“何処:どこ” の例文
“何処:どこ”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂48
芥川竜之介31
長谷川時雨29
泉鏡花28
三遊亭円朝23
“何処:どこ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸69.4%
芸術・美術 > 彫刻 > 彫刻史 各国の彫刻32.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語14.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
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従つて何処どこを歩いてみても、日本橋にほんばし京橋きやうばしのやうに大商店の並んだ往来わうらいなどはなかつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「さようさ、わしみたような男の何処どこが可いのかお露は無暗と可愛いがってくれるが妙だ。これはわしにも解らんよ」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
洋服の男は私の方を見たようだったが、その見方は張り込んでいる見方にしては、何処どこか不審なところがあるように思われた。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
倹約な巴里の家庭では何処どこでも冬季に使用するかめ形の小さな炭団たどんが石炭と一緒に混ぜて焚いてあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つまり負けたらば、何処どこ其処の寺には宝物ほうもつが沢山あるから、それを奪ってつかわすべしと云ったやり方である。
応仁の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そんなら、何処どこで勝つかと言えば、技巧の中にかくされた人生観、哲学で、自分を見せて行くより、しようがないと思う。
開豁が朴茂に感染れたから、何処どこ仮衣かりぎをしたように、恰当そぐわぬ所が有ッて、落着おちつきが悪かッたろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
子珍、定州界内に入りて路傍の樹蔭にやすむ所へまた一人来りいこい、汝は何人なんぴと何処どこへ往くかと尋ねた。
「して、其の手紙は今も何処どこにか残つて居ませうか」と流石さすが三面記者の丸井老人、直ぐ種取的たねとりてきの質問、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
僕が高等学校の生徒だつた頃は、あの「大寺院の影」のほかに、英吉利語訳のイバネスは何処どこを探しても見当らなかつた。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何処どこへ行らっしゃるのでございますか。もう直ぐ御飯でございますのに。」瑠璃子は、それとなく引き止めるように云った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
また出ますと云うたら宿は何処どこかと聞いたから一両日中に谷中やなかの禅寺へ籠る事を話していとまを告げて門へ出た。
根岸庵を訪う記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「いゝえ、神経質で冷淡でそして何処どこか引込思案な気性がよく出てゐますわ。」が彼女が少しきつい調子で口をはさんだ。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
「お菊どん。何処どこへ……。お使つかいかい。」と、若い男の一人ひとりが何かからかいたそうな顔をして声をかけた。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何処どこで誰に教わったかはわかりませんが、妹はツノダという文字だけを書いて、あとの文字は何一つ書かないので御座います。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
迂濶うかつに叫ぶと、その声を便宜しるべ何処どこからか岩石を投落なげおとされる危険をおそれたからである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「私はもう我慢が出来ない。何処どこか気楽なところへ行きたい――山の中でも何でも構わないから、一緒に連れて行っておくれ」
何処どこかへ手を入れてスルリと出したのは、女持の腕時計ほどある見事な青い石、クッションも何んにもあるわけはありません。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
今日はお店は休みだ、もう誰にも酒は売ってやらない、とひとりでひがんで、自転車に乗り、何処どこかへ行ってしまいました。
老ハイデルベルヒ (新字新仮名) / 太宰治(著)
男「何うだって遊人あそびにんだ、彼方あっち此方こっち二晩三晩と何処どこから何処へ行くか知れねえ男で、やくざ野郎サ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうしような」と思わず小声で言った時、夕風が一筋さっと流れて、客は身体からだ何処どこかが寒いような気がした。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何処どこへ行って見ても、同じような人間ばかり住んでおり、同じような村や町やで、同じような単調な生活を繰り返している。
猫町:散文詩風な小説 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
その代り何処どこが国家のためだか、あきらかに諸君の立脚地をわれらにおしえられる義務が出て来るだろうと考える。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ミチ子さん(こう呼んでもいいかしらと僕は思った)貴女あなたはあの事件のあった時間、何処どこへいらっしゃいました」
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
飛んでもない時に、皆の仕事をしている頭の上で、かもめや船の何処どこかに見当をつけて、「示威運動」のように打った。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それは新宿で、床屋の亭主が、弟と密通した妻と弟とを剃刀かみそりで殺害した事を、彼女は何処どこからか聞いたのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何処どこぞへ出かけるところと覚しく、茶色の中折なかおれをかぶり、細巻の傘を持ち、瀟洒さっぱりした洋装をして居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「さう平岡。あの人なぞは、あまり出来のい方ぢやなかつたさうだが、卒業すると、すぐ何処どこかへ行つたぢやないか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは一ヶ月の間雑誌屋の店頭にさらされたぎり、永久人間世界から何処どこかへ、運命の為めに持つて行かれて仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ソレカラ何処どこかで法螺ほらの貝を借りて来て、かおを隠して二人ふたりで出掛けて、杉山が貝を吹く、お経の文句は
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「笑いたきゃア沢山たんとお笑いなさい……失敬な。人の叱られるのが何処どこ可笑おかしいンだろう? げたげたげたげた」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
仏蘭西フランスの河は何処どこへ行つても美しいが、リオンもまた市内を屈折して流れる河によつて明媚な風致に富んで居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
『泣いては人が笑ひますよ。ねえ、かあさんはもう何処どこへもかずにうちにばかり居るのだからいいでせう。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
山「姉は何処どこへ担がれて参ったかと、伯父多右衞門と大きに心配して尋ねに参る処で、貴方が助けて下すったか有難う存じます」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それだのに昨夜また私の夢の中に見えて、猟人かりゅうどの姿をし、何処どこまでお前は川のほとりを歩いて行つたのだ……。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
こんどは多分何処どこかの湖畔であなたのお手紙を受取り、そこから又お便りを差し上げることになるだろうとおもっておりました。
何処どこでもする怪談ばなし、新聞がいまほど行き渡らないから旧幕時代の、あかのつききった「お岩様」で声をひそめている。
「それはね、家で売った飯櫃おはちが、廻り廻って、何処どこで売ってるかわからないので、気にしてらっしゃるのですよ。」
妾の幸福さいわいは、何処どこの獄にありても必ず両三人の同情者を得ていんよう庇護ひごせられしことなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
かねば、わざへて、何処どこともらず、真夜中まよなかにアハヽアハヽわらひをる
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その頃、蔵前に煙突の太く高いのが一本立っていて、私は何処どこを歩いていても、大体その煙突を目当めあてにして帰って来た。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
村の人達が騒ぎ出しました。がいくら探しても、一匹の犬の姿も見えませんでした。何処どこへ行つたのかも分りませんでした。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
小指の頭程の青きヒシとれるを、小鳥は上よりつゝき、何処どこも変わらぬ村の子供等下よりタヽき落してくらふ。
うしたわびしい心持の時に限って思出されるのは、二年ぜん彼を捨てゝ何処どこへか走ったグヰンという女であった。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
田舎にいる時分は、ただうどんといっていたが、東京へきてから何処どこで聞き覚えてきたのか、うむどんと言うようになっている。
うむどん (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
大和やまと河内地方へ行けば、何処どこにも楠公の遺物と称するものはいくらもあるけれども、一つも確証のあるものはない。
虎ヶ窟に於てこれほどの事件が出来しゅったいしている間に、のお葉と重太郎とは、何処どこに何をしていたであろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
福々ふく/\で思ひ出したが、七ふくまはりふのは一たいきみ何処どこくんだ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なに近江屋あふみや旦那だんなを、ムヽはぐれて、うかい、ぢやア何処どこかで御飯ごぜんべたいが
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
梅喜ばいきさんの療治れうぢ下手へただが、何処どこ親切しんせつ彼様あんじつる人はないツて
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何処どこか近くの家で百萬遍ひやくまんべん念仏ねんぶつとなへ始める声が、ふと物哀ものあはれに耳についた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
額の広い割に、眼が細く、色の白い娘だつたが、愛嬌にとぼしく、何処どことなく淋しみのある顔立ちが人の眼をかなかつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
山本有三君の書いたものなどを読むと、他にも同種の話が何処どこかにあったかと思われるが、自分はまだ確かめてみたことがない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
三四人の武士は、縄付の半十郎を濡れ縁に差し置いたまま、謎のような問答を交して何処どこともなく立ち去ってしまいました。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「そう平岡。あの人なぞは、あまり出来のい方じゃなかったそうだが、卒業すると、すぐ何処どこかへ行ったじゃないか」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一冊ずつ順々に取り上げて、暗いながら二三頁、はぐる様に眼を通したが何処どこも彼の注意をく様な所はなかった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
後を追ったところで、どうにもなりません、相手は恐ろしい早足、橋詰まで来て見ると何処どこへ行ったか影も形もありません。
悪人の娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
無頼漢ならずものの声に応じて、同じ様な風体のよくないのが、バラバラと三四人、何処どこへ潜んで居たか、一遍に飛出します。
悪人の娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「勇さん、何も彼もお仕舞いねえ、私はもう隠しもうもしない、そのビンと鍵は一体何処どこから手に入れなすったの?」
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
新「なアニ師匠お前が種々な事を云いさえしなければいゝけれども…お前先刻さっき何処どこかの二階へ来やアしないかえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お爺さんは何処どこからか釣針をさがして来ました。それから細い竹を切って来まして、それで二本の釣竿を造りました。
二人の兄弟 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
で、家中かちゅうが寝静まると、何処どこか一ケ所、小屏風こびょうぶが、鶴の羽に桃を敷いて、すッと廻ろうも知れぬ。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鞍山店は相当に繁昌している土地らしいが、ここらの村落の農家はみな何処どこへか避難して、どの家にも人の影はみえない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そして現社会の何処どこかにその少年が既に立派な、社会に対しての理解ある紳士となって存在しているように想えてならぬのである。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
学士は又、そんな関わない風采ふうさいの中にも、何処どこ往時むかし瀟洒しょうしゃなところを失わないような人である。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
寝ても寝られないという風に、達雄は間もなく身を起したが、紳士らしい威厳のあるその顔には何処どことなく苦痛の色を帯びていた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
豊世が湯から上って来て見ると、姑は何処どこからかはかまを借りて来て、すその方を糸でくくっているところであった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今ではその歌がだんだんに伝へられて、この郡の小学校では何処どこへ行つても歌はないところはないやうになつてゐました。
女王 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「そうですか。それはほんとですか。……では何時いつ何処どこで、君が誰を殺したか、順序をたてて話してごらんなさい」
途上の犯人 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
私は、これからいったい何処どこへ行こうとしているのかしら……駅々の物売りの声を聞くたびに、おびえた心で私は目を開けている。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
勝美さんはすっかり酔っぱらって、何処どこから私は来たのやら、何時いつまた何処へかえるやらと妙な唄をうたっている。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
白いレエスの掛つた窓を開けると、何時いつ何処どこにあるのか知らないが白楊はくやうの花の綿わたが飛んで来る
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
真紀 お弁当を届けさせたら、おいでになりませんって、変な顔して帰ってきたよ。ほんとは何処どこかで遊んでたんだろう。
みごとな女 (新字新仮名) / 森本薫(著)
私は平常のままなら何処どこへでも行けるが、これを着てはもう一歩も恥かしくて外へは出られないので、私は憂鬱に陥るのであった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
花川戸はなかはど山谷さんや駒形こまかた蔵前くらまへ――そのほか何処どこでも差支さしつかへない。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その日何処どこでもしたという酒樽さかだるのいくつかが、大丸の前にもかがみが抜いて柄酌ひしゃくがつけて出された。
軍国主義の精神には一時的以上の真理が何処どこかに伏在ふくざいしてゐると認めても差支さしつかへないかも知れない。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
父と兄とは、水火のように、何処どこまで行っても、調和するようには見えなかったけれども、兄と瑠璃子とは、仲のよい兄妹だった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
が、おじいさんのほうでは、何処どこかぜくとった面持おももちで、きもせず
私達が上ってしまうと、勢子達は犬を連れ、各々銃を肩に、松明たいまつの用意をして、何処どこか林の奥に消えて了った。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ある猟人かりうどが、やまかりにゆきますと、何処どこからか鸚鵡あうむ啼声なきごゑきこえます。
何処どこにいたんだい!」と小母さんはそれだけ云った。庄吉は彼女の眼をつり上げて赤い顔をした凄じい形相ぎょうそうを見た。
少年の死 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
周囲の子供等を引率して学校の授業も何もかまはずに山や沢に出掛けるので、そのやり方が何処どこか猛烈なところがあつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「そんならこれでお別れします。したが、明日あしたまたスツツトガルトの何処どこかでお目にかゝるかも知れませんね。」
薄給でも其の頃の官員のせがれだから、向う見ずに腹を立てて、鹿児島だい、と大きく言ふと、鹿児島とは、何処どこぢやと言ふ。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ドウだい、」と私は安成に向っていった。「大杉に何処どこかソコラの木の下に立ってもらってアナーキストの避難は面白かろう。」
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
何処どこということなく、道を歩いてふと小流こながれに会えば、何のわけとも知らずその源委げんいがたずねて見たくなるのだ。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私は悲しさに育ちのいゝ他の二人の、何処どこか作法の高尚かうしやうな趣、優雅な言葉遣ひや仕草やの真似をして物笑ひを招いた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
しかし自分は子供の時から、毎年まいねんの七、八月をば大概何処どこへも旅行せずに東京で費してしまうのが例であった。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何処どこからともなく煤烟ばいえんすすが飛んで来て、何処という事なしに製造場せいぞうばの機械の音が聞える。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
日はひるすこし過ぎ、空は高いが、何処どこからとなく、うつすらした雲のかさが、白くよどむで来ては掻き消えてゆく。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
『そんなことを告げに来たんじゃありません。その宗次の弟子が、何処どこかで、家のお師匠様に、斬られたことがあるんですってね』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
数右衛門はちょっと気色きしょくに障った。別れたら独りで何処どこかで飲もうと胸算むなざんしていた当てが外れたからである。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百観音を買い取った古金屋は、それを何処どこへ売り込む当ても無く、仏像を其儘焼いて、金箔から金を取ることを考えていたのです。
私はそう申しました。日本語の発音や語脈に違いありませんが、世界の何処どこかに、こんな言葉が無いとは限らないのです。
と申します。有難いッ、その子供が何処どこに居るかと聞くと、今しがた、青い石を持ったまま、浜の方へ遊びに行った様子だという。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
その内に夜は遠慮なくけ渡つて、彼女の耳にはひる音と云つては、唯何処どこかで鳴いてゐる蟋蟀こほろぎの声ばかりになつた。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
金花はこの時この外国人の顔が、何時いつ何処どこと云ふ記憶はないにしても、確に見覚えがあるやうな、一種の親しみを感じ出した。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
雨に濡れた着物や湯巻、――それらは何処どこを眺めても、ぴつたり肌についてゐるだけ、あらはに肉体を語つてゐた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
○「勘次てめえの身分にしちゃア金遣いが滅法にあらえが、桔梗屋で使用つかった金はありゃア何処どこから持って来た金だ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)