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小豆
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あずき
ふりがな文庫
“
小豆
(
あずき
)” の例文
それは
斑
(
まだら
)
に赤や青の着色があって、その表面には
小豆
(
あずき
)
を二つに割った位の小さな木の実みたいなものが一面に貼り着けてあるんです。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
大小というが、その大なるも三分立方はなく、以下順次四粒、中なると小なるはそれに準じて、
小豆
(
あずき
)
に似たような
代物
(
しろもの
)
まであります。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
朝夕に燈明と、水と、
小豆
(
あずき
)
と、
洗米
(
あらいごめ
)
を供えてまわるのが私の役目とされていた。だから今でも私は
燧石
(
ひうちいし
)
から火を得る
術
(
すべ
)
は心得ている。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
格子が
開
(
あ
)
いて、玄関に、膝をついて出迎える女中たち。揃って、
小豆
(
あずき
)
っぽい
唐桟柄
(
とうざんがら
)
に、襟をかけ、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の、粋な昼夜帯の、中年増だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
髯
(
ひげ
)
の跡青く、受け口にて、前歯二本欠け落ちたり。右
耳朶
(
みみたぶ
)
に
小豆
(
あずき
)
粒ほどの
黒子
(
ほくろ
)
あり。言葉は中国
訛
(
なま
)
り。声小にして、至って穏やかなり——
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
小豆
(
あずき
)
色の十徳に、投げ頭巾をかぶり、袖口から小田原
挑灯
(
ぢょうちん
)
をぶらさげて一閑は歩いている。人品のいい、
肯
(
き
)
かない気性の老人に思われた。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甥に脚気の出たとき、笹村はお銀にいいつけて、
小豆
(
あずき
)
などを煮させ、医者の薬も飲ませたが、脚がだんだん
脹
(
むく
)
むばかりであった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「船に乗ってるとこういうものは、とても食べられないね」などといって、彼は「
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
」の
小豆
(
あずき
)
を歯でかみとったりしていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
しかもあでやかな、薄いワンピースを着た若い女性らしく、その藤色というよりも
小豆
(
あずき
)
色に近い色調が、陽の照りかえしのように眼に
沁
(
し
)
みた。
地図にない島
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
祭や祝ごとの日には、特に
小豆
(
あずき
)
や菜のあえもの、塩辛や
蛸
(
たこ
)
などを入れてこの団子をこしらえることもあった(頸城郡誌稿)。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
小豆
(
あずき
)
を板の上に遠くでころがすような雨の音が朝から晩まで聞えて、それが
小休
(
おや
)
むと湿気を含んだ風が木でも草でも
萎
(
しぼ
)
ましそうに寒く吹いた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
短躯肥満、童顔豊頬にして眉間に
小豆
(
あずき
)
大の
疣
(
いぼ
)
を
印
(
いん
)
したミナト屋の大将は快然として鉢巻を取りつつ、
魚鱗
(
うろこ
)
の散乱した
糶台
(
ばんだい
)
に
胡座
(
あぐら
)
を掻き直した。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
朝から
小豆
(
あずき
)
を洗ったり、米をといだりしてようやく昼前に釜の下を引いたかやは、やれやれといいながら茶の間へ上った。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
と、私たちの小舟は
小豆
(
あずき
)
色のひろびろとした
洲
(
す
)
の浅みに沿って、いきれたつ
蘆
(
あし
)
や
薄
(
すすき
)
のあいだにすれすれと横になってとまった。四季の里である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「栄三郎どのか、ちょうどよいところへ戻られたナ。あがらんうちに、その足で
小豆
(
あずき
)
をすこし
買
(
こ
)
うて来てもらいたい」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ある
乾物屋
(
かんぶつや
)
では、こんなときにこそ、
小舎
(
こや
)
をそうじして、
平常
(
ふだん
)
落
(
お
)
ちている
豆
(
まめ
)
や、
小豆
(
あずき
)
などを
拾
(
ひろ
)
い
集
(
あつ
)
めて、
売
(
う
)
ってしまわなければならぬと
思
(
おも
)
ったのです。
ごみだらけの豆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
小豆
(
あずき
)
あらひと云ふ
変化
(
へんげ
)
を想はせる。……夜中に洗濯の音を立てるのは、
小流
(
こながれ
)
に浸つた、
案山子
(
かかし
)
同様の其の娘だ。……
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何でもありませんよ。たゞ茶を入れて煮た粥です。それに麦を交ぜたのを麦茶粥といいます。
小豆
(
あずき
)
を入れたのが小豆茶粥、芋を入れゝば芋茶粥です」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
小豆
(
あずき
)
かね。あいた、もう眼がはっきり見えないよ。息子のピエエルが
眼鏡
(
めがね
)
を買ってくれるといいんだけど……」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
だいたい同じような割合に交じり合うのであるが、この状況を写した映画のフィルムを逆転する場合には、
攪拌
(
かくはん
)
するに従って米と
小豆
(
あずき
)
がだんだんに分離して
映画の世界像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
次に
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
、馬鈴薯、
南瓜
(
かぼちゃ
)
を作り、
小豆
(
あずき
)
、白黒二種の大豆、大麦、小麦と土地の成長に
伴
(
つ
)
れて作物の種類を増して行った。併し、そうなるまでが大変だった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
二、三日の後、晴れた日に彼らは別れの宴のようなものを催したが、赤の飯を
炊
(
た
)
こうとしてもその年の虫の害は、畑に
小豆
(
あずき
)
というものが一粒も実らなかった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
雑穀屋が
小豆
(
あずき
)
の屑を盆の上で捜すように、影を揺ってごらんなさい。そしてそれをじーっと
視凝
(
みつ
)
めていると、そのうちに自分の姿がだんだん見えて来るのです。
Kの昇天:或はKの溺死
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
正面には清澄な空気をつんざいて、噴火山が濃い
小豆
(
あずき
)
色に聳え立っていた。頂の煙が、揺がず立ち昇っている。煙草畑、
矮樹林
(
わいじゅりん
)
、そうかと思うと、また煙草畑。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
... 全体芋章魚と言うのは箸でちぎって見て
孰方
(
どちら
)
が章魚だかお芋だか分らないように柔くなければ本式でありません」妻君「そうですかねー、章魚を煮るとき
小豆
(
あずき
)
を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
人間の
生地
(
きじ
)
はこれだから、これで
差支
(
さしつかえ
)
ないなどと主張するのは、
練羊羹
(
ねりようかん
)
の生地は
小豆
(
あずき
)
だから、羊羹の代りに
生
(
なま
)
小豆を
噛
(
か
)
んでれば差支ないと結論するのと同じ事だ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
野菜物を
千住
(
せんじゅ
)
の問屋へ送って来たのだと云って、おせんにも土の付いた
牛蒡
(
ごぼう
)
や人参や漬菜などをぜんたいで二貫目あまりと、ほかに白い餅や
小豆
(
あずき
)
や米なども呉れた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこで僕は色々と聞きあつめたことを総合して
如此
(
こんな
)
ふうな想像を描いていたもんだ。……先ず僕が自己の額に汗して森を開き林を倒し、そしてこれに
小豆
(
あずき
)
を
撒
(
ま
)
く、……
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それから『想山著聞奇集』に、武州で捕えた白蛇の
尾尖
(
おさき
)
に玉ありたりとて、図を出す。尾尖に大きな
小豆
(
あずき
)
粒ほどの、全く舎利玉通りなる物、自ずから出来いた由見ゆ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
おどろおどろ神々の怒りの太鼓の音が聞えて、朝日の光とまるっきり違う何の光か、ねばっこい
小豆
(
あずき
)
色の光が、樹々の
梢
(
こずえ
)
を血なま臭く染める。陰惨、
酸鼻
(
さんび
)
の気配に近い。
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と仰りながら私に
掴
(
つか
)
ませました。夜のことですから、紫
縮緬
(
ちりめん
)
が
小豆
(
あずき
)
色に見えました。私は目を円くして、頂いてよいやら、悪いやらで、さんざん御断りもして見たのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
他は云うに足りない。此の九月十日の合戦こそ甲越戦記のクライマックスで、謙信が
小豆
(
あずき
)
長光の銘刀をふりかぶって、信玄にきりつくること九回にわたったと言われている。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
刑事の一人が頓狂な声を立てたので、驚いてその方を見ると、外へ開け放たれたドアの下から、ニョロニョロと、
小豆
(
あずき
)
色の、小さなまだら蛇が、這い出して来るのが眺められた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
烏貝
(
ムウル
)
売り、憲兵、人足、
小豆
(
あずき
)
拾い、火夫、人さらい、トーマス・クックの通弁、……そういった
輩
(
やから
)
が、材木、小麦、
椰子
(
やし
)
の実、古錨、オーストラリヤの緬羊、
瀝青
(
グウドロン
)
、鯨油の大樽と
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
いつもよく例の
小豆
(
あずき
)
色の
矢絣
(
やがすり
)
のお召の着物に、濃い
藍鼠
(
あいねずみ
)
に薄く茶のしっぽうつなぎを織り出したお召の羽織を着てやって来たのだが、今日は藍色の地に細く白い雨絣の銘仙の羽織に
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
呉服屋では、番頭さんが、
椿
(
つばき
)
の花を大きく染め出した
反物
(
たんもの
)
を、ランプの光の下にひろげて客に見せていた。
穀屋
(
こくや
)
では、小僧さんがランプの下で
小豆
(
あずき
)
のわるいのを一粒ずつ拾い出していた。
おじいさんのランプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
疣というのは辞書を引くと、『皮膚上に、筋肉の
凝塊
(
ぎょうかい
)
をなして、飯粒ぐらいの大きさに凸起せるもの』とありますが、野呂のは飯粒よりももっと大きい。ゆで
小豆
(
あずき
)
ぐらいは充分にあります。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
非道にも谷川へごろ/\/\/\どんと突落し、餞別に貰いました
小豆
(
あずき
)
や
稗
(
ひえ
)
は邪魔になりますから谷へ捨て、
血
(
のり
)
を拭って鞘に納め、これから支度をして、元来た道を白島村へ帰って来ました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ある年は、小切れをもらってお手玉をつくる
小豆
(
あずき
)
を、お盆の上で
選
(
よ
)
っていた。ある年はお手習いしていた。またある年は、燈心を丸めて、紙で包んだ
鞠
(
まり
)
を、色糸で麻の葉や
三升
(
みます
)
にかがっていた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
人通りのない夕暮れ近い空気に、広いようようとした
大河
(
たいか
)
を前景にして、そのやせぎすな姿は浮き出すように見える。土手と川との間のいつも水をかぶる平地には
小豆
(
あずき
)
や豆やもろこしが豊かに繁った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
たのしみは
小豆
(
あずき
)
の飯の
冷
(
ひえ
)
たるを茶
漬
(
づけ
)
てふ物になしてくふ時
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
藪入りの寝るや
小豆
(
あずき
)
の煮える
中
(
うち
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
無残にも
小豆
(
あずき
)
大の赤黒い
痘痕
(
あばた
)
が、
籠釣瓶
(
かごつるべ
)
の佐野次郎左衛門で、会員達の好奇心も一ぺんにさめて、思わず顔を
反
(
そむ
)
けることも少くはありません。
法悦クラブ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
米俵か
小豆
(
あずき
)
か、とにかく裕福な
檀家
(
だんか
)
の贈りものとみえ、牛車に山と積まれてゆく俵の上には、木札が差し立ててあり
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
是を
小豆
(
あずき
)
とともに煮たものをアヅキボウトウとも謂っている。三河の
渥美
(
あつみ
)
半島では三十年余り以前、私も是をドヂョウ汁と謂って食わされて
喫驚
(
びっくり
)
した。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それでも火の気が便りだから、横坐りに、
褄
(
つま
)
を引合せて肩で押して、灰の中へ
露
(
あら
)
わな
肱
(
ひじ
)
も落ちるまで、火鉢の
縁
(
ふち
)
に
凭
(
もた
)
れかかって、
小豆
(
あずき
)
ほどな火を拾う。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえばわれわれの世界では
桶
(
おけ
)
の底に入れた一升の米の上層に一升の
小豆
(
あずき
)
を入れて、それを手でかき回していれば、米と小豆は次第に混合して、おしまいには
映画の世界像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さっそく正子にいって、五目ずしをつくらせたり、闇の砂糖を買ってきて汁粉の
小豆
(
あずき
)
をかけさせたりした。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
これはそのままじゃおけません、わたしはこれを神棚へ捧げます、そうしてこれから買物に出かけます、
小豆
(
あずき
)
の御飯を炊いて、お
頭附
(
かしらつ
)
きでお祝いをしましょう。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「これは大変だな。命がけだな。」と笑っていると、つい傍にH夫人が
小豆
(
あずき
)
色のコートをつけて、タオルで頬かぶりの、鼠いろの眼鏡をかけて、ちらと愛嬌笑いをした。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
“小豆”の意味
《名詞》
小 豆(一般的な読み:あずき、専門的な読み:しょうず)
マメ科ササゲ属の一年草、又はその果実。
(出典:Wiktionary)
“小豆(アズキ)”の解説
アズキ(小豆、荅、学名: Vigna angularis var. angularis または Vigna angularis)は、マメ科ササゲ属アズキ亜属に属する一年草。種子は豆の一種(広義の穀物)である。しょうずともいう。
ヤブツルアズキ(東アジア原産)の栽培種である。。
(出典:Wikipedia)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
豆
常用漢字
小3
部首:⾖
7画
“小豆”で始まる語句
小豆色
小豆島
小豆粥
小豆坂
小豆飯
小豆粒
小豆澤
小豆沢
小豆餅
小豆長光