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芹
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せり
ふりがな文庫
“
芹
(
せり
)” の例文
あの田圃の畔を流れる川の水は綺麗だったなあ、
芹
(
せり
)
が——芹が川の中に青々と沈んでいやがった。
鮒
(
ふな
)
を捕ったり、
泥鰌
(
どじょう
)
を取ったり……
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「なるほど、二十一歳、身分はなし、年に千二百フラン、ポンメルシー男爵夫人が
八百屋
(
やおや
)
に二スーの
芹
(
せり
)
を買いに行こうってわけだな。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
芹
(
せり
)
の香に、良雪はふと膳へ顔を向ける。
杯
(
さかづき
)
を取って一
献
(
こん
)
という余裕を相手に見せたが、それを内蔵助の考えこんでいる顔の前へ出して
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塩に貯蔵した
筍
(
たけのこ
)
と
芹
(
せり
)
の葉を入れたとある。十一日はやはり仕事始めで、大畑の湊には船玉の祝があり、初町が立って塩と飴と針とを売った。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
真後
(
まうしろ
)
に
芹
(
せり
)
と
薺
(
なずな
)
とあり。薺は二寸ばかりも伸びてはや
蕾
(
つぼみ
)
のふふみたるもゆかし。右側に植ゑて
鈴菜
(
すずな
)
とあるは
丈
(
たけ
)
三寸ばかり小松菜のたぐひならん。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
そっとその女の傍へ寄って
芹
(
せり
)
や
薺
(
なずな
)
を懐へ押し入れさせ、此の者は懐姙ではござりませぬ、腹がふくれておりますのは、これ、御覧なさりませ
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大根の葉はいうまでもなく、
人蔘
(
にんじん
)
の葉から
尻尾
(
しっぽ
)
、ジャガ
薯
(
いも
)
の皮や、
芹
(
せり
)
、三つ葉の根、
蕗
(
ふき
)
の葉まで捨てることはなかった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
十二、三ばかりの、女の子が前かがみに何か線の細かな
菜
(
な
)
の
葉
(
は
)
をすすいでいる、
芹
(
せり
)
かときいてみるとかすかに顔を赤らめながら、
人参
(
にんじん
)
の葉だという。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
まだ北風の寒い頃、子を負った
跣足
(
はだし
)
の女の子が、
小目籠
(
めかい
)
と庖刀を持って、
芹
(
せり
)
、
嫁菜
(
よめな
)
、
薺
(
なずな
)
、
野蒜
(
のびる
)
、
蓬
(
よもぎ
)
、
蒲公英
(
たんぽぽ
)
なぞ摘みに来る。
紫雲英
(
れんげそう
)
が咲く。蛙が鳴く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
村端
(
むらはづれ
)
の溝に
芹
(
せり
)
の葉
一片
(
ひとつ
)
青
(
あを
)
んではゐないが、晴れた空はそことなく霞んで、
雪消
(
ゆきげ
)
の路の
泥濘
(
ぬかるみ
)
の処々乾きかゝつた上を、春めいた風が薄ら温かく吹いてゐた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さすがに
朝鮮古渡
(
ちょうせんこわた
)
りの名器、焼きのぐあいといい、上薬の流れあんばいといい、たとえば、
芹
(
せり
)
の根を洗う春の小川のせせらぎを聞くようだと申しましょうか。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「夜のいとまに摘める
芹
(
せり
)
これ」(同・四四五五)等の「に」と同系統のもので色調の稍ちがうものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
わが庭広からず然れども
屋後
(
おくご
)
なほ数歩の
菜圃
(
さいほ
)
を
余
(
あま
)
さしむ。
款冬
(
ふき
)
、
芹
(
せり
)
、
蓼
(
たで
)
、
葱
(
ねぎ
)
、
苺
(
いちご
)
、
薑荷
(
しょうが
)
、
独活
(
うど
)
、芋、百合、
紫蘇
(
しそ
)
、
山椒
(
さんしょ
)
、
枸杞
(
くこ
)
の
類
(
たぐい
)
時に従つて皆
厨房
(
ちゅうぼう
)
の
料
(
りょう
)
となすに足る。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
また時には
零余子
(
ぬかご
)
を拾ったり、
芹
(
せり
)
をつんだりする時もあるのである。そんな事にもあきた時には山麓まで行って田にある所の落穂を拾って穂組を造ったりするのである。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
僕はこのコペンハーゲンという都会も好きだけど、君の故郷のオーデンセという町も好きだね。君の生家の窓辺には、えぞ
葱
(
ねぎ
)
とオランダ
芹
(
せり
)
の植っている大きな箱が置いてあるよ。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
娘は小さな
籠
(
かご
)
を手にしていた。林の向うの小川から
芹
(
せり
)
を摘んで来た帰りなのだった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
○
水瓜
(
すいか
)
、
冬瓜
(
とうがん
)
、
芹
(
せり
)
、
独活
(
うど
)
の如きは利水性にて小水を促す。妊婦の初期には禁ずべし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
いよいよ酔漢の放言として、嘲笑されるくらいのところであろう。唐突に、雪溶けの小川が眼に浮ぶ。岸に、青々と
芹
(
せり
)
が。あああ、私には言いたい事があるのだ。山々あったのである。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
藪では
柑子
(
こうじ
)
が珠をつづった。沼の氷が日に日に解け、
芹
(
せり
)
がはっはっと芽を吹いた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さらに加役として支那
芹
(
せり
)
と菊の華をあしらい、ついで餅と狸の肉を入れるのだ。
たぬき汁
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
あの
阿闍梨
(
あじゃり
)
の所から、
雪解
(
ゆきげ
)
の水の中から摘んだといって、
芹
(
せり
)
や
蕨
(
わらび
)
を贈って来た。
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
川床
(
かわどこ
)
は岩や小石で、ところどころに深みをつくり、そこには柳や杉などが岸にしげり、また
浅瀬
(
あさせ
)
となり、そこにはこまかい砂で、
芹
(
せり
)
や
藻
(
も
)
などの水草がはえて、小さな魚がおよいでいました。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
こんなことを言って、
芹
(
せり
)
の香のする
粥
(
かゆ
)
なぞを勧めてくれるのもこの細君だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
御前
(
おまえ
)
川上、わしゃ川下で……」と
芹
(
せり
)
を洗う
門口
(
かどぐち
)
に、
眉
(
まゆ
)
をかくす
手拭
(
てぬぐい
)
の重きを脱げば、「
大文字
(
だいもんじ
)
」が見える。「
松虫
(
まつむし
)
」も「
鈴虫
(
すずむし
)
」も
幾代
(
いくよ
)
の春を
苔蒸
(
こけむ
)
して、
鶯
(
うぐいす
)
の鳴くべき
藪
(
やぶ
)
に、墓ばかりは残っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
原稿の丁数を分ける為頁の間に
芹
(
せり
)
の葉や田鴫の足が挟まっていた。
食魔に贈る
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
日輪寺は今の淺草公園の活動寫眞館の西で、昔は東南共に
街
(
まち
)
に面した角地面であつた。今は薪屋の横町の
衝當
(
つきあたり
)
になつてゐる。寺内の墓地は半ば水に浸されて
沮洳
(
しよじよ
)
の地となり、
藺
(
ゐ
)
を生じ
芹
(
せり
)
を生じてゐる。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これきりに
径
(
こみち
)
尽きたり
芹
(
せり
)
の中
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
葦茅
(
あしかび
)
萠えて
芹
(
せり
)
秀
(
ほ
)
きて
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
「オオ、もうそんなに青い菜が出ていますか、春だからなあ、
芹
(
せり
)
も採れていますね、すず菜も、母子草も、ああ、
摘
(
つ
)
み草ですね、おばあさん」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「飯も上出来だし魚の焼きかたもいいし、おまけに
芹
(
せり
)
のしたしたあ驚いた、こいつあたいした驚きだ、
兜
(
かぶと
)
をぬいだぜ」
泥棒と若殿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
花は兎に角、
吾儕
(
われら
)
の
附近
(
あたり
)
は自然の食物には極めて貧しい処である。
芹
(
せり
)
少々、
嫁菜
(
よめな
)
少々、
蒲公英
(
たんぽぽ
)
少々、
野蒜
(
のびる
)
少々、
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
が唯三つ四つ、
穫物
(
えもの
)
は此れっきりであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
中部以南の暖かい土地にも
芹
(
せり
)
とかヨメナ・タンポポというような栽培せぬ野菜は今も存外多く、またヒユナやアカザの類の、特別の場合だけに食用とするものも若干ある。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
朝鮮古渡りの
逸品
(
いっぴん
)
だけに、焼きのぐあいがしっとりとおちつき、
上薬
(
うわぐすり
)
の流れは、水ぬるむ春の小川……
芹
(
せり
)
の根を
洗
(
あら
)
うそのせせらぎが聞こえるようだと申しましょうか、それとも
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
田圃
(
たんぼ
)
としての面白味を充分に持ち、その間を流れる田川の如きも
芹
(
せり
)
やその他の水草が青々として
滾々
(
こんこん
)
と水の湧き口などが幾つも
臍
(
へそ
)
のような面白い窪みをもくもくと湧き上げたものだが
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さらに加役として支那
芹
(
せり
)
と菊の華をあしらひ、次いで餅と狸の肉を入れるのだ。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
余の郷里にては
饂飩
(
うどん
)
に
椎茸
(
しいたけ
)
、
芹
(
せり
)
、
胡蘿蔔
(
にんじん
)
、焼あなご、くずし(
蒲鉾
(
かまぼこ
)
)など入れたるをシツポクといふ。これも支那伝来の意であらう。
麺
(
めん
)
類は総て支那から来たものと見えて皆漢音を用ゐて居る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そこここに咲きこぼれたる
芹
(
せり
)
の花
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
古寺
(
ふるでら
)
やほうろく捨てる
芹
(
せり
)
の中
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
うれひの
芹
(
せり
)
の根を絶えて
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その流れの水に屈み込んで、
目笊
(
めざる
)
に
摘
(
つ
)
み入れていた
芹
(
せり
)
の根を洗っていたお人好しの率八が、木履の
裾
(
すそ
)
を見上げて声をかける。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その日も鹿と
猪
(
いのしし
)
と山鳥に、しぎのつくね煮という献立てで、
芹
(
せり
)
と
胡桃
(
くるみ
)
の叩いたのを詰めた山鳥の
焙
(
あぶ
)
り焼きはうまかったが、鹿と猪には安宅も手が出なかった。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
古寺
(
ふるでら
)
やほうろく
捨
(
すて
)
る
芹
(
せり
)
の中
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
泥の手が、その
柄
(
え
)
をつかんで、ずぼっと田から抜けて跳び上がった。足の甲には、田の泥をすくっているし、
羅紗股引
(
らしゃももひき
)
や背中には、腐った稲や
芹
(
せり
)
が取ッついていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汁椀の中には、
芹
(
せり
)
の鮮やかなみどりを添えて、脂ののった、軟らかい鴨の肉が三片。
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『さっき、わしが台所へ渡しておいた
芹
(
せり
)
のう。あれ、したし物か、
胡麻
(
ごま
)
あえにして下さらんか』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……見ればお年寄が、せっかく
摘
(
つ
)
まれた若菜や
芹
(
せり
)
などの
種々
(
くさぐさ
)
が後に散っているではないか。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
、西出丸の空地まで出て、懸命に摘みあつめて来たのです。——
芹
(
せり
)
・
嫁菜
(
よめな
)
・
野
(
の
)
みつばなどを
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
芹
(
せり
)
を
摘
(
つ
)
んでいるのじゃがよ、この辺りには
蓼
(
たで
)
ばかりじゃい』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“芹”の意味
《名詞》
(せり)セリ科の多年草。春の七草の一つ。
(出典:Wiktionary)
“芹(セリ)”の解説
セリ(芹、学名: Oenanthe javanica)は、セリ科セリ属の多年草である。日本原産で、春の七草の一つ。水田の畔道や湿地などに生え、野菜として栽培もされている。独特の強い香りと歯触りに特徴がある。
(出典:Wikipedia)
芹
漢検準1級
部首:⾋
7画
“芹”を含む語句
水芹
芹沢
芹川
芹生
芹摘
野芹
蹈石撮香芹
根芹
田芹
芹沢鴨
踏石撮香芹
野芹川
防風芹
芹葉塩釜
芹菜堡子
阿蘭陀芹
芹菜
鬼芹
芹粥
芹田
...