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何処
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どこ
ふりがな文庫
“
何処
(
どこ
)” の例文
旧字:
何處
「往来で物を云いかける無礼な
奴
(
やつ
)
」と云う感情を
忽
(
たちま
)
ち
何処
(
どこ
)
へか引込めてしまって、我知らず月給取りの根性をサラケ出したのである。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それにしてもあんな方角に、あれほどの人家のある場所があるとすれば、一たい
何処
(
どこ
)
なのであろう。私は少し
腑
(
ふ
)
に落ちぬ気持がする。
西班牙犬の家:(夢見心地になることの好きな人々の為めの短篇)
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
一方は急峻な傾斜になっている上に、途は細いし、草も木も手ごたえにするものがないのだから転ぶと
何処
(
どこ
)
まで落ちて行くか分らぬ。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
されば比律賓は西島とも呼ばれ東島とも称された。かくては「東は東、西は西、両者永遠に相逢うことなし」の面目は
何処
(
どこ
)
にあるか。
東西相触れて
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
かかる折から、柳、桜、
緋桃
(
ひもも
)
の
小路
(
こみち
)
を、
麗
(
うらら
)
かな日に
徐
(
そっ
)
と通る、と
霞
(
かすみ
)
を
彩
(
いろど
)
る
日光
(
ひざし
)
の
裡
(
うち
)
に、
何処
(
どこ
)
ともなく雛の影、人形の影が
徜徉
(
さまよ
)
う、……
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「昨日ノ朝、妙ナ船ニ会イマシタ、三本
帆檣
(
マスト
)
ノ二千
噸
(
トン
)
バカリノ奴デス。船内ニハ誰モ居ナイ様子デ……
何処
(
どこ
)
も
彼処
(
かしこ
)
モ血ダラケデシタ」
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
行き合う人や後から来る人に顔を見られても、
彼処
(
あすこ
)
まで行ってしまえば
何処
(
どこ
)
から来たのだか分るまいと云うような気がするのである。
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
弥吉は、鞍ヶ岳の池のまわりで、そよりと立った鷹狩の、児太郎の
可憐
(
かれん
)
な姿を、いまは
何処
(
どこ
)
にもみることができないのに気が附いた。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
例の如くややしばし
音沙汰
(
おとさた
)
がなかった。少し
焦
(
じ
)
れ気味になって、また呼ぼうとした時、
鼬
(
いたち
)
か
大鼠
(
おおねずみ
)
かが
何処
(
どこ
)
かで動いたような音がした。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「音に聞えし真柄殿、
何処
(
どこ
)
へ行き給うぞや、引返し勝負あれ」と呼びければ、「引くとは何事ぞ、
悪
(
にく
)
い男の言葉
哉
(
かな
)
。いでもの見せん」
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
Sのこの判断はまことに妥当で、今ではそうとしか考えられませんが、それにしても、藤波金三郎は
何処
(
どこ
)
へ姿を隠したことでしょう。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女子の特質とも言うべき柔和な穏やかな
何処
(
どこ
)
までも
優
(
やさ
)
しいところを梅子
嬢
(
さん
)
は十二分に
有
(
もっ
)
ておられる。これには
貴所
(
あなた
)
も御同感と信ずる。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「おおむぞやな。な。何ぼが
泣
(
な
)
いだがな。さあさあ
団子
(
だんご
)
たべろ。食べろ。な。今こっちを焼ぐがらな。
全体
(
ぜんたい
)
何処
(
どこ
)
まで行ってだった。」
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
と呼ぶ声が
何処
(
どこ
)
からとなしに聞えて来ましたので、私等は暗い木の中から少し上の明るい、幾分道のやうになつた所へ出て来ました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
帽も
上衣
(
うはき
)
も
裳
(
ジユツプ
)
も黒つぽい所へ、
何処
(
どこ
)
か緋や純白や
草色
(
くさいろ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
取合せて強い
調色
(
てうしよく
)
を見せた冬服の
巴里
(
パリイ
)
婦人が
樹蔭
(
こかげ
)
を
行
(
ゆ
)
き
交
(
か
)
ふのも面白い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一人
(
ひとり
)
で
坐
(
すは
)
つて居ると、
何処
(
どこ
)
となく
肌寒
(
はださむ
)
の感じがする。不図気が付いたら、机の前の窓がまだ
閉
(
た
)
てずにあつた。障子を
明
(
あ
)
けると月夜だ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
大学を出て
何処
(
どこ
)
へ行く? モウよい年だから隠居する? トボケタこと言うナイ、吾等の研究はマダ終っていないでなお前途遼遠ダ。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
九月は農家の
祭月
(
まつりづき
)
、大事な
交際季節
(
シーズン
)
である。風の心配も兎やら
恁
(
こ
)
うやら通り越して、先
収穫
(
しゅうかく
)
の見込がつくと、
何処
(
どこ
)
の村でも祭をやる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
普請
(
ふしん
)
は上出来で、
何処
(
どこ
)
も
彼処
(
かしこ
)
も感心した中に特に壁の塗りの出来栄えが目に止まった。そこで男は知人に其の塗り方を訊いてみた。
愚かな男の話
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何処
(
どこ
)
にその人はいるかとの質問に、何処にいるかといってその人は協会員で来ておられるというと、では早速逢いたいというので
幕末維新懐古談:56 鶏の製作を引き受けたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
夜もすがら枕近くにありて
悄然
(
しよんぼり
)
とせし
老人
(
としより
)
二人の
面
(
おも
)
やう、
何処
(
どこ
)
やら寝顔に似た処のあるやうなるは、この
娘
(
こ
)
のもしも父母にては無きか
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「日本という国はいい国だ。街の一番下層の労働者が、外国人を見た時、もしもし西洋の旦那とよぶような国は、世界中
何処
(
どこ
)
にもない」
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
『お前も一杯やってみるか』と言った父の言葉が頭の
何処
(
どこ
)
かを
掠
(
かす
)
めた。そこで、ただ何となく『飲んでみるか』と軽く考えたのである。
酒渇記
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「
何処
(
どこ
)
へ行くの?」光子がいきなりきいた。森先生の
許
(
とこ
)
へといえば、また何とか意地悪い事を言われるのがいやさに、それとなく
先生の顔
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
園芸を好み、文芸をも好みしが、
二十
(
はたち
)
にもならざるうちに
腸結核
(
ちやうけつかく
)
に
罹
(
かか
)
りて死せり。
何処
(
どこ
)
か老成の風ありしも
夭折
(
えうせつ
)
する前兆なりしが如し。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その方法は
何処
(
どこ
)
までも徹底せる懐疑的自覚でなければならない、詳しくいえば絶対の否定的自覚、自覚的分析でなければならない。
デカルト哲学について
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
それでは
塩原
(
しほばら
)
の
寺
(
てら
)
は
何処
(
どこ
)
でせうと聞いたところが、
浅草
(
あさくさ
)
の
森下
(
もりした
)
の——たしか
東陽寺
(
とうやうじ
)
といふ
禅宗寺
(
ぜんしうでら
)
だといふことでございますといふ。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鬼ごっこ、子をとろ子とろ、
雛
(
ひな
)
一丁おくれ、
釜鬼
(
かまおに
)
、ここは
何処
(
どこ
)
の
細道
(
ほそみち
)
じゃ、かごめかごめ、
瓢箪
(
ひょうたん
)
ぼっくりこ——そんなことをして遊ぶ。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
或る日、私がそうやって一人で無花果の木かげで余念なく遊んでいると、私の母が
何処
(
どこ
)
からか、一人の見かけない女の子を連れて来た。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
今夜だけはまあ泊めて
遣
(
や
)
るから、あしたになったら
何処
(
どこ
)
へでも勝手に出て行ってくれ。長く泊めて置くことは出来ねえぞ。いいか。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人工の・
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の・近代の・亡霊から完全に解放されているならばだ。ところが、実際は、
何時
(
いつ
)
何処
(
どこ
)
にいたってお前はお前なのだ。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
譬えて申せば貴方が一杯の酒を
呑乾
(
のみほ
)
しておしまいなさる時、その酒の
香
(
か
)
がいつか
何処
(
どこ
)
かであった嬉しさの
香
(
におい
)
に似ていると
思召
(
おぼしめ
)
すように
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
私は、これからいったい
何処
(
どこ
)
へ行こうとしているのかしら……駅々の物売りの声を聞くたびに、おびえた心で私は目を開けている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
何処
(
どこ
)
かに見覚えのある事物は残っていまいか、何処かに人間の痕跡は無いだろうか、それを捜すにはなお遠く進んでみねばならぬ。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
それも決して
座成的
(
ざなりてき
)
のものでないと見え、
何処
(
どこ
)
とかへ代議士が集った席でも話出て感心しきりだったと、中村啓次郎氏から承った。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私は平常のままなら
何処
(
どこ
)
へでも行けるが、これを着てはもう一歩も恥かしくて外へは出られないので、私は憂鬱に陥るのであった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
牛肉とさえ言えば
何処
(
どこ
)
でも同じ事だと思って内ロースをシチューにしたり、
硬
(
こわ
)
い肉をビフテキにしたりして毎度
失敗
(
しくじ
)
っていました。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかしながら人は、
何処
(
どこ
)
にか心のうちに道理を有する時にしか憤慨しない。ジャン・ヴァルジャンは憤慨の気持ちを覚えたのであった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
『そんなことを告げに来たんじゃありません。その宗次の弟子が、
何処
(
どこ
)
かで、家のお師匠様に、斬られたことがあるんですってね』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何処
(
どこ
)
まで
弾
(
はず
)
むか知れないような体を、ここでまた荒い仕事に働かせることのできるのが、
寧
(
むし
)
ろその日その日の幸福であるらしく見えた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寝ても寝られないという風に、達雄は間もなく身を起したが、紳士らしい威厳のあるその顔には
何処
(
どこ
)
となく苦痛の色を帯びていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
白峰を写すには何処がよかろう、
十重二十重
(
とえはたえ
)
山は深い。富士のように
何処
(
どこ
)
からも見えるというわけにはゆかぬ。地図を調べ人にもきいた。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
けれど彼は、足に
委
(
まか
)
せて行ける処まで行こうと思った。いつしか細い道は、
何処
(
どこ
)
にか消えて、自分は道のない沙原を歩いている。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼は
何処
(
どこ
)
までも書籍を重位に置き、書籍の上に養われた眼目を以て社会を眺め渡さんとするけれども、これは事実を本位に置き
我輩の智識吸収法
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
卓子
(
テーブル
)
の
側
(
そば
)
が
僅
(
わづか
)
に
少
(
すこ
)
しばかり
明
(
あか
)
るいだけで、
其
(
そ
)
の
外
(
ほか
)
は
電灯
(
でんとう
)
一
(
ひと
)
つ
点
(
つ
)
けず、
真黒闇
(
まつくらやみ
)
のまゝで
何処
(
どこ
)
を
何方
(
どちら
)
に行つて
宜
(
い
)
いかさツぱり
分
(
わか
)
らぬ。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
心ばかりが、本当にポプラの葉のやうにふるへる。そして
何処
(
どこ
)
からともなく、金属のふれ合ふやうな響を感じて彼女は、たえずおびえた。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
ちょうど
午
(
ひる
)
で、私は温泉宿に入って、一ふろあびて一ぱいやるつもりをしていたが、さて
何処
(
どこ
)
へ往っていいのか見当がつかない。
火傷した神様
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「こんな弱った事はない、」と、U氏は
復
(
ま
)
た暫らく黙してしまった。やがて、「君は島田のワイフの咄を
何処
(
どこ
)
かで聞いたろう?」
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
事務所の社員に対しては、これは
何処
(
どこ
)
にでもあるでしょう。——女事務員は大抵女学校は出ているので、服装から違うわけです。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そんなことを聞き覚えている僕は、今でも神田川から出る時は
何処
(
どこ
)
、品川は何屋、洲崎は誰と舟宿を決めてあまり浮気をしない。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
“何処”で始まる語句
何処迄
何処其処
何処へ行く
何処宛
何処村
何処々々
何処亓処
何処だいば