十二支考:06 羊に関する民俗と伝説 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
やむことを得ず米友は、その下駄を手許へ引取って、片手でぶらさげて、その場を立去るよりほかには詮方がなくなりました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
詮方なく一同が帰ってゆくと、周瑜は衣をかえて、魯粛と、孔明とを待たせてある水閣の一欄へ歩を運んできた。——どんな人物であろう?
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦 (旧字旧仮名) / 押川春浪(著)
銭形平次捕物控:316 正月の香り (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
というので、後藤君も詮方なく私に右の趣を話して「どうしたものでしょう」との話でした。
幕末維新懐古談:75 不動の像が縁になったはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
あんなに自分を慕っていはしたが岡も上陸してしまえば、詮方なくボストンのほうに旅立つ用意をするだろう。そしてやがて自分の事もいつとはなしに忘れてしまうだろう。
彼ももう詮方が尽きたらしく、「では、あなた。ご案内をいたしましょう」
世界怪談名作集:15 幽霊 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
かくのごとく強烈に生に執着するわれらにとっては死の本能を説くメチニコフの人生観はなんの慰安にもならぬのである。かくのごとくしてわれらは自然の大きな力の前に詮方なく蹲いて行く。
詮方なく眼をごく細めに開いて登高を開始した。
春の遠山入り:(易老岳から悪沢岳への縦走) (新字新仮名) / 松濤明(著)
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
十二支考:07 猴に関する伝説 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)