ひやく)” の例文
望蜀生ぼうしよくせいとは、夢中むちうつて、それを採集さいしふした。其數そのすうじつに二ひやく七十六ほん。それを四大布呂敷おほふろしきつゝみ、二づゝけてことにした。
但馬守たじまのかみ莞爾くわんじわらつて、ひやく宗教しうけうせん道徳だうとくも、ひとつの死刑しけいといふものにはかなはない、これほど效果かうくわおほいものはもとむることが出來できないとおもつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
茶の間の方では、癇高かんだかい妻のおひやくの声や内気らしい嫁のおみちの声がにぎやかに聞えてゐる。時々太い男の声がまじるのは、折からせがれ宗伯そうはくも帰り合せたらしい。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたくし斷言だんげんする、この海底戰鬪艇かいていせんとうてい一度ひとたび逆浪げきらう怒濤どたうつて縱横無盡じゆうわうむじん隱見出沒いんけんしゆつぼつ魔力まりよくたくましうするときには、たとへひやく艦隊かんたいせん大戰鬪艦だいせんとうかん彈丸だんぐわんあめらしてむかつたとて
これがめかけかけにしたのではなし正當しようたうにも正當しようとうにもひやくまんだらたのみによこしてもらつてつたよめおや大威張おほゐばり出這入ではいりしてもさしつかへはけれど、彼方あちら立派りつぱにやつてるに
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東京とうきやうかね——番町ばんちやう——海水浴かいすゐよく避暑ひしよにくるひとはありませんかな。……この景氣けいきだから、今年ことし勉強べんきやうぢやよ。八疊はちでふ十疊じふでふ眞新まあたらしいので、百五十圓ひやくごじふゑんところひやく勉強べんきやうするですわい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
外には死んだ五兵衞の妾お絹と下女のおひやくだけ。お絹は商賣人上りの三十女で、愛嬌がボタボタこぼれ相な豊艶な女、それが大芝居で悲歎場を見せるのは、身内の人達の大きな惱みでした。
十五日目にちめらなくつちや財布せえふふくれねえが、またひやくでもつこはねえかんな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
聖壇せいだんにこのうらわかきにへを見よしばしはしよくひやくにもまさむ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
ときいま、ひやく工場こうぢやう
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
長さはひやく五十まいるぢや
ろうしよくのぞむは人情にんじやうつねなるかも、ひやくいたればせんをとねがせんにいたればまたまんをと諸願しよぐわんやすときなければこゝろつねやすからず、つら/\おもへば無一物むいちぶつほど氣樂きらくなるはあらざるべし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あゝ、裝束しやうぞくかい、みんはひさ——めんだけは近所きんじよのお弟子でしけつけて、のこらずたすけた。ひやくいくつといふんだが、これで寶生流はうしやうりう面目めんぼくちます。裝束しやうぞくは、いづれとしがたてばあたらしくなるんだから。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿論もちろん、かのふねわたくし想像さうざうするがごと海賊船かいぞくせんであつたにしろ、左樣さう無謀むぼうには本船ほんせん撃沈げきちんするやうなことはあるまい、印度洋インドやう平均水深へいきんすいしんは一せんひやく三十ひろ其樣そんふかところ輕々かろ/″\しく本船ほんせん撃沈げきちんしたところ
「おひやくは。」
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此時このときすで本船ほんせん海蛇丸かいだまる距離きよりわずかに二ひやく二三十米突メートル以内いない