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ふりがな文庫
“
居士
(
こじ
)” の例文
鉄腸
居士
(
こじ
)
を父とし、天台道士を師とし、
木堂翁
(
ぼくどうおう
)
に私淑していたかと思われる末広君には一面気鋒の鋭い点があり痛烈な皮肉もあった。
工学博士末広恭二君
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
泥足
(
どろあし
)
のまま
臆
(
おく
)
するところもなく自ら先に立って室内へ通った泰軒
居士
(
こじ
)
、いきなり腰をおろしながらひょいと忠相の書見台をのぞいて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
竹童
(
ちくどう
)
はふしぎな顔をして、もとのところへ帰ってきてみると、いつのまにか、ほんもののクロが
居士
(
こじ
)
のそばにちゃんとひかえている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俳諧の月並みに
堕
(
だ
)
したのは、——そんなことは今更弁ぜずとも好い。月並みの喜劇は「芭蕉雑談」の中に子規
居士
(
こじ
)
も既に指摘してゐる。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
というとサラット
居士
(
こじ
)
は「必要はあったところで到底成就しない事に従うのは詰らんじゃないか。行けばまあ殺されるだけの
分
(
事
)
だ」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
此時
(
このとき
)
堂上
(
だうじやう
)
の
僧
(
そう
)
は
一齊
(
いつせい
)
に
合掌
(
がつしやう
)
して、
夢窓國師
(
むさうこくし
)
の
遺誡
(
ゐかい
)
を
誦
(
じゆ
)
し
始
(
はじ
)
めた。
思
(
おも
)
ひ/\に
席
(
せき
)
を
取
(
と
)
つた
宗助
(
そうすけ
)
の
前後
(
ぜんご
)
にゐる
居士
(
こじ
)
も
皆
(
みな
)
同音
(
どうおん
)
に
調子
(
てうし
)
を
合
(
あは
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
町内第一
(
ちやうないだいいち
)
の
古老
(
こらう
)
で、
紺
(
こん
)
と
白
(
しろ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を
二枚
(
にまい
)
重
(
かさ
)
ねた
禪門
(
ぜんもん
)
。
豫
(
かね
)
て
禪機
(
ぜんき
)
を
得
(
え
)
た
居士
(
こじ
)
だと
言
(
い
)
ふが、
悟
(
さとり
)
を
開
(
ひら
)
いても
迷
(
まよ
)
つても、
南
(
みなみ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
近火
(
きんくわ
)
では
堪
(
たま
)
らない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
当時の一般読者が『あいびき』の価値をほぼ了解してツルゲーネフを知り、かつ二葉亭の訳文の妙を確認したは忍月
居士
(
こじ
)
の批評が
与
(
あず
)
かって
大
(
おおい
)
に力があった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私は当時まったく超然
居士
(
こじ
)
で、怒らぬこと、悲しまぬこと、憎まぬこと、喜ばぬこと、つまり行雲流水の如く生きようという心掛であるからビクともしない。
風と光と二十の私と
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いやいやそれどころではなく、こう
厖大
(
ぼうだい
)
な全集物が
氾濫
(
はんらん
)
しては、評判のやかましい名作も、ツンドク
居士
(
こじ
)
の蒐集の目的物で
了
(
おわ
)
ることも少なくはないであろう。
随筆銭形平次:15 捕物小説は楽し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかも、ひょいと中をのぞくと、新しい白木の
位牌
(
いはい
)
が二枚あるのだ。——一枚は新帰元泰山大道
居士
(
こじ
)
という戒名。他は同じく新帰元円明貞鏡大姉とあるのです。
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
初秋の風に竹がサラサラ鳴る暁、
柩
(
ひつぎ
)
は出てゆくのだった。戒名は硫黄
居士
(
こじ
)
と私がつけたが、親類の望みで二字に離してくれというので、硫石黄竹居士になった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
とつけて
煽
(
おだ
)
ててくれたから、
悉皆
(
すっかり
)
決心が固まってしまった。もしこれが自殺なら飛び込もうとしているところを押してくれたのだから、
居士
(
こじ
)
は確かに責任がある。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
学海桜痴両
居士
(
こじ
)
が活歴劇流行の
頃
(
ころ
)
は
唄
(
うた
)
鳴物
(
なりもの
)
並に
床
(
ゆか
)
の浄瑠璃はしばしば無用のものとして退けられたり。彼らは江戸演劇を以て純粋の
科白劇
(
かはくげき
)
なりと
思為
(
しい
)
したるが如し。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰、芭蕉
居士
(
こじ
)
は寛永廿年伊賀の上野藤堂新七郎殿の
藩
(
はん
)
に生る。(次男なり)寛文六年歳廿四にして
仕絆
(
しはん
)
を
辞
(
じ
)
し、京にいでゝ
季吟
(
きぎん
)
翁の門に入り、
書
(
しよ
)
を
北向雲竹
(
きたむきうんちく
)
に
学
(
まな
)
ぶ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私が、浜辺に立って熱心に写生を試みていますと、一人の
居士
(
こじ
)
が来ていいますことには、田山さん、あなたこの波の音を聞いてどう思いますか……と、こう問われたのです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
去年より今年(明治二十四年)にかけては、忍月
居士
(
こじ
)
の評
漸
(
やうや
)
く
零言瑣語
(
アフオリスメン
)
の姿になりゆき、不知庵の評は漸く感情の境より出でゝ、一種の
諦視
(
ていし
)
しがたき理義の道に入りはじめたり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
古池の句については子規
居士
(
こじ
)
がかつて「古池の句の弁」なるものをホトトギス第二巻第一号の紙上に書いて、この句の天下に高名なのはこの句の絶対的価値によるのではなくて
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
昔仏
王舎城
(
おうしゃじょう
)
に
在
(
おわ
)
せし時、六群比丘、獅虎豹豺
羆
(
ひ
)
の
脂
(
あぶら
)
を脚に塗り象馬牛羊驢の厩に至る。皆その脂臭を嗅いで
覊絆
(
きはん
)
を
托拽
(
たくえい
)
驚走す、比丘輩我大威徳神力ある故と
法螺
(
ほら
)
吹き諸
居士
(
こじ
)
これを罵る。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
軍人で出先きを
塞
(
ふさ
)
がれた
腹癒
(
はらい
)
せを禅学にぶち込んだ程あつて、胡椒のやうにひりゝとした禅機の鋭さにかけては、その頃の
居士
(
こじ
)
仲間の随一であつたが、ある時その居士の玄関へ立つて
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
天稟
(
てんぴん
)
の美しい情緒を花袋はもっている。それを禅に参ずる
居士
(
こじ
)
が懐くような自負心で
掩
(
おお
)
うている。実際のところ、かれの情緒はその自負心によって人生の煩累から護られていたのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
八畳の壁には、巌谷一六
居士
(
こじ
)
の書いた、新婚を祝つた幅物がかけてあつた。其頃、山人はまだ二十七八位であつた。私は一躍して大家となつた山人の幸福な生活を羨まずには居られなかつた。
紅葉山人訪問記
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
彼奴
(
あいつ
)
を一番大に
遣
(
やっ
)
てやろうじゃないかと
一工風
(
ひとくふう
)
して、当人の不在の
間
(
あいだ
)
にその
硯
(
すずり
)
に紙を巻いて
位牌
(
いはい
)
を
拵
(
こしら
)
えて、長与の書が
旨
(
うま
)
いから立派に何々院何々
居士
(
こじ
)
と云う山田の
法名
(
ほうみょう
)
を書いて机の上に置て
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
明治二十五年六月以来、新聞『日本』に掲げられた「
獺祭書屋俳話
(
だっさいしょおくはいわ
)
」が、翌二十六年五月に至り「日本叢書」の一として日本新聞社から刊行された。これが子規
居士
(
こじ
)
の著書の世に現れた最初である。
「俳諧大要」解説
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
でも、だんだん道場の生活に慣れるに
随
(
したが
)
って、短い時間を利用する事も上手になって来るだろう。僕はもう何事につけても、ひどく楽天
居士
(
こじ
)
になっているようでもある。心配の種なんか、一つも無い。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
羽織は○○
居士
(
こじ
)
こしらえてくれるはずなり。
貧を記す
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
「遠いぜ」と
居士
(
こじ
)
が前から云ふ。余は中の車に乘つて顫へてゐる。東京を立つ時は日本にこんな寒い所があるとは思はなかつた。
京に着ける夕
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あっけにとられて見ていた竹童は、
居士
(
こじ
)
にいいつけられたまま、岩のあいだから、こんこんと
湧
(
わ
)
きいでている泉をすくってきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は大いにこの事を希望して
已
(
や
)
まんものであると説き、それからセイロンのダンマパーラ
居士
(
こじ
)
から、インドのブダガヤの金剛道場の菩提樹下において
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰、芭蕉
居士
(
こじ
)
は寛永廿年伊賀の上野藤堂新七郎殿の
藩
(
はん
)
に生る。(次男なり)寛文六年歳廿四にして
仕絆
(
しはん
)
を
辞
(
じ
)
し、京にいでゝ
季吟
(
きぎん
)
翁の門に入り、
書
(
しよ
)
を
北向雲竹
(
きたむきうんちく
)
に
学
(
まな
)
ぶ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
因テコレヲ以テ序トナス。嘉永己酉
孟春
(
もうしゅん
)
。試灯ノ節。枕山
居士
(
こじ
)
大沼厚。下谷ノ
凞凞
(
きき
)
堂ニ
識
(
しる
)
ス。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それは或る年の春休みか夏休みかに子規
居士
(
こじ
)
が帰省していた時のことで、その席上には和服姿の居士と大学の制服の膝をキチンと折って坐った若い人と、居士の母堂と私とがあった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その
居士
(
こじ
)
が、いや、もし……と、
莞爾々々
(
にこにこ
)
と声を掛けて、……あれは珍らしい、その訳じゃ、
茅野
(
ちの
)
と申して、ここから宇佐美の方へ三里も山奥の
谷間
(
たにあい
)
の村が竹の名所でありましてな
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
チョビ安はまるい眼をキョトキョトさせて、作爺と泰軒
居士
(
こじ
)
へ、
交互
(
たがい
)
に問いかけた。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
公園事務所長は初代が
福地桜痴
(
ふくちおうち
)
居士
(
こじ
)
、二代目が若い方の金兵衛さんだときいた。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
同時に又かう云ふ批評家のない時代の如何に寂しいものであるかを知つた。若し明治時代の批評家を数へるとすれば、僕は森先生や夏目先生と一しよに子規
居士
(
こじ
)
を数へたいと思つてゐる。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
凌
(
しの
)
ぎます。一名ホルモン
居士
(
こじ
)
というんですから、推して知るべしでしょう
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私はナーニとその時は思いましたね、波の音にまで、そんな線香くさい響きがするものかと、その時は頭からばかにしてかかると、その
居士
(
こじ
)
がいいましたよ、田山さん、あなたは水が生きている
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は単純な、感激
居士
(
こじ
)
なのかも知れません。
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
居士
(
こじ
)
と
大姉
(
たいし
)
11・9(夕)
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この時堂上の僧は
一斉
(
いっせい
)
に
合掌
(
がっしょう
)
して、
夢窓国師
(
むそうこくし
)
の
遺誡
(
いかい
)
を
誦
(
じゅ
)
し始めた。思い思いに席を取った宗助の前後にいる
居士
(
こじ
)
も皆
同音
(
どうおん
)
に調子を合せた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もとより
鞍馬山霊
(
くらまさんれい
)
の気をうけたような
怪童子
(
かいどうじ
)
、あやぶむことはあるまいが、
居士
(
こじ
)
の
口吻
(
こうふん
)
からさっしても、ことなかなか
容易
(
ようい
)
ではないらしい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
サラット
居士
(
こじ
)
がチベットに入った時このお方についてほんのわずかの間チベット仏教を学んだそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
少
(
わか
)
い
世捨人
(
よすてびと
)
な、これ、坊さまも
沢山
(
たんと
)
あるではないかいの、まだ/\、死んだ者に
信女
(
しんにょ
)
や、
大姉
(
だいし
)
居士
(
こじ
)
なぞいうて、名をつける
習
(
ならい
)
でござらうが、何で又、其の
旅商人
(
たびあきうど
)
に
婦人
(
おんな
)
が
懸想
(
けそう
)
したことを
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
桜痴
居士
(
こじ
)
は、現今の歌舞伎座を創立し、九代目団十郎のために、いわゆる腹芸の新脚本を作り、その中で今でも諸方でやる「
春雨傘
(
はるさめがさ
)
」が、市川家十八番の「助六」をきかせて、
蔵前
(
くらまえ
)
の
札差
(
ふださし
)
町人
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鼠小僧
(
ねずみこぞう
)
治郎太夫
(
ぢろだいふ
)
の墓は
建札
(
たてふだ
)
も示してゐる通り、震災の火事にも滅びなかつた。赤い
提灯
(
ちやうちん
)
や
蝋燭
(
らふそく
)
や
教覚速善
(
けうかくそくぜん
)
居士
(
こじ
)
の
額
(
がく
)
も大体昔の通りである。
尤
(
もつと
)
も今は墓の石を欠かれない用心のしてあるばかりではない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と子規
居士
(
こじ
)
は振りかえりました。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
車はかんかららんに桓武天皇の亡魂を
驚
(
おどろ
)
かし
奉
(
たてまつ
)
って、しきりに
馳
(
か
)
ける。前なる
居士
(
こじ
)
は黙って乗っている。
後
(
うしろ
)
なる主人も言葉をかける
気色
(
けしき
)
がない。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中里
介山
(
かいざん
)
居士
(
こじ
)
の武術神妙記、史林その他の雑誌に掲載の断片、
古事類苑
(
こじるいえん
)
の兵事部、国書刊行会本の武術叢書、井芹経平講話筆記など、机の高さにして三側ぐらいはすぐ積まれる。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新しい弟子の静枝も、学海
居士
(
こじ
)
が名づけたのだった。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
“居士”の解説
居士(こじ)
仕官せず野にある男子の読書人(士)。漢籍で用いられる語。
出家をせずに家庭において修行を行う仏教の在家信者。またそこから転じて戒名の末尾につける敬称・尊称ともなった。
(出典:Wikipedia)
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
士
常用漢字
小5
部首:⼠
3画
“居士”で始まる語句
居士女