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逝
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ゆ
ふりがな文庫
“
逝
(
ゆ
)” の例文
私の成功の
緒
(
ちょ
)
に
就
(
つ
)
く処までは是非存命でいてもらいたいと思った
甲斐
(
かい
)
もなく、困難中に
逝
(
ゆ
)
かれたことと、今度また折角苦しい中から
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
信長は父
逝
(
ゆ
)
く日まで、父にひとかたならぬ
心案
(
こころあん
)
じをかけていた不孝の子であったが、今日、その父へも、大孝の子となったのである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お絹お常のまめまめしき働きぶり、幸衛門の
発句
(
ほっく
)
と塩、神主の
忰
(
せがれ
)
が新聞の取り次ぎ、別に変わりなく夏過ぎ秋
逝
(
ゆ
)
きて冬も来にけり。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わたくしはいま、気分が流れ出すまゝに身も心も軽々と、空
逝
(
ゆ
)
く雲か、浪乗る船のようなうき/\した不安に送り迎えされ始めました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
だから私たちは世に敗れた無銘の工人たちに代って、その仕事を品物で文字で語ってゆこう。人は
逝
(
ゆ
)
くとも世は変るとも美しさは活きる。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
この最後の一首は、
磯辺
(
いそべ
)
病院で
失
(
う
)
せられた
枕
(
まくら
)
もとの、手帳に書きのこされてあったというが、末の句をなさず
逝
(
ゆ
)
かれたのだった。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
プレトー去つて遠し、シヱーキスピーア去つて又た
還
(
かへ
)
らず、ウオーヅオルス
逝
(
ゆ
)
けり、カアライル逝けり、ボルテーア逝き、バイロン逝けり。
思想の聖殿
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
今や彼れ
逝
(
ゆ
)
く、文界は多望の詩人を失ひし也、我儕は愛すべきの朋友を失し也。而して予は最も無邪気にして最も信認すべき論敵を失し也。
北村透谷君
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
而してその終りは全くの老衰で、何の苦痛もなく両手を胸上に合して眠るが如く
逝
(
ゆ
)
いた。その状態は今も私の目に残っている。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
惜まれて
逝
(
ゆ
)
く多くの有望な人々と同じやうに、今また斯の人が同じ病苦に
呻吟
(
しんぎん
)
すると聞いては、うたゝ同情の念に堪へないと書いてあつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
春章は天明以後その晩年をば壮時の如くに再び肉筆画の制作のみに送りき(春章は寛政四年に歿し文調は寛政八年に
逝
(
ゆ
)
けり)。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さう云や、俺、近いうちに、二三日も来て
貰
(
もれ
)
えてえと思つてゐたんだのに、思ひがけなく、ころつと
逝
(
ゆ
)
かしつたんでなう、ほんに、はや!」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
逝
(
ゆ
)
ける日は追えども帰らざるに逝ける事は
長
(
とこ
)
しえに暗きに葬むる
能
(
あた
)
わず。思うまじと誓える心に
発矢
(
はっし
)
と
中
(
あた
)
る古き火花もあり。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その兄が
逝
(
ゆ
)
いてからの賀古氏は、どれだけお寂しかったでしょう。晩年に主人や私へよくお
便
(
たより
)
を下さいましたのも、以前にはないことでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
やがて、
紅
(
あか
)
く
燃
(
も
)
えていたような
夏
(
なつ
)
が
逝
(
ゆ
)
きかけました。つばめは
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
って、
遠
(
とお
)
い
南
(
みなみ
)
の
永久夏
(
とこなつ
)
の
国
(
くに
)
に
帰
(
かえ
)
る
時分
(
じぶん
)
となりました。
青い時計台
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
間もなく紅葉の
訃
(
ふ
)
は伝わって、世を
挙
(
こぞ
)
ってこの
比
(
たぐ
)
い少ない天才の
逝
(
ゆ
)
くを痛惜したが、訃を聞くと直ぐ、私は弔問して亡友の遺骸に
訣別
(
わかれ
)
を告げた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
麓の活躍した心臓を圧迫するか、頂の
死
(
し
)
に
逝
(
ゆ
)
く肺臓を黙殺するか、この二つの背反に波打って村は二派に分れていた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私は何かこの地球に Memento を置いて
逝
(
ゆ
)
きたい、私がこの地球を愛した証拠を置いて逝きたい、私が同胞を愛した記念碑を置いて逝きたい。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
森さんは去年細君に
逝
(
ゆ
)
かれて、最近また十八になる長子と
訣
(
わか
)
れたので、自身劇場なぞへ顔を出すのを
憚
(
はば
)
かっていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
年寄りが
逝
(
ゆ
)
くのは順ですが、老少不定の世の中、若い者、子供、赤ン坊の亡くなったのも一人や二人でありません。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
既にして正弘は
逝
(
ゆ
)
いた。そして柏軒は何の
咎
(
とがめ
)
をも受くることなく、只奥医師より表医師に
貶
(
へん
)
せられたのみであつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さとの井沼では、ずっと前に父も母も
逝
(
ゆ
)
き、長兄も五年まえに亡くなって、その子の善左衛門が家を継いでいた。
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鉢に浸す者はそれなり。げに人の子は己に就きて
録
(
しる
)
されたる如く
逝
(
ゆ
)
くなり。されど人の子を売る者は禍なるかな。その人は生まれざりし方よかりしものを
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
一首の意は、満山の光るまでに咲き盛っていた花が一時に散ったごとく、皇子は
逝
(
ゆ
)
きたもうた、というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
唯円
逝
(
ゆ
)
くものをさびしく送ったこころで、残るものは仲よくせねばならぬと思います。それにつけても善鸞様を一日も早くゆるしてあげてくださいまし。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ピエルネまた近年
逝
(
ゆ
)
いたパリの音楽界において、ゴーベールを以て長老となすは当然のことと言わねばならぬ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
六月三日、同サナトリウムで
逝
(
ゆ
)
く。六月一日、プラークのシュトラースニッツ・ユダヤ人墓地に埋葬された。
年譜:世界文学大系58 カフカ
(新字新仮名)
/
原田義人
(著)
その時のありさま今もありありと眼に残れり。しかも主人の孤村君は今年八月の芙蓉咲く夕に
先
(
ま
)
ず
逝
(
ゆ
)
き、それより一月あまりにして英一もまたその跡を追う。
叔父と甥と:――甲字楼日記の一節――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
亡くなった老父のこと いまから二十数年前に
亡
(
な
)
くなりました私の父は、こんな歌を私に残して
逝
(
ゆ
)
きました。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それは
逝
(
ゆ
)
く春のある日であったが、例の大鳥井紋兵衛から、花見の宴に招かれた。で、彼は出かけて行った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
前年、重盛が死に、今また、清盛に
逝
(
ゆ
)
かれ、平家の勢は日に日におとろえる一方で、昔から恩顧のある者のほかは、今やすべて源氏に随いつく世の中であった。
現代語訳 平家物語:06 第六巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
川は巌の
此方
(
こなた
)
に
碧
(
みどり
)
の淵をなし、しばらく
澱
(
よど
)
みて遂に
逝
(
ゆ
)
く。川を隔てて
遥
(
はるか
)
彼方には石尊山白雲を帯びて
聳
(
そび
)
え、眼の前には釜伏山の一
ト
つづき
屏風
(
びょうぶ
)
なして立つらなれり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
残る者のために財産全部を
遺
(
のこ
)
して
逝
(
ゆ
)
くことに法律的に決定したわけだが、どっちが先に死ぬかとは、ブラドンがアリスを一眼見た時から、とうに決まっていたのだ。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ねんごろに
逝
(
ゆ
)
くものを葬う重厚な村の儀式気分は少しもなく、みな、
憂心忡々
(
ゆうしんちゅうちゅう
)
として墓地に群がり、ある者は墓の前に
額
(
ぬか
)
ずき、ある者は墓を抱いてみな泣いている。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
丘の上には、数本の大きい八重桜が、
爛漫
(
らんまん
)
と咲乱れて、移り
逝
(
ゆ
)
く春の名残りを
止
(
とど
)
めていた。
其処
(
そこ
)
から見渡される広い庭園には、晩春の日が、うら/\と
射
(
さ
)
している。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
徒
(
いたず
)
らに歳月矢の如く
逝
(
ゆ
)
きて今は全くの白頭になったが、その間何一つでかした事もないので、この年少時代に書いた満々たる希望に対して
転
(
うた
)
た
忸怩
(
じくじ
)
たらざるを得ない。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
しかもその非凡の才識も積極的美の半面はこれを開くに及ばずして
逝
(
ゆ
)
きぬ。けだし天は俳諧の名誉を芭蕉の専有に帰せしめずしてさらに他の偉人を待ちしにやあらん。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
野は秋ようやく
逝
(
ゆ
)
かんとしてまた暑きこと一二日、柿赤く、
蜜柑
(
みかん
)
青しと、日記に書いた日もあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
見よ或はかの棄てられし恨を
遺
(
のこ
)
し、或はこの奪はれし
悲
(
かなしみ
)
に
遭
(
あ
)
ひ、前の恨の消えざるに又新なる悲を添ふ。棄つる者は去り、棄てざる者は
逝
(
ゆ
)
き、
㷀然
(
けいぜん
)
として
吾独
(
われひと
)
り在り。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
すべての者、皆
逝
(
ゆ
)
く——残れる者も
亦
(
また
)
逝く——。これが人生であろうけれど、それにしても、今井一家のみを
虐
(
しいた
)
げるというのは、何という陰惨な事実であろう…………。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
何ゆえ見すてて
逝
(
ゆ
)
きたまいしと
思
(
おも
)
う下より涙はわきて、写真は霧を隔てしようにおぼろになりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
いくら自らをたしなめても、胸の一つ灯は、
逝
(
ゆ
)
きにし父へのなみだでは、消えべくもないのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
言わばニュートンは真理の殿堂の第一の
扉
(
とびら
)
を開いただけで
逝
(
ゆ
)
いてしまった。彼の被案内者は第一室の壮麗に酔わされてその奥に第二室のある事を考えるものはまれであった。
案内者
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ようよう今年の春から小学に通うようになりはなっても、何だか他人に可愛がられない子を、独り置いて
逝
(
ゆ
)
かなければならないのかと思うと、死ぬにも死なれない気がした。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
さだめし、安んじて
逝
(
ゆ
)
かれたものと想像される。太子の死後も、蘇我氏は、依然として権力者であった。名は大臣であっても、権力者としては、天下の最高権力者であった。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
人物の生や、みな天地陰陽の感ずるところ、生は自息、死は自消。たとえば、
逝
(
ゆ
)
く川の昼夜を
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
叔父さん人間は
老少不定
(
ろうしょうふじょう
)
ということがあるから、若い者でも先へ
逝
(
ゆ
)
かねえと堅い事も言われねえ、
私
(
わし
)
が高平まで
往
(
ゆ
)
く
途
(
みち
)
で、どんな事があって、ひょっと
帰
(
けえ
)
らねえようになり
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
好きでなかった道で斃れ、
逝
(
ゆ
)
くものは逝く。同じ死ぬにしても、ふぐを食って死ぬなんて恥ずかしい……てな賢明らしいことをいうものもあるが、そんなことはどうでもいい。
河豚は毒魚か
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
先生が
逝
(
ゆ
)
かれて、もう七年も過ぎたかと思うと、今さらに年月の経つのがはやい気がする。
左千夫先生への追憶
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
玲瓏
(
れいろう
)
、
明透
(
めいてつ
)
、その
文
(
ぶん
)
、その
質
(
しつ
)
、
名玉山海
(
めいぎよくさんかい
)
を
照
(
て
)
らせる
君
(
きみ
)
よ。
溽暑蒸濁
(
じよくしよじようだく
)
の
夏
(
なつ
)
を
背
(
そむ
)
きて、
冷々然
(
れい/\ぜん
)
として
獨
(
ひと
)
り
涼
(
すゞ
)
しく
逝
(
ゆ
)
きたまひぬ。
倏忽
(
たちまち
)
にして
巨星
(
きよせい
)
天
(
てん
)
に
在
(
あ
)
り。
光
(
ひかり
)
を
翰林
(
かんりん
)
に
曳
(
ひ
)
きて
永久
(
とこしなへ
)
に
消
(
き
)
えず。
芥川竜之介氏を弔ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
逝
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“逝”を含む語句
逝去
御逝去
長逝
遠逝
夭逝
急逝
早逝
善逝
逝春
素逝
武良前野逝
御逝
失逝
逝去遊
逝囘
大曰逝
逝曰遠
逝水
逝者
逝者已如水
...