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強請
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ねだ
ふりがな文庫
“
強請
(
ねだ
)” の例文
河岸へ行く度に、子供はそれを言出して、復た船に乘りたいと
強請
(
ねだ
)
りましたが、今日は止さして、一緒に柳並木の下を歩きました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「今度私磯野さんに芝居を
奢
(
おご
)
って頂きましょう。ねえお庄ちゃんいいでしょう。」お増は帰りがけに、甘い調子で磯野に
強請
(
ねだ
)
った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「でも貴女、貴女が、そんなにお気がつくんですもの。可うございます。貴女がおっしゃいませんでも、私からお
強請
(
ねだ
)
り申しましょう。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今にも母の首にしがみ付いて頬の
辺
(
あたり
)
に
接吻
(
せっぷん
)
しそうに、あまえた
強請
(
ねだ
)
るような眼付で顔をのぞかれ、やいやいとせがまれて、母親は意久地なく
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
わたくしに交渉して来た他の男は、わたくしに
縋
(
すが
)
り寄りわたくしに
被負
(
おぶ
)
さり、わたくしに何か
強請
(
ねだ
)
りごとをする乞食臭いところがありました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
小婢
(
こおんな
)
一人留守して居る処に来ては、茶をくれ、飯をくれ、果てはお前の着て居る物を脱いでくれ、と
強請
(
ねだ
)
って、婢は一ちゞみになったことがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
今
(
いま
)
のが
古
(
ふる
)
くつて
厭
(
や
)
だなんて
強請
(
ねだ
)
れんで、
何時
(
いつ
)
でもわし
怒
(
おこる
)
んでがすが、お
内儀
(
かみ
)
さん
處
(
とこ
)
へも
不義理
(
ふぎり
)
ばかりしてそんな
處
(
ところ
)
ぢやねえつて
云
(
ゆ
)
つて
聞
(
き
)
かせても
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「そりゃ大いにごもっともだ。厭なものを
強請
(
ねだ
)
るなんて卑怯な兄さんじゃない。糸公の威信にも関係する。厭なら厭と事がきまればほかに捜すよ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いえ、赤坂も赤坂ですが、あなたが御承知のことだけは今こゝで聴かせて頂きたいもんですが、如何でしょう。」と、わたしは子供らしく
強請
(
ねだ
)
った。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
轎夫
(
きょうふ
)
が分からぬことをいって
賃銭
(
ちんせん
)
を
強請
(
ねだ
)
ったり、この
旦那
(
だんな
)
は重いとか、
荷
(
に
)
が多いとか、
轎
(
かご
)
の中で動いて困るとか、雨が降るとか、橋がないから
御免
(
ごめん
)
とか
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
案内者が頼みもしないに錠を
開
(
あ
)
けていろんな所を見せた。中二階の様な所へも
上
(
あが
)
らせて高い壁画や天井画に接近させたが、出る時に一フランを
強請
(
ねだ
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
さればお客に対しても悪く物を
強請
(
ねだ
)
ったり、故意にたくらんで
欺
(
だま
)
すような悪辣な処は少しもなかった。その代り無責任の事はまた想像意外といってもよい。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「欲しければお前、こんな花なんか、わたしに
強請
(
ねだ
)
らなくても、いくらもお前の手で取ればいいじゃないか」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
時々暗い
個所
(
ところ
)
で駕籠を停めて前棒が
闇黒
(
やみ
)
に隠れることがあったが、
酒代
(
さかて
)
でも
強請
(
ねだ
)
りに客を追うのだろうくらいに考えて、辰は別に気にもとめなかったというが
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
で、家に入るや否や、お利代に泣き附いて何か
強請
(
ねだ
)
つてゐる五歳の新坊を、矢庭に兩手で高く差上げて
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それから
繻珍
(
しゆちん
)
の
夏帶
(
なつおび
)
とお
召
(
めし
)
の
單衣
(
ひとえ
)
と
綾絹
(
あやぎぬ
)
の
蝙蝠傘
(
かふもりがさ
)
とを
強請
(
ねだ
)
られて
購
(
か
)
はせられたが、これは彼の
消極的經濟
(
せうきよくてきけいざい
)
に取ツて、
預算
(
よさん
)
以外の
大支出
(
だいししゆつ
)
で、確に一
大
(
だい
)
打撃
(
だげき
)
であツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
一体
富豪
(
かねもち
)
が
他
(
ひと
)
を
招待
(
せうだい
)
するのは、何か見せつけ度いとか、何か
強請
(
ねだ
)
り度いとかいふ時に限る事で、もしかお客が一
向
(
かう
)
物に感心しなかつたり、何一つ
持合
(
もちあはせ
)
の無い男だつたら
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
勇は秀子の豊満な腕を
扼
(
つか
)
んで、母親に物を
強請
(
ねだ
)
る子のように打ち振りました。秀子はそうされ乍らも、小娘のように、シクシクと泣いて居たのです。あの勝気の秀子が——
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「イヤ、イヤ、坊やも一緒に行く。」と
足摺
(
あしず
)
りをしながら、黒ちやんは
強請
(
ねだ
)
りました。
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
六つになる弟の亀吉が、何処からか餞別と言う言葉を覚えて来て、斯う
強請
(
ねだ
)
り出した。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
それも一度ならず二度も三度も
強請
(
ねだ
)
らるるままにやるものですから大いに心服して
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
晩の米が無いから、明日の朝食べる物が無いから——と云つては、その度に五十錢一圓と
強請
(
ねだ
)
つて來た。Kは
小言
(
こごと
)
を並べながらも、金の無い時には古本や古着古靴などまで持たして寄越した。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
麥畑の
徑
(
こみち
)
を小池が散歩してゐると、お光が
後
(
あと
)
から
隨
(
つ
)
いて來て、小池が麥の穗を拔いて
拵
(
こしら
)
へた笛を
強請
(
ねだ
)
り取り、小ひさな口に含んで吹いてみても、小池が鳴らすやうには鳴らぬので、後から/\と
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その代りに仏具のような
強請
(
ねだ
)
られっこない品物は特に
入念
(
にゅうねん
)
に
吟味
(
ぎんみ
)
して
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
礼ちゃんが新橋の
勧工場
(
かんこうば
)
で大きな人形を
強請
(
ねだ
)
って困らしたの、電車の中に
泥酔者
(
よっぱらい
)
が居て
衆人
(
みんな
)
を苦しめたの、真蔵に向て細君が、
所天
(
あなた
)
は寒むがり坊だから大徳で上等
飛切
(
とびきり
)
の舶来のシャツを買って来たの
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「貴様、また何か
強請
(
ねだ
)
るつもりだな」
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お澄さん……私は見事に
強請
(
ねだ
)
ったね。——強請ったより
強請
(
ゆすり
)
だよ。いや、この時刻だから強盗の
所業
(
わざ
)
です。しかし
難有
(
ありがた
)
い。」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それらの或者は、お島の
迹
(
あと
)
から
絡
(
まつ
)
わり着いて来そうな調子で恵みを
強請
(
ねだ
)
った。お島はどうかすると、蟇口を開けて、銭を投げつつ急いで
通過
(
とおりす
)
ぎた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ですから母はとき/″\父に
強請
(
ねだ
)
っていた臨時の費用を詰めさえしたら、たいした不自由を感じない様子でした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
言葉尻
(
ことばじり
)
に力を入れて
強請
(
ねだ
)
るようにするその母親のない子供の声は、求めても求めても得られないものを求めようとしているかのように岸本の耳に
徹
(
こた
)
えた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
貴夫人などは
貞操
(
ていそう
)
を
招牌
(
かんばん
)
にかけ、むろんポチだの報酬だのを
夫
(
おっと
)
より受くべきはずはないが、しかし随分それを
強請
(
ねだ
)
ろうと思い、衣服を買って
貰
(
もら
)
いたいがために
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
実
(
じつ
)
を云ふと、二百円は代助に取つて
中途半端
(
ちうとはんぱ
)
な
額
(
たか
)
であつた。
是丈
(
これだけ
)
呉れるなら、
一層
(
いつそ
)
思ひ切つて、
此方
(
こつち
)
の
強請
(
ねだ
)
つた通りにして、満足を買へばいゝにと云ふ気も
出
(
で
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、家に入るや否や、お利代に泣付いて何か
強請
(
ねだ
)
つてゐる
五歳
(
いつつ
)
の新坊を、矢庭に両手で高く差上げて
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ううむ。」と子供のように首を振り、「パトロンの家よ。来月は十二月でしょう。今から攻め掛けてやらないと間に合わないから。
強請
(
ねだ
)
るのも容易じゃないわよ。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
文学者や
画家
(
ゑかき
)
の
許
(
とこ
)
へは、何ぞと言つては書いた者を
強請
(
ねだ
)
りに来る
輩
(
てあひ
)
が少くない。とりわけそれに幾らかの市価があるといふ事になると、色々の
手段
(
てだて
)
を尽して引出しに来る。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
妾
(
めかけ
)
のお吉は、多分の手當てを
強請
(
ねだ
)
つて
行方不知
(
ゆくへしれず
)
、もう一人の若い妾のお袖は、身一つで母の許に歸りましたが、間もなく、あらゆる物を振り捨てた彦太郎が、お袖の長屋へ訪ねて行つて
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
晩の米が無いから、明日の朝食べる物が無いから——と云っては、その度に五十銭一円と
強請
(
ねだ
)
って来た。Kは小言を並べながらも、金の無い時には古本や古着古靴などまで持たして寄越した。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
究竟
(
つまり
)
は無心の
小児
(
こども
)
に
対
(
むか
)
って菓子を
与
(
や
)
ると
戯
(
からか
)
った為に、
小児
(
こども
)
は本気になって是非
呉
(
く
)
れろと
強請
(
ねだ
)
って来たような理屈である。
対手
(
あいて
)
が世間を知らぬ
小児
(
こども
)
同様の人間だけに、
斯
(
こ
)
うなると誠に始末が悪い。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「今度八丁堀の
私
(
わっし
)
の内へ遊びに来ておくんなせえ。
一番
(
ひとつ
)
私がね、
嚊々左衛門
(
かかあざえもん
)
に酒を
強請
(
ねだ
)
る呼吸というのをお目にかけまさ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分に似合いそうなスタイルを
択
(
えら
)
んでいたが、一つ気に入ったのがあったので、特に庸三に
強請
(
ねだ
)
って
裂地
(
きれじ
)
や
釦
(
ボタン
)
などをも買い、裁断に取りかかっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「父さん、お舟——父さん、お舟——」と
強請
(
ねだ
)
るようにする子供の声をこの下座敷でよく聞いたばかりでなく、どうかすると机は
覆
(
ひっくりか
)
えされて舟の代りになり
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
実を云うと、二百円は代助に取って中途半端な
額
(
たか
)
であった。これだけくれるなら、
一層
(
いっそ
)
思い切って、
此方
(
こっち
)
の
強請
(
ねだ
)
った通りにして、満足を買えばいいにと云う気も出た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平生私の遊び仲間であつた
一歳二歳
(
ひとつふたつ
)
年長の子供等が、五人も七人も一度に学校に上つて了つて、淋しくて/\
耐
(
たま
)
らぬ所から、毎日の様に好人物の父に
強請
(
ねだ
)
つた為なので
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
強請
(
ねだ
)
られるままに出入の若い女優にくれてしまっていたからそこらに影を見せなかった。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
五十円ならばきっとやれますと立派に約束したその
傍
(
そば
)
から、殊には引く時前借の始末や
引越
(
ひきこし
)
その他の物入をかけた後の事とて、そう手軽く月々の手当の増額を
強請
(
ねだ
)
るわけにも行かないと思うと
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私がいつもの通りに無遠慮に
強請
(
ねだ
)
りはじめると、老人はすこしく首をひねって考えた後に、面白いか面白くないか知りませんけれども、まあ、こんな話はどうでしょうね、とおもむろに口を切った。
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何だ、そのくらいの
強請
(
ねだ
)
りごとか。僕が骨折って儲けた金じゃなし、金で役に立つなら、いくらでも御用命仰せつけ下さいだが、その代価というわけじゃないが、僕が嘗て蝶ちゃんに
需
(
もと
)
めた一期の望みなるものも蝶ちゃんは忘れないで欲しいな」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ほんの
蝋燭
(
おてらし
)
だ、
旦那
(
だんな
)
。」さて、
最
(
もつと
)
も
難場
(
なんば
)
としたのは、
山下
(
やました
)
の
踏切
(
ふみきり
)
の
處
(
ところ
)
が、
一坂
(
ひとさか
)
辷
(
すべ
)
らうとする
勢
(
いきほひ
)
を、
故
(
わざ
)
と
線路
(
せんろ
)
で
沮
(
はゞ
)
めて、ゆつくりと
強請
(
ねだ
)
りかゝる。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「どうか漬物を少し。」などと、腕まくりした
年嵩
(
としかさ
)
の青年が、裏口から酔っぱらって来てお銀に
強請
(
ねだ
)
った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
宗助
(
そうすけ
)
の
同僚
(
どうれう
)
の
高木
(
たかぎ
)
とか
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
が、
細君
(
さいくん
)
に
小袖
(
こそで
)
とかを
強請
(
ねだ
)
られた
時
(
とき
)
、おれは
細君
(
さいくん
)
の
虚榮心
(
きよえいしん
)
を
滿足
(
まんぞく
)
させる
爲
(
ため
)
に
稼
(
かせ
)
いでるんぢやないと
云
(
い
)
つて
跳
(
は
)
ね
付
(
つ
)
けたら、
細君
(
さいくん
)
がそりや
非道
(
ひど
)
い
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“強請”の意味
《名詞》
(きょうせい、ごうせい)無理に頼むこと。
「ゆすり」参照。
「もがり」参照。
(出典:Wiktionary)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
請
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
“強請”で始まる語句
強請事
強請場
強請者
強請的
強請言