楽器がっき)” の例文
それらのおとこは、楽器がっきらしたり、うたをうたったりしました。むすめらは、いずれもうつくしく着飾きかざって、これまでになくきれいにえました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女はその薄暗い中に青貝あおがいちりばめた古代の楽器がっきや古代の屏風びょうぶを発見した。が、肝腎かんじん篤介あつすけの姿は生憎あいにくこの部屋には見当らなかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つぎの朝、わたしたちは——マチアはヴァイオリン、わたしはハープと、てんでんの楽器がっきを持って、エピナッソー先生をたずねて行くことにした。
六ばんめの妖女は、どんな楽器がっきにも、名人めいじんの名をおとりになりますように、といいました。いよいよおしまいに、おばあさんの妖女の番になりました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
そこでおよめさん同士どうしみんなで楽器がっきわせてあそぼうといいしました。そしてはちかつぎには、いちばんむずかしいやまとごとをひかせることにしました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして青い橄欖かんらんの森が、見えない天の川のこうにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまい、そこからながれて来るあやしい楽器がっきの音も
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そうかと思うと、鮨売すしうりの声やもろこし団子だんご味噌田楽みそでんがくい物屋、悠長ゆうちょう尺八しゃくはちをながしてあるく虚無僧こむそうがあるかと思えば、ひなびた楽器がっきをかき鳴らしてゆく旅芸人たびげいにんかさのむれ——。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つち空気くうきや水のいぶき、またはやみの中にうごめいてる、んだりはったりおよいだりしているちいさな生物いきものの、歌やさけびや音、または晴天せいてんや雨の前兆ぜんちょう、またはよる交響曲シンフォニーかぞえきれないほどの楽器がっきなど
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「どうでも、おじじにねだって、あれをってもらうぞ。」と、かがやくひとみ楽器がっきつめて、こう、ひとりごとをするのでした。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは二本の木によせかけておいた楽器がっきを取り上げて、堀割ほりわりのほうに背中せなかを向けながら、動物たちの列を作ってならばせ、ダンス曲をひき始めた。
しかもそののうつくしいことといったら、どんな楽器がっきだって、とてもこれだけのにはひびかないほどでしたから、ジャックは、金のたまごのにわとりよりも
ジャックと豆の木 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひめさまは、やはり、うたをうたい、楽器がっきをおらしになりました。すると、あるうみうえに、ふりまいたような星影ほしかげをごらんなされて
町のお姫さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
左のほうのかべやたなにはヴァイオリンだの、コルネだの、トロンボンだの、いろいろの楽器がっきがかけてあった。
露子つゆこには、それらの楽器がっきだまっているのですが、ひとつひとつ、いい、しいたえな、音色ねいろをたてて、ふるえているようにえたのであります。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
マチアは楽器がっきの中からクラリネットをえらんで、それをふいた。それからコルネをふいた。
この楽器がっき体操たいそうや、唱歌しょうかをならった子供こどもらは、いつしかおおきくなって、むすめたちは、およめさんになり、おとこは、りっぱに一にんまえの百しょうとなりました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは楽器がっきを手に取って、船のへさきのほうへ行って、しずかにひきはじめた。
そのうちに、食事しょくじをおわったとみえて、みんなは、食卓しょくたくからはなれて、うたをうたい、楽器がっきをならして、ダンスをはじめました。なかにも、おんなたちは、うつくしかった。
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるときはそのはないたそのなかで、楽器がっきらしました。小鳥ことりは、その周囲しゅうい木々きぎあつまってきました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
愉快ゆかい楽器がっきがあったら、どんなに人々ひとびとがなぐさめられるであろうと、ある無名むめい音楽家おんがくかかんがえました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなとき、子供こどもは、そのみせらしている楽器がっきおとを、どんなにかかなしくおもったでありましょう。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もとよりなにひとつめぼしいものがなかったうちに、バイオリンが目立めだちましたのですから、この松蔵まつぞうにとってはなによりも大事だいじ楽器がっきうばられてしまいました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
おどっている人形にんぎょうは、なにぶんにもよろしくといってたのみました。よるになると、まちなかは、いっそう、にぎやかになりました。楽器がっきながれたり、草花屋くさばなやたりしました。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どれ、ひとつ、そのおとをきかせてもらえまいか。ながあいだうみうえらしているので、しばらく、いい楽器がっき音色ねいろをきいたことがないから……。」と、父親ちちおやはいいました。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくはあのほし世界せかいへいっているんだよ、ほし世界せかいにはもっとはやい、いい飛行機ひこうきもあれば、もっといい音色ねいろのする楽器がっきもあるよ。今度こんどくるときにぼくってきてきみにあげるよ。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのながあいだ、みすぼらしいふうをした父親ちちおやは、おな姿すがたで、楽器がっきいていました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
息子むすこは、自分じぶんまれた、ふるいえなかへはいりました。すると、いろいろのおもが、そのままよみがえってくるのでした。壁板かべいたいた、子供こども時分じぶん楽器がっきが、なおうすくのこっています。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのじょは、しのあしをして、そのいえちかづいてのぞいてみますと、なかではうつくしいおんなや、おとこがたくさんにあつまっていて楽器がっきらし、うたをうたい、さけんだり、また、たがいにをとりあって
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いろいろと先生せんせいいてみると、そのくには、もっともひらけて、このほかにもいいおとのする楽器がっきがたくさんあって、そのくににはまた、よくその楽器がっきらす、うつくしいひとがいるということである。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だれか、楽器がっきをひくものはないかしらん。」と、きつねは、かんがえました。
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふえや、ことのような、単純たんじゅん楽器がっきでは、どうすることもできないけれど、オルガンのように、複雑ふくざつ楽器がっきになったら、なんとかして、その目的もくてきたっせられは、しないかということをかんがえたのです。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほんとうに、公園こうえんはいろいろのひとたちでにぎわっていました。あちらから楽隊がくたいらしている楽器がっきおとが、かぜおくられてこえてきたり、また、うたをうたっているこえこえてきたりしました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おねえさま、この楽器がっきは、みんな外国がいこくからきましたのですか。」
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)