トップ
>
吉原
>
よしわら
ふりがな文庫
“
吉原
(
よしわら
)” の例文
唯一筋に思いつめたが最後白柄組の付合にも
吉原
(
よしわら
)
へは一度も足踏みをしたことがない。丹前風呂でも女の杯は手にとったことがない。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
瓦斯の入来したのは明治十三、四年の頃で、当時
吉原
(
よしわら
)
の金瓶大黒という女郎屋の主人が、東京のものを一手に引受けていた時があった。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
円朝
(
えんちょう
)
の
後
(
のち
)
に円朝は出なかった。
吉原
(
よしわら
)
は大江戸の昔よりも更に一層の繁栄を極め、
金瓶大黒
(
きんぺいだいこく
)
の三名妓の噂が
一世
(
いっせ
)
の語り草となった位である。
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
誰
(
だれ
)
にいうともない
独言
(
ひとりごと
)
ながら、
吉原
(
よしわら
)
への
供
(
とも
)
まで
見事
(
みごと
)
にはねられた、
版下彫
(
はんしたぼり
)
の
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、
止度
(
とめど
)
なく
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
が
沸
(
に
)
えくり
返
(
かえ
)
っているのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もっとも、二分と云っても、その頃
吉原
(
よしわら
)
の一流のおいらんの揚代が二分であった。だから、おいそれとは、誰もかしてくれないわけである。
奉行と人相学
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
吾夫
(
うち
)
でも好きな道と見えましてね、運座でもありますとよくその方の選者に頼まれてまいりますよ。昨晩の催しは
吉原
(
よしわら
)
の方でございました。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
五丁町
(
ごちょうまち
)
の
辱
(
はじ
)
なり、
吉原
(
よしわら
)
の名折れなり」という動機の
下
(
もと
)
に、吉原の遊女は「野暮な
大尽
(
だいじん
)
などは幾度もはねつけ」たのである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
もうヘベレケに酔っ払った
吉原
(
よしわら
)
帰りのお
店者
(
たなもの
)
らしい四五人
連
(
づれ
)
が、肩を組んで調子外れの
都々逸
(
どどいつ
)
を
怒鳴
(
どな
)
りながら通り過ぎた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
縦縞の長ばんてんに
継
(
つ
)
ぎはぎだらけの
股引
(
ももひ
)
き。竹
籠
(
かご
)
をしょい、手に長い
箸
(
はし
)
を持って、煮しめたような手拭を
吉原
(
よしわら
)
かぶり。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
文一郎は
頗
(
すこぶ
)
る
姿貌
(
しぼう
)
があって、心
自
(
みずか
)
らこれを
恃
(
たの
)
んでいた。当時
吉原
(
よしわら
)
の
狎妓
(
こうぎ
)
の許に
足繁
(
あししげ
)
く通って、遂に夫婦の
誓
(
ちかい
)
をした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
当時の名所というのがまず第一に
道灌山
(
どうかんやま
)
、つづいては上野山内、それから少しあだっぽいところになると
花魁
(
おいらん
)
月見として今も語りぐさになっている
吉原
(
よしわら
)
。
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一つ
吉原
(
よしわら
)
へ
這入
(
はい
)
って行って売って見ようと、非常門から京町へ這入ると、一丁目二丁目で五、六本売り、江戸町の方へ行くまでに
悉皆
(
しっかい
)
売り尽くしてしまいました。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
島原が秀吉から許された天正十七年は、江戸の
吉原
(
よしわら
)
が徳川から許された
元和
(
げんな
)
三年より三十年の昔になる。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その養子も隠居して
新右衛門
(
しんえもん
)
と云うのに名跡を継がしたところで、二代目の喜兵衛は
吉原
(
よしわら
)
へ通うようになり、そのうちに遊び仲間が殺された罪にまきぞえになって
四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その
傍
(
そば
)
には最も
可憐
(
かれん
)
な
吉原
(
よしわら
)
五徳が置かれてあった。土地では「鉄きょう」という。品物を見ると、どれもこれも一つの共通した特色があって、他の品とは
明
(
あきら
)
かに違う。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その頃江戸川
畔
(
べり
)
に住んでいた私は偶然
川畔
(
かわべり
)
を
散策
(
ぶらつ
)
いていると、流れを
下
(
お
)
りて来る川舟に
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一つで元気に
棹
(
さお
)
をさしてるのが眉山で、
吉原
(
よしわら
)
通いの
山谷堀
(
さんやぼり
)
でも
下
(
くだ
)
る
了簡
(
りょうけん
)
で
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
諸芸の取締り兼、酌のとりかたを教える師匠番によばれたのが、
吉原
(
よしわら
)
の
廓
(
くるわ
)
からおよしさん(現今は某氏夫人である)と、品川から常磐津のおしょさんのおやすさんの二人。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
著流
(
きなが
)
しのじゃらじゃらと、
吉原
(
よしわら
)
遊里の出入などということも、
看方
(
みかた
)
によっては西洋的な分子の変型であるかも知れないから、文化史家がもし細かく本質に立入って調べるような場合に
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
幕の間から、お揃いの手拭を、
吉原
(
よしわら
)
かぶりにしたり、米屋かぶりにしたりした人たちが「一本、二本」と
拳
(
けん
)
をうっているのが見える。首をふりながら、苦しそうに何か唄っているのが見える。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
吉原
(
よしわら
)
です。それも日本堤の交番から知らせがあったので、実は昨日小夜子さんと一緒に身元を証明して引き取って来たんですけれど、使い方が乱暴なので怪しいと
睨
(
にら
)
まれたらしいんです。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは友人の
談
(
はなし
)
だ、ある年の春の末、もう青葉の頃だったが、その男は
一夜
(
あるよ
)
友人に誘われて
吉原
(
よしわら
)
のさる
青楼
(
せいろう
)
へ
上
(
あが
)
った、前夜は
流連
(
いつづけ
)
をして、その日も朝から酒を飲んでいたが、
如何
(
いか
)
にも面白くない
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
「ハハハ日本堤分署と云うのはね、君ただの所じゃないよ。
吉原
(
よしわら
)
だよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
店先きへ
吉原
(
よしわら
)
の如くめかし込んで並ぶのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
主人「
吉原
(
よしわら
)
へ行ったと云うのか」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
菖蒲
(
しょうぶ
)
葺
(
ふ
)
いて元
吉原
(
よしわら
)
のさびれやう
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
吉原
(
よしわら
)
」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その正面に当ってあたかも大きな船の浮ぶがように
吉原
(
よしわら
)
の
廓
(
くるわ
)
はいずれも用水桶を載せ頂いた
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根を
聳
(
そびやか
)
しているのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吉原
(
よしわら
)
だといやァ、
豪勢
(
ごうせい
)
飛
(
と
)
びゃァがるくせに、
谷中
(
やなか
)
の
病人
(
びょうにん
)
の
知
(
し
)
らせだと
聞
(
き
)
いて、
馬鹿
(
ばか
)
にしてやがるんだろう。
伝吉
(
でんきち
)
ァただの
床屋
(
とこや
)
じゃねえんだぜ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「あゝそう/\、
吉原
(
よしわら
)
の附近が、光景になっている小説ですか、それなら私も読んだことがある。坊さんの息子か何かがいたじゃありませんか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
元園町と接近した麹町四丁目には
芸妓屋
(
げいしゃや
)
もあった。わたしが名を覚えているのは、玉吉、小浪などという芸妓で、小浪は死んだ。玉吉は
吉原
(
よしわら
)
に巣を替えたとか聞いた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あとから
紅殻格子
(
べにがらごうし
)
が威勢よくあくと、
吉原
(
よしわら
)
かぶりがとび出して来る。どうもえらいさわぎだ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
山村仁兵衛という小舟町の砂糖問屋、同所堀留大伝(砂糖問屋)、新川新堀の酒問屋、
吉原
(
よしわら
)
では彦太楼尾張、佐野槌、芸人では五代目菊五郎、市川小団次、九蔵といった
団蔵
(
だんぞう
)
幕末維新懐古談:21 年季あけ前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
しかも、出るといっしょにその目ざした方角は、意外や
吉原
(
よしわら
)
の大門通りです——。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
徳川期では、
吉原
(
よしわら
)
や
島原
(
しまばら
)
の
廓
(
くるわ
)
が社交場であり、遊女が、上流の風俗をまねて更に派手やかであり、そして、女としての教養もあって、その代表者たちにより、時代の女として見られた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
六十九人もの破戒僧が
珠数
(
じゅず
)
つなぎにされて、江戸の
吉原
(
よしわら
)
や、
深川
(
ふかがわ
)
や、品川
新宿
(
しんじゅく
)
のようなところへ
出入
(
ではい
)
りするというかどで、あの日本橋で
面
(
かお
)
を
晒
(
さら
)
された上に、一か寺の住職は島流しになるし
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「へええ、そうですかねえ。時に
吉原
(
よしわら
)
はどうしたんでしょう?」
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それはその前夜
吉原
(
よしわら
)
の
小格子
(
こごうし
)
で知った女の名であった。
雑木林の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
此頃の
吉原
(
よしわら
)
知らず
酉
(
とり
)
の
市
(
いち
)
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
わが髪の白くなるのも打忘れ世にいう
悪所場
(
あくしょば
)
をわが
家
(
や
)
の如く今日は
吉原
(
よしわら
)
明日は芝居と身の上知らず遊び歩いていたその頃には
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吉原
(
よしわら
)
の
出来事
(
できごと
)
、
観音様
(
かんのんさま
)
の
茶屋女
(
ちゃやおんな
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
など、おそらく
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
けば、一
様
(
よう
)
におのれの
物知
(
ものし
)
りを、
少
(
すこ
)
しも
速
(
はや
)
く
人
(
ひと
)
に
聞
(
き
)
かせたいとの
自慢
(
じまん
)
からであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
吉原
(
よしわら
)
かぶりにしていた手拭を、今はパラリと取って二つ折り、
肩
(
かた
)
にかけています。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「昔、
吉原
(
よしわら
)
で女郎をしておったとかいうことだけは知っておりますよ」
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
吉原
(
よしわら
)
がえりだろうよ、朝がえりだね、ふられて帰る果報者ってね。」
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大地震の区域は
伊勢
(
いせ
)
の山田辺から
志州
(
ししゅう
)
の
鳥羽
(
とば
)
にまで及んだ。東海道の諸宿でも、出火、
潰
(
つぶ
)
れ
家
(
や
)
など数えきれないほどで、
宮
(
みや
)
の
宿
(
しゅく
)
から
吉原
(
よしわら
)
の宿までの間に無難なところはわずかに二宿しかなかった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
道行く若いものの口々には早くも
吉原
(
よしわら
)
の
燈籠
(
とうろう
)
の
噂
(
うわさ
)
が伝えられ、
町中
(
まちなか
)
の家々にも
彼方此方
(
かなたこなた
)
と
軒端
(
のきば
)
の燈籠が目につき出した。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
半日に一枚の
浴衣
(
ゆかた
)
をしたてあげる内職をしたり、あるおりは
荒物屋
(
あらものや
)
の店を出すとて、自ら買出しの荷物を
背負
(
せお
)
い、ある
宵
(
よい
)
は
吉原
(
よしわら
)
の
引手茶屋
(
ひきてぢゃや
)
に手伝いにたのまれて、台所で御酒のおかんをしていたり
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「へえい。
吉原
(
よしわら
)
の
蛸平
(
たこへい
)
様とおっしゃる
幇間
(
たいこもち
)
のかたでござりました」
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
長吉は第一に「小梅の伯母さん」というのは
元
(
もと
)
金瓶大黒
(
きんべいだいこく
)
の
華魁
(
おいらん
)
で明治の初め
吉原
(
よしわら
)
解放の時小梅の伯父さんを頼って来たのだとやらいう話を思出した。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自由なる社交場として
吉原
(
よしわら
)
や島原の
廓
(
くるわ
)
が全盛になった。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
深川
(
ふかがわ
)
の湿地に生れて
吉原
(
よしわら
)
の水に育ったので、顔の色は生れつき浅黒い。一度髪の毛がすっかり抜けた事があるそうだ。酒を飲み過ぎて血を吐いた事があるそうだ。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吉
常用漢字
中学
部首:⼝
6画
原
常用漢字
小2
部首:⼚
10画
“吉原”で始まる語句
吉原田圃
吉原土手
吉原通
吉原五徳
吉原組
吉原冠
吉原堤
吉原揚
吉原雀
吉原廓