“籠手:こて” の例文
“籠手:こて”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治16
中里介山6
国枝史郎4
岡本綺堂4
押川春浪2
“籠手:こて”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本3.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.0%
文学 > 日本文学 > 戯曲1.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
良人のそれは革の籠手こてだし、彼女のも百姓女房のように荒れている手ではあったが、あたたかな手頸の脈と脈が結んでいた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、勝助は籠手こてに流るる鮮血を見ながら、肩に立ったその矢を、わが手で引き抜いた。そして矢の来た方をきっと振向いた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
那須の篠原に狩り暮らしている三浦、上総の籠手こての上にも、こうした霰がたばしっているかと千枝太郎は遠く思いやった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人数も、わずかに数人で、籠手こて臑当すねあてして、手槍を持ち、小銃を持っているものは、わずかに数人で、大砲は一門もなかった。
鳥羽伏見の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
学生達は袖の長い籠手こてをはめていたが、それでも戦が終った時、手首に擦過傷や血の出るような掻き傷を負った者がすくなくなかった。
ごッた返している中に、武者ぶるいをわめいている若者ばらの多い武者溜りへ、籠手こて革紐かわひもを結び結び姿を見せた一部将は、
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日露戦争の余炎がまださめぬ頃で、めん籠手こてかついで朝稽古から帰って来る村の若者が「冷たいでしょう」と挨拶することもあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
(月かくれて暗し。籠手こて臑當すねあて、腹卷したる軍兵つはもの二人、上下よりうかゞひ出でゝ、芒むらに潜む。蟲の聲俄にやむ。)
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
(月かくれて暗し。籠手こて臑当すねあて、腹巻したる軍兵つわもの二人、上下よりうかがい出でて、芒むらに潜む。虫の声にわかにやむ。)
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
籠手こてかざしてわが軍艦ぐんかん」の甲板かんぱんながめてる。
三、四人、いちどに丹波の前後から組みついて、脾腹ひばら、首すじ、籠手こて深股ふかもも、滅茶滅茶に突いたり、斬ったりしてしまった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一応、籠手こてをつけ終った後に、脅曳わきあい、胴を着けて、表帯うわおびを結び、肩罩そでをつけ、
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、主なる味方の戦死者を思い出すだけでも、無念がこみあげ、涙が声をかすめて、将士はみな籠手こてひじを曲げて、顔をおおってしまった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼を始め十人は、籠手こてを枕に大地へ寝た。茂助は、もう水のないふくべを、手拭で巻いて、藤吉郎の枕にと、そっと主人の頭の下へ当てがった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「夜歩く」には最も奇怪なる憑依ひょうい、狼き(ウワーウルフ)が、「弓弦ゆんずる荘殺人事件」は古代よろい籠手こての神秘飛行が
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「先の勝ちで籠手こてを取られた、いかにも凄い太刀先に見えた、もう一度あの人と立合をしてみたい」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
紺地無紋こんじむもん陣羽織じんばおりをつけ、ひだりの籠手こて采配さいはいをもち、銀作しろがねづくりの太刀をうしろへ長くそらしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
籠手こてかざしてはるかなる海上かいじやう觀望くわんぼうせられんことを。
めん籠手こての声が止むと間もなく、道場の電燈がフッと消えて人声一つしなくなった。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その中で、寝起きの武者たちは、籠手こてひもをむすんだり、草鞋わらじの緒をかためたり、弓や鉄砲を調べたり——物々しいざわめきを描いていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
籠手こて脛当すねあて、胴、腹巻などの物具はいうもおろか、金創薬きんそうやく燧打ひうち、弾薬入れ、すべて身にまとうばかりに揃えてあるのだった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにもかくにも二本まで腹へさわられて大兵の男はいらだって、めん籠手こて、腹のきらいなく盛んな気合で畳みかけ畳みかけ、透間すきまもなく攻め立てる。
それから、ややしばらく、さむらいものの籠手こてになにかチラと気勢がうごく。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
籠手こてをかざして眺むれば、キャンヌの町を囲むレステレエルの山の斜面の裾から頭頂いただきまで、無数に散在する粋で高尚な荘館シャトオ別荘ヴィラ——その間では
腰かけたまま、籠手こて脛当すねあての紐など、左右から小姓に結ばせながら、
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その中のはすねへばかり、脛当をあてた者があり、又腕へばかり鉄と鎖の、籠手こてを嵌めたものがあり、そうかと思うと腰へばかり、草摺くさずりを纏った者があった。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
面頬めんぼおどう籠手こてもしばしば見とれるほどの技を示します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
順昭が、思わず眼をみはると、籠手こての傷口を縛りながら、繩付のうしろに付いて控えていた朝山氏堯あさやまうじたかという赭顔しゃがんの勇将が、頭を下げて答え直した。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その腹心たちは、すでに武装していた。もとより土豪の一族なので、本鎧ほんよろいではないが、籠手こて脛当すねあてをつけ、差料さしりょうも大振りな陣刀に代えていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小手指ヶ原、分倍河原と、新田勢の南進を刻々耳にしはじめてからは、さすが戦嫌いくさぎらいな彼も、かたい腹巻と、籠手こて脛当すねあては、寝るまもいでいなかった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卜斎は陣羽織をすててつぎに、手ばやく籠手こて具足ぐそくをとり、脛当すねあてくさり脚絆きゃはんにかえて、旅の鏃師らしいすがたにかわった。そして蛾次郎に、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石川の、面上に横たえた木剣が籠手こてさがりになり、すっと腰がおちた。
続いて出でける男は、『しれ者かな』とて馬の口に取り附く処を、同じ様に斬り給えば、籠手こておおいより打ちて、打ち落されて退きにけり。その後、近附く者もなければ、云々。
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「これは恐縮に存じます。……いや私の伎倆など、まだまだやくざでござりまして、まさしく小父様に右の籠手こてを、一本取られましてござります。……将来気をつけるでござりましょう」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
旗本たちも、口をつぐみ合っていた。脚の傷や、籠手こての傷を、縛り直している者もある。この人々の眉色から察するに、前線での戦いは、明らかに、味方の大敗であったに違いなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに維新前はおめん籠手こてまことの道場であった。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そうして屈強な若者ばかりが、手に手に弓矢をひっ掴み、籠手こて脛当すねあてで身をよろい、往来を縦横に駆け廻わりながら、顔を空の方へ振り向け振り向け、こう口々に叫んでいる。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さらにある者は籠手こてだけめて、甲も鎧も着けていない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、於松は、籠手こてを曲げて、まぶたぬぐいながら、
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう言われて、駒井甚三郎は、何か自分の弱味に籠手こてを当てられたように感じました。この立論が偏窟であるないにかかわらず、ただ何かしら、自分の弱点を突かれでもしたように感じました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
相手が動きに移ろうとし、または移りかけた時に、当方からほどこすわざで、先方の出頭でがしらを撃つ出会面であいめん出小手でこておさ籠手こてはら籠手こて
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
友達殿はあくまで真面目くさって、それからが極意ごくいなのだ、そうして立合っているうちに、先方が必ず打ち込んで来る。めんとか、籠手こてとか、どうとかいって、打ち込んで来る。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
馬簾の下にも、いまは十人ほどしか残っていない。爛々らんらんたるお互いの眼は、相見て、相見えぬ眼ざしだった。籠手こて、乱髪、膝がしら、満足な五肢を持つ者はひとりもない。——と、そのとき、
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半次郎は自分の部屋へ案内しました。申分の無い普請で、部屋の外、納戸なんどになつて居る板敷の長四疊には、めん籠手こて塗胴ぬりどうや、竹刀しなひなどが、物々しくも掛けてあるのです。
ふたりも勿論、すねから籠手こてまで身をよろっていた。近来の具足は年々敏捷びんしょうを貴んで軽略になって来たとはいっても、厚い革胴かわどうの下には汗が流れるようだったにちがいない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自斎は咄嗟の間に固く信じた。同時に、グイと伸びかかった籠手こての気構え。もう勝敗の数は誰の眼にも歴然、新九郎の脳骨が微塵となるか、五体を砕くか、木剣を投げて降伏するか、その一つより他にはない。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弓はしっかりと握り、弓籠手こてをつける。
籠手こて脛当すねあても、すべての者が附けていた。上着はいずれも定紋附の小袖、その両袖に晒布さらしを縫いつけていた。——味方同士の合印である。それへ、各自が姓名や生国年齢などを書きつけていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし余は一時間とたたぬうちにうつらうつらとなれり、眠れる間は時刻のたつを知らず、いつの間にか真夜半まよなかとなりしならん、余は夢に恐ろしく高き塔に昇り、籠手こてをかざしてあまねく世界を眺めいるうち
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
籠手こてやら脛当すねあてやらが、
「近代の具足では、この決拾というやつはあんまり使わないらしい。馬上に弓の場合だな。これも左が先、右が後……すべて甲冑の着用には左を先にすることが定法じょうほうになっているのだ。さあ、この次は籠手こてだ」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし鎧を持って行かないでは困るので、鎧の袖や草摺をばら/\に外して、籠手こて脛当すねあても別々にして、ほかの荷物のなかへ何うにか欺うにか押込んで、先ず表向きは何の不思議も無しに江戸を立つことになりました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
幾度か、張飛の蛇矛は、呂布の紫金冠や連環れんかんよろいをかすめ、呂布の方天戟は、しばしば、張飛の眉前や籠手こてをかすって、今にもいずれかが危うく見えながら、しかも両雄は互いにいつまでもわめき合い叫び合い
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お籠手こて一本!」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一時間近くも話し込んで、いざ出立しようと腰を上げた途端に、御免というて上手から入って来たのは年のころ、四十五、六、白布を鉢巻とし、身長六尺に近い大入道で、鼠色の行衣に籠手こて臑当すねあてと見まごう手甲てっこうに脚袢
木曽駒と甲斐駒 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
籠手こて!」
昼でも薄暗い蔵の中で、それをじっと見ていますと、今にも籠手こて脛当すねあてが動き出して、丁度頭の上に懸けてある、大身おおみやりを取るかとも思われ、いきなりキャッと叫んで、逃げ出したい気持さえいたすのでございます。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
三多摩は昔から人の気の荒い処で、政党騒ぎではよく血の雨を降らし、気の立った日露戦争時代は、農家の子弟が面籠手こてかついで調布まで一里半撃剣の朝稽古に通ったり柔道を習ったりしたものだが、六年前に一度粕谷八幡山対烏山の間に大喧嘩おおげんかがあって
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
惣太は面を出して見ると、都合十一人、筒袖つつそで野袴のばかまをつけたのや、籠手こて脛当すねあてに小袴や、旅人風に糸楯いとだてを負ったのや、百姓の蓑笠みのかさをつけたのや、手創てきずを布でいたのや、いずれもはげしい戦いとうえとにやつれた物凄ものすごい一団の人でしたから、
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かくて生れつき心たけくそのうえに飲みたる酒の効き目にていっそう力も強きエセルレッドは、まことかたくなにしてよこしまなる隠者との談判を待ちかね、おりから肩に雨の降りかかるを覚えて、嵐の来らんことを恐れ、たちまちその鎚矛つちぼこ(22)を振り上げていくたびか打ち叩き、間もなく扉の板張りに、籠手こてはめたる手の入るほどの穴をぞ穿うがちける。