トップ
>
詮方
>
せんかた
ふりがな文庫
“
詮方
(
せんかた
)” の例文
聞て
狂氣
(
きやうき
)
の如く
悲
(
かなし
)
みしかども又
詮方
(
せんかた
)
も非ざれば無念ながらも
甲斐
(
かひ
)
なき日をぞ送りける其長庵は心の内の悦び大方ならず
猶
(
なほ
)
種々
(
さま/″\
)
と辯舌を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かく悲しく思いつづけつつ、われはなお茫然としておりたれど、一点の光だにわれを
慰
(
なぐさ
)
むるものもあらぬに、
詮方
(
せんかた
)
なくてやがていねたり。
一夜のうれい
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
下女
詮方
(
せんかた
)
なさにその火を羊の脊に置くと羊熱くなりて狂い廻り、村に火を付け人多く殺し山へ延焼して山中の
猴
(
さる
)
五百疋ことごとく死んだ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
も連れて共に行かんと云いたるに《そ》は足手纏いなりとて聞入るゝ様子なければ
詮方
(
せんかた
)
なく寧児を残す事とし母にも告げず仕度を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
やむことを得ず米友は、その下駄を手許へ引取って、片手でぶらさげて、その場を立去るよりほかには
詮方
(
せんかた
)
がなくなりました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
詮方
(
せんかた
)
なく一同が帰ってゆくと、周瑜は衣をかえて、魯粛と、孔明とを待たせてある水閣の一欄へ歩を運んできた。——どんな人物であろう?
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一同
(
いちどう
)
は
詮方
(
せんかた
)
なく
海岸
(
かいがん
)
の
家
(
いへ
)
に
皈
(
かへ
)
つたが、
全
(
まつた
)
く
火
(
ひ
)
の
消
(
き
)
えた
後
(
あと
)
のやうに、
淋
(
さび
)
しく
心細
(
こゝろぼそ
)
い
光景
(
くわうけい
)
。
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
默然
(
もくねん
)
として
深
(
ふか
)
く
考
(
かんがへ
)
に
沈
(
しづ
)
んだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
失いたるに異ならず、里方は言わでも許諾はなかるべし、
詮方
(
せんかた
)
なくば、遺言に身を任するか、この家に寡居するか、二つに一つのほかあるまじ
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
彼
(
かれ
)
は
詮方
(
せんかた
)
なくお
眠
(
やす
)
みなさい、とか、
左樣
(
さやう
)
なら、とか
云
(
い
)
つて
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
やうとすれば、『
勝手
(
かつて
)
にしやがれ。』と
怒鳴
(
どな
)
り
付
(
つ
)
ける
權幕
(
けんまく
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
僅かに昼夜を弁ずるのみなれば
詮方
(
せんかた
)
なくて机を退け筆を投げ捨てて嘆息の余りに「ながらふるかひこそなけれ見えずなりし
書巻川
(
ふみまきがは
)
に猶わたる世は」
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
武蔵野の特色なる雑木山を
無惨〻〻
(
むざむざ
)
拓かるゝのは、儂にとっては肉を
削
(
そ
)
がるゝ
思
(
おもい
)
だが、生活がさすわざだ、
詮方
(
せんかた
)
は無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さすが畜生の
智慧
(
ちえ
)
浅きは
詮方
(
せんかた
)
なし、と泣き泣き
諭
(
さと
)
せば、猿の吉兵衛も部屋の
隅
(
すみ
)
で涙を流して手を合せ、夫婦はその様を見るにつけいよいよつらく
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「だってしかたがないじゃあありませんか、」と
詮方
(
せんかた
)
なげに蝶吉はぱっちりした目を細うして、下目使いで
莞爾
(
にっこり
)
したが、顔を上げてまじくりして
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
母親の呼声しばしばなるを侘しく、
詮方
(
せんかた
)
なさに一ト足二タ足ゑゑ何ぞいの未練くさい、思はく耻かしと身をかへして、かたかたと飛石を伝ひゆくに
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
涙ながら霊を祭るとかいふ陳腐なる
考
(
かんがえ
)
を有り難がるも常人ならば
詮方
(
せんかた
)
なきも、文学者たらん者は今少し考へあるべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これでは高い山への憧れが、
又
(
また
)
その純白な雪のもつ魅力が如何に強くとも、全く
泣寐
(
なきね
)
入りの外
詮方
(
せんかた
)
ないことになる。
冬の山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
もういくら待っても人通りはない。長吉は
詮方
(
せんかた
)
なく疲れた眼を河の方に移した。
河面
(
かわづら
)
は
先刻
(
さっき
)
よりも一体に
明
(
あかる
)
くなり気味悪い雲の峯は影もなく消えている。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
詮方
(
せんかた
)
無さに町道場に押入りて他流試合を挑み、又は支那人の家に押入りて賭場荒しなぞするうちに、やがて春となりし或る日の午の刻下りのこと諏訪山下
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
惡黨
(
あくたう
)
で、お國を奪られた怨みを忘れ難く、この計畫を命取り仕事にまで押しあげたのは
詮方
(
せんかた
)
もないことでした。
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
世を
佗
(
わ
)
びて、風雅でもなく洒落でもなく、
詮方
(
せんかた
)
なしの裏長屋、世も宇喜川のお春が住むは
音羽
(
おとわ
)
の里の片ほとり。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と袖下に忍んで様子を
窺
(
うかゞ
)
って居りまする。
流石
(
さすが
)
の平林も
如何
(
いかん
)
とも
詮方
(
せんかた
)
なく、
踵
(
きびす
)
を
反
(
かえ
)
して奥の方へ逃込みました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私も起つて老僧にお別れの辭儀をして頭を上げてみると老僧はまだ/\圓い頭を兩
掌
(
て
)
に載せて卓の上に額づいてゐられる。私は
詮方
(
せんかた
)
なくもう一遍額を下げた。
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
傷寒
(
しやうかん
)
の病に紛れ無く、且は手遅れの儀も有之、今日中にも、存命覚束なかる可きやに見立て候間、
詮方
(
せんかた
)
無く其旨、篠へ申し聞け候所、同人又々狂気の如く相成り
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
詮方
(
せんかた
)
なく宿所姓名を告げ、「活版所は暑くして眠られぬまま立出し」とあらましを話せばうなずきて
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
おあいは、そう厳しくいうと、内儀は、
詮方
(
せんかた
)
なさそうにすうと垣根をはなれた。堀は、おあいの姿をみてから小さくなっていたが、それでも、内儀のあとを見送っていた。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
というので、後藤君も
詮方
(
せんかた
)
なく私に右の趣を話して「どうしたものでしょう」との話でした。
幕末維新懐古談:75 不動の像が縁になったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あんなに自分を慕っていはしたが岡も上陸してしまえば、
詮方
(
せんかた
)
なくボストンのほうに旅立つ用意をするだろう。そしてやがて自分の事もいつとはなしに忘れてしまうだろう。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
封建武士は、
余所
(
よそ
)
の花を
傍目
(
はため
)
に眺めて暮らすの外、別に妙手段もなし。彼らの
世禄
(
せいろく
)
は依然たり、社会の生活は、
駸々乎
(
しんしんこ
)
として進歩せり。今は
詮方
(
せんかた
)
なし、ただ借金の一あるのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
詮方
(
せんかた
)
なく、物は相談と思い、カンカン寅の許を訪ね、あのボロボロの建物を心ばかりの
抵当
(
ていとう
)
ということにして(あれでは二百円も貸すまいと云われた)、一千円の借金を申込んだ。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
武男を怒り、浪子を怒り、かの時を思い
出
(
い
)
でて怒り、将来を
想
(
おも
)
うて怒り、悲しきに怒り、さびしきに怒り、
詮方
(
せんかた
)
なきにまた怒り、怒り怒りて怒りの
疲労
(
つかれ
)
にようやく
夜
(
よ
)
も
睡
(
ねぶ
)
るを得にき。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
暫らく秘して人に知らしむる
勿
(
なか
)
れとの事に、
妾
(
せふ
)
は不快の念に堪へざりしかど、
斯
(
かゝ
)
る不自由の身となりては、今更に
詮方
(
せんかた
)
もなく、彼の言ふが
儘
(
まゝ
)
に従ふに
如
(
し
)
かずと閑静なる処に寓居を
構
(
かま
)
へ
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
妻君その様子の
劇
(
あわ
)
てたるを笑い「ハイ来てお
在
(
いで
)
です、モシお登和さん」と振返りて呼びけるにお登和も
詮方
(
せんかた
)
なく座敷へ入りしが心に
憚
(
はばか
)
る事ありけん、
余所余所
(
よそよそ
)
しく大原に黙礼せしのみ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
女はもう
詮方
(
せんかた
)
尽
(
つ
)
きたもののように、そんなものにまですべてをまかせるほかなくなった自分の身が、何だかいとおしくていとおしくてならないような、いかにも
悔
(
く
)
やしい思いをしながら
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼ももう
詮方
(
せんかた
)
が尽きたらしく、「では、あなた。ご案内をいたしましょう」
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
かくのごとく強烈に生に執着するわれらにとっては死の本能を説くメチニコフの人生観はなんの慰安にもならぬのである。かくのごとくしてわれらは自然の大きな力の前に
詮方
(
せんかた
)
なく蹲いて行く。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
詮方
(
せんかた
)
なく、もと十四人の人間が乗っていたが、つぎつぎに死んだので海に捨て、いまこの船に三人だけが生残っていると、手真似で
仕方話
(
しかたばなし
)
をしてみせると、異人は毛深い大きな手で重吉の手を握り
重吉漂流紀聞
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
雲とは何、せっかく山中に泊って雨では困るが、これも
詮方
(
せんかた
)
がない。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
浜子は
彼方
(
あちら
)
向いて、
遙
(
はる
)
か窓外の雪の富士をや
詮方
(
せんかた
)
なしに
眺
(
なが
)
むらん
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
詮方
(
せんかた
)
なさに胸の中にて空しく心をいたむるばかり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
詮方
(
せんかた
)
なく眼をごく細めに開いて登高を開始した。
春の遠山入り:(易老岳から悪沢岳への縦走)
(新字新仮名)
/
松濤明
(著)
私はその時は
詮方
(
せんかた
)
がありませんから、妻を
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
打
(
うち
)
ければ
額
(
ひたひ
)
より
血
(
ち
)
流
(
なが
)
れけるに四郎右衞門今は
堪忍
(
かんにん
)
成難
(
なりがた
)
しと思へども其身
病勞
(
やみつかれ
)
て居るゆゑ
何共
(
なにとも
)
詮方
(
せんかた
)
なく無念を堪へ
寥々
(
すご/\
)
とこそ歸りけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二人は、その哀れむべき、憎むべき犠牲であってみれば、この場合に弁信
風情
(
ふぜい
)
が取付いたとて、
詮方
(
せんかた
)
のないものであります。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼
(
かれ
)
は
詮方
(
せんかた
)
なくお
眠
(
やす
)
みなさい、とか、
左様
(
さよう
)
なら、とか
云
(
い
)
って
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ようとすれば、『
勝手
(
かって
)
にしやがれ。』と
怒鳴
(
どな
)
り
付
(
つ
)
ける
権幕
(
けんまく
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
もういくら待つても
人通
(
ひとゞほ
)
りはない。
長吉
(
ちやうきち
)
は
詮方
(
せんかた
)
なく疲れた眼を
河
(
かは
)
の
方
(
はう
)
に移した。
河面
(
かはづら
)
は
先刻
(
さつき
)
よりも一体に
明
(
あかる
)
くなり
気味悪
(
きみわる
)
い雲の
峯
(
みね
)
は影もなく消えてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
渠
(
かれ
)
は炫いといって小間使に謝したけれども、今瞳を据えた、パナマの夏帽の陰なる一双の
眼
(
まなこ
)
は、極めて冷静なものである。小間使は
詮方
(
せんかた
)
なげに、向直って
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一つ一つ書いても
詮方
(
せんかた
)
はないが、いかにも高朗優雅なもので、これをただの骨董として葬り去るのは惜しい。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
と
震
(
ふる
)
えて
袴
(
はかま
)
の間へ手を入れ、松蔭大藏は
歯噛
(
はがみ
)
をなして居りましたが、最早
詮方
(
せんかた
)
がないと諦め、平伏して
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明日その客(すなわち相公)呉に謁す、呉飯を食わせ、その猴を求めしに諾せず、呉曰く、くれずばその首を切ろうと、客
詮方
(
せんかた
)
なく猴を与え、呉、白金十両を
酬
(
むく
)
う。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
虹汀さらば
詮方
(
せんかた
)
なしと、竹の杖を
左手
(
ゆんで
)
に取り、空拳を舞はして
真先
(
まっさき
)
かけし一人の
刃
(
やいば
)
を奪ひ、続いてかゝる白刃を払ひ落し、群がり落つる
毬棒
(
いがぼう
)
、
刺叉
(
さすまた
)
を
戞矢
(
かっし
)
/\と斬落して
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
詮
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“詮方”で始まる語句
詮方無