小遣こづかひ)” の例文
…………兄さんも阿母さんから、初中しよちう内密ないしよ小遣こづかひを戴き乍ら…………阿母さんが被仰る通り女の様に衣服きものなんか買ふのは馬鹿々々しい。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
金があるかないかは素より知らず、此家に來てから五年になるが「ろくなお小遣こづかひも貰はなかつた」と少しゑんずる色があります。
まへばんに、ちゝ宗助そうすけんで、宗助そうすけ請求せいきうどほり、普通ふつう旅費りよひ以外いぐわいに、途中とちゆうで二三にち滯在たいざいしたうへ京都きやうといてからの當分たうぶん小遣こづかひわたして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
車夫くるまやあし何時いつよりおそいやうにおもはれて、御好物ごかうぶつ飴屋あめやのきはぐりました、此金これ少〻せう/\なれどわたし小遣こづかひのこり、麹町かうじまち御親類ごしんるいよりおきやくありとき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
承知しようちだよ、承知しようちだよ。お鳥目てうもくがねえとか、小遣こづかひたねえとかふんだらう。はたらきのねえやつきまつてら、とつてはまないのさ。其處そこはおあきさんだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
振舞ふるまひ小遣こづかひなど與へて喜ばせ聲をひそめつゝ其方そなたの主人の娘お高殿に我等われら豫々かね/″\こゝろかくる所お高殿も氣のある容體ようすなれども御母殿おふくろどの猿眼さるまなこをして居る故はなし出來難できがたければ貴樣に此文をわたあひだ能々よく/\人目ひとめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こんな調子で始める時は、お小遣こづかひをせびるか、平次の智慧の小出しを引出さうとする下心があるに決つて居ります。
さうして代助には一口ひとくち小言こごとも云はなかつた。代助は其時から、あにきに恐縮して仕舞つた。其後そののち小遣こづかひこまる事はよくあるが、困るたんびにあによめいためて事を済ましてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
對手あひてもなければ小遣こづかひもなく、まさか小盜賊こどろばうをするほどに、當人たうにん氣位きぐらゐたかいからてられず。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御用が暇で、粉煙草がなくなつて、女房のお靜が何處かへ小遣こづかひの工面に行つた留守などといふものは、錢形平次といへどもスポイルされずにはゐられません。
樣子やうすうも、ふびんや、あま小遣こづかひがなかつたらしい。もつとものはりぞくがうするてあひは、懷中くわいちう如何いかんかゝはらず、うしたさもしい料簡れうけんと、むかしから相場さうばづけにめてある。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、其上そのうへ修業しうげふをさせるとなると、月謝げつしや小遣こづかひ其他そのた宗助そうすけはう擔任たんにんしなければ義理ぎりわるい。ところそれ家計上かけいじやう宗助そうすけえるところでなかつた。月々つき/″\收支しうし事細ことこまかに計算けいさんして兩人ふたり
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
折々手紙に添へて金を送つて參りましたが、五兩三兩の小遣こづかひより、私と婆さんの心持にしては、たつた一ぺんでも宜いから、伜の顏を見度い心持で一ぱいで御座います。
……幾干いくら小遣こづかひがあるとえて、時々とき/″\前垂まへだれ隙間すきまから、懷中くわいちう覗込のぞきこんで、ニヤリとる。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小六ころくさんは、やすさんのところくたんびに、小遣こづかひでももらつてるんでせうか」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その晩、仙八の三年忌の夜のあけぬうちに片付ける積りで、久兵衞に小遣こづかひをやつて外に出し、お崎が醉つ拂つたのを見すまして、與吉を使つて天童太郎をおびき出した。
まつりときのお小遣こづかひ飴買錢あめかひぜにふ。あめてものにて、なべにてあたゝめたるを、麻殼あさがらぢくにくるりといてる。あめつてあさやろか、とふべろんの言葉ことばあり。饅頭まんぢうつてかはやろかなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
平次と八五郎は、その留守で、手一杯に家中を搜し廻りましたが、なか/\に洒落しやれた着物と、少しばかりの小遣こづかひの外に、大した貯へもなく、これは全く平次の當て違ひでした。
われらしきが、一念發起いちねんほつきおよんだほどお小遣こづかひはたいて、うすものつまに、すツとながじゆばんの模樣もやうく、……水色みづいろの、色氣いろけは(たつた)で……なゝめすわらせたとしたところで、歌澤うたざはなんとかで、あのはにあるの
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
翌る日の晝頃、二たときばかり留守にしたお照は、宇太八に逢つて、あの手紙を書いた樣子だ。鑄掛屋いかけやの小僧に小遣こづかひをやつて訊いて見ると、手紙の頼み主は、どうも宇太八らしい。
少々せう/\ばかり小遣こづかひなかからやうなものを、」
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「大層改まるぢやないか。小遣こづかひがなくなつたのか、それとも新色でも——」
すこしばかり小遣こづかひうちからやうなものを、」
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なほ惡いやな、仕樣のねえ野郎だ。お小遣こづかひが要るなら、俺のところへ來てさう言へば宜いのに、——尤も、俺のところにも一兩とまとまつた金は滅多にねえが、いざとなりや、質を置くとか、女房を
小遣こづかひはふんだんにあるのか」