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神代
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かみよ
ふりがな文庫
“
神代
(
かみよ
)” の例文
世の
譬
(
たとえ
)
にも
天生
(
あもう
)
峠は
蒼空
(
あおぞら
)
に雨が降るという、人の話にも
神代
(
かみよ
)
から
杣
(
そま
)
が手を入れぬ森があると聞いたのに、今までは余り樹がなさ過ぎた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何でもよほど古い事で、
神代
(
かみよ
)
に近い昔と思われるが、自分が
軍
(
いくさ
)
をして運悪く
敗北
(
まけ
)
たために、
生擒
(
いけどり
)
になって、敵の大将の前に引き
据
(
す
)
えられた。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『じゃ君は彼等のように、明治の世の中を
神代
(
かみよ
)
の昔に返そうと云う子供じみた夢のために、二つとない命を捨てても惜しくないと思うのか。』
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やはり飛騨の国の
白川郷
(
しらかわごう
)
というところがあるそうです、そこは全くこの世界とは交通の絶えたところで、人情も、風俗も、
神代
(
かみよ
)
のままだとか聞きました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
元日
(
ぐわんじつ
)
や
神代
(
かみよ
)
のことも思はるゝ」と
守武
(
もりたけ
)
の
発句
(
ほつく
)
を見まして、
演題
(
えんだい
)
を、七
福神
(
ふくじん
)
詣
(
まゐ
)
りとつけましたので
御座
(
ござ
)
ります。
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
むかし
神代
(
かみよ
)
のころに、
大国主命
(
おおくにぬしのみこと
)
の
幸魂
(
さきみたま
)
、
奇魂
(
くしみたま
)
の
神
(
かみ
)
さまとして、この
国
(
くに
)
へ
渡
(
わた
)
っておいでになった
大物主命
(
おおものぬしのみこと
)
は、
後
(
のち
)
に
大和国
(
やまとのくに
)
の
三輪
(
みわ
)
の山におまつられになりました。
三輪の麻糸
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
かういふと、
不思議
(
ふしぎ
)
に
思
(
おも
)
ふ
方
(
かた
)
があるかも
知
(
し
)
れません。あなた
方
(
がた
)
の
御覽
(
ごらん
)
の
書物
(
しよもつ
)
には、たいてい
短歌
(
たんか
)
の
起
(
おこ
)
りを、
神代
(
かみよ
)
のすさのをの
尊
(
みこと
)
のお
作
(
さく
)
からとしてゐるでせう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
“始めに言葉あり”だが、個人にとっては、記憶の最初が、自分の歴史の
肇
(
はじ
)
めと考えるほかはない。記憶以前は、すべて個人の太古で、いわば赤ン坊の
神代
(
かみよ
)
である。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「才兵衛さんや、」わが子にさんを附けて
猫撫声
(
ねこなでごえ
)
で呼び、「人は
神代
(
かみよ
)
から着物を着ていたのですよ。」
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
神器だの、神勅だのは「
神代
(
かみよ
)
」の否認とともに、まったく無意義のものとなるのである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
神代
(
かみよ
)
のような静寂が天地を占めるなかに、黒いとろりとした水が何
哩
(
マイル
)
もつづいて、島か陸地か
判然
(
はっきり
)
しない岸に、すくすくと立ち並ぶ杉の巨木、もう
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の文明は遠く南に去って
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
佐藤
方定
(
ほうじやう
)
は日本の
神代
(
かみよ
)
に存した八薬の最初に
仁古太
(
にこた
)
(人参)を挙げて居る。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
「
聚落
(
じゅらく
)
の
安芸
(
あき
)
の
毛利
(
もうり
)
殿の
亭
(
ちん
)
にて連歌の折、庭の紅梅につけて、梅の花
神代
(
かみよ
)
もきかぬ色香かな、と紹巴法橋がいたされたのを人〻褒め申す」と答えたのにつけて、神代もきかぬとの
業平
(
なりひら
)
の歌は
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
命のそのお
恨
(
うら
)
みをおやさしくおなだめになったうえ、もと
神代
(
かみよ
)
のときに、
須佐之男命
(
すさのおのみこと
)
が
大
(
だい
)
じゃの尾の中からお拾いになった、あの
貴
(
とうと
)
いお
宝物
(
たからもの
)
の
御剣
(
みつるぎ
)
と、ほかに
袋
(
ふくろ
)
を一つお授けになり、まん一
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
かの
神代
(
かみよ
)
の
三神
(
さんしん
)
、
瓊瓊杵尊
(
にゝぎのみこと
)
、
彦火火出見尊
(
ひこほほでみのみこと
)
それから
鸕鷀草茅葺不合尊
(
うがやふきあへずのみこと
)
の
御陵
(
ごりよう
)
は、
今日
(
こんにち
)
九州
(
きゆうしゆう
)
の
南
(
みなみ
)
の
日向
(
ひうが
)
、
大隅
(
おほすみ
)
、
薩摩
(
さつま
)
の
方
(
ほう
)
に
定
(
さだ
)
められてありますが、それは
神代
(
しんだい
)
の
御陵
(
ごりよう
)
でありますから
今
(
いま
)
は
申
(
まを
)
しません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「暖国には樹上の家、寒国には土中の室、
神代
(
かみよ
)
には皆それであった」
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
陸中
小山田
(
こやまだ
)
村のはたやという社の周囲にも、大きな石の柱の短く折れたようなものが、無数に転がっておりましたが、これも大昔の
神代
(
かみよ
)
に石が成長して、一夜の中に天を突き抜こうとしていたのを
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
足引
(
あしびき
)
の山中
治左
(
じさ
)
が
佩
(
は
)
ける
太刀
(
たち
)
神代
(
かみよ
)
もきかずあはれ長太刀
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ちはやふる
神代
(
かみよ
)
も
聞
(
き
)
かず
淀川
(
よどがは
)
に
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此
(
こ
)
の
恐
(
おそろし
)
い
山蛭
(
やまびる
)
は
神代
(
かみよ
)
の
古
(
いにしへ
)
から
此処
(
こゝ
)
に
屯
(
たむろ
)
をして
居
(
ゐ
)
て
人
(
ひと
)
の
来
(
く
)
るのを
待
(
ま
)
ちつけて、
永
(
なが
)
い
久
(
ひさ
)
しい
間
(
あひだ
)
に
何
(
ど
)
の
位
(
くらゐ
)
何斛
(
なんごく
)
かの
血
(
ち
)
を
吸
(
す
)
ふと
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
己
(
おれ
)
はずっと昔から山奥の
洞穴
(
ほらあな
)
で、
神代
(
かみよ
)
の夢ばかり見ていたが、お前が木を
伐
(
き
)
りに来始めてからは、その笛の音に誘われて、毎日面白い思をしていた。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
始めより着るべき服も、振るべき袖も、あるものと知らざる
神代
(
かみよ
)
の姿を雲のなかに呼び起したるがごとく自然である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よいはさつさ——
天
(
あめ
)
の岩戸も押開く、神の社に松すゑて、すは三尺の
剣
(
つるぎ
)
をぬいて、
神代
(
かみよ
)
すすめて
獅子
(
しし
)
をどり……
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
明治天皇の政府は、また
神代
(
かみよ
)
をあがめる政策をとった。「神勅」と称せられるものを尊び、人民に迷信をそそぎこんだ。この方策は後年、どれほど日本民族にわざわいしたか分からない。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
石を外科的手術に即ち
鍼
(
はり
)
として応用することは、日本の
神代
(
かみよ
)
から既に行はれて居たものらしく、支那へはこの術が日本から伝はつて行つたものであるとさへ一部の人々によりて考へられて居る。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
だからこの
歌
(
うた
)
は、
遙
(
はる
)
かに
後世
(
こうせい
)
、
短歌
(
たんか
)
が
盛
(
さか
)
んになつて
後
(
のち
)
、
行
(
おこな
)
はれ
出
(
だ
)
して、その
作
(
つく
)
つた
人
(
ひと
)
もわからなくなり、また、
非常
(
ひじよう
)
に
重々
(
おも/\
)
しい
力
(
ちから
)
のあるものと
信
(
しん
)
じられた
時代
(
じだい
)
に、こんな
歌
(
うた
)
だから
神代
(
かみよ
)
の
神樣
(
かみさま
)
で
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「
神代
(
かみよ
)
の家は、こんな物でもあったろうか」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この恐しい
山蛭
(
やまびる
)
は
神代
(
かみよ
)
の
古
(
いにしえ
)
からここに
屯
(
たむろ
)
をしていて、人の来るのを待ちつけて、永い久しい間にどのくらい
何斛
(
なんごく
)
かの血を吸うと、そこでこの虫の
望
(
のぞみ
)
が
叶
(
かな
)
う
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何でも天地
開闢
(
かいびゃく
)
の
頃
(
ころ
)
おい、
伊弉諾
(
いざなぎ
)
の
尊
(
みこと
)
は
黄最津平阪
(
よもつひらさか
)
に
八
(
やっ
)
つの
雷
(
いかずち
)
を
却
(
しりぞ
)
けるため、桃の
実
(
み
)
を
礫
(
つぶて
)
に打ったという、——その
神代
(
かみよ
)
の桃の実はこの木の枝になっていたのである。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは
神代
(
かみよ
)
のことで何とも保証はできないが、近くこれこれのところで、猫の生皮を剥いでそれが歩き出した、犬を剥いて試してみたところが、それも見事に歩いたということを
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
着
(
き
)
る
物
(
もの
)
の
縫
(
ぬ
)
ひめ/\に、
子
(
こ
)
をひりて、
虱
(
しらみ
)
の
神代
(
かみよ
)
はじまりにけり
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
神代
(
かみよ
)
から昼も薄暗い中を、ちらちらと流れまする五十鈴川を
真中
(
まんなか
)
に、神路山が
裹
(
つつ
)
みまして、いつも
静
(
しずか
)
に、神風がここから吹きます、ここに
白木造
(
しろきづくり
)
の尊いお宮がござりまする。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
シエクスピイアは
羅馬
(
ロオマ
)
の都に時計を置いて顧みなかつた。近松も時代を無視してゐることはシエクスピイア以上である。のみならず
神代
(
かみよ
)
の世界さへ
悉
(
ことごと
)
く元禄時代の世界にした。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
使 (やはり
無頓着
(
むとんじゃく
)
に)第三に、——これが一番恐ろしいのですが、第三に世の中は
神代
(
かみよ
)
以来、すっかり女に
欺
(
だま
)
されている。女と云えばか弱いもの、優しいものと思いこんでいる。
二人小町
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と前の
床几
(
しょうぎ
)
に並べたのを、さらりと
撒
(
ま
)
くと、
颯
(
さっ
)
と音して、揃いも揃って
雉子鳩
(
きじばと
)
が、
神代
(
かみよ
)
に島の
湧
(
わ
)
いたように、むらむらと寄せて来るので、また一盆、もう一盆、夫人は立上って更に一盆。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
神
常用漢字
小3
部首:⽰
9画
代
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
“神代”で始まる語句
神代杉
神代川
神代以來
神代以来
神代文字
神代帚葉翁
神代人
神代原
神代巻
神代桜