“室:へや” の例文
“室:へや”を含む作品の著者(上位)作品数
田中貢太郎85
夢野久作30
宮沢賢治23
夏目漱石23
長谷川時雨20
“室:へや”を含む作品のジャンル比率
文学 > 中国文学 > 小説 物語45.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語11.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)7.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
へやにかえるとまたもごろりと横になって目を閉じていたが、ふと右の手をあげて指で数を読んで何か考えているようであった。
疲労 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
興哥は入って往った。そのまわりの庭のさまに見覚えがあるような気がした。へやの中へ入ると防禦が出てきて立っていた。
金鳳釵記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
馬はがばつとはねあがり、ソン将軍はにはかにせいが高くなる、将軍は馬のたづなをとり、弟子とならんでへやを出る。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
十一時過ぎにむすこが帰って来ましたが、私はもうへやへ帰って床の中で新聞を見ていましたから、その夜は会いませんでした。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
すぐあから顔の白髪はくはつの元気のよさそうなおじいさんが、かなづちを持ってよこのへやから顔〔以下原稿数枚なし〕
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すぐ上り口に校長室と白い字で書いた黒札くろふだのさがったばらで仕切られたへやがありそれから廊下ろうかもあります。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
九時過ぎたので、床屋の弟子のかすかな疲れと睡気ねむけとがふっと青白く鏡にかゝり、へやは何だかがらんとしてゐる。
床屋 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
へやにはもう膳が来ていた。宵に川魚の塩焼などをつけてあったお菜は皆精進にしてあった。小八の頭はみょうに緊張を覚えた。
立山の亡者宿 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
へやの中は暗かった。大きな雲が日の光をさえぎっていた。店の中にも往来にもだれもいず、人は皆「事変を見に」行っていた。
彼がへやの中に入って来た時に、どこか強健なきびきびしたような、東海岸独特のにおいが、ただよって来るようであった。
それから遂に彼は思わずも歓喜の声を上げながら起ち上って、盛んに手をもじもじさせながらへやの中をぶらぶらと歩き出した。
それに何よりもよかったのは夕暗ゆうやみへやのなかにはびこっていたので、誰にも私の顔の色の動いたのは知れなかった。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
へやには所員が七八人詰めてゐたが、いづれも心配さうに両手を合はせて、てんでに口の中でお経や讃美歌の文句を唱へてゐた。
静子は、何がなしにこのへやに居て見たい様な気がした。で、夏座布団を布いた机の前に坐つて、心持洋燈の火を細くした。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
玄関の次のへやにつってある蚊帳かやの端っぽが、開いたふすまから見えた。その中で突然わっと女の泣き声が爆発した。
夏の夜の冒険 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
太郎左衛門は時刻をはかって寝床を抜け、宵に調べてあった刀架かたなかけの刀を腰にして、そっと女客のへやへ往った。
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
倉知夫人は務の帰ったあとで、そのころよく出入している株式の仲買店にいると云うわかい男と奥のへやで話していた。
白っぽい洋服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
刑部のへやには、実際、憂暗の気がすだれのうちに籠っていた。白い夜具が、きのうの昼中、きょうは宵からのべてあった。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君にだけソッと言って置くが――、今晩何んとかうまく話をつけて、爺やのへやへ泊めて貰い給え、面白い芝居が見られるよ」
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
もう戸外はすっかり真っ暗になってしまった。此だだっ広い押しつぶしたようなへやは、いぶったランプのホヤのようだった。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
伜や孫娘のすることに、うるさいほどくちばしを入れるだけで、しょぼしょぼと、薄暗いへやの中にくすぶっていた。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
へやを出る時の彼の様子に、別段敬太郎を疑ぐる気色けしきも見えなかったので、敬太郎は怒ってやって好い事をしたと考えた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その洋杖はいまだにへやすみに置いてある帽子掛の下に突き込まれたまま、女の長いコートのすそに隠されていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宗助は一応へやの内を見回して、この親子のほかに、まだ一人妙な男が、一番入口に近い所にかしこまっているのを見出した。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
頭の上の方にいるものをへやを隔てて見る視力が、不自然な努力を要するためか、そこに坐っている子供の姿は存外遠方に見えた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
太鼓を打ち切ってしばらくののちに、看護婦がやっと起きてへやの廊下の所だけ雨戸を開けてくれるのは何よりも嬉しかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「静岡――ですからその先は御勝手におなぶり遊ばせ、へやが違いましても、私の乗っております内は殺生でございますわ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
――ガチャンと音がして、へやの中の男が、ランプにぶつかって大きな影をゆららかしながら、向うへ飛び退いて行った。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それから検事が覚書を作っている間に、法水は十五分ばかりへやを出ていたが、間もなく、一人の私服と前後して戻って来た。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
家はそれほど広くはなかったが、へやという室にはそれぞれ錦の幕をけて、壁の上には古人の書画を多く掲げてあった。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
捜査課長は、木のつちたくの上をコツンと叩いた。加害者と被害者とはにらみ合ったまま、へやを出ていった。
一九五〇年の殺人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ときにいつもの口調で怒鳴りつけられることもあったが後でへやに下ったときには、夫の機嫌はおかしいほど好転するのであった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
硝子戸ガラスどの外れるのと共に、へやの中へ吹き入った風と雨とは、たちまちに、二十畳に近い大広間にうず巻いた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
王宙は伯父のへやを出て庭におり、自個じぶんの住居へ帰るつもりで植込うえこみ竹群たけむらかげを歩いていた。
倩娘 (新字新仮名) / 陳玄祐(著)
ばたばたと走ッて来た草履の音が小万のへやの前に止ッて、「花魁、ちょいと」と、中音に呼んだのは、小万の新造のお梅だ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
鶏の肉やがちょうの肉、魚、菓実かじつ一樽ひとたるい酒まで買って来て、それをじぶんへやへならべて
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
コゼットの寝てる物置きのそばに一つのとびらが開いたままになっていて、そこからかなり広い薄暗いへやが見えていた。
そこで彼は年に五十エキュー(二百五十フラン)で、三つのへやと、まがきで囲まれ井戸のついてる一つの庭を得たのである。
彼女は庭から逃げ出し、自分のへやに上ってゆき、もう三カ月ものぞかなかった鏡の所へ駆け寄った、そして叫び声を立てた。
法水はウルリーケのへやを出ると、その画像をしばらく見詰めていたが、やがて眼を落して、書架の中から一冊の本を抜き出した。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ストーブの火気抜いきぬきならば立派な化粧煉瓦とついのものが、玄関に向って右手のへやの壁にチャント附いている。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さつへやの中が暗くなつたと思ふと、モウ私の窓から日が遁げて、向合つた今井病院の窓が、にはかにキラ/\とする。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
怎しようと相談した結果、兎も角も少許すこし待つてみる事にして、へや中央まんなかに立つた儘周囲あたりを見廻した。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
へやの隅には二枚折りの金屏きんびょうに墨絵、その前には卓に鉢植の木瓜ぼけが一、二輪淡紅のつぼみをやぶっていた。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
と泡鳴氏はいった。二人は寒い、なんにもまだ置いてないへやに眼をやった――その寝間から、いびきはれてくるのだった。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
隣りのへやで人々がせっせと手術の仕度をやっている間に、哀れな恋女こいびとは、私をそばへ呼んで、そっと囁きました。
麻酔剤 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
留吉はその時、どこかへ遊びに行って留守だったので、俊夫君は、まず凶行のあったへやを始め、家じゅうをざっと検査しました。
白痴の知恵 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
袖でおおひまも無しに、洋燈らんぷの火は雪風ゆきかぜに吹き消されて、へやの内はにわかに闇となった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
単衣ひとえの上に羽織はおった華美はでなおめし羽織はおり陰鬱いんうつへやの中にあやをこしらえた。
藍瓶 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その時泉水に面したへや障子しょうじいて、そこから三十位に見える洋髪ようはつきれいな女の顔が見えた。
藤の瓔珞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、新京橋の上へ来てみると牡蠣船はともの左側のへやの障子がいて客らしい男の頭が二つばかり見えていた。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女はしかるように云った。それでもぐうぐうの声はまなかった。黒い雲の一片はふわりふわりとへやの中へ入って来た。
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
やがて登は、月の光のような微暗うすぐらいたへやで女と寝そべって話しているじぶんに気がいた。
雑木林の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
殺されに行く相談を、隣のへやでは浪江が、袖を噛んだり、頬を押えたり、立っても坐ってもいられない様子で聴いておりました。
へやの半分を占めたグランドピアノ、黒ビロードの覆いを取ると、中古になっては居りますが、まだなかなかしっかりした品です。
死の舞踏 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
――せめてもの満足は客のすくないことで、同じように並んだ隣のへやにも、その隣の室にも、人のいるらしいけはいがなかった。
春深く (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
初めはあまり立派なものばかりなので何のへやだかわからなかったが、やがてそれが広い化粧部屋だということがわかった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
親譲りの背広を着た男は、丸い眼をえて、へやの中にそびえる、うるしのような髪のあるじを見守った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼の座敷は本堂のすぐ傍の狭いへやでしたが、彼はそこで自分の思う通りに勉強ができたのを喜んでいるらしく見えました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は世帯を持つ時の用意に、このふくを自分の父からもらって、大得意で自分のへやへ持って来て見せたのである。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう午飯ひるめしに間もないという頃、彼はそっと吉川のへやの戸をたたいて、遠慮がちな顔を半分ほど中へ出した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもそのうちに又不図これは悪魔の計略はかりごとだなと気が付いて、急いで紅矢のへやに帰って見ますと、こは如何に。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
大隅学士は、額から脂汗あぶらあせを流しながら、へやの中央に蝟集いしゅうしている白幽霊の一団の前に進みいでた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
貴方あなたは、このへやにどうして調度が少ないのか、お訊きになりたいのでしょう」鎮子が最初発した言葉が、こうであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
へやの両側は四扇しまいびらき隔子とびらになって、一方の狭い入口には青いきぬとばりがさがっていた。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
死ぬる其朝も、ふら/\する足を踏みしめて、苦学仲間のなにがしへやに往って、其日の牛乳の配達を頼んだりした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
昼過ひるすぎ散歩の出掛でがけに、門野かどのへやのぞいたら又引繰ひつくり返つて、ぐう/\寐てゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
代助は菅沼とはなしながら、となりへやに三千代がゐて、自分の話を聴いてゐるといふ自覚を去る訳にかなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
後で書かせる事があるかも知れないから……それから手前てめえ等はこのへやを出て、ドアをピッタリと閉めておけ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
へやの中をジロジロと見まわしたが、鉄筋コンクリートの頑丈ずくめな構造に気が付くと、やっと安心したらしく妾の顔を見直した。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
貴方はあの特一号室から出て来て、このへやに品物を隠されたのちに、あすこに行って手足の血痕を洗い落されました。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
式が済むと、へやの外にいた貧民が一時に押し込んで施与を受けようとするので、なかなかの大混雑で、やっとの事で出て来ました。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ぷんと薬の香のするへや空間あきま顫動せんどうさせつつつたわって、雛の全身にさっと流込むように
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「も少しへやをくらくして、置いたらどうだろうか。それからやる前の日には、なんにも飼料しりょうをやらんでくれ。」
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
〓は嫂の所で阿英に逢うようなことがあると、おりおり自分のへやれていこうとしたが、阿英は承知しながらいかなかった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
と言い、襖子を中にしてこちらのへやで眠ろうとしたが、ここは川の音のはげしい山荘である、目を閉じてもすぐにさめる。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そして、裏口からそっと入ってみると、室は元のへやになって、旅僧は地炉の傍に仰向けになってぐうぐうと鼾をかいて睡っていた。
怪しき旅僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
言い換えれば、彼は自ら知らずして、偶像崇拝の二つのへやの中に身を置いた、一方は神性なるもの、一方は獣性なるもの。
その晩自分のへやに退くと、親指と人差し指とでカスタネットの調子を取って、ガヴォットを踊り、次のような歌を歌った。
考え込んでいた右近丸が、ヒョイと牀几しょうぎから立ち上り、へやの真中へ出て行ったのは、やや経ってからの後の事であった。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
母親を無くした小供が、ある、ふと眼を覚ました。そのへやは二階で、傍には親父おやじをはじめ二三人のものが寝ていた。
炭取り (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そのへやは上田敏氏や、平田禿木とくぼく氏や、与謝野晶子女史やが泊りつけのもので、私にはとりわけ昵懇なじみが深かつた。
女中は身体からだ折釘をれくぎのやうにしてお辞儀をしたが、その儘主人のへやを飛び出して、直ぐに支度に懸つた。
此の控所は、東京監獄の大玄関の取りつきの右側で、三間ばかりの奥行をもつたそのたゝきの土間にそふてゐる細長いへやであつた。
監獄挿話 面会人控所 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
試合がすむと、私は用事があるからというのでみんなと別れて、タクシーでかけつけて真っすぐにみさをのへやへ飛んでゆきました。
アパートの殺人 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
それから、自分のしたことの意味がやっとのみこめてくると、下へ降りて、もう一度みさちゃんのへやへ行って見てこよう。
アパートの殺人 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
その夜太郎左衛門は壮い女のことが頭に一ぱいになって、どうしても眠れないので、またそっと寝床を出て女のへやへ忍んで往った。
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
藤枝は門の懸金かけがねをかけ、飛びだしたままで開け放してあった玄関の障子を締めて、刀をりながら次のへやへ往った。
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
クラネクは細君さいくんと小供をそのへやに残しておいて、ベルセネフといっしょに主翁ていしゅいて往った。
警察署長 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女は毎晩のように来た。真澄はもう宵に酒を飲む必要がなくなった。半月ばかりしたところである日叔母のへやへ呼ばれた。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「アア、そうだよ。」といって母は、もはや大分薄暗くなったからへやの内で眼を細くして針仕事を忙しそうにやっている。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると代官様と家来たちはちゃんとへやの外までお出迎えして、朝太郎を床の間の前に坐らせて、丁寧にお辞儀をしました。
三人の百姓 (新字新仮名) / 秋田雨雀(著)
「埃を立ててすまないが、もう少し我慢してくれ、一体ボイロフの泊って居たへやというのは、お隣とこっちと、どれが本当なんだ」
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
葉子と貞世とは恋人のように抱き合いながら、アーメンという声の一座の人々からあげられるのを待ってへやにはいった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
へやの位置が中庭を隔てて向うに大きな二階建の広間を控えているため、空はいつものように広くは限界に落ちなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼が黙ってあいふすまを開けて次のへやへ出て行こうとした時、細君はまた彼の背後うしろから声を掛けた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼はへやの内をきょろきょろ見廻し始めた。殺風景を極めたその室の中には生憎あいにく額も掛物も掛っていなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども、そのうちにへやの中が真暗まっくらになってしまったのに気がつきますと、私はやっと気を取り直しました。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今しも宴会が済んで自分のへやに連れられて帰ると直ぐに、この赤鸚鵡の声に耳をめて、着物を着かえるも待ち遠しそうに
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
ちょうどお祖父じい様は御年始に行かれた留守でしたから、そっとおへやへ行って床の間の手箱をあけて丸薬の袋を盗み出しました。
若返り薬 (新字新仮名) / 夢野久作海若藍平(著)
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