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大儀
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たいぎ
ふりがな文庫
“
大儀
(
たいぎ
)” の例文
ある日も私は近所の子供と附近の土手下で遊んでいると、そこへ母がひょっくりと
大儀
(
たいぎ
)
そうな足どりでやって来て、私を呼びとめた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
何もかも
大儀
(
たいぎ
)
じゃ、目をあけるのも、お前の声を聞くのも——とでもいうように、静かな、途絶えがちな呼吸をしてこんこんと眠っている。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
だからと言って、それを探しに出かけるのも
大儀
(
たいぎ
)
だと言うので、困ったなァ、と思って、
悄気
(
しょげ
)
ていたところだったのです。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
その人がね、年を老って
大儀
(
たいぎ
)
なもんだから前をのぼって行く若い人のシャツのはじにね、
一寸
(
ちょっと
)
とりついたんだよ。するとその若い人が怒ってね
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大儀
(
たいぎ
)
な足を引き摺って長い橋を渡って、飲みたくもない茶を飲みに来たのは、自分ながら馬鹿ばかしいようにも思われた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
殊
(
こと
)
にこの特長の発達している私には食後の
大儀
(
たいぎ
)
なこと、
客人
(
きゃくじん
)
の前の長時間などは、つくづくこの女子にのみ課せられた
窮屈
(
きゅうくつ
)
な
風習
(
ふうしゅう
)
に
懲
(
こ
)
りて
居
(
い
)
ます。
女性の不平とよろこび
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
臥ているよりか
大儀
(
たいぎ
)
なものだ。
喉
(
のど
)
が乾いたから湯を一杯持って来いとお島を追払って、乃公は歌さんの室へ行った。引出の中に写真が沢山あった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「あの泥棒は逃がしてやった。それにわしはすっかり腹がくちくなって、指一本動かすのも
大儀
(
たいぎ
)
じゃったからなあ」
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
少将はちょいと
頷
(
うなず
)
いた
後
(
のち
)
、濃いハヴァナの煙を吐いた。それからやっと
大儀
(
たいぎ
)
そうに、
肝腎
(
かんじん
)
の用向きを話し始めた。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
李聖学は返事をしなかったが、やがて将棋をかき集めて、竹筒の中に入れ、しぶしぶと、
大儀
(
たいぎ
)
そうに立ち上った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
本堂の
外
(
ほか
)
に三つばかり小ひさな堂やお宮のやうなものがあるのを、二人は
大儀
(
たいぎ
)
さうにしながら一々見て𢌞はつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
矢野は
細面手
(
ほそおもて
)
の色黒い顔に、こしゃこしゃした笑いようをしながら、くたびれたような安心したようなふうで、
大儀
(
たいぎ
)
そうに片手に毛布と鞄との
一括
(
ひとくくり
)
を持ち
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
Bは大きな頭を振って、歩いて見たが、もはやこの身体が自分のものでないように運ぶのが
大儀
(
たいぎ
)
であった。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此間
(
このあひだ
)
から
行
(
ゆ
)
く
行
(
ゆ
)
くつて
云
(
い
)
つてる
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
つてるのよ。だけど、
兄
(
にい
)
さんも
朝
(
あさ
)
出
(
で
)
て
夕方
(
ゆふがた
)
に
歸
(
かへ
)
るんでせう。
歸
(
かへ
)
ると
草臥
(
くたび
)
れちまつて、
御湯
(
おゆ
)
に
行
(
ゆ
)
くのも
大儀
(
たいぎ
)
さうなんですもの。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
なるほどこの少年はこれであろう、
身体
(
からだ
)
は沢庵色にふとっている。やがてわけもなく
餌食
(
えじき
)
を
平
(
たい
)
らげて湯ともいわず、ふッふッと
大儀
(
たいぎ
)
そうに
呼吸
(
いき
)
を向うへ
吐
(
つ
)
くわさ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は何だか口を利くのも
大儀
(
たいぎ
)
になっていた。二人は長い間、一言も云わないで顔を見合せていた。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
兵達は、皆のろのろと
大儀
(
たいぎ
)
そうに立ち上った。疲労がそうさせるのか、皆一様な単純な表情であった。考える力を喪失した、言わば動物園の
檻
(
おり
)
のけもののようであった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「きょうは雨になったで出かけるのが
大儀
(
たいぎ
)
だ。昼には湯豆腐でもやって寝てくれようか」
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
夜業
(
よなべ
)
でもした方がよほど増しだ、と思い出すと、もう、とても
大儀
(
たいぎ
)
で、其所へ坐っていることが出来ず、とうとう中途で、挨拶もせず、こそこそとその
部屋
(
へや
)
を逃げ出して帰って来て
幕末維新懐古談:20 遊芸には縁のなかったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
昼の
中
(
うち
)
は
頭重
(
つむりおも
)
く、胸閉ぢ、
気疲劇
(
きづかれはげし
)
く、何を致候も
大儀
(
たいぎ
)
にて、
別
(
わ
)
けて人に会ひ候が
憥
(
うるさ
)
く、
誰
(
たれ
)
にも
一切
(
いつせつ
)
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
き
不申
(
まをさず
)
、
唯独
(
ただひと
)
り
引籠
(
ひきこも
)
り居り候て、
空
(
むなし
)
く時の
経
(
た
)
ち
候中
(
さふらふうち
)
に、
此命
(
このいのち
)
の絶えず
些
(
ちと
)
づつ弱り候て
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
呉
(
く
)
れるよ
程
(
ほど
)
の
心
(
こゝろ
)
なら、ほんに
苦勞
(
くろ
)
でも
大儀
(
たいぎ
)
でも、
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
を
散
(
ち
)
らさずに、どうか
咲
(
さ
)
かせてくだされよう……」
熟練
(
じゆくれん
)
した
聲
(
こゑ
)
の
調子
(
てうし
)
が、さうでなくても
興味
(
きようみ
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
る一
同
(
どう
)
の
耳
(
みゝ
)
にしみじみと
響
(
ひゞ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
餘計
(
よけい
)
に
強
(
し
)
ひて
氣
(
き
)
を
張
(
は
)
つて、
大聲
(
おほごゑ
)
で
笑
(
わら
)
ひ、
高調子
(
たかてうし
)
で
饒舌
(
しやべ
)
るので
有
(
あ
)
るが、
彼
(
かれ
)
の
話
(
はなし
)
にはもう
倦厭
(
うんざ
)
りしてゐるアンドレイ、エヒミチは、
聞
(
き
)
くのもなか/\に
大儀
(
たいぎ
)
で、
彼
(
かれ
)
が
來
(
く
)
ると
何時
(
いつ
)
もくるりと
顏
(
かほ
)
を
壁
(
かべ
)
に
向
(
む
)
けて
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「疲れたであろう。
大儀
(
たいぎ
)
大儀
(
たいぎ
)
。ゆっくり休息なされたがよい」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼は、いくらか
大儀
(
たいぎ
)
になったらしく、
尻尾
(
しっぽ
)
を振らない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
返辞するさえ
大儀
(
たいぎ
)
そうに、彼女は黙って立っていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
大儀
(
たいぎ
)
、大儀」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男は妻の顔を見たまま、無遠慮に大きい
欠伸
(
あくび
)
をした。それからさも
大儀
(
たいぎ
)
そうに、ハムモックの上へ体を起した。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そうですねえ。思いのほか、重くはないんだけれど、なんだか動くのが
大儀
(
たいぎ
)
ですね。どうもはたらきにくい」
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遠方
(
ゑんぱう
)
までわざ/\
出迎
(
でむか
)
へを
受
(
う
)
けて、
大儀
(
たいぎ
)
であつた。
何分
(
なにぶん
)
新役
(
しんやく
)
のことだから、
萬事
(
ばんじ
)
宜
(
よろ
)
しく
頼
(
たの
)
む。しかしかうして、
奉行
(
ぶぎやう
)
となつて
見
(
み
)
れば、
各々
(
おの/\
)
與力
(
よりき
)
同心
(
どうしん
)
は、
余
(
よ
)
の
子
(
こ
)
のやうに
思
(
おも
)
ふ。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
豚がまだ承知とも、何とも云わないうちに、
鞭
(
むち
)
がピシッとやって来た。豚は仕方なく歩き出したが、あんまり肥ってしまったので、もううごくことの
大儀
(
たいぎ
)
なこと、三足で息がはあはあした。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それにご覧なさいまし、お辞儀一ツいたしますさえ、あの通り
大儀
(
たいぎ
)
らしい。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余計
(
よけい
)
に
強
(
し
)
いて
気
(
き
)
を
張
(
は
)
って、
大声
(
おおごえ
)
で
笑
(
わら
)
い、
高調子
(
たかちょうし
)
で
饒舌
(
しゃべ
)
るのであるが、
彼
(
かれ
)
の
話
(
はなし
)
にはもう
倦厭
(
うんざ
)
りしているアンドレイ、エヒミチは、
聞
(
き
)
くのもなかなかに
大儀
(
たいぎ
)
で、
彼
(
かれ
)
が
来
(
く
)
ると
何時
(
いつ
)
もくるりと
顔
(
かお
)
を
壁
(
かべ
)
に
向
(
む
)
けて
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
男の顔は、光線の加減か
土色
(
つちいろ
)
に見えた。ひどく
大儀
(
たいぎ
)
そうだった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
起きて働くどころか足を持ち上げることさえ
大儀
(
たいぎ
)
だった……。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
『それは
大儀
(
たいぎ
)
だツた。どうだな
能登守殿
(
のとのかみどの
)
の
御病氣
(
ごびやうき
)
は。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
容
(
かたち
)
を
正
(
たゞ
)
して
問
(
と
)
うた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
第二の幽霊 (これもやはり
大儀
(
たいぎ
)
さうに、ふはりと店へはひつて来る。)おや、今晩は。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
枕
(
まくら
)
もとの
煙草盆
(
たばこぼん
)
なんか、
娘
(
むすめ
)
さんが
手傳
(
てつだ
)
つてと、……あゝ、
私
(
わたし
)
は
大儀
(
たいぎ
)
だ。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ツェねずみが出て来て、さも
大儀
(
たいぎ
)
らしく言いました。
ツェねずみ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
下人は、大きな
嚔
(
くさめ
)
をして、それから、
大儀
(
たいぎ
)
そうに立上った。夕冷えのする京都は、もう
火桶
(
ひおけ
)
が欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
それ
)
に
御覧
(
ごらん
)
なさいまし、お
辞義
(
じぎ
)
一
(
ひと
)
ツいたしますさい、あの
通
(
とほり
)
大儀
(
たいぎ
)
らしい。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あのね」とさも
大儀
(
たいぎ
)
そうに云った。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「お
手代
(
てだい
)
、
大儀
(
たいぎ
)
ぢや。」
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
大儀
(
たいぎ
)
ぢや』
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“大儀”の意味
《名詞》
大規模な催事。
《名詞・形容動詞》
大 儀(たいぎ)
ほねがおれること。面倒でくたびれること。またそのさま。
人の苦労をねぎらう言葉。ご苦労。
(出典:Wiktionary)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
儀
常用漢字
中学
部首:⼈
15画
“大儀”で始まる語句
大儀相