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御蔭
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おかげ
ふりがな文庫
“
御蔭
(
おかげ
)” の例文
「
御蔭
(
おかげ
)
で
取
(
と
)
られた
品物
(
しなもの
)
が
又
(
また
)
戻
(
もど
)
りましたよ」と
云
(
い
)
ひながら、
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵兒帶
(
へこおび
)
に
卷
(
ま
)
き
付
(
つ
)
けた
金鎖
(
きんぐさり
)
を
外
(
はづ
)
して、
兩葢
(
りやうぶた
)
の
金時計
(
きんどけい
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし彼は二週間の余裕を
有
(
も
)
った
御蔭
(
おかげ
)
で、東京の方では書けなかった手紙も書き、急いだ旅の
支度
(
したく
)
を
纏
(
まと
)
めることも出来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
桑港
(
サンフランシスコ
)
から
雉猟
(
きじりょう
)
に来ておりました藤波(この遺書の保管者にて小生の旧友)氏の
御蔭
(
おかげ
)
で、煙の中に打ち倒れている妻子が救わるる事に相成りました。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
是がかなり忠実に守られていた
御蔭
(
おかげ
)
に、単なる民衆生活の描写としても、彼の文芸はなお我々を感謝せしめるのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その
御蔭
(
おかげ
)
で、何人に一台という自動車が行き渡り、食物も栄養価の高いものを、全国民が十分に
摂
(
と
)
ることができる。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
一面に於てその
御蔭
(
おかげ
)
を蒙っていることを否む訳にはいかない——から絶えず圧迫を受けながらも、
猶
(
な
)
お
能
(
あた
)
う限りの保護と愛惜とを加えて居るこの雪の宝殿が
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それは
神木
(
しんぼく
)
である
御蔭
(
おかげ
)
じゃ。
俺
(
わし
)
の
外
(
ほか
)
にこの
銀杏
(
いちょう
)
には
神様
(
かみさま
)
の
御眷族
(
ごけんぞく
)
が
多数
(
おおぜい
)
附
(
つ
)
いて
居
(
お
)
られる。
若
(
も
)
しいささかでもこれに
暴行
(
ぼうこう
)
を
加
(
くわ
)
えようものなら、
立所
(
たちどころ
)
に
神罰
(
しんばつ
)
が
降
(
くだ
)
るであろう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
己
(
おのれ
)
を以て人を推せば、先祖代々土の人たる農其人の土に対する感情も、其
一端
(
いったん
)
を
覗
(
うかが
)
うことが出来る。
斯
(
この
)
執着
(
しゅうちゃく
)
の意味を多少とも解し得る
鍵
(
かぎ
)
を得たのは、田舎住居の
御蔭
(
おかげ
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さては我を
導
(
みちびき
)
たる也と熊の
去
(
さり
)
し方を
遥拝
(
ふしをがみ
)
かず/\礼をのべ、これまつたく神仏の
御蔭
(
おかげ
)
ぞとお伊勢さま
善光寺
(
ぜんくわうじ
)
さまを
遥拝
(
ふしをがみ
)
うれしくて足の
蹈所
(
ふみど
)
もしらず、
火点頃
(
ひとぼしころ
)
宿へかへりしに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私などが今日でも電気の話を
聞
(
きい
)
て
凡
(
およ
)
そその方角の分るのは、全くこの写本の
御蔭
(
おかげ
)
である。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
まずこういう風で当時の改進党も梓君の
御蔭
(
おかげ
)
で円満に発達した。
河野敏鎌
(
こうのとがま
)
君の如き初めは我輩等に反対の行動を採っておったものであるが、この時から同主義の下に交わりを結ぶこととなった。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
遁
(
のが
)
れ
漸々
(
やう/\
)
我家へ歸りて
胸
(
むね
)
撫下
(
なでおろ
)
し誠に神佛の
御蔭
(
おかげ
)
にて
助
(
たすか
)
りたりと心の内に
伏拜
(
ふしをが
)
み吉之助には火事にて驚きたりと
僞
(
いつは
)
り彼の八十兩の金は
戸棚
(
とだな
)
の
隅
(
すみ
)
に重箱有りける故其中へ
入
(
いれ
)
置
(
おき
)
既
(
すで
)
に
休
(
やす
)
まんとする時表の戸を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
悲惨といえば悲惨の
至
(
いたり
)
ですが、我我婦人はこの大勢に対し、
幸
(
さいわい
)
な事には教育の
御蔭
(
おかげ
)
で一千年以来失っていました智慧と勇気とを
恢復
(
かいふく
)
し、「我も人である」という自覚の下に女子の職能は単に妻として
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
これは隈本先生の
御蔭
(
おかげ
)
かも知れない。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
代助は学校を卒業する前から、梅子の
御蔭
(
おかげ
)
で写真実物色々な細君の候補者に接した。けれども、
何
(
い
)
ずれも不合格者ばかりであった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
絹商は
倫敦
(
ロンドン
)
まで行く人で外国の旅に慣れていた。
御蔭
(
おかげ
)
と岸本は好い案内者を得た。高い崖に添うて日のあたった
路
(
みち
)
を上りきると、古い石造の寺院の前へ出た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
震災の
御蔭
(
おかげ
)
で第二の職業を知った職業婦人の多数と、まだ第一の職業しか知らぬ新米の職業婦人の多数とは、こうしてゴッチャになって東京の復興に努力し始めた。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
次に製粉器械としての石臼の普及であるが、是は石工の技芸進歩と、その数の増加の
御蔭
(
おかげ
)
であった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いつかゆっくり会って、
御蔭
(
おかげ
)
で重役になり損ねましたと言おうか、御蔭様で生涯没頭して
悔
(
くい
)
ない面白い仕事にありつきましたと言おうかと思っているうちに、その人はもう亡くなってしまった。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
が
福岡
(
ふくをか
)
から
東京
(
とうきやう
)
へ
移
(
うつ
)
れる
樣
(
やう
)
になつたのは、
全
(
まつた
)
く
此
(
この
)
杉原
(
すぎはら
)
の
御蔭
(
おかげ
)
である。
杉原
(
すぎはら
)
から
手紙
(
てがみ
)
が
來
(
き
)
て、
愈
(
いよ/\
)
事
(
こと
)
が
極
(
きま
)
つたとき、
宗助
(
そうすけ
)
は
箸
(
はし
)
を
置
(
お
)
いて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうしてどうして。叔父さんの
御蔭
(
おかげ
)
でこんな好い家へ越せたなんて、しきりにお前に感謝してる」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これが古い日本の遊戯法を
引継
(
ひきつ
)
ぎやすく、また忘れがたくした一つの力であって、
御蔭
(
おかげ
)
でいろいろの珍しいものの伝わっていることをわれわれ
大供
(
おおども
)
も感謝するのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……しかし、かく申す私だけは、専門家ではありませんが、警察の連中に欠けている医学上の知識を持っている
御蔭
(
おかげ
)
で、この事件の真相をタヤスク看破する事が出来たのです。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
御蔭
(
おかげ
)
で三年の後半期の試験の方は
滅茶
(
めちゃ
)
苦茶になってしまって、随分成績も悪かったらしい。講義なども半分近く失敬したようである。この方は先生に知れると
叱
(
しか
)
られるので、なかなか苦心をした。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
断片的にせよ
下
(
しも
)
に述べるだけの事をあなたに報道し得るのがすでに私には意外なのであります。全く偶然の
御蔭
(
おかげ
)
なのであります。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前に
信濃川
(
しなのがわ
)
流域のスヂ俵について一言したように、是ただ一筋の伝承の明らかに尋ね求められる
御蔭
(
おかげ
)
に、
独
(
ひと
)
り農民の理論なき保守主義が、一通り解説し得られるのみでなく
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
けれども仕合わせと白髪小僧の
御蔭
(
おかげ
)
で危い命を拾ったが、これが縁となって美留女姫は白髪小僧を
吾
(
わ
)
が
家
(
や
)
へ連れて来て、両親を初め皆の者に白髪小僧と自分との身の上に起った
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
森成さんの
御蔭
(
おかげ
)
でこの苦しみがだいぶ
退
(
ひ
)
いた時ですら、動くたびに腥い
噫
(
おくび
)
は常に鼻を
貫
(
つら
)
ぬいた。血は絶えず腸に向って流れていたのである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日本の医学は吾輩の努力の
御蔭
(
おかげ
)
で、今日の隆盛を
来
(
きた
)
しているんだ。しかも吾輩は国家に何物をも要求しない。毎日毎日この通りのボロ一貫で、
途
(
みち
)
に落ちたものを拾って喰ってるんだ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
空気銃の
御蔭
(
おかげ
)
で、みんながまた
満遍
(
まんべん
)
なく口を
利
(
き
)
くようになった。結婚が再び彼らの話頭に
上
(
のぼ
)
った。それは
途切
(
とぎ
)
れた前の続きに相違なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
永々御厄介をかけましたが
御蔭
(
おかげ
)
で都合よく実験を終りまして感謝に堪えませぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は御承知の通りよほど神経の
鈍
(
にぶ
)
くできた
性質
(
たち
)
です。
御蔭
(
おかげ
)
で
今日
(
こんにち
)
まで余り人と争った事もなく、また人を怒らした
試
(
ためし
)
も知らずに過ぎました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行きつけの居酒屋「
樽万
(
たるまん
)
」で銘酒「
邯鄲
(
かんたん
)
」の
生
(
き
)
一本がキューと行ける筈なのに、要らざる処を通りかかって要らざる用事を引受けた
御蔭
(
おかげ
)
で、千里
一飛
(
ひとと
)
び、虎小走り一直線に大学へ行かねばならぬ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ああ、布団だけはここへ買って来たが、
御蔭
(
おかげ
)
で大変遅れてしまったよ」と包みのなかから
八丈
(
はちじょう
)
まがいの黄な
縞
(
しま
)
を取り出す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は
猶
(
なお
)
返事をしなかった。彼は今まで父に対して己れの四半分も打ち明けてはいなかった。その
御蔭
(
おかげ
)
で父と平和の関係を
漸
(
ようや
)
く持続して来た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鶯
(
うぐいす
)
は身を
逆
(
さかし
)
まにして
初音
(
はつね
)
を張る。余は心を空にして四年来の
塵
(
ちり
)
を肺の奥から吐き出した。
是
(
これ
)
も新聞屋になった
御蔭
(
おかげ
)
である。
入社の辞
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてその鋭利な点はことごとく彼の迂濶な所から生み出されていた。言葉を
換
(
か
)
えていうと、彼は迂濶の
御蔭
(
おかげ
)
で
奇警
(
きけい
)
な事を云ったり
為
(
し
)
たりした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助が福岡から東京へ移れるようになったのは、全くこの杉原の
御蔭
(
おかげ
)
である。杉原から手紙が来て、いよいよ事がきまったとき、宗助は
箸
(
はし
)
を置いて
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ハハハしかし
御蔭
(
おかげ
)
で谷から出られたよ。君が怒らなければ僕は今頃谷底で往生してしまったかも知れないところだ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父の
御蔭
(
おかげ
)
で、代助は多少この道に
好悪
(
こうお
)
を有てる様になっていた。兄も同様の原因から、画家の名前位は心得ていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
倫敦
(
ロンドン
)
で池田君に
逢
(
あ
)
ったのは、自分には大変な利益であった。
御蔭
(
おかげ
)
で幽霊の様な文学をやめて、もっと組織だったどっしりした研究をやろうと思い始めた。
処女作追懐談
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これもお父さんの
御蔭
(
おかげ
)
さ」と兄が答えた。その時兄の
唇
(
くちびる
)
に薄い皮肉の影が動いたのを、母は気がつかなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然天然
(
しぜんてんねん
)
に芝居をしている。あんなのを
美的生活
(
びてきせいかつ
)
とでも云うのだろう。あの女の
御蔭
(
おかげ
)
で
画
(
え
)
の修業がだいぶ出来た。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「全く御前の
御蔭
(
おかげ
)
だよ。大いに
感泣
(
かんきゅう
)
しているさ。感泣はしているようなものの忘れちまったんだから仕方がない」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれもね、
御蔭
(
おかげ
)
さまでようやく学校だけは卒業しましたが、これからが大事のところで、心配でございます。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余の大連でしゃべらせられたのは全くこの男の
御蔭
(
おかげ
)
である。しかも短い時日のうちに二遍もやらせられた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「はあ、
御蔭
(
おかげ
)
さまで」と云う顔は何となく
窶
(
やつ
)
れている。男はちょっと真面目になった。女はすぐ弁解する。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我々日本人が
仏蘭西
(
フランス
)
の自然派はこう発達したの、
独乙
(
ドイツ
)
の自然派は今こんな具合だのという事を承知したのは、全くこの歴史研究の
御蔭
(
おかげ
)
で
至極
(
しごく
)
結構な事と思います。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したがって
洋杖
(
ステッキ
)
の
御蔭
(
おかげ
)
を
蒙
(
こうむ
)
っているのか、いないのかも判然しなかった。床の中で前後をくり返した敬太郎には、まさしくその御蔭を蒙っているらしくも見えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御蔭
(
おかげ
)
で、岩で骨が痛んだり、泥で着物が
汚
(
よご
)
れたりする憂いがないだけ、
惨憺
(
みじめ
)
なうちにも、まだ嬉しいところがあった。そうして、硬く曲った背中を壁へ
倚
(
も
)
たせた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
“御蔭”で始まる語句
御蔭様
御蔭石