“眷属:けんぞく” の例文
“眷属:けんぞく”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治11
泉鏡花9
芥川竜之介7
幸田露伴5
国枝史郎3
“眷属:けんぞく”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 伝説・民話[昔話]13.8%
歴史 > 伝記 > 個人伝記1.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それが征夷大将軍大納言尊氏であり、それに付きしたがっている眷属けんぞくたちはまた決して彼の独自な生きようはゆるさない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山の祖神としては、この分身によって自分にも豊かさという性格を附け加え得られ、眷属けんぞくの繁栄を眼に見ることである。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
同時にこれによって家のとうとさ、血の清さを証明しえたのみならず、さらにまた眷属けんぞく郷党きょうとうの信仰を
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
東京から、その家の持ち主の妻や子供達や、従兄従妹などという活発な眷属けんぞくがなだれ込んで来て部屋部屋を満した。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「こんどこそは『鉄の水母』も、それから、その眷属けんぞくだという怪しい生物も、いっしょにやっつけてしまいます」
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「女子どもに気をつけろ! 早く早く家の中へ隠せ! 来たぞ来たぞ血吸鬼どもが! 真鍮の城の眷属けんぞくどもが!」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「——もし過ちがあったら私はいうに及ばず、一門眷属けんぞく、軍罰に処さるるも、決しておうらみ仕りません」と、きおいきって誓った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
李陵の身体は都にはないが、その罪の決定によって、彼の妻子眷属けんぞく家財などの処分が行なわれるのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
高時をつつむ、一門眷属けんぞく甲冑かっちゅうから、常葉ときわノ局やおさいの局や、また春渓尼の姿もそのなかに交じって見える。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妻子さいし眷属けんぞく国許くにもとのこし置きたる人々さえ、様々の口実を設けては賤妓せんぎもてあそぶをはじとせず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
むかしはヨブ凡ての所有を失ひ、凡ての親縁眷属けんぞくを失ひ、凡ての権威地位を失ひ、加ふるに身は悪瘡の苦痛に堪えがたく、身命旦夕に迫れり。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「われら弓取りは、必然、代々の名和ノ庄から妻子眷属けんぞくまでを、これの武運に賭けているのです。負けろといわれても負けられはいたしません」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「返事をしないか。——しないな。好し。しなければ、しないで勝手にしろ。その代りおれの眷属けんぞくたちが、その方をずたずたに斬つてしまふぞ。」
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「返事をしないか。——しないな。好し。しなければ、しないで勝手にしろ。その代りおれの眷属けんぞくたちが、その方をずたずたにってしまうぞ」
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つねに良人の居所さえも知れないうえ、幼な子三人を抱え、わずかな家臣らと共に、これへ身を寄せていた久子以下の、亡命の眷属けんぞくたちであったのだ。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「南無、大忿怒明王、法満天破法、十万の眷属けんぞく、八万の悪童子、今度の呪法に加護候え」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
旋風の起るのも、目に見えぬ眷属けんぞくが擁護して前駆ぜんくするからの意味である。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
聖アントニウスを誘惑した、如何なる地獄の眷属けんぞくよりも一層不快なる怪物である。
大久保湖州 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
普通の人から見れば、彼は野蛮である、兇暴である、殆ど𤢖わろ眷属けんぞくである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
翁は眷属けんぞくの繁栄のため、そのおもい子を遥なるまだ見ぬ山の麓へおもい捨てた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
蛙の唄をききながら、その化けた不良性らしいの女等を眷属けんぞくにして。……
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いわれも聞きたし、あらためて花の礼も言いたいが、——何だか、お前さんは、魔神の眷属けんぞく……と言って悪ければ、娘か、腰元、ででもあるような気がする。」
となりたつとなるまでもちっとも止まず励ましたつれば、数万すまん眷属けんぞく勇みをなし、水を渡るは波を蹴かえし、おかを走るはすなを蹴かえし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
むか阿修羅あしゅら帝釈天たいしゃくてんと戦って敗れたときは、八万四千の眷属けんぞくを領して藕糸孔中ぐうしこうちゅうってかくれたとある。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中には彼の主筋の名や北条氏眷属けんぞくのゆゆしい人々の名も見えたからだった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは久子に付いている爺や南江正忠なども同様に、多少な疑いを覚えていたが、やがてそれから数日後、楠木正季の一隊が、彼女たち眷属けんぞくを、これへ迎えに来た日となって、
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが遂にアブばかりでなかった、石楠花の甘ずっぱい香気は私を包み、アブを包み、森に漂って、樹々の心髄までしみ透るかのように、私までがアブの眷属けんぞくになったかのように。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
ある時は数十人の眷属けんぞくと共に、強盗おしこみ放火ひつけ殺人ひとごろしの兇行を演じて来た、武士あがりのこの大盗が、破牢して逃げたということだけでも、沼田藩は
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
われら附添って眷属けんぞくども一同守護をいたすに、元来、人足ひとあしの絶えた空屋を求めて便たよった処を、唯今ただいま眠りおる少年の、身にも命にも替うるねがいあって
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
禁断の智慧ちえ果実このみひとしく、今も神の試みで、棄てて手に取らぬ者は神のとなるし、取って繋ぐものは悪魔の眷属けんぞくとなり、畜生の浅猿あさましさとなる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
久米島のオトヂキョ・ワカヂキョは、単に日の神の御子の一人とあるのみだが、その眷属けんぞくという小さな害獣は、数が増し害悪が眼にあまると、誓約を立ててニルヤの沖に送り返される。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは一帖の屏風の片隅へ、小さく十王を始め眷属けんぞくたちの姿を描いて、あとは一面に紅蓮ぐれん大紅蓮だいぐれんの猛火が剣山刀樹もたゞれるかと思ふ程渦を巻いて居りました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
勿論これだけの自覚があつたにしても、一家眷属けんぞくの口が乾上るおそれがある以上、予は怪しげな語学の資本を運転させて、どこまでも教育家らしい店構へを張りつづける覚悟でゐた。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
俳優にとって、最も演じにくい場所は、故郷の劇場であって、しかも六親眷属けんぞく全部そろって坐っている一部屋の中に在っては、いかな名優も演技どころでは無くなるのではないでしょうか。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
人皆その眷属けんぞくごとくないがしろに呼ばれながら、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
次第に眷属けんぞくが集まって来て、荘厳を極めた天狗の宮は、獣の糞や足跡で見る蔭もなく汚されてしまい、窩人達の家々にはたぬきむじなが群をなして住み子を産んだり育てたりした。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ところが眷属けんぞく大人数です。第一亭主がありましょう。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おおぜいの一眷属けんぞくにかこまれて、おくへ入った高氏のおもてには、かつての“ぶらり駒”の人ともみえぬ悽愴せいそうな色があった。じきに夏ではあるが汗さえひたいに光っていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また眷属けんぞく怪我けがに打たれまいものではない。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勿論これだけの自覚があったにしても、一家眷属けんぞくの口が乾上ひあがる惧がある以上、予は怪しげな語学の資本を運転させて、どこまでも教育家らしい店構みせがまえを張りつづける覚悟でいた。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
眷属けんぞくばらばらと左右に居流る。一同ものを持てり。扮装いでたちおもいおもい、よろいつけたるもあり、髑髏どくろかしらに頂くもあり、百鬼夜行のていなるべし。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まぎれもない彼は北条眷属けんぞくの一人であった。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魑魅ちみとか妖怪変化とかの跳躍するのはけだしこう云う闇であろうが、その中に深いとばりを垂れ、屏風や襖を幾重にも囲って住んでいた女と云うのも、やはりその魑魅の眷属けんぞくではなかったか。
陰翳礼讃 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
京都では、暮の二十九日、なんとなく殺伐さつばつな気のせない中にも、一どうの平和らしさが流れていた。尊氏の母堂やら妻子眷属けんぞくが、丹波から迎えとられて、都入りしていたのであった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八幡神社の眷属けんぞくのようにもいえば、また昔この大神に治伐せられた兇賊のごとくにも伝えて一定せぬが、一方には山作りや足跡の話もあれば、他の一方には祭の時に、人形に作ってきあるいている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「ほらね、あれは、あたしの眷属けんぞく……」
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
どもは天の眷属けんぞくでございます。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
因って迎え申したから時至れば一矢射たまえと乞う、うべないて楼に上って待つと敵の大蛇あまたの眷属けんぞくを率いて出で来るを向うざま鏑矢かぶらやにて口中に射入れ舌根を射切って喉下に射出す
眷属けんぞくが待ち受けていた。度々通った、
「朝鮮へ国替くにかへ仰せ付けられたく、一類眷属けんぞくこと/″\く引率して彼地へ渡り、直ちに大明だいみんに取って掛り、事果てぬ限りは帰国つかまつるまじき旨の目安めやす」を作り置かれしが
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女院、ご眷属けんぞくすべてである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「俺は眷属けんぞくを捕まえて来る」
食物の事を大切と思わないものは我が身体からだを大切に思わないのです。我が身体さえ大切に思わない人はどうして妻子眷属けんぞくの身体までを大切に思いましょう。そういう人の家へは決して幸福という事が参りません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
彼は襄陽じょうようを立つときから、主君の眷属けんぞく二十余人とその従者や——わけてもかん夫人だの、夫人だの、また幼主阿斗あとなどの守護をいいつけられていたので、その責任の重大を深く感じていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うらない独楽から角力すもう独楽や不性ぶしょう独楽にいたるまで独楽の眷属けんぞくをかぞえ立てれば数とかぎりはございませんが、ここに当座の花形粂吉がつかいまする独楽といッぱ、東都名題の名人づくり金造きんぞう独楽
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われらの尊む夜叉羅刹やしゃらせつの呪いじゃ。五万年の昔、阿修羅あしゅらは天帝と闘うて、すでに勝利を得べきであったが、帝釈たいしゃく矢軍やいくさに射すくめられて、阿修羅の眷属けんぞくはことごとく亡び尽した。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
君の父母眷属けんぞくみたす、終身用いて尽きじと言い眼を閉じしめて神変もて本国に送り届けた、宅では商人の行伴つれ来りてこの家の子は竜宮へ往ってしもうたとしらせたので、眷属宗親一処にあつまり悲しみ
魔の眷属けんぞく
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつかおれはあの男が、海へ卒塔婆を流す時に、帰命頂礼きみょうちょうらい熊野三所くまのさんしょ権現ごんげん、分けては日吉山王ひよしさんおう王子おうじ眷属けんぞく、総じてはかみ梵天帝釈ぼんてんたいしゃく
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「俺はあらゆる人間を呪う。俺は浮世を呪ってやる!」こう叫んだ宗介が八ヶ嶽へ走って眷属けんぞくを集めあらゆる悪行を働いた後、活きながら魔界の天狗となりその眷属は窩人かじんと称し、人界の者と交わらず一部落を造ったということは
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
眷属けんぞく
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
内に妻子眷属けんぞく下女等までまた四、五人、合わせて八、九人の家にては精米一年に十四石四斗ばかり、この価十五両、味噌一両二分ばかり、こんず二両一分ばかり、油三両ばかり、薪四両二分ばかり、炭三両二分ばかり、大根漬一両三分ばかり
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
従類じうるゐ眷属けんぞくりたかつて、げつろしつさいなむ、しもと呵責かしやく魔界まかい清涼剤きつけぢや、しづか差置さしおけば人間にんげん気病きやみぬとな……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それが、私ののぞきました時は、流れ風に散る神泉苑の桜の葉を頭から浴びて、全く人間と云うよりも、あの智羅永寿ちらえいじゅ眷属けんぞくが、とびの翼を法衣ころもの下に隠しているのではないかと思うほど、怪しい姿に見うけられました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さて死すれば妻子、眷属けんぞく、朋友、家財、万事をもふりすて、れたるこの世を永く別れ去りて、ふたたびかえり来ることあたわず。かならずかのきたな予美よみの国にくことなれば、世の中に死ぬるほどかなしきことはなきものなり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
神とも戦へぶつをも擲け、道理をやぶつて壊りすてなば天下は我等がものなるぞと、叱咜する度土石を飛ばして丑の刻より寅の刻、卯となり辰となるまでもちつとも止まず励ましたつれば、数万すまん眷属けんぞく勇みをなし、水を渡るは波を蹴かへし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
九州では彦山の豊前ぶぜん坊、四国では白峯の相模坊、大山たいせん伯耆ほうき坊、猪綱いのつなの三郎、富士太郎、大嶺の善鬼が一統、葛城天狗、高間山の一類、その他比良岳、横川岳、如意ヶ岳、高尾、愛宕の峯々に住む大天狗の配下に属する眷属けんぞくは、
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それがしがかのひとに証を以て告口せずに置かば、彼人の行末も空恐ろしく、又それがしは悪を助けて善を助けぬ外道魔道の眷属けんぞくとなる。此の外道魔道の眷属が今の世には充ち満ちている。公方を追落し、管領を殺したも、皆かかる眷属共の為たことである。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「学道の人は先づ須く貧なるべし。財おほければ必ずその志を失ふ。在家学道のものなほ財宝にまとはり、居処きょしょをむさぼり、眷属けんぞくに交はれば、たとひその志ありと云へども、障道の因縁いんねん多し。」龐公ほうこうは俗人であるが僧侶に劣らなかった。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
——もう薄暗くて見えますまいけれども、その貴客あなたながれの石には、水がかかって、紫だの、緑だの、口紅ほどな小粒もまじって、それは綺麗でございますのを、お池の主の眷属けんぞくうろこがこぼれたなんのッて、気味が悪いと申すんでございますから。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある店は千客万来の大繁昌で、全店員一生懸命の働きをしても間に合わぬというのに、ある店では堂々たる店舗を構えながら門前雀羅じゃくらを張るが如しという不景気、また一族相率いていわゆる上り身代となって富み栄えると見れば、次には眷属けんぞくことごとく没落の一途を辿り四方に離散する。
それらの眷属けんぞくの祖先は、千余年前、大集団で、海の彼方かなたから武蔵野へ移住して来た高麗こま民族の家族と共に、移って来たものと、それより以前から、秩父ちちぶの山にいた純坂東種じゅんばんどうしゅの山犬と、そう二種類の結合された血をもっている猛犬だということであった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この功徳に乗じて、「信道知識」即ち同信同行の一類眷属けんぞくも、現世安穏、来世には生死を解脱げだつして三尊にしたがいまつり、不生不死なる涅槃ねはんの彼岸に逍遥しょうようせられ、しかも尽きざる功徳により、あまねく六道三界の衆生も諸共に苦縁を脱し、共に菩提に転向せしめられるであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「折角、御隠居さまの御病気に、かならずきき目のあるものを、持って来たというあッしを、かたくなに木戸をつくたあ、こいつあ変妙だ。いやしくも、家来けらい眷属けんぞくというものは、旦那だんなの身に、すこしでもためになることと聴きゃあ、百里をとおしとしねえのが作法——それを、どこまでも、突っ張るなんて——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
すらりと飯櫃形いびつなりの猿ヶ馬場ばんばに、吹溜ふきたまった落葉を敷いて、閑々と静まりかえった、うもれ井戸には桔梗ききょうが咲き、すすき女郎花おみなえしが交ったは、薄彩色うすさいしきしとねのようで、上座かみくらに猿丸太夫、眷属けんぞくずらりと居流れ、連歌でもしそうな模様じゃ。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幸いにして地味ちみは豊かに肥え、労少なくして所得はもとの地にまさり、山野の楽しみも夏は故郷よりも多く、妻子眷属けんぞくとともにいれば、再び窮屈な以前の群れに、帰って行こうという考えも起こらなかったであろうが、秋のあわただしく暮れ春の来ることのおそいのには、定めてしばらくの間は大きな迷惑をしたことと思う。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)