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謳
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うた
ふりがな文庫
“
謳
(
うた
)” の例文
『あんな
名僧
(
めいそう
)
知識
(
ちしき
)
と
謳
(
うた
)
われた
方
(
かた
)
がまだこんな
薄暗
(
うすぐら
)
い
境涯
(
ところ
)
に
居
(
い
)
るのかしら……。』
時々
(
ときどき
)
意外
(
いがい
)
に
感
(
かん
)
ずるような
場合
(
ばあい
)
もあるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
しかし、このひと、欧米の料理界において著名を
謳
(
うた
)
われたのは、料理の腕もさることながら、人間が相当に出来ていたに違いない。
世界の「料理王逝く」ということから
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
僧侶の身分で女と心中したと
謳
(
うた
)
われては、自分の死後の恥ばかりでなく、ひいては師の坊にも迷惑をかけ、寺の名前にも疵が付く。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自我の利欲に目の
眩
(
くら
)
む必要がある。少くとも古来より聖賢の教えた道を
蔑
(
ないがしろ
)
にする必要がある。生活難を
謳
(
うた
)
える人よ。私は諸君が
羨
(
うらやま
)
しい。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
後世までも
十二神
(
オチフルイ
)
貝十郎は、宝暦から明和安永へかけての名与力として
謳
(
うた
)
われて、曲淵甲斐守や依田和泉守や牧野大隅守というような
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
ある者は湖面に花を咲かせていたし、ある者は根となって人眼に触れぬ水底に隠れていた。魚は平和を
娯
(
たのし
)
み、鳥は波上に歓びを
謳
(
うた
)
った。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
寒い広場に、子守が四、五人集まって、哀れな調子の
唄
(
うた
)
を
謳
(
うた
)
っているのを聞くと、自分が田舎で貧しく育った昔のことが想い出される。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何しろ彼は、人をかつぐ名人として通っていたし、
仮装舞踏会
(
かそうぶとうかい
)
などで、まんまといっぱいくわせる
妙技
(
みょうぎ
)
を
謳
(
うた
)
われていたからである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
橘之助と艶名を
謳
(
うた
)
われた三遊亭圓馬(その頃のむらく)が私の師父にあたっているし、さらに私と多年の交わりがあり、それゆえに昨春
随筆 寄席囃子
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「オッサン、ゲイ・キャバレロを
謳
(
うた
)
っとくれよ!」なんと中学生が、一座の
喧騒裡
(
けんそうり
)
にわめいても、よくその意味が通ずるとみえ
人造物語
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうしてその
征御
(
せいぎょ
)
に文化の誇りを
謳
(
うた
)
おうとする。だが自然に叛くものに悠久なものがあろうか。自然に従順なものは自然の加護を受ける。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
世間には「私のところのモーターは十
吋
(
インチ
)
何枚十二
吋
(
インチ
)
何面かかります」と
謳
(
うた
)
っている製造者もあるが、これは意味なきことである。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
その男は、
墺太利
(
オーストリヤ
)
海軍の守護神、マリア・テレジヤ騎士団の精華と
謳
(
うた
)
われたのですが、また海そのものでもあったのですわ。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それでも自分はこの界隈から美少年の時春と
謳
(
うた
)
われるようになった。こうなってみれば、わざとそれを自誇するのが却って男らしい気がした。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お梶は、もう四十に近かったが、宮川町の
歌妓
(
うたいめ
)
として、若い頃に
嬌名
(
きょうめい
)
を
謳
(
うた
)
われた面影が、そっくりと白い細面の顔に、ありありと残っている。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
逆賊となっても
赫々
(
かくかく
)
の光を失わず、勝は、一代の
怜悧者
(
りこうもの
)
として、その晩年は独特の自家宣伝(?)で人気を博していたが、小栗は
謳
(
うた
)
われない。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「なる程、そなたの申し分には、道理がある。そこまで、身を
慎
(
つつし
)
んでこそ、日本一の芸人と、名を
謳
(
うた
)
われることも出来よう」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「理由なく彼を殺せば、一世の非難をうけましょう。呉は信義のない国であると
謳
(
うた
)
われては、呉のために、どうでしょうか」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この材と質とをもってせば天下に
嬌名
(
きょうめい
)
を
謳
(
うた
)
われんこと期して待つべきに、良家の子女に生れたるは幸とや云わん不幸とや云わんと
呟
(
つぶや
)
きしとかや。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
後の世までその名を
謳
(
うた
)
はるゝほど、みめかたち麗しく生れついた人達が、さうめつたに笑はなかつたといふことは面白い。
桃の雫
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
蝦
(
えび
)
の
舞踏
(
ぶたう
)
のモ
一
(
ひと
)
つの
歩調
(
ほてう
)
をやつて
見
(
み
)
やうか?』とグリフォンは
續
(
つゞ
)
けて、『それとも
海龜
(
うみがめ
)
にも
一
(
ひと
)
つ
歌
(
うた
)
を
謳
(
うた
)
つて
貰
(
もら
)
はうか?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あゝ
嫌
(
いや
)
だ/\と
道端
(
みちばた
)
の
立木
(
たちき
)
へ
夢中
(
むちう
)
に
寄
(
より
)
かゝつて
暫時
(
しばらく
)
そこに
立
(
たち
)
どまれば、
渡
(
わた
)
るにや
怕
(
こわ
)
し
渡
(
わた
)
らねばと
自分
(
じぶん
)
の
謳
(
うた
)
ひし
聲
(
こゑ
)
を
其
(
その
)
まゝ
何處
(
どこ
)
ともなく
響
(
ひゞ
)
いて
來
(
く
)
るに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
闘技の
埒
(
らち
)
に馬乗り入れてランスロットよ、後れたるランスロットよ、と
謳
(
うた
)
わるるだけならばそれまでの浮名である。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、金の鎖を
蔓
(
つる
)
に持ったフロリダ黄蘭のように宙乗りをして、そこから静かに得意の夢を
謳
(
うた
)
いつづけていた。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
さしも
京洛
(
きょうらく
)
第一の
輪奐
(
りんかん
)
の美を
謳
(
うた
)
われました万年山相国の
巨刹
(
きょさつ
)
も
悉
(
ことごと
)
く焼け落ち、残るは七重の塔が一基さびしく焼野原に
聳
(
そび
)
え立っているのみでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「
偽
(
いつわり
)
ならぬ真実!」と、東洋の詩人が
謳
(
うた
)
ったそのことが、彼には
賞牌
(
しょうはい
)
の浮彫でも見るように、手探りの敏感さで、自分の皮膚へ感じられたように思えた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
景山
(
かげやま
)
は今
何処
(
いずく
)
にいるぞ、一時を驚動せし彼女の所在こそ聞かまほしけれなど、新聞紙上にさえ
謳
(
うた
)
わるるに至りぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
叙事詩の中の抒情部分は、其威力の信仰から、其成立事情の似た事件に対して呪力を発揮するものとして、地の文から分離して
謳
(
うた
)
はれる様になつて行つた。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それに私の名が、ずっと社会的に現われて参って時々新聞などに私の作品の評判なども紹介される処から、地方にも名が
謳
(
うた
)
われるようになって来ていました。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あれは正木の子ではない
訥弁
(
とつしょう
)
という役者の子だという
噂
(
うわさ
)
が高く一時は口の悪い新聞にまでも
謳
(
うた
)
われたほどであったが、正木は二つ返事でその子を引き取った。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
その
恩滴
(
したゝり
)
は野の
牧場
(
まき
)
をうるほし、小山はみな
歓
(
よろこ
)
びにかこまる。牧場は
皆
(
みな
)
羊
(
ひつじ
)
の群を
衣
(
き
)
、もろ/\の谷は
穀物
(
たなつもの
)
におほはれたり。彼等は
皆
(
みな
)
よろこびてよばはりまた
謳
(
うた
)
ふ
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ここはその磯節にまでも歌詞滑らかに豪勢さを
謳
(
うた
)
われた、関東百三十八大名の
旗頭
(
はたがしら
)
、奥羽五十四郡をわが庭に、今ぞ栄華威勢を世に誇る仙台
伊達
(
だて
)
の青葉城下です。
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
鋭く、
窪
(
くぼ
)
んだ眼を上げた歌麿は、その大丸髷が、まがう方なく、
嘗
(
かつ
)
ては江戸随一の美女と
謳
(
うた
)
われた
灘波
(
なにわ
)
屋のおきただと知ると、さすがに寂しい微笑を頬に浮べた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
駅前で買った絵ハガキ集の表紙に
謳
(
うた
)
われているが、そのアカシヤも、ポプラも、旧一中の堤に葉裏を白くひるがえしていた銀ドロも、アメリカから輸入したものだ。
望郷:――北海道初行脚――
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
その夢はいつか知らず濃紅姫が睡っている時に、どこか遠い遠い処で歌を
謳
(
うた
)
う声が聞こえて来ました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
鼠色の男だなどと
謳
(
うた
)
われた義賊らしくもなく、から意気地のない、へなへなした
苦力
(
クーリー
)
のような男でした。多分狼狽した結果、金で買ってきた偽犯人なのでしょうねえ。
耳香水
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
私は
本多
(
ほんだ
)
子爵が、今でこそ交際嫌いで通っているが、その頃は洋行帰りの
才子
(
さいし
)
として、官界のみならず民間にも、しばしば声名を
謳
(
うた
)
われたと云う噂の
端
(
はし
)
も聞いていた。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何しろ彼女は詩人としてもランボウの詩を幾つかもじってみた位のところであるが、それを玄竜が二三流の雑誌に担ぎ上げて彼女の美貌と共にその前途を
謳
(
うた
)
ったのだ。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
彼は
凡
(
すべ
)
ての預言者的人物の如く生涯真知己を得ることなく、傲逸不遜
磊落
(
らいらく
)
奇偉の一人物として、幾百年の後までも人に
謳
(
うた
)
はれながら、一の批評家ありて其至真を看破し
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
後の世までも名を
謳
(
うた
)
はれるといふのは、特別に運命に恵まれた男といつて差支へないはずである。
小壺狩
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
実際ヴォルテーアの
謳
(
うた
)
ったように、神の声と共に
渾沌
(
こんとん
)
は消え、
闇
(
やみ
)
の中に隠れた自然の奥底はその
帷帳
(
とばり
)
を開かれて、
玲瓏
(
れいろう
)
たる天界が目前に現われたようなものであったろう。
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
入道の名に
謳
(
うた
)
われ、かつは、硯友社の彦左衛門、と自から任じ、人も許して、夜討朝駆に寸分の油断のない、血気
盛
(
ざかり
)
の早具足なのが、昼寝時の不意討に、
蠅叩
(
はえたたき
)
もとりあえず
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一学の人気は江戸の屋敷の中でも大へんなもので、彼はその頃、二刀流の剣士として盛名を
謳
(
うた
)
われていた浦周之助の町道場にかよい、元禄九年には早くも免許皆伝をうけた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
頃日
(
このごろ
)
は
拿破里
(
ナポリ
)
に往きて、客に題をたまはりて、即座に歌作りて
謳
(
うた
)
はんと志したり。斯く語るついでに、われはこたび身を以て逃れたる事のもとさへ、包み
藏
(
かく
)
さずして告げぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
四郎は小さいとき長崎の支那の小間物を商う店に
丁稚
(
でっち
)
奉公して神童と
謳
(
うた
)
われたという説もあるし、父とともに支那の小間物をかついで江戸大阪へ行商していたという説もある。
安吾史譚:01 天草四郎
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一昨年
(
おととし
)
かに考査試験に通っていまでは強力犯係の警部として敏腕を
謳
(
うた
)
われている男である。
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
この事件が人々の頭に残る限り、永遠にお前の名はこの俺の名と共に
謳
(
うた
)
われるであろう。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
艶姿当代無双と
謳
(
うた
)
われた名花であるだけに、事件は早くも一般の猟奇心を呼んで、今暁以来同家正門前には物見高い見物の群集引きも切らず、
尠
(
すく
)
なからず社会各層を驚かせている。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼らにとって棟上げと餅撒きは同義語なのだ、当事者もまた高らかにそれを
謳
(
うた
)
って置きたい。ゆたかでもない出納勘定のうちから多少の無理を承知のうえで
搗
(
つ
)
きあげた餅であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ハークマのブッシュかブッシュのハークマかと
謳
(
うた
)
われていたくらい、つまりこの怪談の場所は
此処
(
ここ
)
になるのだが、その
倫敦
(
ロンドン
)
から帰ってきた時は、
恰
(
あだ
)
かもその妻は死に
瀕
(
ひん
)
していた時で
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
謳
漢検1級
部首:⾔
18画
“謳”を含む語句
謳歌
謳者
人生謳歌
共栄謳歌
好謳者
謡謳
謳歌者
軽謳