冬の山ふゆのやま
都大路に木枯が音ずれて、街路樹の梢が日に増しあらわになりまさる頃になると、濁りがちな空の色も流石に冴えて、武蔵野をめぐる山々の姿が、市中からも鮮に望まれる日が多くなる。雪の富士、紫の筑波は言うに及ばず、紫紺の肌美しき道志、御坂の連山の後から …