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摺寄
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すりよ
ふりがな文庫
“
摺寄
(
すりよ
)” の例文
さやさやと
葎
(
むぐら
)
を分けて、おじいどうした、と
摺寄
(
すりよ
)
ると、ああ、宰八か助けてくれ。この手を
引張
(
ひっぱ
)
って、と拝むがごとく指出した。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
せめての申訳というではないが、何やら急に清岡の事が恋しくなって、君江は歩きながら
突
(
つ
)
と
摺寄
(
すりよ
)
って人通りをもかまわずその手を握った。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「復讐……。
山𤢖
(
やまわろ
)
が……。一体どんなことを
為
(
し
)
ました。」と、市郎も思わず
摺寄
(
すりよ
)
ると、安行は今更のように嘆息した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
正太は恐る恐る
枕
(
まくら
)
もとへ寄つて、美登利さんどうしたの病気なのか心持が悪いのか全体どうしたの、とさのみは
摺寄
(
すりよ
)
らず膝に手を置いて心ばかりを悩ますに
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
是誠に天道の引合せ給ふ處成べしと云つゝ
潜然
(
ほろり
)
と目に涙を浮めけるにぞお花は怪みて
側
(
そば
)
に
摺寄
(
すりよ
)
り此方の事のみ云て御國許の樣子は如何にや其方が私共の
行衞
(
ゆくゑ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
常の如く番頭さんが女の方へ
摺寄
(
すりよ
)
って来るとき、女の方で番頭の手へ小指を
引掛
(
ひっか
)
けたから、手を握ろうとすると無くなって仕舞うから、
恰
(
まる
)
で金魚を探すようで
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男勝りと言はれた
誇
(
ほこ
)
りをかなぐり捨てて、冷たい娘の頬に、自分の頬を
摺寄
(
すりよ
)
せてひた泣きに泣くのでした。
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
傍
(
そば
)
には続いて彼を
尾行
(
つ
)
ける為めであろう、箕島刑事も先に降りて茫然と手持無沙汰に立って居た。彼は切符を渡す時、黒服赤襟の女車掌の耳元へ口を
摺寄
(
すりよ
)
せた。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
『まア、
何
(
なん
)
といふ
嬉
(
うれ
)
しいことでせう、
復
(
ま
)
た
逢
(
あ
)
つたのねえ!』
云
(
い
)
つて
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
は
可愛
(
かあい
)
さの
餘
(
あま
)
り、
腕
(
かひな
)
と
腕
(
かひな
)
と
觸
(
ふ
)
れるばかりに
摺寄
(
すりよ
)
つて、
二人
(
ふたり
)
は一
緒
(
しよ
)
に
歩
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それに返答をしないのみか、こうして
摺寄
(
すりよ
)
って来ても見向きもしませんでした。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と白らけた声を出して、手を出しながら、
摺寄
(
すりよ
)
ッて来る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
女は僕に
摺寄
(
すりよ
)
つて
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
鶴子はこの時胸にある事は何も
彼
(
か
)
もこの老人だけには打明けてしまいたい気になって、
縋
(
すが
)
るようにその足下に
摺寄
(
すりよ
)
り
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
むかしから
男女
(
おとこおんな
)
の影法師は憎いものに数へられてゐるが、要次郎とおせきはその憎い影法師を土の上に落しながら、
摺寄
(
すりよ
)
るやうに
列
(
なら
)
んであるいてゐた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
正太
(
しようた
)
は
恐
(
おそ
)
る/\
枕
(
まくら
)
もとへ
寄
(
よ
)
つて、
美登利
(
みどり
)
さん
何
(
ど
)
うしたの
病氣
(
びようき
)
なのか
心持
(
こゝろもち
)
が
惡
(
わる
)
いのか
全體
(
ぜんたい
)
何
(
ど
)
うしたの、と
左
(
さ
)
のみは
摺寄
(
すりよ
)
らず
膝
(
ひざ
)
に
手
(
て
)
を
置
(
お
)
いて
心
(
こゝろ
)
ばかりを
腦
(
なや
)
ますに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『お
浦
(
うら
)
……』と
膝
(
ひざ
)
を
支
(
つ
)
いて、
摺寄
(
すりよ
)
つて
緊乎
(
しつか
)
と
抱
(
だ
)
いて、
言
(
い
)
ふだけの
事
(
こと
)
を
呼吸
(
いき
)
も
絶々
(
たえ/″\
)
に
我
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れて
嘵舌
(
しやべ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
互
(
たがい
)
に死を争いながら平左衞門の側へ
摺寄
(
すりよ
)
りますと、平左衞門は
剛刀
(
ごうとう
)
をスラリと
引抜
(
ひきぬ
)
き
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
せよと
傍
(
かたは
)
らへ
摺寄
(
すりよ
)
ればお粂は
疾
(
とく
)
より心得居し事ゆゑ一向
驚
(
おどろ
)
かずアイサ私しは
盜賊
(
たうぞく
)
山賊
(
さんぞく
)
の類でなく又
狐狸
(
こり
)
にても候はず
大願
(
だいぐわん
)
有て當山へ
籠
(
こも
)
りし者なり本社
拜殿
(
はいでん
)
は女人
禁制
(
きんせい
)
故此
茶屋
(
ちやや
)
にて
通夜
(
つや
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あんまり
摺寄
(
すりよ
)
って来て、肩から首筋へかけた手を十分に深くして、下に置いてある絵をのぞき込むものだから、兵部の娘は、負うた子に髪をなぶらるるようにうるさがって、首を振るのを
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると最前から
瞬
(
まばた
)
きしていた
石燈籠
(
いしどうろう
)
の火も心あり
気
(
げ
)
にはたと消えるを幸い、二人の男女は庭の垣根に身を
摺寄
(
すりよ
)
せて互の顔さえ見分けぬほどな
闇
(
やみ
)
の夜をかえって心安しと
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(何をするんです!)と
摺寄
(
すりよ
)
ったわ。その時の形相の
凄
(
すさま
)
じさは、ま、どの位であったろうと、自分でも思い遣られるよ。
言憎
(
いいにく
)
いことだけれど、
真実
(
ほんとう
)
にもう旦那を喰殺してやりたかったわね。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
米友は何か知らず、力を入れて
唸
(
うな
)
りました。女は、米友の近くへ
摺寄
(
すりよ
)
って
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それがね、姉さん。」と、お由はうしろを見かへりながら
摺寄
(
すりよ
)
つた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とだん/\お菊の側へ
摺寄
(
すりよ
)
りました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
押
(
おし
)
開き立出たるは別人成ず彼の
番頭
(
ばんとう
)
の久八なれば千太郎は大いに
怖
(
おどろ
)
き
書
(
かき
)
置手早く
後
(
うし
)
ろへ
隱
(
かく
)
し
素知
(
そし
)
らぬ
振
(
ふり
)
して居る側へ久八は
膝
(
ひざ
)
摺寄
(
すりよ
)
せ是申し
若旦那
(
わかだんな
)
暫時
(
しばらく
)
お
待
(
まち
)
下さるべし如何にも御無念は御道理然共
爰
(
こゝ
)
は
急
(
せく
)
時ならず
曩
(
さき
)
より私し
失禮
(
しつれい
)
ながら主人の御
容子
(
ようす
)
唯事
(
たゞごと
)
ならずと
心配
(
しんぱい
)
なして
襖
(
ふすま
)
の彼方に殘らず
始終
(
しじう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
尤
(
もっと
)
もベンチは三、四台あって、いずれも密会の男女が肩を
摺寄
(
すりよ
)
せて腰をかけていた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
片手
(
かたて
)
で、
尚
(
な
)
ほつよく、しかと
婦人
(
ふじん
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つたまゝ、その
上
(
うへ
)
、
腰
(
こし
)
で
椅子
(
いす
)
を
摺寄
(
すりよ
)
せて、
正面
(
しやうめん
)
をしやんと
切
(
き
)
つて、
曰
(
いは
)
く
此時
(
このとき
)
、
神色
(
しんしよく
)
自若
(
じじやく
)
たりき、としてあるのは、
英雄
(
えいゆう
)
が
事變
(
じへん
)
に
處
(
しよ
)
して、
然
(
しか
)
るよりも
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
竜之助は、近く
摺寄
(
すりよ
)
って、その生首をつくづくとながめます。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
支
(
つ
)
いて
突立
(
つッた
)
ったその三味線を、次の
室
(
ま
)
の暗い方へ
密
(
そっ
)
と
押遣
(
おしや
)
って、がっくりと筋が
萎
(
な
)
えた風に、折重なるまで
摺寄
(
すりよ
)
りながら、
黙然
(
だんま
)
りで、
燈
(
ともしび
)
の影に水のごとく
打揺
(
うちゆら
)
ぐ、お三重の背中を
擦
(
さす
)
っていた。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
医師
(
せんせい
)
は横を向く。小松原は、片手を敷布の上、
隣室
(
となり
)
へ
摺寄
(
すりよ
)
る身構えで
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お兼は顔の色も沈んで、滝太郎にひしと
摺寄
(
すりよ
)
りながら
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と甘たれた声を揚げて、男に
摺寄
(
すりよ
)
つたのは
少
(
わか
)
い女で。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と泰助と顔を見合せ、亭主は
膝下
(
ひざもと
)
までひたと
摺寄
(
すりよ
)
り
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
退
(
すさ
)
って、僧に
背
(
せな
)
を
摺寄
(
すりよ
)
せながら
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と調子を低めて、ずっと
摺寄
(
すりよ
)
り
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とあの人が、
摺寄
(
すりよ
)
って
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と膝で
摺寄
(
すりよ
)
る。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
摺
漢検準1級
部首:⼿
14画
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“摺”で始まる語句
摺
摺鉢
摺違
摺物
摺足
摺剥
摺付
摺硝子
摺抜
摺餌