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銭
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あし
ふりがな文庫
“
銭
(
あし
)” の例文
旧字:
錢
夢中で二三
間
(
げん
)
駈
(
か
)
け出すとね、ちゃらんと音がしたので、またハッと思いましたよ。お
銭
(
あし
)
を落したのが
先方
(
さき
)
へ聞えやしまいかと思って。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さあ、何処にいるか。其様なこと聞きゃしないさ。……それでも私、後で可哀そうになったから、持っていたお
銭
(
あし
)
を二三円あったのを
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「では、後からお
銭
(
あし
)
と籠を
婢
(
ねえ
)
やに持たしてあげますから、そろそろのぼつていらつしやい。」と、妻が病後の子供をかかへあげた。
蜜柑山散策
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「ここまでくると、おもしろいからくりを
見
(
み
)
せてやる。さあさあ
早
(
はや
)
くおいで、
一人
(
ひとり
)
のうちはお
銭
(
あし
)
をとらない。さあさあ、
早
(
はや
)
くおいで。」
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其時も叔父は、私にお
銭
(
あし
)
を呉れる事を忘れなかつた。母は
例
(
いつも
)
の如く不興な顔をして叔父を見てゐたが、
四周
(
あたり
)
に人の居なくなつた時
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
それは栄蔵がお正月やお祭のときに、お小使に頂くお
銭
(
あし
)
の十倍位の価であつた。栄蔵も新太郎ちやんも、ただただもう感じ入つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「いいよいいよ返さなくても、それよりときどき俺が座敷を頼んでそのお
銭
(
あし
)
で引いていくから、そのほうが返しいいだろうお前だって」
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「お嬢さんのお詞によって、注いであげるから、
滴
(
こぼ
)
しちゃいけないよ、一滴でもお
銭
(
あし
)
だ、それも、みんな、私の汗と
脂
(
あぶら
)
が入ってるのだ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お
銭
(
あし
)
なしに
稼業
(
しょうばい
)
をしている女と遊ぼうとするのは虫がよすぎる。ほかの客を粗末にして困ってしまう。それに浅香も浅香だって。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それを
禦
(
ふせ
)
ぐには何よりも生命保険に入つて置くに限る、何故といつて生命保険は毀れたインキ壺の代りに、お
銭
(
あし
)
を出して呉れる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お
銭
(
あし
)
をいただいて買ひ食ひをしたことなど、一度だつてなかつた。まして、お母さんから、そんなことを
云
(
い
)
ひ出したことなどあらう
筈
(
はず
)
がない。
お母さんの思ひ出
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
「それがいいよ。わたしもそう思ってね。
荷拵
(
にごしら
)
えをした時、嵩張物は持運びに不便だから半分ばかり売ってみたがなかなかお
銭
(
あし
)
にならないよ」
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
べらぼうめえ、そんなお
銭
(
あし
)
がころがってたらば、だなあ——こちとら親子がな、おい、先生! 三日がところお
飯
(
まんま
)
にありつけようというもんだ。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「そのお
銭
(
あし
)
を、どこから持っていったんだい。……さあ云ってごらん。云えないか。云えないだろう。この野郎……。」
黒点:――或る青年の「回想記」の一節――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
…………
家
(
うち
)
の
物
(
もの
)
を泥坊するのは
良
(
よ
)
く無いが、阿父さんが
吝々
(
けち/″\
)
してお
銭
(
あし
)
をお遣りなさらんから、兄さんも意地に成るんだ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
田圃向うのお琴婆さんの曰くだ、旦那は外にお職がおありなすって、お
銭
(
あし
)
は土用干なさる程おありなさるから、と。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「よし、それでは僕を乗せて、ちょっと走ってみてくれ、お
銭
(
あし
)
はその上で決めるよ。……ほら、向うへ走るんだ」
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ペンネンネンネンネン・ネネムはお
銭
(
あし
)
を払って店を出る時ちらっと向うの姿見にうつった自分の姿を見ました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
家へ帰ってお母さんにお
銭
(
あし
)
をいただいてこようかしら、と文子は考えた、だがそのあいだにこの本が他人に買われると困る、かの女はまったく途方にくれた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
其の間に余程手間が取れるから往々貰い
損
(
そこな
)
います、少し
馴
(
なれ
)
て来ると、有難う存じますと
直
(
すぐ
)
に扇から
掌
(
てのひら
)
へお
銭
(
あし
)
を取る様に成る、もう一歩慣れたら
何
(
ど
)
うなりますか
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お前さんのは
其処
(
そこ
)
にお
葉漬
(
はづけ
)
かありますよ、これは
儂
(
わたし
)
が
儂
(
わたし
)
のお
銭
(
あし
)
で買つたのですと
天丼
(
てんどん
)
を
抱
(
かゝ
)
へ
込
(
こ
)
み
候如
(
そろごと
)
きは
敢
(
あへ
)
て社会
下流
(
かりう
)
の事のみとも
限
(
かぎ
)
られぬ
形勢
(
けいせい
)
に
候
(
そろ
)
内職
(
ないしよく
)
と
人心
(
じんしん
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「まアどうしてそんな遠くで買ったの。……オヤお前さん今日お米を買うお
銭
(
あし
)
を
費
(
つか
)
って
了
(
しま
)
やアしまいね」
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかしながら私はいつでもそれを見て喜びます。その女は信者でも何でもない。毎月
三日月様
(
みかづきさま
)
になりますと私のところへ参って「ドウゾ旦那さまお
銭
(
あし
)
を六厘」という。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
味噌こし下げて
端
(
はし
)
たのお
銭
(
あし
)
を手に握つて米屋の
門
(
かど
)
までは嬉しく駆けつけたれど、帰りには寒さの身にしみて手も足も
亀
(
かじ
)
かみたれば五六軒隔てし
溝板
(
どぶいた
)
の上の氷にすべり
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「婆さん/\。今帰つた。今日は売り
溜
(
だめ
)
のお
銭
(
あし
)
は一文も持つて来なかつたが、その代り
迚
(
とて
)
も幾百両だしても買へない
善
(
い
)
いお土産をもつて来た。何だか当てゝみなさい。」
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
それなのに君は小説家志願でいつになったらお
銭
(
あし
)
がとれるようになるかわかんないでしょう。
職業婦人気質
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
それを思い出したせいか、わたしはあんまり静かにしてお
銭
(
あし
)
を勘定していると、次の間で誰か立聞きをしているものがあるのじゃないかと思われてなりません。米友さんは?
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
高いお
銭
(
あし
)
でせっかく買ったあなたの大事なお
財産
(
たから
)
があったらなくなるではございませぬか。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
昨日少しばかりの
麺麭
(
パン
)
屑を、この犬と二人で
頒
(
わ
)
けて食べてから、まだ何も口に入れませぬ。今旦那さまに戴いたこのお
銭
(
あし
)
で、今晩と明日の食べものを求める積りでございます。ハイ
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
そうしてその御礼には、書物を一冊買うだけのお
銭
(
あし
)
を遣れば、貧乏人等は喜んで話して聞かせるに違いないと、こう考え付くと美留女姫は、
最早
(
もう
)
一秒時間も我慢が出来なくなった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「お
銭
(
あし
)
なんか持つて居よつては、買ひ食ひしたりしてあかへん。伯父さんに
寄越
(
よこ
)
し。」
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「ちょっと
下忍
(
しもおし
)
まで行ッて来るッて出かけて行ったよ。どうしても少しお
銭
(
あし
)
をこしらえて来なくってはッてね……。雨が降るから、
明日
(
あした
)
にしたらいいだろうと言ったんだけれど……」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
家には
炭団
(
たどん
)
を買うお
銭
(
あし
)
もなくなっていますし、お父っさんの方へもたびたび無心にも行かれませんし、よんどころなしにその羽織を質に入れたり、掛地を道具屋の小父さんに買って貰ったりして
半七捕物帳:27 化け銀杏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分は他の子供のようにお
銭
(
あし
)
を持って行って少しずつ菓子などを買うものでは無いと思い込んでいたが、田舎で
生煎餅
(
なませんべい
)
というあの三角な菓子などを売りに来て、他の子供が皆それを持っていると
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「これ、おばあさんがあゝ云っていらっしゃるのに、なぜお前はお答えをしないのです。お前はまさか、いくらお母さんがお
銭
(
あし
)
を上げないからと云って、人の物を盗んで来たのじゃありますまいね」
小さな王国
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ちやんやちやんやお
銭
(
あし
)
をおくれ、お米を買つて来るんだからヨー。
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
おくみは自分のお
銭
(
あし
)
で坊ちやんに欲しいものを買つて上げた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
人間はみんなお
銭
(
あし
)
をほしがるものだと考えていた。
真珠の首飾り:――クリスマスの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
お
銭
(
あし
)
と申すしれものに
枯草
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
お
銭
(
あし
)
が有ったらエ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お
銭
(
あし
)
貧しき信徒
(新字新仮名)
/
八木重吉
(著)
「さあ、その
孔
(
あな
)
からのぞき。
第
(
だい
)
一は
姉
(
あね
)
と
弟
(
おとうと
)
とが、
母親
(
ははおや
)
をたずねて
旅立
(
たびだ
)
つところ。さあさあのぞき。
一人
(
ひとり
)
のうちはお
銭
(
あし
)
を
取
(
と
)
らない。」
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あのます紙鳶を買ふには、この十倍ものお
銭
(
あし
)
が必要であるといふことを。しかし、それにも
拘
(
かかは
)
らず、栄蔵の心には
希望
(
のぞみ
)
の泉が
湧
(
わ
)
き出した。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
かえで お
銭
(
あし
)
を持たずに遊ぶ者は盗人も同じ事だって。あのかたの事を台所でおさかなをくわえて逃げる
泥棒猫
(
どろぼうねこ
)
にたとえました。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あわれだとお思いなすって、母様がお
銭
(
あし
)
を恵んで、
肩掛
(
ショオル
)
を着せておやんなすったら、じいさん涙を落して拝んで喜びましたって、そうして
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
前様
(
めえさま
)
ならタダで上げます。」と言つて、
怎
(
ど
)
うしてもお
銭
(
あし
)
を請取らなかつただらう、などと、
取留
(
とりとめ
)
もない事を考へて、
畏
(
おそ
)
る
畏
(
おそ
)
る叔父を見た。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
急にその乞食が立ち上がってそのお
銭
(
あし
)
を
懐中
(
ふところ
)
へ、さも薄気味悪そうにスーッとどこかへ行ってしまったのは大笑いでした。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「私にはちゃんと分ってるんだよ。ほんとに油断も
隙
(
すき
)
もありゃあしない。……私達の話をみんなきいて行ってしまうんだよ。お
銭
(
あし
)
につられたんだね。」
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
達二さんも、さうですか。よろしい。みなさん。剣舞は決して悪いことではありません。けれども、
勿論
(
もちろん
)
みなさんの中にそんな方はないでせうが、それでお
銭
(
あし
)
を
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
いくらか
遣
(
や
)
らうとしたが
小出
(
こだ
)
しの
財布
(
さいふ
)
にお
銭
(
あし
)
がありませんから
紺縮緬
(
こんちりめん
)
の
胴巻
(
どうまき
)
の中から出したは三
両
(
りやう
)
、○
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“銭”の解説
銭(せん、zh: 錢/钱 qián チエン、전 チョン)は、東アジアのいくつかの国の通貨である。
「銭」(旧字体「錢」)は元は農具の「鋤」を意味する漢字だったが、鍬形の貨幣があったことから貨幣の意味に転じた。通貨としては複数の意味があるが、主に
100円。
質量1銭(=匁)の銀の価値。10両にも等しい。
の2つの系統の意味がある。
(出典:Wikipedia)
銭
常用漢字
小6
部首:⾦
14画
“銭”を含む語句
金銭
小遣銭
端銭
守銭奴
銭糧
銭湯
剰銭
小銭
口銭
釣銭
一銭
借銭
銭儲
五十銭
青銭
銭入
三銭
楡銭
小使銭
賽銭箱
...