トップ
>
眉深
>
まぶか
ふりがな文庫
“
眉深
(
まぶか
)” の例文
それは新しい鳥打帽を
眉深
(
まぶか
)
く
冠
(
かぶ
)
って、流感
除
(
よ
)
けの黒いマスクをかけた若い運転手の指であったが……私はすぐに手を振って見せた。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、いうていにニコッと
眉深
(
まぶか
)
にかぶったのは、この廃邸の下屋敷に、行状の直るまではと、押込めにあっていた徳川万太郎でした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眉深
(
まぶか
)
に鳥打帽を
被
(
かぶ
)
っても、
三日月形
(
みかづきがた
)
の
廂
(
ひさし
)
では頬から下をどうする事もできないので、
直下
(
じか
)
に
射
(
い
)
りつけられる所は痛いくらいほてる。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人の
着故
(
きふ
)
るしめく、茶の短い
外套
(
がいとう
)
をはおり、はしばしを
連翹色
(
れんぎょういろ
)
に染めた、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の頸巻をまいて、金モールの
抹額
(
もこう
)
をつけた黒帽を
眉深
(
まぶか
)
にかぶッていた。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
夜
(
よ
)
も段々と更け渡ると、孝助は
手拭
(
てぬぐい
)
を
眉深
(
まぶか
)
に
頬冠
(
ほおかむ
)
りをし、
紺看板
(
こんかんばん
)
に
梵天帯
(
ぼんてんおび
)
を締め、槍を小脇に
掻込
(
かいこ
)
んで庭口へ忍び込み、雨戸を少々ずつ
二所
(
ふたところ
)
明けて置いて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
覚えられては探偵するに具合が悪いから、いつもこう
眉深
(
まぶか
)
に帽子をかむって顔をかくしているんだ
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二重廻しを着た小柄な、一見安長屋の差配然とした中年の男で、
眉深
(
まぶか
)
に被った鳥打帽子と襟巻とで浅黒い顔の大部分は隠れていたが、鋭い眼がギョロリ/\と動いていた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
たち表の方へ出れば
垣根
(
かきね
)
の
際
(
きは
)
に野尻宿のお專
頭巾
(
づきん
)
を
眉深
(
まぶか
)
に
冠
(
かぶ
)
り立ち居たり傳吉は
密
(
ひそ
)
かに宅へ伴ひ
忍
(
しの
)
ばせて座中を
窺
(
うかゞ
)
はせたるに此中には其人なしと云ふ故傳吉は又々女房叔母を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
洋袴は何か乙な
縞
(
しま
)
羅紗で、リュウとした
衣裳附
(
いしょうづけ
)
、
縁
(
ふち
)
の巻上ッた
釜底形
(
かまぞこがた
)
の黒の帽子を
眉深
(
まぶか
)
に
冠
(
かぶ
)
り、左の手を
隠袋
(
かくし
)
へ差入れ、右の手で細々とした
杖
(
つえ
)
を
玩物
(
おもちゃ
)
にしながら、高い男に向い
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
立見の混雑の中にその時突然自分の肩を突くものがあるので驚いて振向くと、長吉は
鳥打帽
(
とりうちぼう
)
を
眉深
(
まぶか
)
に黒い眼鏡をかけて、
後
(
うしろ
)
の一段高い
床
(
ゆか
)
から首を
伸
(
のば
)
して
見下
(
みおろ
)
す若い男の顔を見た。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は靴のひもを結びなおし、腰のバンドをしらべ、帽子を
眉深
(
まぶか
)
にかぶり直し、万が一にも手ぬかりのないように、いざといったらすぐに駈けだすことのできるように用意していた。
頭と足
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
土地に馴れている堀部君は毛皮の帽子を
眉深
(
まぶか
)
にかぶって、あつい外套の襟に顔をうずめて、十分に防寒の支度を整えていたのであるが、それでも
総身
(
そうみ
)
の血が凍るように冷えて来た。
雪女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頭巾に包まれている
眉深
(
まぶか
)
の顔は、月にそむいているがために、ほとんど見ることはできなかったが、刺すように見ている眼ばかりが、陰影の奥に感ぜられて、それがまた浪人の心持ちを
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女は、
薄色縮緬
(
うすいろちりめん
)
のお
高祖
(
こそ
)
を
眉深
(
まぶか
)
に冠つたまゝ、丑松の腰掛けて居る側を通り過ぎた。新しい艶のある
吾妻袍衣
(
あづまコート
)
に身を包んだ其
嫋娜
(
すらり
)
とした後姿を見ると、
斯
(
こ
)
の女が誰であるかは直に読める。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
京
(
きやう
)
はお
高祖頭巾
(
こそづきん
)
眉深
(
まぶか
)
に
風通
(
ふうつう
)
の
羽織
(
はおり
)
着
(
き
)
て
例
(
いつも
)
に
似合
(
にあは
)
ぬ
美
(
よ
)
き
粧
(
なり
)
なるを、
吉三
(
きちざう
)
は
見
(
み
)
あげ
見
(
み
)
おろして、お
前
(
まへ
)
何處
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
きなすつたの、
今日
(
けふ
)
明日
(
あす
)
は
忙
(
いそ
)
がしくてお
飯
(
まんま
)
を
喰
(
た
)
べる
間
(
ま
)
もあるまいと
言
(
い
)
ふたではないか
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
古い冬の中折れを
眉深
(
まぶか
)
に着ているが、頭はきれいに
剃
(
そ
)
った坊主らしい。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
だが乞食は帽子のひさしを
眉深
(
まぶか
)
にひきおろして
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「頭巾
眉深
(
まぶか
)
き」ただ七字、あやせば笑う声聞ゆ。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
日蔭の身に離されぬ
面隠
(
つらがく
)
しの笠を
眉深
(
まぶか
)
にして、
頤
(
あぎと
)
の紐を結びながら、今、神田濠の茶屋をスタスタ出て行ったのは大月玄蕃だった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中折帽を
眉深
(
まぶか
)
に
冠
(
かぶ
)
った洋装の青年が、
畳
(
たた
)
みボートを引っぱりながら、ヒョックリと顔を突き出したではありませんか……。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これは大僧正クランマーである。青き
頭巾
(
ずきん
)
を
眉深
(
まぶか
)
に
被
(
かぶ
)
り空色の絹の下に
鎖
(
くさ
)
り
帷子
(
かたびら
)
をつけた立派な男はワイアットであろう。これは
会釈
(
えしゃく
)
もなく
舷
(
ふなべり
)
から飛び
上
(
あが
)
る。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから桂河探偵に会うと黒い帽子を
眉深
(
まぶか
)
にかむって色眼鏡をかけている、こいつは変装じゃないかと思ったんです。そして第一に怪しいのは
此奴
(
こいつ
)
だと決めてしまった。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
立見
(
たちみ
)
の混雑の中に
其
(
そ
)
の時
突然
(
とつぜん
)
自分の肩を
突
(
つ
)
くものがあるので
驚
(
おどろ
)
いて
振向
(
ふりむ
)
くと、
長吉
(
ちやうきち
)
は
鳥打帽
(
とりうちぼう
)
を
眉深
(
まぶか
)
に黒い
眼鏡
(
めがね
)
をかけて、
後
(
うしろ
)
の一段高い
床
(
ゆか
)
から首を
伸
(
のば
)
して
見下
(
みおろ
)
す若い男の顔を見た。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
二人は帽子を
眉深
(
まぶか
)
く被って襟巻に
顋
(
あご
)
を埋めながら、通行人に疑われないように何気ない風をして家の附近をブラリ/\と歩いていた。連日の疲労と焦慮で二人はゲッソリ痩せていた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
樺茶色
(
かばちゃいろ
)
の無地の頭巾を
眉深
(
まぶか
)
に
被
(
かぶ
)
って面部を隠し、和田原八十兵衞の
利腕
(
きゝうで
)
を
後
(
うしろ
)
からむずと押え、片手に秋田穗庵が鉈のような
恰好
(
かっこう
)
で真赤に錆びたる刀を振り上げた右の手を押えながら
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一条戻り橋にあらわれたという
鬼女
(
きじょ
)
のように、彼女は薄絹の
被衣
(
かつぎ
)
を
眉深
(
まぶか
)
にかぶって、屋形の四足門からまだ半町とは踏み出さないうちに、暗い木の蔭から一人の大きい男が
衝
(
つ
)
と出て来て
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こう言いながら長谷川がひょいと向こうを見ると、背の低い男が
外套
(
がいとう
)
の襟を立て、ハンチングを
眉深
(
まぶか
)
に
冠
(
かぶ
)
って、しきりに何かを捜しながら二人の立っているSビルディングの方角へやって来た。
五階の窓:02 合作の二
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
白い手ぬぐいを
眉深
(
まぶか
)
にかぶった下から黒髪が額にたれかかっている。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「頭巾
眉深
(
まぶか
)
き」ただ七字、あやせば笑ふ声聞ゆ。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
と
跳
(
は
)
ねおきて見ると、いつの
間
(
ま
)
にそこへきたか、
網代
(
あじろ
)
の
笠
(
かさ
)
を
眉深
(
まぶか
)
にかぶったひとりの
旅僧
(
たびそう
)
、ひだりに
鉄鉢
(
てっぱち
)
をもち、みぎに
拳
(
こぶし
)
をふりあげて
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで
夕暗
(
ゆうやみ
)
に紛れて本町一丁目の魚市場の蔭に舟を寄せると、吾輩の
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
眉深
(
まぶか
)
に冠せた友吉の屍体を、西洋手拭で頬冠りした吾輩の背中に帯で
括
(
くく
)
り付けた。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人力車
(
じんりきしゃ
)
から新橋の
停車場
(
ていしゃじょう
)
に降り立った時、人から病人だと思われはせぬかと、その事がむやみに気まりがわるく、汽車に乗込んでからも、帽子を
眉深
(
まぶか
)
にかぶり顔を
窗
(
まど
)
の方へ
外向
(
そむ
)
けて
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼はシムソンの家の前に来ると、立止って、暫くあたりの様子を
覗
(
うかが
)
っていました。門の前の電灯に照し出された男は、
外套
(
がいとう
)
の
襟
(
えり
)
を立てて、帽子を
眉深
(
まぶか
)
にかぶっていますが、疑いもなく仁科猛雄でした。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
緑子
(
みどりご
)
の頭巾
眉深
(
まぶか
)
きいとほしみ
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
帯を固く締め、
頭巾
(
ずきん
)
を
眉深
(
まぶか
)
にかぶって、水口の戸をソッと開けてみると、昨日から小やみもない雪がまだサラサラと落ちている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
川崎の町あかりの中から見おぼえのある子安農場のトラックが出て来るのを見た時には、思わず緊張して鳥打帽を
眉深
(
まぶか
)
く冠り直した。思い切って全速力を出した。
衝突心理
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
帽子を
眉深
(
まぶか
)
に、両手を
衣嚢
(
かくし
)
に
突込
(
つきこ
)
みて歩み行く男は、皆賭博に失敗して自殺を空想しつゝ行くものゝ如く見え、闇より出でゝ、闇の
中
(
うち
)
に
馳過
(
はせすぐ
)
る馬車あれば、其の
中
(
うち
)
には必ず不義の恋
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
緑子
(
みどりご
)
の頭巾
眉深
(
まぶか
)
きいとほしみ
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
背を叩かれて、ふり向くと、その阿能十が、この前と同じ荒編笠を
眉深
(
まぶか
)
に、この男の癖として、意味なくニタニタ笑っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なつかしい檜のカブキ門が向うに見えると、私は黒い鳥打帽を
眉深
(
まぶか
)
くして往来の石に腰をかけた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
緑子の頭巾
眉深
(
まぶか
)
きいとほしみ
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
近づいた時、
眸
(
ひとみ
)
を大きくして見ると、侍だ。はっきり姿の見えない筈、
上下
(
うえした
)
黒ぞっきの着流しに、顔まで
眉深
(
まぶか
)
なお
十夜頭巾
(
じゅうやずきん
)
。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三平は材木の隙間から飛び
退
(
の
)
いた。そこをジッと睨んで腕を組んだ。そのまま鳥打を
眉深
(
まぶか
)
に冠り直して材木の間を右に左に抜けて往来に出た。キョロキョロと見まわした。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
この
小婢
(
こおんな
)
の手びきで、頭巾を
眉深
(
まぶか
)
にかぶった色坊主が、不敵にも、ほとんど一晩おきに、人妻の秘室へ忍び通うという不義の甘味を
偸
(
ぬす
)
んでいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万平は材木の隙間から
飛退
(
とびの
)
いた。その隙間をジイッと睨んで腕を組んだ。芝居の事も何も忘れたらしく真青になって考え込んでいたが、そのまま鉢巻を解いて
眉深
(
まぶか
)
く
頬冠
(
ほおかむり
)
をした。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると、突如、
大銀杏
(
おおいちょう
)
の木蔭から、竹ノ子笠を
眉深
(
まぶか
)
に、身には
半蓑
(
はんみの
)
をまとった武士が、
燕
(
つばめ
)
のごとく、公卿の傘へ、体当りにぶつかッて逃げた——。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白茶気
(
しらちゃけ
)
た
羅紗
(
ラシャ
)
の旅行服に、銀鼠色のフェルト帽を
眉深
(
まぶか
)
く冠って、カンガルー皮の靴を音もなく運んで来た姿は、幽霊さながらの弱々しい感じである。手荷物は赤帽に托したものらしい。
人間レコード
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
客は、粗服に
眉深
(
まぶか
)
な笠をかぶり、従者も二人ほどしか連れていない。しかも一人は若い女性であり、一人は
童
(
わらべ
)
だった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの……鳥打帽を……茶色の鳥打帽を
眉深
(
まぶか
)
く冠っておられましたので、よくわかりませんでしたが、モウ一人の方はエヘンエヘンと二つずつ咳払いをして、何度も何度も唾をお吐きになりました」
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
のっそりとそこにはいって来たのは、
眉深
(
まぶか
)
な黒の頭巾に、黒の羽織、すべて黒ずくめに装った色の白い武士である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眉
常用漢字
中学
部首:⽬
9画
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
“眉”で始まる語句
眉
眉間
眉毛
眉目
眉宇
眉根
眉唾
眉山
眉間尺
眉目秀麗