎はいたくい、椅子のうしろに腕を掛けて夢現ゆめうつつの境にありしが、急に頭をあげて、さなりさなりと言い、再びまなこを閉じ頭をれたり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
大層遅かったではないか、と云いつつ背面うしろへ廻って羽織を脱がせ、立ちながらあごに手伝わせての袖畳み小早く室隅すみの方にそのままさし置き
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昔を忘れないお婆さんも隠居らしい薄羽織を着て、まだ切下げたばかりの髪の後部うしろを気にしながら皆と一緒に膳に就いた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
切りたるぞはやとらへ給はれと云ふ間あらせず重四郎は心得たりと一たうひらりと拔より早く練馬ねりま藤兵衞を後背うしろよりばつさり袈裟掛けさがけに切放しければ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
児太郎は、くるっと脊後うしろ向きになると、肌を脱いでみせた。美しいふた峯の脊すじに、幾すじとない紫色を帯びた鞭のあとが、逡巡としてまざまざと残っていた。
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
一つ立てずに薄眼を開いてぼんやり首を眺めていると、首は青竹に突き刺さって仔細あり気なしかめっ面、顔一面に血糊がって流れて灰色の雲低い空を背景うしろに藤吉を見下ろしているところ
一妓ひとりのぎ社のうしろに入りて立かへり石の水盤てうづばちかれたる水をわづかすくひあらひしはたれりしならん。
洲の後面うしろの方もまた一尋ほどの流れでおかと隔てられたる別世界、まるで浮世のなまぐさい土地つちとは懸絶かけはなれた清浄しょうじょうの地であったままひとり歓び喜んで踊躍ゆやくしたが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
服装ふくそう筒袖式つつそでしき桃色ももいろ衣服きもの頭髪かみ左右さゆうけて、背部うしろほうでくるくるとまるめてるところは、ても御国風みくにふうよりは唐風からふうちかいもので
おまけに、金仏かなぶつ光りに禿はげ上っていて、細長い虫のような皺が、二つ三つ這っているのだが、後頭部うしろのわずかな部分だけには、嫋々なよなよとした、生毛うぶげみたいなものが残されている。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
正太や豊世がかわるがわるやって来て、長火鉢の側でよく話したことは、何となく急に過去うしろに成った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一坪程の小さな草舎くさやがある。屋後うしろには熊の髑髏あたまの白くなったのや、まだ比較的なましいのを突きしたさお、熊送りに用うるアイヌの幣束イナホなどが十数本、立ったり倒れたりして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
流石さすがに信濃の国なれば、鮒をかしらにはあらざりけり、屋背うしろの渓川は魚まず、ところのものは明礬めんばん多ければなりという。いわなの居る河は鳳山亭より左に下りたる処なり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その途端、女房はキャッと叫んだ、見るとその黒髪を彼方うしろ引張ひっぱられる様なので、女房は右の手を差伸さしのばして、自分の髪を抑えたが、そのまま其処そこへ気絶してたおれた。
因果 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
西日にはあげまきむきて居るならし後姿うしろぶかき四五の女童めわらは
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「……紅蓮ぐれん、大紅蓮、紅蓮、大紅蓮……」と後見うしろをつけたものがある。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こんな事を言つて、後頭うしろにだけ少しの残つてゐる滑かな頭をつるりと撫でて見せた。みんなは笑つた。笑ひながら多吉は、此の老人にもう其の話を結末おしまひにせねばならぬ暗示を与へる事を気の毒に思つた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
くくし上げられた老人と老婆は、一隊の最後うしろに引き据えられた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あわてて有背後うしろに隠して、おやじめ皮肉なことをしやアがる……隣近所、気まずい眼顔をあわせていると、シーッ! シッ! と警蹕けいひつの声。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
振り向きて肩後うしろひかへし張箪笥の上より、庄太郎の為には、六韜三略虎の巻たる算盤、うやうやしく取上げて、膝の上に置き、上の桁をカラカラツと一文字に弾きて、エヘント咳払ひ
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
稲荷堂の、背裏うしろから、もぞもぞと這出して、落ちた長襦袢に掛って、両手につかんだ、葛木を仰ぎ見て、夥多あまたたび押頂いたのは赤熊である。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
所が悲しい事には支那人の頭は前の方をすって居るから旨く届かぬ僅に指先で四五本つかんだが其中に早や支那人の長い爪で咽笛のどぶえをグッと握まれ且つ眉間を一ツ切砕きりくだかれウンと云って仰向にうしろへ倒れる
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
舟といえば、この渡しの舟の形はおかしい、まえうしろもない、ひきがえるを踏みつけたようなペッタリした舟だワイ、あちらの岸の舟もそうだ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
うしろの、屋根が破れて物がはいらずにあるから、板を載せて置きやしたが、うらの大きな納屋が明いて居りやんして、別に物をれないようでがんすが、旦那様彼処あすこ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それから的を見透すというと、これはさす、これはおちる、これはまえ、これは西うしろということが明瞭はっきりとわかるのでござる
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)