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護謨
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ごむ
ふりがな文庫
“
護謨
(
ごむ
)” の例文
俊助は大井に
頓着
(
とんちゃく
)
なく、
逞
(
たくまし
)
い体を
椅子
(
いす
)
から起して、あの
護謨
(
ごむ
)
の樹の鉢植のある会場の次の間へ、野村の連中を探しに行った。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その日は朝からいい天気であったのに、見るとその男は、
護謨
(
ごむ
)
びきの雨外套を着て、しかもそれがぐっしょり濡れている。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「理由は
簡単
(
てみじか
)
です、あの人が大学の総長だつたからです。」
商人
(
あきんど
)
は口に入れてゐた
噛
(
しが
)
み
護謨
(
ごむ
)
の
滓
(
かす
)
をペツと床に吐き出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
半東洋風の黒い頭髪をロジェル・エ・ギャレ会社の製品で水浴用
護謨
(
ごむ
)
帽子のように装飾して——で、私は彼にひそかにこの
綽名
(
あだな
)
を与えたわけだが
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
その孔を
糸嚢
(
しのう
)
といふ。虫の体の中には絹の材料がうんとはいつてゐるのだ。それは
護謨
(
ごむ
)
に似たねばねばする液体だ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
▼ もっと見る
尤
(
もっと
)
も
護謨
(
ごむ
)
同様に
紳縮
(
のびちゞ
)
みする
樹皮
(
きのかわ
)
なれば其穴は
自
(
おのずか
)
ら
塞
(
ふさ
)
がりて
唯
(
た
)
だ其傷だけ残れるを見るのみなれば更に
覆
(
くつが
)
えして
下
(
しも
)
の端を眺れば
茲
(
こゝ
)
には異様なる
切創
(
きりきず
)
あり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
すると、そこに
兄
(
あに
)
の
車
(
くるま
)
を
引
(
ひ
)
く
勝
(
かつ
)
と云ふのがゐた。ちやんと、
護謨
(
ごむ
)
輪の
車
(
くるま
)
を玄関へ
横付
(
よこづけ
)
にして、叮嚀に御辞義をした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
イギリス
旦那
(
マスター
)
の「
文明履物
(
かわぐつ
)
」のようなチョコレート色の皮膚と、
象牙
(
ぞうげ
)
の眼と、
蝋引
(
ろうび
)
きの歯、
護謨
(
ごむ
)
細工のように
柔軟
(
やわらか
)
な弾力に富む彼女らの yoni とは
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
かくして、
身体
(
しんたい
)
を七十日間
曹達水
(
そうだすい
)
に
浸
(
ひた
)
したる後、之を取出し、
護謨
(
ごむ
)
にて接合せる麻布を
以
(
もっ
)
て綿密に
包巻
(
ほうかん
)
するなり
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
また電気灯を
点
(
とも
)
すと、白つぽくなつた
壁際
(
かべぎは
)
の二段の吊棚が目の前へ現はれて来るのです。私は
洋杯
(
こつぷ
)
の中に
入
(
はひ
)
つた三郎の使ひ残した
護謨
(
ごむ
)
の
乳首
(
ちヽくび
)
に
先
(
ま
)
づ目が附きます。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
左右の欠刻から沁み出る
護謨
(
ごむ
)
液が中央に集つて落ちるのを採収夫が
硝子
(
ガラス
)
の
小杯
(
コツプ
)
に受けて廻るのである。採収は未明から午前六時迄に終らねばならないと云ふ事だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それは紫の
紐
(
ひも
)
で首を縛った空気入りの
護謨
(
ごむ
)
人形で、少年が手品に使用したものを油絵具か何かで塗り直して
扉
(
ドア
)
の上の
框
(
かまち
)
に突込んだ
白箸
(
しろばし
)
に引っかけたものらしかった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
護謨
(
ごむ
)
ほうずきを吹くような
蛙
(
かわず
)
の声が四方に起ると、若葉の色が愁うるように青黒く
陰
(
くも
)
って来る。
磯部の若葉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
氷川神社
(
ひかはじんじや
)
を
石段
(
いしだん
)
の
下
(
した
)
にて
拜
(
をが
)
み、
此宮
(
このみや
)
と
植物園
(
しよくぶつゑん
)
の
竹藪
(
たけやぶ
)
との
間
(
あひだ
)
の
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
りて
原町
(
はらまち
)
へ
懸
(
かゝ
)
れり。
路
(
みち
)
の
彼方
(
あなた
)
に
名代
(
なだい
)
の
護謨
(
ごむ
)
製造所
(
せいざうしよ
)
のあるあり。
職人
(
しよくにん
)
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
働
(
はたら
)
く。
護謨
(
ごむ
)
の
匂
(
にほひ
)
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
つ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『そうか。俺はね、この箱へ細い
護謨
(
ごむ
)
を巻き付けておいたのだ。その護謨紐が切れておる』
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
と見ると茶店の方から古びた茶の
中折帽
(
なかおれぼう
)
をかぶって、
例
(
れい
)
の
癖
(
くせ
)
で
下顋
(
したあご
)
を少し突出し、
濡
(
ぬ
)
れ手拭を入れた
護謨
(
ごむ
)
の
袋
(
ふくろ
)
をぶら
提
(
さ
)
げながら、例の
足駄
(
あしだ
)
でぽッくり/\
刻足
(
きざみあし
)
に翁が歩いて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
米内光政の写真を見ると、
護謨
(
ごむ
)
人形のような感じがするが、きょうの答弁には何となく弾力がない。それに、国民に対してもっと親切があるのと、もっと決然たるところがあっていいと思う。
議会見物
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
護謨
(
ごむ
)
の木の
畑
(
はた
)
の苗木の重き葉の大きなる葉の照りひびくなり (一五九頁)
文庫版『雀の卵』覚書
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
で、やむを得ず三田土
護謨
(
ごむ
)
工場へ通って僅かに七十八銭の日給を得ていたのだが、物価の高い今日今日七十八銭で自分も食べた上病気の良人一人を養ってゆくことは、困難以上の無理であった。
女給
(新字新仮名)
/
細井和喜蔵
(著)
さりながら、毛織物、
護謨
(
ごむ
)
、
藥種店
(
やくしゆてん
)
、
物思
(
ものおもひ
)
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
おほきな
護謨
(
ごむ
)
葉樹のしげれるさまは
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
赤い
護謨
(
ごむ
)
のやうにおびえる唇が
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
ロジェル・エ・ギャレ会社製の
煉香油
(
ねりこうゆ
)
で海水浴用
護謨
(
ごむ
)
帽子のように固めていたことも——だが、彼が、外見を急造して
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「さう。
阿母
(
おつか
)
さんも有つたの。」娘は
護謨
(
ごむ
)
人形のやうに急に母親に飛びついた。「やつぱり
往時
(
むかし
)
も今も同じだわねえ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
午
(
ひる
)
少
(
すこ
)
し
前
(
まへ
)
迄は、ぼんやり
雨
(
あめ
)
を
眺
(
なが
)
めてゐた。
午飯
(
ひるめし
)
を
済
(
す
)
ますや否や、
護謨
(
ごむ
)
の
合羽
(
かつぱ
)
を引き掛けて表へ出た。
降
(
ふ
)
る
中
(
なか
)
を
神楽坂下
(
かぐらざかした
)
迄
来
(
き
)
て
青山
(
あをやま
)
の
宅
(
うち
)
へ電話を
掛
(
か
)
けた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
俊助は、大きな
護謨
(
ごむ
)
の樹の鉢植が据えてある部屋の隅に
佇
(
たたず
)
みながら、別に開会を待ち兼ねるでもなく、ぼんやり周囲の話し声に
屈托
(
くったく
)
のない耳を傾けていた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
引きあげてみると蒼黒いぬるぬるしたものは、強い
護謨
(
ごむ
)
引きの布であった。頭のうしろや背中や、手足の一部などに
鰭
(
ひれ
)
のようなものが附いている。指のあいだに
蹼
(
みずかき
)
がある。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
護謨
(
ごむ
)
の
価
(
あたひ
)
も一ポンド十四五円まで暴騰したが、現今では
其
(
その
)
反動で二円に下落して居る
相
(
さう
)
だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
店を出る時白がすりを着て出たが、死骸は
紺飛白
(
こんがすり
)
を着て居た。百二十円の貯金全部を引出した角谷の
蟇口
(
がまぐち
)
には、唯一銭五厘しか残って居なかった。死骸は
護謨
(
ごむ
)
草履
(
ぞうり
)
を
穿
(
は
)
いて居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
三十二相極めて行儀好く揃って居る。若しや此の女は何か
護謨
(
ごむ
)
ででも拵え屈伸自在な仮面を
被
(
かぶ
)
って居るのでは無かろうか、併し其の様な巧みな仮面は未だ発明されたと云う事を聞かぬ。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ある日の午後学校から帰りました
茂
(
しげる
)
が
護謨
(
ごむ
)
鞠
(
まり
)
を
欲
(
ほ
)
しいと頼むものですから、私は
光
(
ひかる
)
に買つて来て遣ることを命じたのでした。簡単な買物として私は
光
(
ひかる
)
の経験にとも思つて出したのでした。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
肉厚く重き
護謨
(
ごむ
)
の葉照り久しおのづからふかき息たてにける (一五九頁)
文庫版『雀の卵』覚書
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そうしてその長い
鬢
(
びん
)
の生え際を引き剥がすとそのまま、丸
卓子
(
テーブル
)
の上にうつむいて両手をかけて
仮髪
(
かつら
)
を脱いだが、その下の
護謨
(
ごむ
)
製の肉色をした
鬘下
(
かつらした
)
も手早く一緒に引き剥いで、机の上に置いた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おほきな
護謨
(
ごむ
)
葉樹のしげれるさまは
青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
が、大井はこの方面には全然無感覚に出来上っていると見えて、
鉢植
(
はちうえ
)
の
護謨
(
ごむ
)
の葉を遠慮なく爪でむしりながら
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と書いて、手紙の端にアラビヤ
護謨
(
ごむ
)
で滅多に
剥
(
めく
)
れないやうに切手が貼つてあつた。言ふ迄もなくデヰスやヰルキンスは、切手を取りつ放しにした
連中
(
れんぢゆう
)
である。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それはあの
護謨
(
ごむ
)
糸で自動的に中箱の引っ込む仕掛けの、ミラノ製の Italianissima
燐寸
(
マッチ
)
のような、非常に役立つ、寸分の
隙
(
すき
)
もない効果だった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そして
櫛
(
くし
)
の目を髪に立てやうとは思はないのであるから、
鏝
(
こて
)
を当てると
直
(
す
)
ぐ手で上へ
差櫛
(
さしぐし
)
で止めて、やがて
護謨
(
ごむ
)
の紐で其れが結ばれ、自分の髪は三つに組まれて投げる様に輪にされる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
護謨
(
ごむ
)
の木の
畑
(
はた
)
の苗木の重き葉の大きなる葉のふとひびらぎぬ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ハキダメから拾った片チンバの
護謨
(
ごむ
)
靴を引きずって
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おまへは
護謨
(
ごむ
)
製の
操人形
(
あやつり
)
か。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
故人
長田秋濤
(
をさだしうとう
)
が風流才子であり、仏蘭西語学者であり、
護謨
(
ごむ
)
栽培家であつたのはよく世間に聞えてゐるが、それと同時に秀れた経済学者であつたのは、知らぬ人が多いやうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
またその自動車の後窓に、都会の迷信中の傑作として
護謨
(
ごむ
)
糸に吊るされて踊ってる身振り人形のピエロのように、彼女は近代的速度を備えた淡いエゴイズムの一本の感覚の尖端にぶら下ってるのだ。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
忘却
(
ばうきやく
)
の
護謨
(
ごむ
)
の
面
(
おもて
)
を
圧
(
お
)
すごとく
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
この頃のやうな寒さには、刀自は
護謨
(
ごむ
)
製の懐中湯たんぽを背中に入れて、背筋を鼠のやうに円くして歩いてゐる。いつだつたか大阪教会で牧師宮川経輝氏のお説教を聴いてゐた事があつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“護謨(
ゴム
)”の解説
ゴム(護謨、nl: gom)は、元来は植物体を傷つけるなどして得られる無定形かつ軟質の高分子物質。現在では、後述の天然ゴムや合成ゴムのような有機高分子を主成分とする一連の弾性限界が高く弾性率の低い材料すなわち弾性ゴムを指すことが多い。エラストマーの一種であり、エラストマーはゴムと熱可塑性エラストマーの二つに分けられる。
(出典:Wikipedia)
護
常用漢字
小5
部首:⾔
20画
謨
漢検1級
部首:⾔
17画
“護謨”で始まる語句
護謨輪
護謨毬
護謨風船
護謨林
護謨靴
護謨園
護謨底
護謨球
護謨樹
護謨合羽