あひ)” の例文
「怪しからん。子供までが上を恐れんと見える。お奉行樣はお前達におあひはない。歸れ歸れ。」かう云つて、窓を締めてしまつた。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
雪吹にあひたる時は雪をほり身を其内にうづむれば雪暫時ざんじにつもり、雪中はかへつてあたゝかなる気味きみありてかつ気息いきもらし死をまぬがるゝ事あり。
と忽ち心一けつ爲し久左衞門はやがて江戸へと久八を連て下り弟六右衞門にあひて事の仔細を委敷くはしく話し頼み置つゝ歸りけりよつて六右衞門所々しよ/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其樣そんことだらうとはおもひました、じつひどにおあひになりましたな。』と、いましも射殺ゐたをしたる猛狒ゴリラ死骸しがいまなこそゝいで
ただあひは逢ひかつましじ石川に雲立ち渡れ見つつしぬばむ』(二二五)といふのが出て居る。
人麿の妻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
きやくさまもさぞまちちかねおあひにならばわけはどのみちれるはずなりづおいでなされよと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其内そのうち金港堂きんこうどう云々しか/″\の計画が有るとふ事が耳につた、其前そのぜんから達筆たつぴつ山田やまだが思ふやうに原稿げんかう寄来よこさんとあやしむべき事実が有つたので、捨置すておがたしと石橋いしばしわたしとで山田やまだあひきました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あひ土山つちやまあめる。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
立出たちいでしなりと始終の事とも物語り然るにしうおやのおばつにや途中とちうに於て惡漢どもに欺かれ既に一命もうしなはんとせし程の危難にあひたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老夫らうふいはく、人の心は物にふれてかはるもの也、はじめ熊にあひし時はもはや死地こゝでしす事と覚悟かくごをばきはめ命もをしくなかりしが、熊にたすけられてのちは次第しだいに命がをしくなり
たばそらつきあひみるべきぞとならばうれしけれどしやのねがひに左樣さうゆるにやいつらからば一すぢならでたのみのあるだけまどはるゝなりさてもお便たよりのきこえぬは何故なにゆゑいとはせたまひなば此處こゝへこそ御入來おいでなくとも本宅ほんたくへまで御踈遠ごそゑんとは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
以て表の油屋あぶらや五兵衞の方へゆき番頭久兵衞にあひて流れの一件段々と延引えんいんに相成甚だ氣の毒千萬なり夫に付今日は右の品物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
万一なだれにあひはし給はざりしかとあんじつゝ宿やどへかへりぬ。
御恨おうらみ申はつみのほどもおそろしゝなにごとものこさずわすれておしうさまこそ二だい御恩ごおんなれ杉原すぎはららうといふおひと元來もとよりのお知人しるひとにもあらずましてやちぎりしことなにもなし昨日今日きのふけふあひしばかりかもおしうさまの戀人こひびと未練みれんのつながるはづはなし御縁ごゑん首尾しゆびよくとゝのへてむつましくくらたまふを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何人なんびと何用なにようありてひたしといふにや親戚しんせき朋友ほういう間柄あひだがらにてさへおもてそむけるわれたいして一面いちめんしきなく一語いちごまじはりなきかも婦人ふじん所用しよようとは何事なにごとあひたしとは何故なにゆゑ人違ひとちがひとおもへばわけもなければ彼處かしこといひ此處こゝといひまはりし方角はうがく不審いぶかしさそれすらこと不思議ふしぎなるにたのみたきことありあし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)