資格しかく)” の例文
「おまえは、あたしのいいつけをきかなかったばかりか、うそまでもいいましたね。おまえは、もう天国にいる資格しかくがありません。」
平生へいぜいは一ぽんきりしてゐないけれども、二本帶ほんさしてある資格しかくつてゐて、與力よりき京武士みやこぶしあとまはらなくてもいいだけの地位ちゐになつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しかしながらむかし歌人かじんは、あきかなしいものだとかんじることの出來できるのは、自分じぶん歌人かじんとしての大事だいじ資格しかくだとおもつてゐました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ところが、そのために、学校がっこう出席しゅっせきする日数にっすうがたりなくて、ことしは、試験しけんをうける資格しかくを、とうとうなくしちゃったんさ。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
「たしかに、この大根だいこんは、一等賞とうしょう資格しかくがあります。けれど、つくがわからないから、賞品しょうひんわたすわけにはいきません。」
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
答『へびはもともと地上ちじょう下級動物かきゅうどうぶつかたちも、性質せいしつも、資格しかく竜神りゅうじんとはまった別物べつものじゃ。へびがいかに功労こうろうたところで竜神りゅうじんになれるわけのものでない……。』
矢張大人の真似を子供はするのであろう。禽獣を愛せぬ国民は、大国民の資格しかくが無い。犬猫をいじめる子供は、やがて朝鮮人ちょうせんじん台湾人たいわんじんをいじめる大人である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そのおかげで、何かの機会に蠅以外の媒介ばいかいによって、多量のばいきんを取りんだときでも、それにたえられるだけの資格しかくがそなわっているのかもしれない。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
主君から刀をさずけられたのは、武士の資格しかくをゆるされたもどうよう、竹童もきょうからは幕下ばっかのひとりである。なりこそ小さいが、押しもおされもせぬ伊那丸の旗本はたもと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸運こううん悲運ひうんのけじめは勿論もちろんあるとしても、つ者がつにはかならず當ぜん由がある。蹴落けおとされて憐憫れんびんつ如き心かけなら、はじめから如何なる勝負せうふにもたゝかひにも出る資格しかくはないわけだ。
勳章くんしやうだとか、養老金やうらうきんだとかふものは、徳義上とくぎじやう資格しかくや、才能さいのうなどに報酬はうしうされるのではなく、一ぱん勤務つとめ其物そのものたいして報酬はうしうされるのでる。しからばなん自分計じぶんばか報酬はうしうをされぬのでらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……景色けしきうだ、とかれてわるいとふものもなからうし……たゞよかつたよ、とだけぢや、きみたちのはうをさまるまいけれども、なにしろ、わたしには、松島まつしまても松島まつしまろんずる資格しかくはないのだよ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
日本政府につぽんせいふこゝろよ濱島氏はまじましこゝろざしれ、海軍部内かいぐんぶないでは、特別とくべつ詮議せんぎがあつて、たゞちに松島大佐閣下まつしまたいさかくか回航委員長くわいかうゐゐんちやうにんあたこととなり、いま大佐たいさ本艦々長ほんかん/\ちやう資格しかくをもつて日本につぽん廻航中くわいかうちう濱島氏夫妻はまじましふさい
「それじゃなんにも口出くちだしなんかする資格しかくはないねえ。」
じいさま、それはんでもないことでございます。わたくしなどはまだ修行中しゅぎょうちゅう力量ちからといい、また行状おこないといい、とてもそんな資格しかくのあろうはずがございませぬ。
ぞんじのごとく、資力しりょくのないわたしどもに、ひとたすける資格しかくはありませんが、ほかでない、両親りょうしんをなくした、子供こどもかんがえますと、だれも世話せわをするものがなければ
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
場なれた郎党ろうどうを二、三十人も連れて、味方についてくるとはなんたる僥倖ぎょうこう、かれは足助あすけ佐分利さぶりに客分の資格しかくをあたえ、下へもおかずもてなししたうえ、にわかに気強くなって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄竹げんちく町醫まちいであるけれども、つと京都きやうとはうまはして、嵯峨御所さがごしよ御抱おかゝへの資格しかくり、醫道修業いだうしゆげふめにつかはすといふ書付かきつけに、御所ごしよいんわつたのをつてゐるから
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
勲章くんしょうだとか、養老金ようろうきんだとかうものは、徳義上とくぎじょう資格しかくや、才能さいのうなどに報酬ほうしゅうされるのではなく、一ぱん勤務つとめそのものたいして報酬ほうしゅうされるのである。しからばなん自分じぶんばかり報酬ほうしゅうをされぬのであろう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それはんでもない面白おもしろはなしじゃ。ドーもそなたのほうわしよりも資格しかくがずっとうえらしいぞ。
秀吉ひできちは、ケーきゃくという資格しかくで、案内あんないされるまま、おくにあるケー書斎しょさいへみちびかれました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だまれ、武門ぶもん誓約せいやくさえふみにじる非武士ひぶしどもに、御岳の神約しんやくを口にする資格しかくはない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)